「考え事をしているぼく」
ぼくの目の前には
手足が細すぎて
自分で立つ事すら
できないんじゃないかと
思えるような
少女がいるんだ

そんな心配をよそに
彼女は歩けるし
聞き取れないほどの
小さな声でわがままさえ言う

でも、彼女は
三日間、食べず飲まず
無理やり食べさせても
吐き出してしまう

生きようとしていない

ぼくが彼女に伝えたいことは
「生きていてくれ」という言葉だったが
彼女には無意味な言葉

彼女がほしかったのは
「愛している」という言葉

何度も何度も
同じシーンを頭の中で繰り返して
ぼくは考えているんだが
彼女はぼくを
愛してくれていたのだろうか

――――――――――――― 夏に5日間一緒に過ごした脳性マヒの少女に捧ぐ