夕焼け 見たさに 分かれ道

峠 越す人 居りませぬ

山を 越えるか 雁の群れ


風の 吹く日が また過ぎて

明日(あした)こそはと 手を合わす

宿の 前に 塞(さえ)の神


夢の 中では 旅支度

ひとつ ふたつは 良いけれど

山を 越えるか 商人(あきんど)よ


露を はらうは 蝸牛(かたつむり)

旅を 続ける 人の為

朝露 溜めて 井戸の水


唄を 歌って 宿の子が

旅立つ 人を 追いかけて

強請(ねだ)る 言葉も 消えていく