ランチタイムウォーキング
 昼食前のウォーキングを始めて二年半になる。満開の桜並木を眺めながら、川べりの菜の花の群落を見ながらいつもの道を歩くのは、三度目の春である。

 腰椎椎間板ヘルニアを患っておよそ三年余り、暑い夏の二ヶ月の入院を経て、リハビリのためのウォーキングを始めたのが残暑厳しい秋のはじめ。

 このウォーキングによって、自分の住む町の四季を毎日感じて暮らしている。空の色、吹く風の声、流れる雲、北の連峰の色彩の変化、そして、自分をとりまく自然の草木の花と緑。降水量が多いと、水かさが増えて、川は二日ほど濁流となるが、その後の水の色はアクアマリーンとなり、流れいずる遠き連峰のたおやかさを感じさせてくれる。そんな川を見ることはなんとも言えず清々しい。水鳥が舞い下りてきて川面で遊ぶ。きのういた白鷺が今日もまたあそこにいる。

 私はこの町に住んでいる限り、いつもこの自然を見て暮らしていくだろう。生まれた町の自然によくやく気づいたようである。

 心の中では詩があるというのに、言葉になって出てこないのが不思議である。それは、とにもかくにも素養のなさというよりほかはない。

 私が毎日欠かさずに歩くのは、週末にゴルフをするためである。椎間板ヘルニアの悪化を防ぎながら、ゲームで勝利するためである。むろん、握りで負けないためでもある。