「返歌;『歴史ゲーム』」
女が明るいリビングで笑っている。

ほのかなPCモニターの明かりが
女の顔を照らす。
永遠に途切れることのない
リアルな明かり。
たとえ、わたしの命が終っても
存在し続けるであろう。

おりかさなる ように
あい と にくしみ

真実を真実と受け止めないから
戦になる。
悪事を水に流せる事は
悪事を働いたものだけの特権だ。
忘れた振りをして、笑っているのは
弱者の特権。
どちらが幸福なのだ。
滅びは平和の言い換えなのか。

目を塞ぎ
耳を塞ぎ
口を塞ぎ
見なかったこととし
聞かなかったこととし
言わなかったこととする

メディアを抹消しろ。
歴史を塗り替えろ。
すべてを白紙にもどしてみろ。
それは、できることではない。

指の間から漏れ見た信実
指の間から漏れ聞いた真実
指の間から漏れ出た信実
すべてをさらけ出すのでなければ
斑な真実

ゲームはそこから始まる。
無くしたジグソーパズルのピースを
探し出すように。

滅びは結果ではなく、過程だ。
人類が何によって滅ぼされても
それは、過程に過ぎない。

老いがひとを死へ導いてゆくように。
木は成長し
風はやまず
星々は瞬き
エンドマークは、どこにも見えない。


――――――――――――――芳賀氏への返歌