プロスポーツで女性が男性と戦うとき
 アメリカ女子プロゴルフツアーで昨年11勝をあげ、圧倒的強さで2年連続の賞金王に輝いたスウェーデンのアニカ・ソレンスタム(32)に、アメリカ男子ツアーへの招待が打診されている。一昨年、史上最強のプレイヤー、タイガー・ウッズへの挑戦を呟いて話題になっていたことを思い出す。昨年約300万ドルを稼ぎ、11勝を挙げた実力は、男子に比べパワーこそ劣るものの、ショートアイアン、アプローチ、パッティングなどのショートゲームの的確さ、テクニックにおいては、トップクラスの男子プロにもひけをとらないことを実証してくれている。男子のタイガー・ウッズ、女子のアニカ・ソレンスタムは男女の双璧である。おそらく、彼女が日本男子ツアーに参戦してくれば、優勝争いをすることを予感させるものがある。

 女性において、世界的にプロスポーツとしての興行が成り立っているのは、テニスとゴルフだけ。一年の間で継続的に試合が行われていて、プレイヤーの裾野の広さにおいては、ゴルフがテニスを凌駕しているといって過言ではない。

 アニカ・ソレンスタムは北欧美人でもある。均整のとれたスタイル、端正な顔だち、身長168センチメートルのスリムな肉体には、テニスのウィリアムス姉妹のような威圧感がなくて、そのプレイスタイルの美しさにはうっとりとさせられる。

 おそらく興行的な意味合いもあるのだろうが、現在アメリカ男子プロゴルフツアーのクライスラー・クラシックとBSオープンの主催者から出場を打診されている。いわゆるスポンサーからの招待である。史上最強とも言える女子プロゴルファーに対して、お手並み拝見という思惑もあるのだろう。現在のところ、ソレンスタムは出場の意向を表明している。たった一人で男の中へ乗り込み、果敢にチャレンジしようとしているのだ。

 僕はアニカの勇気を称えたい。そして、どうにかして予選を通過し、男子プレイヤーをあっと驚かせる戦いをしてもらいたい。一般的にパワーとスタミナに劣るはずの女性が、美しい華を見せてほしい。とてもしなやかに、したたかに、蝶のように美しく、女という性を超越した、人間としてのプレイを見せてくれることを願っている。いや、女性が男性に勝てるそんなプレイを見せてほしい。可能性があるのはアニカだけなのだから。