師走篇 2
10.この街の夜に 空はなかった
   砂でつくられた この街のきらめきが
   余りに はかない平凡にみえる
   ここは ここだけであって
   全然すべてじゃない
   浮かれているカフェの自分に
   砂のナイフをつきつけている


11.干上がった やすものの理性が
   膨れ上がった 頑強な欲望を
   弱々しく にらんでる


12.勇気?
   うーん
   そういえば
   昔 どこかで見かけたような…


13.いくら考えても理由がない
   さかのぼって思い巡らしても理由がない
   どうみても ふてぶてしく
   結果が そこに居る


14.君をこんなにも愛していいんだろうか
   君をこんなにも求めていいんだろうか
   何かを見失いそうな
   自分がいるみたい
   そっと慰めてくれる安らぎを
   どこかで待っている


15.君をすでに空気にしてしまってる
   君をすでにあたりまえの
   風景にしてしまってる
   それですっかり安心してしまって
   今 知らないところで
   迷子になりかけている
   戻らなきゃ


16.悲しみなんて捨てちゃいたいけど
   捨て場所を探すのに気乗りしない
   悩みなんてすぐにでも
   壊しちゃいたいけど
   たたきわる道具を見つけるのがおっくう
   それで 結局
   ふとんの中で じっとしている


17.俺だけを見ろよ
   俺だけに話しかけてくれよ
   俺だけに微笑んでくれよ
   はっきり分かる愛がほしいんだよ俺は
   お茶目なしぐささえ
   俺をどきっとさせ
   不安のどん底に突き落とすんだから