プレーオフで敗れはしたけれど
アメリカチームの怒涛のような猛追だった。

残り4ホール、トップを快走するニュージーランドチームとの差は5ストローク
誰もがアメリカチームの優勝は無理だと思ったことだろう。

しかし、世界ランキングナンバーワン、
超人タイガー・ウッズは信じられないような離れ業をやってのけた。
3ホール連続バーディーの後、
極めつけは最終ホールのチップイン・イーグル。
デビッド・デュバルがセカンドショットを大きく右に外したボールを
タイガーがマウンドでワンクッションさせて、スピードを殺して
直接カップイン、24アンダーでトップに並んだ。
ギャラリースタンドのどよめきはアンビリーバブル、
テレビを見ていた僕も思わず驚嘆の声をあげていた。

ダウンヒルのラフで,マウンドを越さなくてはならないアプローチ、
ピンは近くて、寄せることさえ難しかった。
さらにグリーンはフックライン、
マウンドにぶつけてラインを合わせることはまさにミラクルだった。
タイガー・ウッズが史上最高のスーパープレイヤーと呼ばれる由縁は、
まぐれでなく何度もミラクルをやってのけられるからである。

彼はパワフルで、タフで、ナーバスで、すべてを兼ね備えている。
野球でいえば走攻守すべてがベストで、
さらに1〜6番バッターの特性のすべてに適応できる能力をもっている。

プレーオフの末、共にUSオープンチャンピオンを経験したことがある、
エルス、グーセンの南アフリカチームが優勝したが、
ベルギー、ニュージーランドを加えた四チームのプレーオフは
ゴルフ史上に残る素晴らしい戦いだった。
南アフリカチームも最終ホールでイーグルをとってプレーオフに残っていた。

ゴルフは素晴らしいスポーツだ。
勝敗の行方より、個々人の素晴らしいプレイに感動できるからである。
誰彼の勝ち負けに歓喜するより、ゴルフファンは素晴らしいプレイに歓喜する。
それはまさに、ゴルフが芸術的スポーツだからではないか。


残念ながら、野球ワールドカップで、
日本チームは三位決定戦にも敗れ、
シドニーオリンピック同様メダルを逃した。
僕にはメダルなどどうでもいいことだが、
もし日本がどうしても優勝したかったのなら、
なぜプロの選手を中途半端に選んだのか?

優勝する気なら少なくともいい先発ピッチャーがもう一人は必要だったろう。
野手は高橋と井口以外の選手はアマチュアと大差なく、
ベストナイン級の野手を選ぶべきだった。
どうして今回は松坂も中村も出場しなかったのか?
中途半端でメダルメダルと言わないほうがいい。

ゴルフと野球、日本チームにおいては
二つのワールドカップは似たようなものだった。
解説者のよくやりましたねという言葉が空しく響く。

同じ日に最終日を迎えた二つのワールドカップ、
最大の違いは、ゴルフが世界最高峰のメジャーのプレイを見せたことだった。
富士山を背景に欧米のほとんどの国がテレビ中継をし、
世界のスポーツメディアが注目していた。
フィナーレはドラマであり、
18番ホールに世界のゴルフファンが酔ったことだろう。