本物
冷凍技術が進んだからか、手を抜いて金儲けだけに集中するのか、まともなものが少なくっ立て、嘆いているのは私だけだろうか。

佃煮も時間をかけて煮こむから出るコクのある旨味。魚も秋刀魚が捕れないと言うと昨年の冷凍物が安く店頭に並んで、それを「美味しい」と食べるひとがいる。

鮭に至っては、一年中あるのに無理はあるのだが、切り身を見ても、色はマスであり、紅鮭にしてもチリで捕れたシロモノだ。

昔、正月には台所に、一匹鮭がぶら下げられて、油が回らないように、そこから食べるだけ切り取って食べていたのを想い出す。

腹にはまた゛、粗塩が残っていた。本場の製法は軽く陰干しをした鮭の腹にいっぱいの粗塩を詰め込んで寝かせ、それを除いて乾燥させたものが塩鮭だと思っている。

塩水に浸して、その濃さで甘塩、辛塩に分けているだけのインチキでは、食べられたものではない。

油が回ってしまったものも、くどくて不味くなってしまう。その区別も知らない現対人には説明しても、分からないかも知れない。