2007年11月の記事


地主は20年前と同じ1000万円の更新料を請求してきたが
2007年11月24日

 豊島区北大塚で借地している斉藤さんは、20年前の更新時に地主の代理人である弁護士から1000万円の更新料を請求された。斉藤さん、慌てて弁護士を代理人にして交渉したが、よくわからないままに結局500数10万円を支払った。
 今年、更新の時期を迎え、また地主の代理人は「更新手続きと前回と同じ更新料の支払い。公租公課、諸物価の値上がりを理由とした地代のおおよそ2倍とする値上げ」を通知してきた。びっくりして、以前、知人から「借地問題で困ったことがあったら相談するよう」話を聞いていた借地借家人組合にやってきた。
 組合では「契約書に更新料支払いの約束がないこと。20前のバブルの頃と同じ更新料を請求していること」などを指摘し、「更新料では、最高裁判例では支払い義務がないこと。また、更新料の算出根拠を示すこと。地代の値上げの根拠となる公租公課の開示を求める」通知書をだした。
 弁護士からの回答が1ヶ月過ぎてきたが、更新料については法的根拠については示すことなく前回更新料を支払ったことが今回の合意であると強弁して来た。また、更新料の算出根拠や地代の値上げの根拠とした公租公課については回答すら出来なかった。斉藤さんは「ここまできたら、あくまで支払わないでがんばる」と語った。

東京借地借家人新聞より


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二度目の明渡し
2007年11月22日

 大田区南蒲田2丁目木造モルタル2階建店舗兼共同住宅の内、南側階下店舗約24平方メートルを賃借して「はるこ」という飲食店を営んでいる持丸さんが、知人とともに深刻な顔で組合事務所を訪ねられた。
 取り壊し予定の建物を7年の期限限定で賃借したが、家主は建替えを取止めたので、引き続き借りてほしいと云われて、引き続き今後もお店をできると思ったのに、数ヶ月後に再び明渡しを求められての相談だった。
 契約書には期間限定でなく、更新料の記載はあっても金額は不記載であるが通常の内容。組合役員は契約書作成の不動産業者に連絡する。組合からの明渡しには無理があること、今後の交渉は組合が対応するとの通告を業者は家主に伝えたのか。早速組合に家主から電話で「よろしくお願いします」との挨拶後。交渉が進み更新料不払い家賃据え置き等、持丸さんの希望内容で期間満了の3月30日更新契約を締結した。
 気配りの店「はるこ」は今日も繁盛している。

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新入居者より家賃が高いと抗議
2007年11月17日

 足立区花畑に住んでいる中田さんは、現在のアパートを借りて15年になる。
 最近どうしても許せない事があり悩んでいた。と言うのは、最近、新しく入居する人の家賃が自分より安い事に気がついてしまった。
 管理会社に抗議したところ、皆さんいろいろ事情があり条件も違うと、抽象的な返事。これはなめられてると思い相談する所を探しまくった。
 そして、組合にたどり着き交渉に入った。組合で管理会社に連絡をとったら「来年3月の更新時期までにオーナーを説得しておきますので待って頂きたい」と低姿勢だった。
 ところが、3日後に本人に連絡が入り10月から皆さんと同賃料でいいですという事になった。

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一年がかりで粘り強く新家主と立退補償交渉を行った
2007年11月08日

 大田区南蒲田2丁目の室井さんが同地所在の木造2階建店舗兼共同住宅の内、階下南側店舗約33・8平方メートルと階上の居宅3号室に5号室(各和室6畳)を賃借して、洋品縫製業を営み始めたのは昭和44年でした。
 これまで色々な困難は頑張りで切り抜けてきたのです。しかし、平成9年1月に家主が死去し、しばらく相続人が見つからず家賃の供託が約2年続き、相続人より相続財産の管理人の依頼をされたという弁護士と更新契約を締結した。
 地元の不動産業者が建物の管理人となり家賃の持参先となって、状況が大きく変化した。財産管理人は処分先を検討しているので、組合を紹介されて入会したのが昨年の3月でした。年末には買い手が決まり、従前の家主の地位を承継したと家賃の振込み先を指定してきた。
 平穏な日々は続かず、新家主から依頼された業者は、室井さんに移転先の検討や建物について、執拗に問いかけるようになった。室井さんは組合員であることを伝えて組合との交渉を求めたが拒否、組合役員と一切会おうとはしない。
 当初は弱気だった室井さんも余りにも低額な内容に怒りを覚えると共に組合の励ましもあって決意新たに交渉に臨む。店舗確保の費用や移転の諸経費にお得意を失うに伴う補償等、必要な補償額を家主に請求した。
 室井さんは、交渉のたびに組合と打ち合わせるという粘り強い交渉と頑張りによって、家賃の約102・5ヵ月分の補償額で合意。それは組合入会1周年目のことです。

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無断で境界杭打
2007年10月27日

 大田区下丸子2丁目所在の宅地48・51坪を賃借中の森さんは、今年11月の更新を控えて地主の突如の地代値上げにも、値上げ額下げさせて応じてた数ヵ月後の6月上旬でした。
 これまで無かった境界杭が何の説明も了承も得ずに打たれていたことに驚き、すでに組合員であった森さんは事務所へ相談にこられた。
 以前道路の調査の際測量士が他の杭等から推測して境界線とした目印の赤線よりも6cmも森さんの占有地に越境していたのです。地主はとなりの借地人が移転し、更地になった土地を不動産業者を介して売買したので杭を打ったとのこと。
 森さんの抗議に対し、地主から依頼された不動産業者は、更新も近い悪いようにはしないとか、越境分を金銭で補償したいという。
 森さんは、指示とおり目印の所に杭を打ち直さない場合、組合と相談しているので境界確認の訴訟を起こすと伝えると、翌日業者とこの件に関わった測量士が森さんの主張を認めて境界杭を入れ直した。
 森さんは約3日間の攻防であったが、組合員と知ってから地主・不動産業者等の豹変には驚いたという。

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契約書に償却特約が書かれていたが
2007年10月17日

 木村さんは7年間住んでいた台東区東上野のマンションを4月30日に退室した。引越の際に玄関に備付けられていた履物入れを誤って処分してしまった。その過失に対する弁償費用は当然覚悟していた。
 だが、それ以外の故意・過失による損耗は見当らない。保証金(敷金)として家賃の4か月分(36万円)を預託していたので、よもや敷金を超える修復費用の請求はあるまいと考えていた。
 (なお、契約書には「敷金」という文言は使われておらず、「保証金」と書かれていた。仮に契約書に保証金と書かれていても居住用借家の場合、実態は敷金である場合が多い。今回の契約書でも、その実態は敷金である。)
 ところが、退室の1週間後に修復費用の見積書が不動産管理会社から届けられた。請求金額を見て呆れ返った、82万5477円である。余りに高額な原状回復請求に対して、不動産管理会社の担当者に文句を言ったが、埒が明かなかった。担当者は取敢えず家主に値引き交渉をしてみるので、請求に関しては保留にして貰いたいという返事であった。
 数日後、管理会社から総額60万1739円の「解約清算書」が送られて来た。その内訳は内装・清掃工事代41万2739円(前回請求の半額)及び解約償却費18万9000円(消費税9000円を含む)である。預託敷金36万円を差引いても24万1739円の不足があるという内容だ。
 木村さんは請求金額に納得がいかず、借地借家人組合へ相談した。組合から原状回復に対する判例の動向等の説明を聞き、敷金を取り返せると確信して借地借家人組合に加入した。
 組合で見積書の内容を点検してみた。その内訳は、洗面化粧台交換1式7万5000円、キッチン、ガス台、及び吊戸棚交換1式10万3000円、レンジフード交換1式3万7500円等である。これは修復を目的とした原状回復工事の内容ではなく、改装を目的としたリフォーム工事である。リフォーム工事は借主の原状回復義務の対象外であり、借主に費用負担の義務がないことは当然のことである。
 また、契約書には「期間満了にて、解約(中途解約も含む)のときは、賃料の2ヶ月分に相当する¥18万円を償却費として借主は貸主に支払うものとする」という特約が書かれていた。
 この「償却特約」は、貸主が一方的に預託金から家賃の数か月分を理由も・根拠もなく差引くというもので、借主に著しく不利益な特約として消費者契約法10条に抵触し、無効になる可能性の高い問題がある特約だ。そもそも敷金の場合、その性質から償却ということはありえない。
 償却費が高額でない場合、償却特約を認める判例も存在する。その場合、差引かれる償却費に修復費が含まれるというのが判例である(大阪高裁平成6年12月13日判決)。
 従って組合は、敷金全額36万円の返還を主張するのではなく、償却部分を除いた18万円の返還での解決を提案した。木村さんは敷金を超える追加請求がなければ了解するということであった。
 7月26日、組合は取敢えず家主へ敷金の全額返還請求を求める文書を組合名で送り、8月3日までに現金書留で送金するよう要請した。期日までに返金がない場合は、東京簡易裁判へ所敷金返還請求訴訟の手続を行うことを書き添えておいた。
 7月30日、家主からではなく、不動産管理会社の担当者から組合に電話が入った。担当者と交渉の結果、予定通りの結論(履物入れの弁償も含め、償却費で総て賄うということ)で決着した。
 8月3日、木村さん宅へ18万円が現金書留で届けられた。


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借地の更新で更新料支払と地代値上げ要求
2007年10月22日

 足立区伊興本町に住んでいる榎本忠さんは、土地を借りて40年。今年が2度目の更新。 払うつもりでいたが、地主は更新料は高額だし、更に地代も上げろと言うので、ともかく頭にきてしまった。
 それでも、約一ヵ月ほど交渉をしたがぜんぜんダメで、地代も受取らず、「供託でも何でもせえ」と話にならない。
  榎本さんは仕方なく組合で書き方を教り、供託をした。
 すると、半月もたたないうちに地主が来て、「また今月も供託するのか」と今度は猫なで声になった。
 榎本さんも、ここでなめられてはたまらないと「受取ってくれなければ、何年でも供託するよ」と跳ね返したら「地代は上げないでいいから、供託はしないで下さい」とすっかりしおらしくなった。
 でも、更新料は諦めていない様子なので、まだま油断は出来ない。

