割れた陶板
数日前の夜、下の孫四歳が靴音高く駆け込んできた。母屋の玄関は鍵が掛かる10時近かった。

「じいじ!粘土頂戴」と泣き声である。こんな夜遅く子供を起こしていると、親達に不満だった。

「どうしたの?」と聞く。「お姉ちゃんのみたいなのが作りたい」真似が始まったと思ったが、アトリエへ行って、早速、一枚の陶板を作る。

ニコニコ笑いながら嬉しそうに帰った。

次の日、娘に聞くと、パパが帰って姉の学校で作った陶板を「上手だね」と褒めた。自分も褒められたいのが弟だった。

毎日、できたかと問うので、天日乾燥をした。姉が手伝って作ったそれは深い切込みが何箇所かあって、二つに割れてしまった。

今朝、見つけたから、内緒で、造り、乾燥させねばならない。

幼心を裏切らないためである。