手紙
 パソコンで物を書く癖がついてしまうと、これまで利用していた手紙というものが実に難しいものになった。文字を間違えて、てにをはを間違えて、文面を書き損じて、何枚便箋を破ったことだろう。手紙に修正液はみっともない。

 辞書をひかずにすらすらと漢字が書けなくなった。コピーや貼り付けなど、都合よく移動ができないから、気に入らないと初めからやり直しになる。かつてにもどって、かのひとへのラブ・レターが書けるだろうか?

 だから、気持ちをこめた手紙が貴重になった。JPG加工などせず、ちゃんと封筒に入れて切手を貼った、インクの匂いのする手紙が・・・。

 でも、ぼくの手紙には宛名がない。