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家主が建物を売却した
2007年10月09日
     新家主が更新拒絶の通知をして来た
 文京区本駒込のマンションの1階店舗で、小泉さんは、平成14年から美容室を営んでいた。今年に入り、家主から建物を売却したのとの通知を受け、同時に新家主という人物がきた。
 新家主は自己使用のために来年の更新は拒絶する旨の通知をしてきた。心配になった小泉さんは、知人や無料の法律相談会など、いろいろなところに相談したが不安を解消できなかった。インターネットで検索したところ、城北借地借家人組合が西武百貨店で無料の借地借家なんでも相談会をやっていることを知って相談に来た。
 借地借家法では更新を拒絶、契約を解除するには「正当な事由」がなければならないこと、その点で、今回のこの新家主の主張は、到底「正当な事由」にならないとの説明を受けた。
 小泉さん「説明を聞いて安心しました。今後のこともあるので組合に入会します」と語った。

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組合立会いの下で底地買取交渉が成功する
2007年10月12日
 墨田区八広6丁目に住む山田さんは、祖父の代からの借地で、建物も50年近くなる。
 4年前の借地の更新時に地主の代理の不動産屋から底地を買う意思があるかどうか尋ねられたが、返事をしないまま時が経過。
 今回、不動産は、道路に接していない裏の建物を取り壊すので、一緒に建替えるよう促して来たが、今回も山田さんが返事を渋っていたので。
 今年の7月江戸川区の業者が介在してきた。この度組合立会いで話し合いを行なった結果、交渉は進展。2回目の交渉で底地を買うことになり、建替えの時期等についてこれから協議していくことになった。

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供託中に漏水修理請求
2007年10月15日

 台東区に住む山田さんは水道局の検査で借家の水道管が漏水していることが判明した。漏水箇所は床下。水道工事店に見積をしてもらった。自己負担で修繕するには費用が過重である。
 契約書に「修繕は借主の費用負担で行う」と書かれている。
 現在家主から家屋の明渡請求を通告され、家賃は供託している。こんな状況で、家主に修繕を要求しても無視されるのは自明である。
 如何にすればよいか、借地借家人組合に相談した。組合の回答は「修理特約があっても、その範囲は小修理に限られる。当然修理義務は家主にあり、その費用は勿論家主が負担する」というものだった。
 組合の対処方法は(1)業者の見積り金額を書き、家主に修理依頼の配達証明付き内容証明を送付する(2)内容は指定した日までに工事が着工されない場合、自費で修繕するが、その費用は供託家賃と相殺する旨を通告する。実践の結果、指定日に家主から工事費を全額支払うと連絡があった。


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地代は更新が終わってないと受領拒否したので即供託
2007年10月3日
 大田区西蒲田1丁目所在の宅地約32・21坪を借地している赤木さんは、約3年前借地の譲渡に関する承諾を求めたが、地主は回答を引き延ばすばかりなので組合に相談し入会された。
 組合役員が交渉を行うことになって、地主はこれまでの理不尽な対応は改めたのです。しかし、組合役員が借地権購入者を提示して承諾を求めたにも関わらず、地主は自分が買い取るというものの、赤木さんの希望を無視した低額な価格を提示して時間稼ぎするという態度に終始したのです。
 土地の契約更新を迎えて不動産業者を代理人にして更新料を請求する地主に対して、赤木さんは譲渡を取りやめて息子さんが祖父の借地権を相続するとともに住むことを通告した。
 交渉継続中に組合役員が死去するとの不幸な状況が生じたのですが、担当交代して交渉に臨むことになりました。新たな担当者は赤木さんから預かった地代を地主に直接会って、提供したのですが「更新手続き」が終わっていないと受領拒否。
 そこで更新料の金額を尋ねると代理人の請求額より100万円も多い金額を提示するので、代理人の業者に確認して間違いが明らかになっても、詫びもしない地主には呆れるばかりです。
 この交渉内容を聞いた赤木さん親子の決断は早く明確でした。借地法第4条・6条を理解し、更新料の支払いの習慣はないとの最高裁判決に確信をもって、更新料支払いを拒否することを決意した。
 地主代理人との交渉は決裂し地代供託となった。

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借家明渡で合意
2007年10月05日
 大田区大森東2丁目、旧東海道(現在は美原通り)から左折してスルガヤ通り、この通りに面した鉄筋3階建店舗兼共同住宅の内、3階中央部6畳一部屋を賃借していた森さんが昨年12月、今年の6月末までに明渡すように求められて組合に相談。
 早速、組合員であり組合を通しての交渉を書面で申し入れた。しかし、家主が組合事務所を訪れたのが6月になってからでした。
 当初家賃の10ヵ月から13ヶ月分の立退料で他の借家人は応じたと強気でした。組合役員は家賃の安いに関わりなく一定の保障は必要と、家賃の28・5ヵ月分を請求し二度目の交渉で合意。さらに、家主が立退き猶予期間6ヵ月の家賃相当額の、使用損害金の免除を申し出るなどにより円満な解決になった。
 年末を目の前にして、やっと移転先を見つけることが出来、新年を新しい住居で迎えることが出来たと森さんは喜んでおります。

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増築で係争
2007年10月1日
  無断で行った一部増築に地
      主から法外な承諾料の請求
 西武多摩湖線一橋学園駅近くで約31坪を借地している山本さんは、地主に無断で2階部分の一部を増築し、屋根の改修工事を行なった。
 契約書では、地主に書面で承諾を受けることになっていた。地主の代理人から、承諾料として更地価格の5%の236万円と、地代現在坪800円を一挙に1500円に値上げするよう請求を受けた。山本さんは、地主に無断で増築したことを謝りに行ったが、地主からは代理人と話し合うよう言われ、代理人の不動産業者と何度か会って書面のやり取りを行なった。
 山本さんは、新築でもないのに5%はあまりにも高額で路線価の2%程度の承諾料は支払う旨条件を提示したが、地主の代理人は承諾料の条件を譲らず、支払わないと契約を解除すると脅かしてきた。
 山本さんは、19年前の更新時に250万円の更新料を支払っている。山本さんから相談を受けた組合は、増築に関しては無断であるが、軽微の契約違反で契約を解除されるような、信頼関係を破棄する重大な違反ではないので、地主の代理人の請求は法外であり、地代も固定資産税等が月額坪220円なら、現行地代でも3・6倍と高額でこれ以上値上げする必要はないとアドバイスした。
 この不動産業者は、この近くの別の借地でも不当な請求をして、借地人から総すかんに会っている。組合から「軽微な違反に対する賃借人の提案した範囲内で話し合いによる解決を望んでいる」旨の通知を出したが、地主の代理人から何の返事もない。

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建替えるから立退け
2007年09月29日
 目黒区自由が丘でアパートを借りている川西さんは、部屋の扉に張り紙で、「建て替えるから9月中に立ち退いて下さい。」との通告を受けた。
 川西さんはびっくりして組合に相談した。組合から、立ち退けない旨を家主に通知すると、家主は「他の人は1ヶ月の敷金を返しておとなしく立ち退いてくれたが、2ヶ月分を立退料として出しましょう。」と回答して来た。
 川西さんは、単身で働きながら生活をしているので、急に1ヶ月中に立ち退けとは、人の生活を無視した乱暴なやり方として許せない。現在の住まいから立ち退いてしまうと、勤務先への通勤にも影響が出て、勤務先を辞めなければならないことにもなり兼ねない。
 到底、家主の明渡請求には応じられない。居住者も少なくなって、一人暮らしなので心細いが、組合と力を合わしてで頑張ると川西さんは決意している。

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敷金返還拒む悪質業者
2007年09月25日
 小平市天神町の賃貸マンションを今年の3月末に退去した北田さんは、4月に入って仲介人の不動産業者から修繕見積書が送られてきた。
 見積書では、ルームクリーニング、畳の表替え、コンセント口取替、網戸張替、襖表替え、クロス張替等で消費税込み合計28万6000円を請求してきた。北田さんは、洋室の一部とトイレのクロスの張替とコンセント口取替はこちらにも過失があるので負担するつもりでいたが、あまりにも高額な請求のため不動産業者に掛け合った。
 ところが、業者は話し合いにも応じようとせず、「みなさんこの金額で承知してもらっている」と強い口調で逆に脅してきた。困った北田さんは組合に相談した。組合では、北田さんに代わって、不動産業者が作成した契約書の原状回復特約を根拠に敷金から修理代を差引くことは、「建設省のガイドラインや裁判例からも認められない。消費者契約法第10条により特約は無効である」として、こちらが負担する修理代を差引いた残金28万4292円を返金するよう督促した。
 不動産業者は組合に回答を送ってきたが、内容は意味不明で、「ガイドラインについては手引書の類で法的な性格のものではない。例示された判例も下級審のもので好都合なものを集めたにすぎない」と反論。組合では非常に悪質な業者なたため、都住宅局民間住宅部指導課にも連絡。担当職員も不動産業者に連絡したが、「すごい業者だ。私も脅された。これ以上都には指導権限はない」となさけない態度。北田さんは組合と相談し、少額訴訟に踏み切った。

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借地の契約解除通知
2007年09月21日
    地代の値上げ拒否と借家人の駐車が理由
 中央線高尾駅に近い八王子市初沢町で借地をしている野嶋さんは、昨年12月30日に突然地主の代理人から内容証明郵便が送られてきた。
 地主が平成11年4月に地代値上げを請求した金額との差額を支払うこと、野嶋さんが貸している店舗の借家人に借地の一部を駐車場として使用させていることは無断転貸に当たるので、借家人の土地使用を中止させること以上2点で、地主の以上の請求に1週間以内に応じない場合は、契約を解除するという脅迫的なひどい内容だった。
 野嶋さんは、2年前に近所の借地人と相談し、地主の地代値上げを何とかストップさせ、固定資産税や近隣の地代と比べ高すぎる現行地代の値下げを求め、土地の公租公課の資料を公開するよう地主に要求したが、地主は頑として応じようとしない。それどころか野嶋さんのみ値上げに応じないとのことで地代の受領拒否され供託している。地主は高尾駅近くのお寺だが今回の内容証明も代理人の弁護士と組んだ嫌がらせだ。
 年が明けた今年1月に組合や顧問の弁護士と相談して、内容証明郵便で次のように反論した。�@地主が請求した地代(月額坪502円)が、公租公課の3倍以内と主張するなら、平成10年から平成11年に税金がどのくらい上がったかがわかる資料を提示すること。�A契約した平成10年当時に店の顧客が一時的に駐車することは地主も認めている。今年も暮れを迎えるが地主からは何らの反論もない。

