おとなの詩集 晩秋続篇 2
4.自己中心的な横断歩道
  そこを 少しずれて渡る
  そんなちっちゃな反抗で
  さぼり気味のこころがほくそえんでいる
  情けない
  ほんと
  そんな程度の反抗について
  どこか反省しているなんて

5.不特定多数という雑踏に
  あこがれて 街に出る
  どんどん自分の存在感がうすまる
  干渉されるエリアから
  どんどん離れ去る
  心地よい
  この通行人の波の中に
  ぷかぷか浮いて
  時間を流れる
  さみしさを友にして

6.視線を柔らかく
  少々下へずらせて
  不器用な微笑をつくりあげて
  前を見る
  鏡の中の自分を見る
  ぼんやりと ずっと 伏し目がちに

7.均一を拒否しつづける
  ブラックホールよ
  その偏りが この宇宙を
  変化に富んだものにしてくれている
  銀河を不平等の賜物なんて言ったら
  おかしいもんね
  存在を承認しますよ
  ブラックホール殿!

8.恋愛は ふとやってくる
  求めている風でなくて
  どこからか やってくる
  準備運動なしで
  ちょいと心臓にわるいけど
  でも ほんと
  気をゆるめていると
  すっかり つかってしまう