新年号 �U (1)
1.夜空のあまたの星
 恋愛の数とか
 失恋の数とかに
 似ているんじゃ
 あっ まばたいた 
 そうなんだ
 やっぱりそうですよって言っている
 じゃ ぼくだって
 まだまだ大丈夫だな


2.基板の素子が
 伸びをした
 あ〜ぁ
 もう 飽きた
 こんな単純な反応
 
 その時
 世界は原因不明の制御不能におちいり
 ついに人類最後の日かと
 慌てふためいた


3.この道に見覚えがある
 この道の雰囲気
 たしかに覚えがある
 うむ 何か あとで
 悔やんだことのあるような
 もう二度と行くまいと誓ったような
 いやはっきりしたことじゃない
 記憶が遊んでいるのかもしれないし
 いいよいいよ
 もう来てしまったんだし
 行こう行こう この道を


4.中途半端だよな
 君の言葉
 思わせぶりばかり
 しんどいんだよ けっこう
 といっても
 はっきり結論だされちゃ
 困るかも
 自由になりたいよ こんな気持ちから
 


5.風に吹かれて メッセージが
 飛んできたけど
 気にしなくていいよね
 もういろんな色がついてると思うから
 いちいち本気にしないよ
 それでいいかな
 そうしかできないんだよ 僕は
 この気持ちをどんどん
 風に飛ばしていけば
 いつか君に届くんだろうか
 あっそうか
 この気持ちだって
 途中で色づけされるんだろうな


6.アーモンドの塩
 適当にまぶさっていて
 適当に下におちていて
 指でつまむと
 パラパラついたりおちたり
 ついた分は指をすりあわせておとす
 珈琲を飲むから
  
 この塩粒の方が
 僕より強いんだろうな
 こんなに好き放題されちゃ
 たまんないよ
 僕には僕なりの味があるんだよ


7.運命がヒマそうに
 ブラブラしている
 どうだっていいじゃないかっていう感じで
 おいおい いいのかよ 運命君
 いいんだよ!
 もうこの頃おもしろくない
 だいたいレールの敷かれたままにしか
 進まないんだから
 たいした出番ないんだよ
 へぇー そちらの世界も
 盛り上がってないんだぁ


8.路地の水たまりが
 世間を映している
 ごみや泥と一緒に
 映している
 よく似合っている気もする
 というか似合いすぎだよ
 僕はわざわざ
 その水たまりに映る世間を
 この足で踏みつけてやろうと
 靴を向けた
 思ったよりくぼみは深く
 靴とズボンのすそを濡らす
 ふぅー!人生まで教えてくれるとは…