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今は店を閉めたくないと頑張って明渡し拒否
2007年09月19日
 足立区江北に住んでいる儘田さんは店舗兼居宅を借りて50年定食屋を営んできた。今年に入って突然「マンションに建替えるから明渡せ」と「業者」に言われた。あわてて家主に連絡したら「もう売りました」の一言。途方に暮れていたところ知人の紹介で組合に加入した。
 その後も毎日「業者」が定食を食べに来るが、顔を見るたび「明渡しできない」の気持ちが強くなる。5年前に夫が他界してから一人で細々とやっているが、開店以来の常連さんもいて「おばあちゃん頑張ってよ俺達来るとこ無くなるよ」と言ってくれる言葉に励まされている。
 「今は店を閉めたくない」頑張るぞーという気持ちで定休日を利用して、九段下(東京法務局)まで供託に行っている。

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マンションの明渡請求を撤回する
2007年09月17日
 大田区北千束3丁目にあるマンションの1室を賃借中の萩原さんは、明渡しを請求され組合を通じて条件を提示。業者は応じられず家主の明渡しを撤回させた。
 しばらくして求められた更新の条件は、更新料(賃料1か月分)と仲介手数料(賃料半月分)というもの。これを聞いた組合役員は、直ちに不動産業者に契約にないことを承知で更新料と家主の代理人として交渉しながら手数料を請求する根拠と整合性の説明を求めたが、業者は「家主から貰えないから」とあきれた回答。
 組合の抗議で後日業者は請求を取下げ、従前通りの条件で契約を締結した。


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共益費に疑問を抱き調停で5年分返還させる
2007年09月14日
 足立区関原に住んでいる清水さんは、25年間借店舗で洋品店を営んで来たが、この度更新を機会に自宅で営業することにし、明け渡した。
 でも、25年間払い続けた「共益費」が気になり、明細を求めた。しかし、仲介の不動産業者を通して「説明する必要もないし、勿論返金することなど考えてもいない」の一点張り。清水さんは組合と打ち合わせて調停を申立てた。
 元家主は弁護士を代理にたててきた。その先生いわく、共益費は賃料です。清水さんはどうしても納得がいかず、頑張って、頑張ってとうとう5年分の共益費の返還にこぎつけた。
 清水さんは「今回は本当に勉強しました」と語った。

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更新料の不払を貫き、結果、地主が底地の買取を求めて来た
2007年9月13日
 豊島区東池袋2丁目の山尾さんは、この程、地主から思いがけない値段で底地を買取ることが出来た。
 今年の4月、地主の代理人の不動産屋の訪問を受け、底地の買取りの意思はあるのかと尋ねられたのだ。あまりにも突然の申し出だったので、山尾さんとしては返事の仕様もなく、あいまいな返事を繰り返すばかりだった。不動産屋の示した売買価格は、山尾さんの想像していた額と比べ、それほど高い額ではなかった。
 早速組合とも相談、買取の方向で交渉を重ねた。結果、5月末には思いがけない額で売買が成立し、6月18日には、組合の立会いも受け、名義移転の手続も全て終った。
 無事に手続を終えた山尾さんは、地主との過去のいきさつ、組合への加入の経過を振り返りながら、つくづくと述懐していた。組合に加入して本当に良かった。その結果によって、今日の喜びにつながったのだ、と。
 山尾さんが組合に加入したのは、昭和58年。夫は既に亡くなり、子供はようやく成人したばかりであった。その頃、地主から大幅な地代の値上げの請求を受けたのだった。
 組合のアドバイスで、相当額(従前と同額の地代)で提供し、地主に受領拒否をされ、生まれて初めての供託をした。
 昭和62年には、驚くほどの更新料の請求を受けた。しかし、この時も山尾さんは不払を貫き、頑張ってきたのだ。

東京借地借家人新聞より


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20%の家賃値上げ請求
2007年09月12日
 Kさんは、とげぬき地蔵で有名な豊島区巣鴨の地蔵通商店街の一角で店舗を借りて営業している。借りたのは一昨年の5月、店は6坪と小さいが、故郷、紀州特産の梅干の専門店だ。
 とにかく、商売熱心なことと健康食品ブームも追い風となっているようで、売れ行きは悪くない。しかし、昨年は健康を害し、3ヶ月も店を閉じたのは痛手だった。
 kさんが組合に加入したのは、今年の4月。2年目の更新に際して、20%もの家賃値上げの請求を受けたからだ。最近、家賃は下降傾向にあると聞いていたので、家賃の大幅な値上げは寝耳に水の出来事だった。
 家主代理の不動産屋に掛け合ってみたが、更新に値上げは付きものだ、値上げが嫌なら明渡す以外にはないとの態度だった。
 Kさんにとって、家の賃借は今回が初めての経験。だから、不動産屋の態度には衝撃を受けたが、組合での相談で「家賃の値上げで当事者間に協議が調わないときは相当額で支払えばよい」との規定を教えられ、一先ず安心した。
 Kさんは、思い切って値上げを断り据置きで家賃を提供し、家賃の受領拒否で供託に踏み切った。
 6月、家主が「家賃の増額調停」を簡易裁判所へ申立てたことから、裁判所から調停の呼び出しを受けた。勿論、調停も初体験だったが、すぐに組合に相談し、比隣の家賃実態も等も調べ、自信をもって調停に臨んだ。結果、第2回期日で不調に終った。また、一つの自信が生まれた。

東京借地借家人新聞より
参考条文 (借地借家法)
(借賃増減請求権)
第32条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
2 建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
3 建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年1割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。


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アパートが突然売却に
2007年9月7日
 豊島区千早町の寺前さん夫婦は、2年前に現在のアパートを借りた。 3人目の子が生まれた直後で、今までの家では手狭になったのと、共稼ぎの寺前夫婦にとり、すぐ近くに保育園があるのが魅力だった。スペースも、10畳・8畳・6畳の他、キッチン・バスもあり、5人家族の寺前夫婦にはピッタリの家だ。
 ところが今年の6月、某社管財部長の名刺を持つ男が突然訪ねてきた。家を買取った、取壊すので9月中に明渡せとの話。寺前夫婦の知らない間にアパートが売られていたのだ。
 その後、男は毎週土曜日ごとに、賃貸物件のチラシを持って現われ、契約費用だけは出すから、移転先を一緒に探そうと、しつこく言ってきた。
 寺前さんも最初は釣り込まれて物件を見てまわったが、どうにも納得がいかず、初めて組合を訪れた。
 「順序が逆です。仮に明渡すにしても、移転先を探すのは立退補償の合意が成立してからです。借り続ける権利もあります」との話に目が覚める思いだった。 
 寺前さんは今、納得できる立退補償を求め堂々と交渉している。

東京借地借家人新聞より


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借地の更新料を今回も不払で押通した
2007年9月6日
 東池袋で40坪を借地している田原さんは、今年の元旦を、とりわけさわやかな気持ちで迎えることが出来た。
 田原さんが組合に加入したのは、今から21年も前のことだ。その頃は毎年のように地代が値上げされていた。固定資産税や都市計画税の引き上げがその理由だった。
 田原さんとしても、将来の地代を考えると不安だったし、近所には供託している人もあるようだったが、すぐ近所に住む地主との関係を考えると、供託に踏み切る気にはなれず、地主に言われるままに値上げをしていた。
 そんな田原さんに、坪当り8万円、総額320万円の更新料の請求があったのだ。とても支払える金額ではなかった。地主宅を訪れ、何とか支払える100万円程度にしてくれるようお願いしたが、受け入れては貰えなかった。
 玄関に置かれた小さな椅子に掛けさせられ、一段高い位置に座った地主と話した時の屈辱感は、田原さんにとって今でも忘れられない。
 そのときが組合との出会いだった。地主の一方的な更新料請求には支払い義務はない、不払を貫きましょうと励まされた。
 田原さんは思い切って不払に踏み切り、その後20年間地代の供託を続けてきた。
 昨年8月、2度目の借地の更新時期を迎え、更新料を再度請求されたが、田原さんは今回も自信をもって断った。さすがの地主も遂に更新料を断念。
 昨年12月20日、新契約書を取交し合意更新が成立したのだ。

東京借地借家人新聞より

 地主の一方的な更新料請求に対し、借地人には更新料支払義務が無いという最高裁判決がある。


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借地人が無断で建物名義を変更
2007年9月5日
 豊島区に借地して50数年経過している本沢さん宅に、先月、不動産業者が訪問してきた。話の内容は、地主が税金滞納で、今年中に公売になる予定なのでそのまえに明渡してくれないのかという話だった。
 寝耳の水の話で不安になった本沢さんは、以前、城北借組の世話になったという知人から組合のことを知って電話してきた。西武デパートで相談会を行っていること知らされ相談に行った。地主は平成4年にある金融会社から本沢さんの借地も含め土地を担保に抵当権を設定した。その後、この借金に追われるようになって、税金の支払いが滞るようになり、今回、公売予定になった。
  更新契約時に契約した本沢さんの夫が、こちらも借金まみれになる中で、建物だけは担保にしたくないと考えた本沢さんは、地主の承諾なく名義を夫から自分(妻)名義に切り替えてしまったという点とその名義変更が、平成7年で、地主の抵当権設定後であった。このまま公売になった場合、落札した新しい貸主に対抗できないために、明渡しを求められた場合、明渡しをせざるをえないという説明を組合から受けた。
 本沢さんの夫名義の建物の名義変更に際して、地主の承諾と夫との共同名義にしておけば、公売になっても新しい貸主に対抗できる権利をもっていたので安心して住み続ける事ができたのであった。名義変更に際しては十分な注意が必要である。

東京借地借家人新聞より
   (*)関連するのでこちらも参考に覗いて見て下さい。


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調停で現行家賃212か月分で和解
2007年9月3日
 中央線の武蔵境駅から徒歩5分程の一戸建の借家に住む伊藤さんは、戦前の昭和18年から借りているが家主が昨年借地権付建物を地主に売却してしまった。
 新家主は、切替が法律で認められていない期間を2年とする定期借家契約を締結するよう求めてきた。伊藤さんは組合に相談し、組合を通じて定期借家契約への切替を拒否するとともに、今後の話し合いは組合を通じて行なうよう通知した。

 その後、今年2月に新家主は弁護士を代理人に立て、月額4万2500円の家賃を7万円に増額する調停を武蔵野簡易裁判所に申立ててきた。
 調停は、2回目以降から家賃の増額ではなく立退料の条件について話し合うことになった。最初は、家賃の数か月分の条件の提示があったが、次回には金額が跳ね上がり、結局4回目の調停で協議が成立。
 伊藤さんは、建物の状況も考え、家賃の212か月分の立退き料で、半世紀以上住み続けた借家を今年の11月に明渡すことで和解した。

