今日は暑かった
体から熱が抜けきらないようだ。
首筋が焼けて痛いし、
さすがに今日の暑さには参ってしまった。
今夜は寝苦しそうである。

だが、もっと熱くなっていることがある。
ルールを知らないやつに、
もしかして知っていてインチキしているやつに、
正しいルールを教えてやって、
マナーが悪いと言い返されてしまった。
僕はそのとき切れてしまった。
「じゃかましい!」

カントリークラブの札つきのインチキ野郎に
この僕がマナーを教えられるとは・・・・・。
マスター室ではHプロが笑っていた。
みんなが集まった風呂場では大笑いの酒の肴だった。
「やっぱり! あいついつもよくやるなあ。いやあ、今日はご苦労さん」

競技委員長に後でご苦労さんとご馳走してもらったが、
Y君とラウンドするんだったら
もう絶対カントリークラブには行かない。
僕は腹がたって熱くなっている。
最近は調子がよかっただけに、
今日は優勝のチャンスだったのだ。

何で今日、僕があいつの面倒を見なくてはならなかったんだ。
飛び入りだったせいもあるんだが、
悔やめるのは、あいつの顔を見たときキャンセルして、
家に帰るか隣のコースへでも行けばよかった。

カントリークラブでは
Y君が札つきのインチキ野郎だということは周知の事実だ。
キャディーさんや従業員たちにも有名なのだ。
Y君はいろいろな先輩たちから注意を受けても、
いつもそのとき限りである。

腹をたてるとプレーが楽しくなくなるので
みんなたいてい知らんぷりしているが、
放っておくもの考えものだ。
彼には仲間がひとりしかおらず、
競技では誰かが被害をこうむるのである。

心臓が強いのか、
まるっきりの阿呆なのかわからないが、
信じられないような人間である。

世の中にはときどき阿呆なインチキ野郎がいるものだが
Y君はその中のチンピラである。