おすそ分け
最近の若い人にはなくなった習慣かもしれない。隣と我が家にはそれが残っている。越してきて数年の方たちだが、同世代ゆえかもしれない。
近くに里があって畑を作っているから、季節の取れた手の野菜が持たされる。筍が今年は不作とて、自分のところへ親戚から届けられ葉半分がこちらへ届く。
誕生日に頂いた関西の銘菓も幾つかをおすそ分けした。大半は私が食したが、孫達がこれまた喜んだ。
下の孫は焼き菓子の烙印のひよこを覚えていて、今夜、こっそり抜け出して「ひよこの美味しいお菓子頂戴」といってきた。昨夜、最後の一つを私が食べてしまったのを後悔した。
他の美味なのが残っているのだが、その菓子が分るのである。
娘は洋菓子しか食べず、朝昼晩パン食でも耐えられるパン人間である。米は三日に一度程度しか炊かない。
孫はご飯大好きだから、娘がパートに出かけるのを待って、こちらの朝食を楽しみにする。
休みで母親がいるときなどは元気がない。「ママが居る」と諦めて一個の甘食パンとミルクかジュースで我慢する。
姉は和菓子は生菓子が好きで、そのときはお抹茶が頂けるから楽しみらしい。
夕方塾帰りに家内が準備しておく恒例のおやつは今日は冷やし中華だったが、「あまり美味しくない。麺だけが好き」といって私を失望させた。
名古屋では有名な店のセットである。「栄養のない麺だけなどと言っては駄目だな」と他の何種類かの具である。ハムと卵ときゅうりを良く混ぜてそれでも綺麗に食べ終わり、私に「お利口さん」を言わせた。
今夜の我が家の一品だったが、食べ終わって「まずいというわけだ」と家内に言った。「いつものだろう」と聞くとそうだという。しかし、一味も二味も悪い。それに私の嫌いなごまだれだった。
まごにもそれを持っていったのだった。孫の舌が正常なので安心した。ただ、親達が食べ物に疎いので心配ではある。
父親は何でも「旨い、旨い」と腹いっぱいになればよい女房孝行の男である。
下の男の子は焼肉店などでも、硬い肉は嫌いである。和牛の霜降りだと「美味しい」という。
二人とも今値上がり中のマグロが大好きである。これも回転寿司党だから、本物の寿司の旨さは知らずである。
寿司は江戸前に限るが当地では口には入らないから仕方がない。