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入居者全員に明渡通告
2007年8月30日
 豊島区長崎の荒川さんは、駅から一分という便利なところに住んでいる。利便性のよさが、一番であるがマンションの管理は最低であった。
 借主に一言の連絡もなく改装工事を行い、逆に雨漏りや水漏れを指摘しても何ヶ月も無視する。そのうえ、家主と他の居住者とのトラブルで通行が出来なくなった旨、通告し、賃料の減額その他を要求したところ、「それならば出て行け」と明渡しを請求してきた。
 その一方でこの家主は、契約更新したばかりの人を含め入居者全員に老朽化を理由に明渡しを求めてきた。入居者の何人かは組合に相談し、住み続ける権利があることを確認しつつ、貸主が適切な立退き補償をするならば話し合いに応じることにした。
 荒川さんも同じように家主の代理人である不動産会社と話し合うことになった。当初、この家主は、昔の地主と小作農みたいに出て行けと言えば出て行くと思っている人だった。しかし、組合からの通告と代理人となった不動産会社からも非常識さを指摘され、賃料の数十ヶ月分を立退き補償として出す用意があると提案してきた。

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2007年7月
2007年07月27日

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退去の際に保証金から更新料を差引かれたが調停で取返す
 豊島区要町で10数年、美容室を営業していた宮元さんは、昨年、10月をもって営業を終了して明渡すことにした。
 宮元さんは、この家主と賃料の値上げ、値下げ問題などでトラブルとなり、相談していた民商の役員から紹介され組合に入会した。この店舗では、他にも更新時の更新料や手数料の問題。階上からの水漏れ問題後の対処問題等々でトラブルが続発していた。
 4年前の更新時には、何回か話し合いをもったが、合意更新ができずに法定更新となった。その後、2年前には、家主の代理人の弁護士から更新料支払いの内容証明書が送られてきた。宮元さんは、組合と相談して、法定更新中で更新料の支払いには応じない旨の回答をした。
 明渡しの為の原状回復の工事を最終的には家主と不動産屋も立会い確認した。しかし、明渡し後も理由にならない理由をつけて、保証金の返還を渋ってきた。
 今年に入り、保証金返還の督促をしたところ「2年前の更新料が支払われていないので、保証金から差引くといってきた」ので調停にかけた。答弁書の中でも同様の主張をしたが、調停委員からも家主の主張は無理があることを指摘され、宮元さんのほぼ希望通りの和解となった。
 組合事務所に電話をしてきた宮元さん「組合に入会していたおかげでここまで出来ました。一人ではとても出来ませんでした」と話した。


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2007年07月25日

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明渡し請求の裁判、和解で解決

 埼玉県さいたま市の郊外に住む猫田さんは、古い1戸建ての住宅に住んでいた。同じような建物が10棟並ぶ静かな住宅地であった。
 平成17年に突然家主がこの地にマンション建設を計画し、テレビのコマーシャルでも有名な大手マンション業者にこの明渡し交渉を委任してしまった。
この業者「3、4ヶ月で明渡すよう」もとめてくるなどその強引な手法で住んでいる人々にとって、不安が広がった。
 猫田さん、インターネットで借地借家人組合の存在をしり相談に来た。組合では、借地借家法では建物老朽化だけでは正当な事由にはならないことなどを話して、借家人でまとまって交渉することなどを話した。
  その後、猫田さんが中心になって相手と交渉していたが、その経過の中で、不動産会社の社員による暴力事件が起こり、猫田さんが告訴と民事の裁判をおこした。
 対抗して不動産業者の意を受けて、貸主が明渡し裁判をおこした。結果は、猫田さんのほぼ満足の出来る和解と判決で決着した。
 この結果について猫田さんは「組合に入っていたおかげで、信頼できる弁護士さんを紹介していただき、安心して裁判に望めました。結果も十分満足しています。これからは仕事に打ち込むことが出来ます」と語った。

東京借地借家人新聞より


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2007年07月23日

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新家主が家賃1万円の値上げ請求 (大阪市北区)

 大阪市北区浮田2丁目の路地裏の児童公園わきで、長年にわたってメリヤス縫製業を営んできた平田さんは、6年前家主が死去しました。
 死去した家主の建物は戦後からのバラックで未登記のまま地主に地代を収めていました。亡くなった家主には相続人が全く無く、地主は簡裁を通じて建物を譲り受け、平田さんはそれまでの転借を解消し新たな「賃貸借契約を」締結しました。

 6年前の簡裁調停調書で契約は平成19年4月末日までの賃借契約であったため、営業を続けていますが引き続いて賃借を継続したいので、地主に改めて要請したところ、1万円の値上げと契約期間を2年間との意向が伝えられました。敷金の42万円の返還を保留し、家賃・契約期間について現在交渉中です。

全国借地借家人新聞より


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2007年07月20日

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雇用促進住宅の明渡し請求  (大阪八尾市別宮団地 )

2月28日、財団法人雇用・能力開発機構は、雇用促進住宅に住む1532団地14万1722戸を15年かけて追い出し、更地にして民間デベロッパーへ売却する方針を明らかにしました。

 大阪府八尾市内にある別宮団地もその対象団地でベトナム人など在日外国人を含む約280世帯が住んでおり、今年の3月に「耐震強度不足で老朽家屋のため平成20年3月末までに退去するよう」「機構」から居住者へ通知書が送られてきました。また、在日外国人は、2年間の定期借家契約が圧倒的に多く、既に退去した居住者もいます。

 別宮団地自治会は、4月に「立ち退きに関してのアンケート」を行なった結果、「95%の世帯が引き続いて住み続けたいなど」と回答しています。

 5月18日、別宮団地自治会は、「明渡し問題懇談会」を団地集会所で開き、会場は超満員で場外にはみ出すほどの参加で居住者の深刻さと居住不安に満ちていました。
 この「懇談会」には、大阪法律事務所の寺沢達夫、原野早知子両弁護士と船越康亘大借連会長が参加し、船越会長から2月28日に示された「機構」の新方針について具体的に説明し、「借家法が適用されていることから簡単には明渡しはできない」との「機構」側の説明を報告しました。

 そして、「機構」側の別宮団地に対して、来年3月までに明け渡しを通知していることについては、2人の弁護士から法律で保護されていることを詳しく説明しました。
 居住者は、明渡し訴訟が提訴されても、全員一致して「機構」に対応することを確認しました。
 ベトナム人の1人は、「就職できると居住する場所を確保しなければならないので職業安定所の紹介で定期借家契約が何なのか十分理解できていないまま入居した。明け渡しをいわれても住み換え先も無い。仕事も失いかねない」と深刻に訴える姿が人目を引きました。
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2007年07月16日

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それまでの家賃の10倍の値上げで家主が調停の申立 (京都)

 安藤・沢田さんはともに戦前から3代続いた借家住まい。
 2003年秋前頃から当時の家主から明け渡しを強要されていましたが、組合に入って拒否をして闘ってきました。以後4度も家主(すべて不動産屋)が変わり、その度に明け渡しを請求され、その度に断固拒否をして闘い続けてきました。
 この度、明け渡し請求を諦めたか、それとも明け渡しを促進するためか、なんと10倍もの賃料値上げの調停を申し立ててきました。
 お2人は、1円の値上げも、まして、明け渡し請求には断固応じない強固な構えで調停に臨む覚悟です。

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2007年07月13日

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無断転貸と地主が言掛り (静岡市)

村田さん宅に、地主と宅建業者が訪れ「この土地は戦時中、地主に無断転貸した違法借地だから退去しろ」と古文書を出し退去を迫りました。

 村田さんの相談を受けた静岡借組は実情調査をした結果、名義の違いは相続によるもの、現在は村田名義で賃料を支払っていることが判明。地主に「賃貸借契約は締結されている、退去請求の法的根拠無し。むしろ地代を近隣並に値下げせよ」と要求しました。

 1ヵ月後、地主は「退去しろとは云っていない。賃料を受け取っているので退去請求はできない。賃貸借契約は存続して結構。もし、借地を買い取るとか補償金で退去できないか検討して欲しい」等と180度の変化です。

 高齢の地主の周りに胡散臭い人々の動きがあり、借地人の居住権が脅かされるばかりか、地主も被害者になるのではと心配です。

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2007年07月09日

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大地主相手に値下げ請求
 
 13年前6人の借地人は、市内屈指の大地主より地代値上げを請求され、対立は激化し供託で対抗しました。

 4年前組合に加入、全借連や弁護士の助言指導を受けながら学習会を重ね、適正地代を公租公課の2.5倍に設定し、簡裁に値下げ調停を提起しましたが不調となりました。
 即時地裁に本訴を申し立て、裁判所指名の鑑定士による鑑定結果は、5年前の古い資料を使ったり、類似賃料調査では繁華街の高額賃料を採用したりと酷い内容でした。
 口頭弁論では鑑定書の不備を指摘し値下げを主張し、和解案を引き出すことに成功しました。条件は、最高値下げ率42.5%。地代過払い分とその利息及び鑑定料の半額を解決金として支払う。精算総額1800万円余でした。
  勝利和解の要因は、最後まで6人の団結が保たれ、献身的な弁護団に恵まれ、全借連の援助、何よりも絶対に諦めなかったことでした。

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2007年07月03日

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雨漏りで賃料半額提供

 葛飾区内で美容業を営んでいる近藤さんは、1年前より雨漏りの修繕工事を貸主に要求してきた。
 1階は雨が壁を伝わり、2階はポトリポトリと数箇所において桶をいくつか置く始末。畳は使い物にならず、再三貸主に修繕を要求したが工事は始まらない。リフォームの工事業者が見積もりをしても家主と金額で合意できず、一向に工事を実行に移す事はなく畳のカビに悩まされ、2階は使用不能。
 この間現家賃8万5千円を支払うことに納得できず、再度期日までに雨漏りストップの工事を完了しない場合には賃料を2分の1とする旨を文書で通知した。家主はこれに対し無視の態度をとった。
 近藤さんは貸主代理人に賃料の半額を持参。代理人はしぶしぶ受領した。その後半年家主より何の反応もない。半額の賃料提供については争ってもよいと心に決めた賃借人の実力行使である。

