朝美納豆に教えられる
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 以下に紹介する文章はすでに全国の複数の新聞で掲載されており、
 ネットでは知る人ぞ知る内容となっております。
 しかし私は今日になってこれを知りました。
 日本の風評被害に関する文書なのですが、
 日頃、客観的視点に立たねばと心掛けているアオエですが
 なるほどと納得する点が多々ありました。

 すでにいろんなところで紹介されておりますが、
 私も敢えて紹介させていただきます。



 
   風評被害で、日本は大変なことになっている。それは、ぼくも認める。
   みんなで力を合わせ、風評被害に立ち向かい、払拭しなければならないと、
   ぼくも本気で思っている。
   ただ、日本のマスコミが取り上げる「風評被害」と、
   ほくが理解する「風評被害」の間には、かなりのギャップがある。           
   たとえば東京は浅草、仲見世の土産物店の経営者が、外国人の観光客の激減を嘆き、
   売り上げは9割も落ち込んでいるとため息をもらす。
   そしてそれが「原発事故の風評被害」と、話がまとめられる。
   しかし本当にそうなのかと、ぼくはうたぐる。
   実際、福島第1原子力発電所の1号炉も2号炉も3号炉もメルトダウンをきたし、
   大量の放射能汚染を海に垂れ流し、大気にまき散らして、
   制御不能の悪夢はいまだに出口が見えない。
   そんな現況下、好きこのんで高い料金を払い、愛する家族といっしょに国際線に乗り、
   わざわざ日本へやってくる人は、そう多くはないだろう。
   当たり前の用心というか、最低限の自己防衛と言うべきか。
   観光客激減を「風評被害」と呼ぶ者に対して、ぼくは聞いてみたい。
   「この25年の間にベラルーシやウクライナへ遊びに行きましたか?」
   また、日本政府が「安全だ」と宣言しても、
   メード・イン・ジャパンの品物を対象に各国の港で放射能測定が行われたり、
   海外の消費者が敬遠したりしている現状が大きく報道され、
   やはりこちらも「風評被害」によるものと、結論づけられる。
   でも3月11日から情報を隠蔽(いんぺい)しつづけ、
   「レベル4」だの「レベル5」だの「格納容器は健全である」だの
   欺瞞(ぎまん)のかぎりをつくし、
   真実を語ろうとしないジャパンのお偉い方たちの「安全宣言」を、
   誰が信じるというのか。
   日本製品がそっぽを向かれているのは、
   永田町が世界の善良な市民の信用を溝(どぶ)に捨てた報いであって、
   「風評」という次元ではない。             







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   では、ぼくが正真正銘の「風評」として憂慮しているのは何かといえば、
   原子力の専門家たちの「被ばく比較」がその最たるものだ。
   「マイクロシーベルト」という単位を巧みに使って、
   福島第1原発がもらす放射性物質にさらされている人々の被ばく量と、
   胃のレントゲン検査のそれとを比べ、「人体への影響はない」とのたまう。
   あるいは、飛行機で太平洋をわたった場合、乗客1人当たりが浴びる放射線も、
   もっともらしく比較対象に使って、「心配はない」と言い張る。
   ところがレントゲンを何回撮られても、筋肉をしつこくむしばむセシウム137が
   体内に入ることは考えにくい。
   国際便で頻繁に飛んでも、骨をじりじりやっつけるストロンチウム90に
   つけこまれることは、まずない。
   内部被ばくと外部被ばくをごっちゃにするなんて、
   医者が内服薬と外用薬を混同するようなもので、
   わざとやっているなら犯罪的だ。これぞ風評被害。
   本当のことをいうと、内部被ばくには「安全」といえるレベルが存在しない。
   どんな微量でも、とりこんだ体の組織次第で、病気になる可能性がある。
   ただし「ただちに」ではなく、数年後に影響が出るので、
   悪質な専門家たちは今のうちに被ばく比較の風評を堂々と吹いていられる。
   彼らはきっと責任逃れの「自主避難計画」も、ひそかに練っていることだろう。
   セシウム137の半減期が約30年で、ストロンチウム90のそれは約29年だ。
   本物の風評被害について、
   ぼくらもそれくらい粘り強い記憶を、持ち続けなければならない。


 アーサー・ビナード(Arthur Binard )は、
 1967年7月2日アメリカ、ミシガン州生まれの詩人・俳人、随筆家、翻訳家。
 妻は詩人の木坂涼。
 詩集「釣り上げては」で中原中也賞。
 
 朝美納豆と名乗ったりするくらいの納豆好き。(^ー゜)


 例によって写真とブログ内容につながりはありません。
 ただ世にも醜悪な日本政府を脳裏に描いてしまったあとに
 いくらかでも癒しの効果があればと…。

 ま、どうかひとつ。


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