「春を売る少女」
哀しげに あるいは
投げやりに微笑む少女がたたずむ
橋のたもと
何をしているのかと訊ねると
春を売るのだと言う
ぼくは
いくらならいいのと
聞き返すと
「あなたの愛の値段で」
と答えが返ってきた
ぼくは ぼくがもっている
払えうるだけの愛を
少女に与えた
少女は 胸の奥から
ピンク色のハートを取り出して
ナイフで削る


ぼくの手のひらの中に
おとしてくれたのは
少女の持っていた「春」