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2007年6月
2007年06月29日

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明渡調停で納得のできる条件で和解

     納得のできる条件で和解
        組合で学び自信を持って調停に
 大田区大森南2丁目所在の木造トタン葺二階建工場兼共同住宅の内、二階部分の居宅兼作業所約37・95�uを賃借していた増渕さんが、移転先で感想を述べた。
 明渡しを求められた約7年前は家主に逆らうなんて考えられなかった。明渡しを拒否すれば何をいわれるかと心配していたが組合に入会して借家人として権利を主張することの大切さは知った。弁護士から改めて、明渡し請求の内容証明郵便が届くと、驚き不安も募ったが、組合は直ちに明渡しを拒否し交渉は組合を通すよう通告した。また、受領拒否された家賃も組合で供託手続きをしてくれたので安心したという。
 しかし、自分以外の居住者はすでに立退き、工場も閉鎖された時は心穏やかではなかったという。しかも工場の上に共同住宅を増築したので最近特に地震でのゆれが気になっていた。
 そんな時、明渡しの調停裁判となってびっくりしたというが、組合の研修会にも参加している増渕さんは、これはチャンスと自信を持って調停裁判に臨み、納得出来る条件で合意。徒歩3分のマンションに住み替えて、東南角の部屋は明るくて風通しも良いし仕事の顧客も増えて笑顔で「こんなにタイミングがよく幸運が舞い込んできてよいのだろうかと、これも組合員になって権利を主張することが出来たから」と喜んでいた。

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2007年06月27日

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シックハウスで退去したが、高額な原状回復費用の請求を受ける

 練馬区に住む山下さんは、シンナーなどに過敏に反応するアレルギー性の体質(化学物質過敏症・シックハウス症候群)であった。今年初め家主は、いきなり外壁の塗装工事を行ったために住み続けることが出来なくなってしまった。
 退去することにしたところ原状回復費用は50万から100万はかかるかもしれないと通知された。襖や障子のガラスなどが壊れていたり、穴があいている所もあるが、余りにも高額な原状回復費用の請求であるので、東京都のガイドラインのコピーを渡すことにした。
 明渡しの当日、本人の父親が組合の名刺とこのコピーを渡したところ貸主から組合に電話があった。組合は借主の過失の部分もあることを認めると共に原状回復はガイドラインにそって請求するよう通知した。
 貸主の態度は激変し、敷金の枠内で原状回復を行うのでいますぐ了解してほしいと父親にいってきた。余りの変わりようにびっくりした父親は「このような結果になるとは想像していなかった。あまりの結果に感動しました。今後、何かお手伝いできることがありましたら、できる範囲で協力します」と語った。

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2007年06月23日

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賃料減額で和解

 埼玉県春日部市で長年商売をしてきた山川さんは、3年前の更新の時に賃料値下げを請求した。そのときに、貸主は、ほんの僅かだけ賃料の減額を提案し合意した。
  同じ市内で店舗の明渡し問題で組合に相談し、希望するとおりの合意が出来た鈴木さんの話しを聞いて組合に相談することにした。
 組合では、契約書や近隣の相場などみたうえで賃料の減額請求と保証金の一部返還、更新料と保証金の償却などの問題を山川さんと話し合い、このすべてを請求することにした。
 貸主は自分ではだめと思い弁護士を立ててきた。話合いはしたがこちらの請求をほとんど拒否したために賃料減額の調停を簡裁に提出した。近隣の不動産屋から資料提出を受けて調停にのぞんだが適正な賃料として不調にさせられた。
 山川さんこのままでは納得できないと裁判にした。鑑定も辞さないと裁判で主張したところ相手の弁護士もこちらの減額請求に応じ、和解したいと言ってきた。
山川さん「あと一歩出来るだけ希望に添うよう減額させたい」と語った。

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2007年06月19日

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更新料未払いを理由に明渡しの裁判

 東京豊島区に住む朝倉さんは、現在のマンションに住んで6年目を迎えました。
  昨年暮れに契約更新に際して「更新後の賃料を2万円値上げする」という通知をもらいました。朝倉さんは到底、納得できないので借地借家人組合に相談にきました。賃料の増減は双方の合意が必要であること。合意が出来るまでは今までどおりの賃料で支払ってればよいというアドバイスを受けました。
  その結果、合意更新できずに法定更新になってしまいました。契約書には「更新料については新家賃の1ヶ月分を支払う」となっていました。合意更新できずにいたので、更新料の支払いを留保するとしていたところ、家主は、更新料未払いを理由に明渡しの裁判を起こしてきました。
  組合と相談し、法定更新されたものについては更新料の支払いを無効とした判決例などを書面として用意し、同時に更新料については現行賃料のままならば支払うということで裁判にのぞみました。
  結果は裁判官も朝倉さんの主張を認め、賃料については現行どおりとし、更新料については現行賃料の1ヵ月分を支払うという和解を勧め、朝倉さんの言い分どおりの和解で、無事終了しました。

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2007年06月12日

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化学物質過敏症被害に補償

 塗装工事で鼻がツーンとした経験があるでしょう。ペンキを薄める為にに使われている溶剤(シンナー等)が、刺激臭を発生し目が痛んだり咳き込んだりし、中毒症状を起す場合があります。
 Uさんは賃貸集合住宅の2階に住んでいました。ある日の夕食時突然階下の部屋で塗装工事が始まり、猛烈な刺激臭が部屋に充満し嘔吐を伴う症状が起きたのです。早速「中止」を申し入れましたが無視され、塗装工事は続行されました。Uさんは翌日総合病院に駆け込み「化学物質過敏症」と診断され、「現職への就労困難・転居の必要」を言い渡されました。
 その集合住宅の一部は、一流と云われているA社が社宅として借り上げたものでした。A社の社員Bは新たに入居する事になり、塗装を友人の塗装人Cに発注市今回の事故を起したのでした。そこでUさんA社・社員B・塗装人Cに「謝罪と治療費・転居費用・慰謝料」を請求しました。
 大企業A社は「当社は無関係」。社員Bは「適正な医療費は支払う用意あり」。塗装人C「何時もの塗装工事と同じだ、中毒などと云い掛かりだ」。A社労務担当D「会社から関わるなと指示されているが、友人として解決に努力する」でした。
 交渉の途中で労務Dは所在不明隣、社員bと塗装人Cは「塗装が原因であることは認めるが金が無い。でる所に出て争う」と言い出す始末です。Uさんは仕方なく裁判を決意しました。裁判には、A社の顧問弁護士が東京から毎回やって来ます。金が無いと云いながら弁護士費用には惜しみなく使う神経には腹が立ちました。
 最終的には、金額では満足するものではありませんでしたが、相手側が非を認めた事・裁判の早期解決の為に和解に応ずる事としました。
 しかし、怪しからんのは和解に「A社は無関係」を条件とした事です。会社の労働者確保の為の社宅制度で会社が賃貸借したものですから、会社に管理責任が有りますが、全く反省の態度は無く、被害者には金銭的・精神的被害を与え、入居した労働者にだけ責任を押し付けるルール無き企業倫理に改めて義憤を感じた事件でした。
 アスベストと同じで、最近の建築材料・工法には有害なものが多いですから、日頃から充分な注意が必要です。

 静岡借地借家人新聞より


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2007年06月09日

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明渡し理由は地震で倒潰の危険があるというものであった(静岡市)

 安部さん達は、6戸建(現4戸入居)集合住宅に住んでいる。突然東建コーポレーションという会社の社員が来訪、家主の「退去についてのお願い」なる文書に捺印させられてしまった。内容は「老朽化で地震崩壊の危険大、2ヵ月後に取壊すので退去する」というもので、アパート中大騒ぎとなった。4名は組合に加入し、家主に対し「現在の住居に住み続けたい。2カ月の解約予告は借地借家法違反で無効、正当事由が無い、交渉は組合とせよ」の4点を文書で通告した。
 第1回交渉で組合は「家主は賃貸建物が危険建物と主張しているが、先ず居住者の安全確保の耐震補強工事をせよ。退去は合意が必須条件であり、捺印できない」と主張した。
 第2回交渉は東建の上役が現われ、「幾ら希望するか金額を提示せよ。団体交渉でなく個人情報保護の立場で個別交渉をしたい。補償額に相場は無い」。これに対して組合は「補償請求項目の合意がなければ退去先も決められない」等の遣り取りがあり、「退去は合意が前提」を再確認し、団体交渉を認めさせた。
 組合は算出項目を「引越運搬費用・新旧賃料の差額・家具内装移転費用・駐車場差額・火災保険・電話移転費用・諸手続きに要した休業補償」等を具体的に挙げ通告。東建から「当社は手を引く。今後は家主直接交渉する」と撤退宣言。組合では居住者と「退去請求は振り出しに戻ったが、耐震補強等安全な居住環境を求める」ことを申合わせた。

全国借地借家人新聞より


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2007年06月07日

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店舗の明渡し交渉で合意 (横浜市磯子区)

 山本さんは、横浜市磯子区JR駅前で10年間営業を継続して来ました。昨年12月に家主より、店舗の明渡しを通告され、組合に加入して、家主側と折衝を重ねてきました。明渡しの理由は、建物の老朽化による建替えです。
 折衝は、家主側代理人弁護士と組合員・組合と3者にて延べ5回に亘り、前向きに折衝をした結果、営業補償・移転費用・雑費を総合して金1360万円の提示額があり、別途、預け入れ保証金、171万5488円の返還の明示がされました。 
 合員と組合では即答は避けて、5日以内に回答を約して、組合員と前向きに検討を加えました。6月末が退去であり、5月・6月分賃料の免除を申入れたところ快諾があり、合意解決に至りました。
 4月14日午後現地で、家主・弁護士と組合員・組合が立会いの上で正式に契約書を取交して、円満解決となりました。 

全国借地借家人新聞より


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2007年06月04日

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更新料も地代値上げも拒否することにした

 山田さんは、西池袋で30坪を借地している。公道から細い2項道路を入った位置にある宅地である。
 山田さんが組合に加入したのは今から18年前の地代の値上げがきっかけだった。18年前というと平成元年で、バブル景気絶頂の頃であった。
 当時は毎年のように地主から地代値上げを言われていた。借地を相続したばかりの山田さんとしては、そのまま値上げに応じていたので、既に坪当り1000円を超えていた。
 その頃、近所の公道に面した宅地の地代が700円程度。そのことを偶然知った山田さんに対し、更に坪当り140円の値上げがきた。
 その時、山田さんは相当額の支払いで、不当な値上げは防げることを初めて知った。この時が組合との出会い、その後今回までは、値上げの請求は一切なかった。
 今年の3月末日で契約期間が満了。3月早々、地主から通知が届いた。更新料として360万円余を支払え、4月分以降の地代は坪当り180円値上げする内容だった。多少の話し合いには応じるつもりだから、来宅する日を知らせるようとの言葉も添えられてあったが、山田さんはそんな言葉には惑わされず、久しぶりに組合を訪ねた。
 結局、「更新料」も「値上げ」も拒否し頑張ることにした。納得できないまま、値上げに応じた頃の嫌な思いは、もう終わりだ。

