再会
友人が新たに移ったマンションを訪れた。
およそ10年ぶりの再会だった。
家族みんなの歓迎を受けた。

昔から仲がよかっただけに
午後五時から午前三時まで話は尽きなかった。

以前と違っていたのは
友人の二人の子供たちが大きくなり
僕たちの話の席を離れようとしなかったことである。

僕たちの昔話に耳を傾けながら
目を輝かせて父親の青春時代に興味を抱いていた。

凛々しい青年になっていた。
いい親子だった。
いい家族だった。

帰りのタクシーの中で
高校時代というものが
僕にとってどれほど大切なものであったのかを
しみじみと感じてしまった。

東京に来てよかったと思った。

僕が友人宅での宿泊を辞して、
ホテルに帰ったのは午前四時である。

僕の旅にはいつもホテルは無用だ。