はり の こえ
.




  祇園精舎

  無常院無常堂にあつた といふ

  鐘は 八つ


  そのうち 四つが 白銀 で

  残りの 四つは 頗梨


  頗梨(はり)とは

  サンスクリット語 ;

  sphatika の 音訳 であり

  「水精」と 意訳する


  そして その意味するものとしては

  仏教でいう七宝の一つ

  現在の水晶をさす − との ことであり


  紫・白・紅・碧 の 四つの種類が あるさうな



     ちなみに

     国語大辞典(新装版)小学館 1988 を 引くと −

     ・(透明であるところから) ガラスの別称

     ・火山岩に含まれている非結晶質の物質

      黒曜石のように

      岩漿が急激に冷えたために生じたもの

     − と でてきて おじゃる



  *



  さて

  頗梨は

  「無常、苦、空、無我」 と 音を 出したり 

  「諸行無常、是生滅法、生滅滅已、寂滅為楽」

  − と 声を 出したりしていた らしいのじゃぐぁ...


  では

  四つの白銀の鐘は どのやうな響きを

  出していたのであらうくぁ


  といふと

  ここまで拙者が参照しているところの ヌァニでは

  触れておりませなんだぁ


  ・・・



  むぁっ それについては

  自習課題といふことにして


  「諸行無常、是生滅法、生滅滅已、寂滅為楽」

  といふ

  涅槃経の 四句の偈 の意を 表わした

  といわれる

  七五調 四句四七文字からなる 今様歌


  いはゆる 以呂波歌を

  口ずさみながら


  茉莉花の香りを 楽しもう

  とぞ 思う

  夕べ にて ござ候


  =


  色はにほへど散りぬるを
  わが世たれぞ常ならむ
  有為の奥山けふ越えて
  浅き夢見じ酔ひもせず







.