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2007年06月01日

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競売で店舗を買受けた新家主が家賃を3万円値上げ要求

 豊島区東池袋の服部さん等5人グループは、20年前から現在の店舗を借りて商売を続けてきた。住宅地に囲まれた小さな商店街の一角にある共同店舗で、以前の家主はすぐ隣りに住んでいた。
 人柄の良い家主で無茶な家賃の値上げなどを請求することもなく、良い関係が続いてきたのだが、2年前から急に歯車が狂ってきた。
 2年前のある日、何の前触れもなく家主が引っ越していった。誰一人、行き先を聞いている者もいなかった。 相場に手を出し、大きな借金があったらしいとの噂がその後近所に広がった。
 程なく裁判所から今後の家賃は、家主に支払ってはならないとの通知が届き、服部さん等は1年余の期間、某信用金庫に家賃を支払うことになった。その間にも、競売開始の通知がくるなど、服部さん等にとっては驚きの連続だった。
 昨年の9月、競落人から家主になった旨の通知がきた。そんな経過で、服部さん等は5名は昨年10月に全員で組合に加入した。
 12月には、新家主が代理人の不動産屋を伴ってやってきた。家賃を3万円値上げし、期間を2年とし、その後は更新しないとの契約書を取交したいとの申入れだった。服部さん等は、その場での返事を保留し、組合とも相談の上、2年後は更新しないとの条件付の契約には応じない旨をきっぱり通知した。
 その後も家主からの申入れの都度、組合を交えて協議し、みんなで頑張っている。


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2007年4月
2007年04月26日

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新家主が普通借家契約から定期借家契約への変更を要求してきた
      新家主が定期借家契約と
           家賃倍額値上を通知、供託で対抗

武蔵野市境で戦前から木造平屋建て一戸建の借家に住む伊藤さんは、家主が昨年9月末で地主に借地権付の建物を売却してしまった。
 新家主(地主)から、いきなり昨年10月から1年契約の定期借家契約を結ぶよう請求され、家賃も月額4万2500円を10月分から月額7万円に値上げして前払いで支払えとの一方的な内容の通知を内容証明郵便で送りつけられた。伊藤さんは不安になって組合に相談に来た。
 組合役員から「定期借家契約は期間が満了したら借家を無条件で明渡さなければならない。現行法では普通借家契約から定期借家契約に変更することは居住用では認められていない」とのアドバイスを受け、新家主から来た内容証明郵便に対し、組合を通じて「定期建物賃貸借契約にて賃貸借契約を締結せよとのお話ですが、特別措置法附則第3条により、普通借家契約から定期借家契約への切替は法律で認められていません」ときっぱり拒否し、家賃の値上げについても更新が出来る2年契約でなければ協議に応じられない旨を返答した。
 10月分の家賃を10月末に提供したが、受取を拒否されたので、伊藤さんは早速東京法務局府中支局に供託手続きをとった。すると、家主は家賃値上のみで調停申し立てをして来た。どうやら、定借契約への切替えは諦めたようだ。

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2007年04月23日

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新地主の不動産業者が調停を提起して来た
         新地主が地代値上げで調停
               適正地代で反論すると底地買取り提案
 豊島区の池袋駅から徒歩10数分、池袋2丁目。かつては商店街だったが、今は、ほとんど商店もないような状態になっている。松浦さんは、このような場所にある10数坪の土地を借りて40年以上住んでいる。バブルの頃には、地主と更新料問題と賃料値上げで争いとなり、組合に入会し頑張って地代を供託したが、数年前には地主から地代を受領するから供託をやめるようにいわれた。その後、地代を地主の指定した銀行に振り込んでいた。
  昨年、いきなり地主と新しい貸主と名乗る不動産会社から通知が送られてきた。内容は「今度、底地を売買したので、新しい貸主の指定する口座に振り込むように」と記載されていた。松浦さん、一抹の不安はあったがその通りに支払っていた。
 しかし、その後、新地主は、借地権を買取るから明渡せと言ってきた。断ると相手は、この地域は商店街だから現状の地代は安すぎるとして、いきなり3倍にする値上げを通告してきた。これも断ると、賃料値上げの調停を裁判所に申し立ててきた。
 松浦さんは、都税事務所に行って固定資産税台帳から税金を明らかにして、その3倍から4倍程度の値上げには応じる用意があることを調停の場で主張した。新地主の不動産会社はあくまで近隣相場と比較して安いと主張した。新地主は、合意ができないでいると底地の買取を提案した。
  当初の提案よりその半分近い値段が、提案され買取る方向で話合いが進んでいる。松浦さん「組合のおかげでうまくいきそうです」と語った。

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2007年04月21日

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新家主が普通借家契約から定期借家契約への変更を要求してきた
      新家主が定期借家契約と
           家賃倍額値上を通知、供託で対抗

武蔵野市境で戦前から木造平屋建て一戸建の借家に住む伊藤さんは、家主が昨年9月末で地主に借地権付の建物を売却してしまった。
 新家主(地主)から、いきなり昨年10月から1年契約の定期借家契約を結ぶよう請求され、家賃も月額4万2500円を10月分から月額7万円に値上げして前払いで支払えとの一方的な内容の通知を内容証明郵便で送りつけられた。伊藤さんは不安になって組合に相談に来た。
 組合役員から「定期借家契約は期間が満了したら借家を無条件で明渡さなければならない。現行法では普通借家契約から定期借家契約に変更することは居住用では認められていない」とのアドバイスを受け、新家主から来た内容証明郵便に対し、組合を通じて「定期建物賃貸借契約にて賃貸借契約を締結せよとのお話ですが、特別措置法附則第3条により、普通借家契約から定期借家契約への切替は法律で認められていません」ときっぱり拒否し、家賃の値上げについても更新が出来る2年契約でなければ協議に応じられない旨を返答した。
 10月分の家賃を10月末に提供したが、受取を拒否されたので、伊藤さんは早速東京法務局府中支局に供託手続きをとった。すると、家主は家賃値上のみで調停申し立てをして来た。どうやら、定借契約への切替えは諦めたようだ。


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2007年04月03日

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30年間住んだアパート立退けない
新宿区に住む五十嵐さんは、このアパートに住んで30年近くになる。五十嵐さんの外に、約10世帯住んでいるが、ほとんどの居住者はこの数年間に契約したお年寄りや外国人の居住者であった。家主は隣に住んでいるが、老朽化を理由に明渡しを求めてきた。その交渉役として、大手住宅メーカーのNホームの社員が対応した。当初「敷金は返還します。他は引越料数万円だけです」と説明していた。いろいろなところに電話や相談にいってたどり着いたのが借地借家人組合だった。
 早速、五十嵐さんは組合に入会した。組合の説明で「借地借家法では、人が住めなくなる朽廃の状態にならなければ、老朽化だけでは明渡しを求める正当な事由にはならないこと、引き続き住み続ける権利のあることなど」が説明された。五十嵐さんは「確かに、老朽化はしているが住めない状態ではないので、自らが法律を学び、交渉しよう」と決意した。Nホームの社員に対して、話合いを求めたところ「貴方だけは30年も住んでいるので、他の人と違う補償をするので協力してほしい」と言われた。しかしながら、実際の対応で補償については、金の無いの一点ばりで、説得にかかってきた。
 五十嵐さん「よくよく考えてみるとこのまま話をすすめて明渡しに応じてしまえば、家主は新しいマンションで収入が増える。Nホームの社員は、話をまとめて金儲けが出来る。損をするのは私だけ、それならばがんばるしかない」と決意を固めた。

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2007年5月
2007年05月30日

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店舗の退去に際して法定更新中の更新料を請求

  豊島区要町で10数年、美容室を営業していた宮元さんは、昨年、10月をもって営業を終了して明渡すことにした。
 宮元さんは、この家主と賃料の値上げ、値下げ問題などでトラブルとなり、相談していた民商の役員から紹介され組合に入会した。この店舗では、他にも更新時の更新料や手数料の問題。階上からの水漏れ問題後の対処問題等々でトラブルが続発していた。
4年前の更新時には、何回か話し合いをもったが、合意更新ができずに法定更新となった。その後、2年前には、家主の代理人の弁護士から更新料支払いの内容証明書が送られてきた。宮元さんは、組合と相談して、法定更新中で更新料の支払いには応じない旨の回答をした。
 明渡しの為の原状回復の工事を最終的には家主と不動産屋も立会い確認した。しかし、明渡し後も理由にならない理由をつけて、保証金の返還を渋ってきた。
 今年に入り、保証金返還の督促をしたところ「2年前の更新料が支払われていないので、保証金から差引くといってきた」ので調停にかけた。答弁書の中でも同様の主張をしたが、調停委員からも家主の主張は無理があることを指摘され、宮元さんのほぼ希望通りの和解となった。
 組合事務所に電話をしてきた宮元さん「組合に入会していたおかげでここまで出来ました。一人ではとても出来ませんでした」と話した。

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2007年05月28日

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借地の更新料を支払わず、法定更新を選択

 大田区中央4丁目所在の宅地36・94坪を賃借している渡辺さんは、平成16年2月、契約更新時を6カ月後に控えて同業者(クリーニング業)の紹介で組合に入会した。地主から請求される更新料の悩みを打ち明けていたら、組合を紹介してもらった。
 組合の役員から法律的にも裁判の判例でも、支払い義務はないことの説明を受けて、不払いの決意をして更新の8月に地代を持参したが、更新料の請求はなく、地代は通常通り受領した。
 2年経過した昨年秋、地主が更新について代理人から連絡させると伝えてきた。早速連絡があり、渡辺さんは組合員であることを伝え、交渉は組合を通してと主張した。
 今年の1月になって代理人より組合事務所に電話での問い合わせがあり、担当者の留守を伝えたが、その後4月末になるが組合事務所にも渡辺さん宅にも連絡はない。また、地主からも連絡はない。
 渡辺さんは、「法定更新のままでも組合員であるので安心しています」と笑顔が頼もしい。

