カフェにて  12
場所は 南船場

まるい木製テーブルが たかい天井をもつ

アイボリートーンのフロアに

無造作に並べられている

午後3時ごろだというのに

もうおとなの夜のムードをかもし出している

テーブルの上にはヘアライン仕上げの丸い灰皿

白い陶器の容器に積まれたふぞろいの角砂糖

透明のちいさな花瓶に差し入れられた

緑の葉を携えた枝

注文前の水と 注文後のホットオーレ

オーダーメモが すみっこでひっそり寝ている

よしよし わかっているよ

ここを出る時ちゃんとお店のおねえさんに

返してあげるから

それまでゆっくりしてな

テーブルにあるのはもうひとつ

わたしの左のひじ

これがまた つかれた表情を浮かべている

がんばれよっと気のはいらぬ応援をしてしまう

このカフェには 脱力感が よく似合う