花の命…
            220722rose

   花の命は短くて 苦しきことのみ 多かりき
                   林芙美子

  
   この杯を受けてくれ
   どうぞなみなみ注がしておくれ
   花に嵐のたとえもあるぞ
   さよならだけが人生だ
           于武陵「勘酒(勧酒)」(井伏鱒二訳)


 それぞれ、花の命が短いということで連想しました。

 井伏鱒二の日本語訳をお気に入りだったのが寺山修司。
 彼はことあるごとにこの「さよならだけが人生だ」を引用していました。
 しかしかつての私は、いま一つ納得がいきませんでした。
 人生に別れはつきものなのだから淡々と生きようではないか…。
 そんなふうな意味で引用しているのだろうかと。
 
 寺山修司は、俳句、短歌、詩歌、演劇、さらには競馬評論の世界まで
 目まぐるしいほどの活動の後、47歳の若さで亡くなりました。
 寺山修司は若き日に病を得、奇跡的に回復したのち多方面に活躍していたのですが、
 自らの人生が長くはないことを知っていたのだそうです。

 「さよならだけが人生だ」の引用は、彼の覚悟でもあったのでしょう。
 だからこそ、この一瞬を大切に生きなければならないのだと。
 
 
 

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