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2007年05月25日

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更新料と地代増額の調停、1回で地主取下げる

荒川区東日暮里2丁目で、60年前父親の代から36坪を借地している熊倉さんは、父親亡き後、借地権を相続し昨年11月22日に20年の期間満了を迎えた。
 更新の条件として、地主は月額4万100円の地代を12月から6900円値上げして4万7000円に、更新料は247万4850円を支払えと通告してきた。困った熊倉さんは、組合に入会し、地税を計算した。その結果、6900円の値上げには応じないが、4500円の値上げを認める。更新料は支払う法的根拠は全くないと内容証明郵便で回答した。
 地主から文書が届き、一部値上げを認めたことのお礼と更新料を1割値引きするから支払って欲しいとの内容だった。熊倉さんは、この請求も拒否したところ、地主は3ヵ月後に二人の弁護士名で代理人を立て、地代増額と更新料請求の調停を申立ててきた。
 熊倉さんは調停の場でもきっぱり請求を断った。調停官も地主の要求には必ずしも応じなくてもよいと助言があった。2回目の調停が4月11日となっていたが、4月6日に地主側が調停を取り下げ、出頭しなくてよいと通知があり、熊倉さんは一安心した。

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2007年05月22日

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地主から土地を買取ったという地上げ業者が突然訪問してきた

1972年8月から摂津市千里丘で借地をして住んでいる中野義和さん宅へ昨年12月突然「ごあいさつ文」を持参した業者の訪問を受けました。「ごあいさつ文」の差出人は、これまでの地主からでしたが、その文面によると「売渡した」との通知でした。
 訪問した業者は、中野さんへ新地主の委任状を持参し、「立退き」「買取り」を示しました。
 中野さんは、同一地主の周辺の借地人4世帯に呼びかけ対応を相談し明渡すことはないと一致し、とりあえず「今後の地代の支払方法を相談したい」旨を新地主へ通知しました。
 ところが、地主は「土地の買取り」か「明渡し」を述べるばかりで地代の問題はほとんど触れず、今年地主2月になって地代を受取るようになりました。
 中野さん等は、今後の対応を文書でやり取りし、話し合いに応ずるつもりのないことを伝えたところ、業者は「子供の使いではない」「ボランティアでこの土地を取得したのではない」と一方的な主張を繰り返します。
 中野さん等は、住み続けられる権利を守るため、団結していくことを確認し4名で組合をつくり、全大阪借地借家人組合連合会(大借連)へ入会することを決めました。

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2007年05月18日

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改築請求をすると地代を5倍にすると回答して来た

 豊岡市内で戦前から借地(面積53坪)をしている増田武夫さんは、地主へ「建物を改築したい」と連絡したところ、平成元年に坪月あたり100円で合意した地代を500円の値上げを受けました。
 5倍もの値上げ請求に驚いた増田さんは、全大阪借地借家人組合連合会(大借連)事務所(電話06-4802-8870)へ相談。
 そして、増田さんは、この間の固定資産税がどのようになっているのか調べるため、豊岡市の税務課へ固定資産税課税証明書の発行を請求したところ、同市は、「借地人には地主の委任状がなければ証明書を発行しない」と門前払い。
 大借連から豊岡市へ「平成14年4月から地方税法の改正によって借地借家人にも固定資産評価額を公開し証明書を発行することになっている」と指摘したところ、「借地人であることを証明する具体的な資料(たとえば賃貸借契約書)を提示しないと公開させていない」と回答。
 そこで、大借連は、契約書の無い契約の場合の対応について正したところこれも拒否。
 そこで、借地人の住民票および家屋の納税証明書と借地の所在地が一致すれば当該借地人であることが確認できるので行政サービスの視点から公開するように強く申入れました。
 その結果、増田さんの借地上の税負担は、前回の地代改定時に比べ坪月あたり概ね13円の増税であることが確認できました。増田さんは、税金が13円しか増えていないのに何故100円の地代が500円となるのかと地主へ申入れました。 
 だが、改築工事を早く進めたいこと等から取敢えず地代を200円に増額して昨年12月末に送金し、現在、建物の改築工事を進めています。

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2007年05月16日

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借地借家人組合の助言で不当明渡請求を撃退する

 静岡市南部で飲食店を営んでいる伊藤さんは、昨年4月隣りでお店をしている家主から「店舗が老朽化したので建替えて自分で使用するので6ヵ月後に賃貸借契約を終了する」との「解約申入れ」が宅建業者を通じてありました。伊藤さんは、即座に「明渡しに応じることはできない」と告げました。
 ところが、昨年末に家主から再度「賃貸契約は終了しているのに占拠は遺憾」との「意義申述書」なるものが宅建業者を通じて送られてきました。
 相談を受けた静岡借地借家人組合(電話054-271-5269)は、「家主と宅建業者は、借地借家法第27条「解約による建物賃貸借の終了」の一部を拠り所に、解約を言い立てていますが、同法第28条「建物賃貸借更新拒絶の要件」で正当事由がなければ成立しない。また、同法第30条では、特約で賃借人に不利なものは無効とするという強行規定がありますが立退き特約もなく立退き請求の根拠は全くないので、文書による拒否の意思表示をすること」を助言しました。
 その後、伊藤さんは静岡借地借家人組合の助言に応じて配達証明郵便で回答しました。
 それ以降、家主及び宅建業者からは何の音沙汰もありません。噂によると、家主は、自宅に隣接する繁盛する店が羨ましくて堪えられず、宅建業者に退去請求をさせたようです。


全国借地借家人新聞より

   (注) 「借地借家法」第27条は「期間の定めのない賃貸借契約」の場合の規定である。

(解約による建物賃貸借の終了)
第27条 建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から6月を経過することによって終了する。
前条第2項及び第3項の規定は、建物の賃貸借が解約の申入れによって終了した場合に準用する。
(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
第28条 建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
(強行規定)
第30条 この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。


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2007年05月14日

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大阪の地上げ屋との一年の交渉で当初の40%弱で合意

 大阪の地上げ屋を使った武蔵野市吉祥寺南町の地上げ事件は、今年4月に不動産会社の新地主との底地の買取交渉がまとまり、4月18日に土地売買契約を締結した。
 事の起こりは、昨年3月に突然地主が東京と大阪に事務所のある不動産会社「東京都市開発」に土地を売却、不動産会社は管理を大阪の地上げ屋に一任したことに始まる。
 借地人の村上さん宅に地上げ屋と新地主が現れ、今後の交渉は地上げ屋と行うように言われ、地代も毎月集金に来るという。地代の集金は地上げ屋の常套手段で、集金を断れない借地人にプレッシャーをかけるのが狙いだ。村上さんは気が動転し、食事も喉を通らない状態になった。
 やっとのことで組合に相談し、地上げ屋との交渉を組合に一任し、地代も5月分から組合に集金に来るよう組合から地上げ屋に連絡した。以来、地上げ屋は組合に地代を集金に来るようになり、村上さん宅には訪問しなくなった。
 地上げ屋は当初、村上さんが個人タクシーを営業しているとみて、銀行から融資を受けて底地を買い取ることは困難ではないかと借地権の売却を打診してきた。
 村上さんは、高齢で介護が必要な母親をかかえ、借地権の売却を拒否し、交渉はすすまないまま半年が経過。その後、話は一転し底地の買取について協議を続けた。当初高い金額を吹っかけてきたが、4割弱ダウンさせ路線価格で売却することで合意した。

東京借地借家人新聞より


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2007年05月11日

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建物の老朽化を理由にした建替えで建物明渡通知

 杉並区桃井の青梅街道沿のビルを借りて音楽教室を営業している町田さんは、家主から昨年11月に突然建物の老朽化に伴い建替えを行うので今年の5月31日を以って賃貸借契約を終了するとの通知を受けた。
 町田さんは、以前も他の教室の明渡し問題で組合に相談にのってもらい解決した経験があるため、今年に入り相談に行った。
 組合を通じて明渡しの条件の提示を求めたところ、家主は2月に入り突然「お知らせ」の通知を各戸に配布した。
 「当ビルの建物及び設備の経年劣化が進み…6月以降当ビル内において事故が発生する恐れがありますが、万一事故が発生した場合にも、当ビルでは責任を負いかねますので、ご利用者の皆様に通知いたします」とのショッキングな内容。
 さらに、エレベーターの中や入口の傍に張り紙をした。町田さんは直ちに「営業妨害に当り極めて遺憾」と厳しく抗議し、直ちに協議に応じるよう要請した。

東京借地借家人新聞より


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2007年05月08日

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借地の譲渡

 大田区大森西4丁目所在の宅地約12坪を借地していた平野さんは、長年地主からいじめられていたという。母の思い出の多い建物でもあり、JR京浜東北線大森駅と蒲田駅間を走る循環バスに、京浜急行「梅屋敷」駅に徒歩8分という交通の便の良さ。大田区内最高の商店街として名高い梅屋敷商店街には徒歩2分、更に、区内唯一の医療設備の整った「東邦大学病院」が、目の前という条件がこの地を平野さんが離れられなかった理由だった。
 地主は本当にえげつない、洗濯物や布団などを干すと美化が損なうとか、越境するとか難癖を付けるし、ドアーを直しても、雨漏りの補修工事にも契約違反だと怒鳴り込むこともたびたびあったという。組合に入会したことを伝えて、組合役員の口頭や書面による忠告で大分静かになったという。しかし、建物の老朽化に伴い建替えを考えるとき、この地主と毎日のように顔を合わせるこの地を母の思い出や便利の良さで判断するのではなく、老後の生活を張り詰めた緊張感をなくし、のんびりと心にゆとりを持って過ごしたいと、妹が住む地方に住み替えることを平野さんは決意した。
 組合は、地主に借地権譲渡の承諾を申し込んだのだが購入者は現れず、地主に買取を求めるが条件が合わない。平野さんは移転の時期もせまり無償での引渡しを検討し始めたが、組合役員の努力が実りこの程、平野さんの満足する金額で地主と合意。後日、組合事務所に姉妹は笑顔で挨拶に来た。

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2007年05月04日

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家主が建物の老朽化を理由に立退請求

 新井さんは、かつて練馬区で老朽化を理由に明渡しを求められ、やっとのことで、豊島区長崎に居住した。静かな住宅街で、これで安心して住み続けることができると考えていた。2回目の契約を合意更新したあたりから隣室の人とのトラブルに巻き込まれるようになった。何度も家主並びに管理している不動産会社にトラブルを取り除くように要請したが、らちがあかなかった。
 そのうちに、家主が老朽化を理由に明渡しを求めてきた。管理する不動産会社は、必要に迫ってきた。そこで借地借家人組合に入会した。組合と相談し、建物の老朽化は認めるが朽廃ではないので正当事由はみとめられないが条件が合えば明渡しに応じると通知した。
 条件面では話合いがつかず、家主は調停を申し立てた。明渡し期限と立退きの和解金で当初家主が主張していた金額の2倍、明渡しの期限も大幅に伸ばすことができた。
 新井さん「途中、何回も心配で眠れなくなりそうでした。でも、組合と相談した結果、何とかめどがたちました。ほんとうにありがたいです」と語った。

