時熟
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 ついに神無月ですねえ。
 あっという間ですよ、本当に。
 年々時間の経過が早く感じられるようになります。
 年とともに時間が長く感じるようになったなんて聞いたことがありません。
 子どもの頃は、何日先に何かがあるというような場合、
 待ち遠しかったじゃないですか。
 
  もういくつ寝るとお正月~♪
 
 なんてのがまさにそれを表していたと思います。
 けれども、今はその歌を違った意味で連想しますヨ。
 下手をするとまだ春先だというのに、

  もういくつ寝ると…
 
 なんて考えたりなんかしましてね。

 多分、子どもの頃は先に起こることが予測できなかったために
 ああだろうか、こうだろうかと考えることたくさんあったのでしょうね。
 ところが年齢とともに、経験を積んでいくと、
 先が予測できてしまうわけで…。
 あれもしたい、これもしたい、
 しかし、結局、いつもと同じなんだろうなあ…
 というわけで…。







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 達成可能な現実ばかりを思い描かず
 ホンのちょっとだけでも
 自らを鼓舞しなければならない要素を
 課しておくことが必要なのかも…。

 私の私淑するM先生は、「時熟」という言葉を提唱されておりました。
 英語ではAging(エイジング)、一般的には「加齢」と訳されているけれど、
 これは好きになれない、と。
 愛読されているハイデッガーの「存在と時間」に出ていた訳語が「時熟」。
 これぞ名訳である…。
 性急に物事を手に入れようとせず、時がくるまでじっと待つこと。
 それが「時熟」というものだと。
 それを意識的に日常に取り込むことで
 幼い頃のあの待ち遠しい感覚が甦るのかも知れません。
 
 M先生も頷いておられるような気がいたします。


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