講堂の催しに下げる文字
挨拶の言葉を大きく書いて欲しいと娘が持ってきた。

私の使う、書画に使う最大の紙では小さいと言う。看板屋の仕事である。

どこから買ってきたか、コート紙で260cmの長さに巻いた紙を切ってきたのだろう。

墨が載らないから書きたくないと言うと今までがそうだから、これでなければ困ると言う。

ポスターカラーを買いに行かせた。黒は中々なくて三軒目でようやく買って来た。

狭い廊下でははみ出してしまう。玄関の広いところで始めたが、長さが足りないから、移動しながら一字ずつかくから、流れがない。

広間の障害物を動かす手間を省いたから仕方がない。一汗かいて思い出した。

書家のなり始めの姪の言葉「叔父さん、書がこんなにエネルギーが要るとは知りませんでした」だ。

謙信の学生審査員まで進んで、結婚して止めている。

娘も子供の頃は立派な先生に習わせたが、ものにならなかった。

祝儀封筒の字まで私のところへ持ってくる。「自分で書きなさい」というが、その気がない。

条件は楷書で書いて欲しいという。