おとなの詩集 晩秋続篇 3
9.時間は もう
  この丸い小さなテーブルを
  ぐるぐる回って
  グラスの中の氷を溶かす
  時折響き渡る誰かの携帯が
  妙にひと恋しさをくすぐる

10.特急に乗ることもなく
  急行に乗り継ぐこともなく
  ずっと各駅停車に座りつづけている
  なんとなく
  のんびりと
  少々 気になりながらも
  あれこれ もの思いにふける
  無駄使いな 時間 そして空間…

11.空中に浮遊する 有限よ
  そのまた向こうに浮遊する無限よ
  何か 語っておくれ
  静かに さとしておくれ
  未来を 占っておくれ
  聴こえないくらいの
  ほのかな声で