おとなの詩集 初冬続篇2
9.あぁ 心の強い人になりたい
  何にも動じないような心

  「こんにちはー!」
 
  どなた?

  「心臓の毛 カットしに来ました」

  はいはい いつもごくろうさま!


10.すぐに発車となります
  閉まるドアにご注意ください
  駆け込み乗車は危険です
  おやめくださーい

  ほら 叱られるわよ やめましょ

  おかあさんったら もう
  幸福行きの最終列車だったのよ

  えっ!

  やめてよ 今ごろ
  列車に石なげるなんて


11.ありゃー こりゃ遅刻しそう
  うーん 思いっきり食べちゃおうかな
  アイスクリーム
  それとも公園の滑り台の上から
  飛んじゃおうかな
 
  「もしもし お嬢さん」

  あっ そうだ
  あのう 私を誘拐してくれますゥ

  「ウワァオ!」


12.夢っていいですね
  シナリオのないドラマ
  いつも一等席で
  横になって見れるんですから
  でも 中身によって
  いいのも いやなのもある
  リクエストできたらなぁ

  「いらっしゃい!
   こちら夢のリクエスト受付中だよー」

  もう すぐビジネスにして
  夢こわすんだからー


13.あぁ この滝に打たれよう
  すべて私の中の邪念を清めちゃうんだ

  ザァーー

  冷てー  ヤダー!
  世間のぬるま湯にどっぷりつかろうっと


14.こんな時 あなたが居てくれたら…
  かなしい あいたいよう
  こんなにいっぱいの買い物…


15.日本海の波は大きかった
  晴天なのに荒々しく見える
  砂浜はガラガラと小石を
  磨く音に包まれていた
  私はヒスイ色の石を拾い集めながら
  自分の中のヒスイを探していた