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2007年05月01日

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更新料請求の法的根拠算出根拠の回答を求めた

 豊島区巣鴨に住む尾崎さんは、親の代から借地していた。昨年の12月に更新を迎えた。地主の代理人という不動産会社から更新料の請求と更新に際して更新料を支払うという約定の契約書の締結を求められた。その上、更新事務手数料まで請求された。組合と相談し、更新料についてはその法的根拠、その算出根拠を求めることにした。また、更新料支払いの特約については拒否することにした。同時に更新手数料なるものは、地主の代理人であるので当然拒否することにした。
 代理人の事務所で話合いをもった時に、事務手数料問題で追求すると「根拠はありません。もらえたらもらうつもりで請求した」などとあまりにも無責任な回答であった。同様に更新料請求の法的根拠算出根拠についても回答不能となった。

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2007年3月
2007年03月26日

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地上げ屋が競売物件に群がる (大阪生野区)
 昨年11月中旬、大阪市生野区小路地域の借家で薬局店を開業している塚本勤也さん等3名は、幼なじみの家主が事業に失敗し土地と建物が金融機関に差押さえられ、新所有者から契約解除通知を受けました。
 塚本さん等は、家主が事業に失敗したことをあらかじめ知っていたので、金融機関へ売却を申し入れましたが、売却価格が高額でしかも競売手続が開始されたこともあり購入することができませんでした。
 新所有者は、入れ替わり立ち替わり地上げ屋に委任し、明渡を強要し高額な家賃の値上げを押しつけてきました。
 地上げ屋は、宅建業の免許取得者であったり無免許業者であったりし、その都度塚本さん等は、大阪府へ行政指導を要請しました。
 そして、新所有者へは、今後一切明渡しや家賃値上げ交渉などで話合う意思のないこと、そして、従来通り住み続けることを通告しました。
 今年2月半ばになって、それまで1週間に1度は押し掛けてきた地上げ屋は「もうずっとおれ」と言い家賃の受取も拒否してきました。家賃は、供託をすることにしています.。
 塚本さん等3名は、「最初は地上げ屋の暴言に脅威を感じていましたが、今はみんなが団結して情報交換し、借地借家人組合の支援があるので安心だ」と語っています。
全国借地借家人新聞より


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2007年03月24日

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借地借家人組合のアドバイスで立退料が5倍へ(九州・福岡市)
 2月上旬、福岡市内の借家に住む母子世帯の藤田さよりさんから、「家主から家屋が老朽し建替えるので、敷金返還額17万円と引越料13万円合計30万円を条件に明渡すよう請求され引越すことに同意したが、立退料が納得できないので相談したい」と大借連(全大阪借地借家人組合連合会)事務所に電話がありました。
 そこで、大借連は、「条件が納得できない場合は、契約は継続しているので明渡請求は拒否できること。老朽家屋で立退きに応じなければならない場合は最終的に裁判所が判断することになる。その場合は条件も裁判所で判断される。したがって、家主へ立退きを拒否する旨伝えてはどうか」とアドバイスをしました。
 ところが、藤田さんは、家主から明渡しを強要され、やむを得ず移転先を決めており、立退料を当てにして契約をしてしまったので、立退料の適正な額を知りたいとのことでした。
 大借連は、地元に借地借家人組合がないことから福岡市内の法律事務所を紹介しまいた。
 照会先の法律事務所に相談に行った藤原さんから、「弁護士から一度明渡しに合意したのであれば難しいと言われ、どうしたらよい者か迷っている」と再度電話がありました。
 再度相談に応じた大借連は、「当初預けた敷金は全額返還されること。引越費用と諸経費の実費、引越先の新規家賃と従来家賃との差額の3年分の家賃と移転先の敷金と従前の敷金の差額、さらに協力金的な立退き料を概算し家主へ立退き条件の再考を申入れ、話合いに応じてくれない場合は家主側が誠意のない態度であり、立退きの合意は撤回する旨通知して頑張ってみては」と激励しました。
 2月23日、藤田さんから大借連へ入会申込書と次の礼状が郵送されてきました。
 (前文略)「立退きの件は、こちらが要求した金額(3年分の家賃差額、新しいアパートを借りるための費用、引越費用合わせて161万円と敷金(全額)を支払って頂けることになりました。本日入金されたとのことです。大借連のアドバイスがなければ、このような結果にはならなかったと思います。本当にありがとうございました。(中略)3月1日に引越をする予定です。」
全国借地借家人新聞より



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2007年03月22日

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明渡し調停で希望条件実る
 大田区大森南2丁目所在の木造2階建工場兼共同住宅の内、階上の居宅の一部を賃借していた増渕さんは、平成12年11月家主代理人弁護士から賃貸部分は増築した箇所で、老朽化が著しく地震などの災害で倒壊する危険がある。また、他の居住者はすでに転居し、この程工場も閉鎖されたことから経済的なことも理由に明渡しを請求された。
 増渕さんは、明渡し請求を拒否し、家賃を供託して6年余が経過した。昨年3月代理人弁護士が病死し、新たに委任された弁護士からの明渡しの督促も拒否。それから6ヵ月後の昨年10月調停裁判となった。組合役員のアドバイスを受けて調停に臨むことになった増渕さんは、当初は低額であったが、自らの提示した補償金家賃の約45ヶ月分に8月末までに明渡すとの条件が受入れられ合意した。

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2007年03月19日

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退去の際、家主から100万円の修理代を請求される
  敷金返還訴訟で納得のいく解決

 板橋区南町で倉庫を借りていた坂本さんは、昨年9月に建物を明渡した。近所の人の話では、当初から敷金は帰ってこないと言われており、案の定、敷金返還どころか原状回復費用として100万円を超える請求をしてきた。

 坂本さんは、知り合いの紹介で借地借家人組合の事務所にやってきた。組合では、原状回復費用の中には、次に入居する人のためのリフォーム代も含まれるとして、組合を窓口に話合いの場を求めることを通知した。しかし、貸主は、一度連絡をした限りで応ぜず、坂本さんは、敷金返還の訴訟の裁判をおこした。

 裁判の日は、貸主側は工務店の社長を証人として請求の正当性を主張したが、建設から20年近く経過していること、例え借主に原状回復の責任があるといっても経年劣化などから費用請求の100%の支払い義務はないことなどを主張した。裁判所は和解を提案し、坂本さんの主張に近い形で和解した。

 「組合に相談し、大変助かりました。」と坂本さんは語っていた。

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2007年03月15日

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地主代理人、更新料請求の根拠回答不能
 豊島区巣鴨に住む尾崎さんは、親の代から借地していた。昨年の12月に更新を迎えた。地主の代理人という不動産会社から更新料の請求と更新に際して更新料を支払うという約定の契約書の締結を求められた。その上、更新事務手数料まで請求された。
 組合と相談し、更新料についてはその法的根拠、その算出根拠を求めることにした。また、更新料支払いの特約については拒否することにした。同時に更新手数料なるものは、地主の代理人であるので当然拒否することにした。
 代理人の事務所で話合いをもった時に、事務手数料問題で追求すると「根拠はありません。もらえたらもらうつもりで請求した」などとあまりにも無責任な回答であった。同様に更新料請求の法的根拠算出根拠についても回答不能となった。

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2007年03月12日

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老朽化を理由に立退請求
新井さんは、かつて練馬区で老朽化を理由に明渡しを求められ、やっとのことで、豊島区長崎に居住した。静かな住宅街で、これで安心して住み続けることができると考えていた。2回目の契約を合意更新したあたりから隣室の人とのトラブルに巻き込まれるようになった。何度も家主並びに管理している不動産会社にトラブルを取り除くように要請したが、らちがあかなかった。

 そのうちに、家主が老朽化を理由に明渡しを求めてきた。管理する不動産会社は、必要に迫ってきた。そこで借地借家人組合に入会した。組合と相談し、建物の老朽化は認めるが朽廃ではないので正当事由はみとめられないが条件が合えば明渡しに応じると通知した。

 条件面では話合いがつかず、家主は調停を申し立てた。明渡し期限と立退きの和解金で当初家主が主張していた金額の2倍、明渡しの期限も大幅に伸ばすことができた。新井さん「途中、何回も心配で眠れなくなりそうでした。でも、組合と相談した結果、何とかめどがたちました。ほんとうにありがたいです」と語った。

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2007年03月10日

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家賃調停で1万円減額 (摂津市別府)
 家賃月額1万円減額で和解
        徴収根拠のない共益費ゼロ

 大阪市に隣接する摂津市別府3丁目で店舗付き借家を借りている山崎さん等3名は、12年前に月額13万円の家賃で入居しました。ところが、昨年9月に隣接の店舗付き借家へ新規契約者が7万1600円で入居してきました。

 山崎さん等は、古くから借りている借家人よりも最近契約した借家人の家賃が格安であることに驚き、昨年10月から数度にわたって家賃減額交渉を続けてきました。だが、家主側は2000円の減額しか応じようとしませんでした。

 山崎さん等は、昨年12月、民主商工会から全大阪借地借家人組合連合会を紹介され学習会を開き、東淀川借地借家人組合に入会。組合の支援を受けて家主側へ内容証明郵便で家賃の減額請求を通知したが、家主側は話合いを拒否してきました。

 そこで、山崎さん等は、吹田簡易裁判所へ賃料減額調停を申立て「不況による売上の減少」「近隣で同種の店舗の賃料と比べ大きな差額がある」などを主張し、さらに、「共益費を支払う具体的な理由は皆無であるから負担する必要がない」と訴え、粘り強く頑張りました。

 その結果、家賃は1万円を減額すること、共益費は徴収しないこと、を条件に和解が成立しました。

 この減額請求を支援した東淀川借地借家人組合の麻畠朝男事務局長は、「和解が成立すれば裁判の判決と同じ効力になります。3店舗の皆さんの努力をねぎらい、共に喜びたいと思います」と語っています。


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2007年03月08日

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新規の空家募集は
既存居住者よりも1万6000円も安い家賃だ(兵庫県尼崎)
 佐藤さんが住んでいる共同住宅は、新規の空家募集ではリフォームを行い家賃月額5万円で貸し出しています。

 ところが佐藤さんたち古くからの借主には35年前に入居以来、風呂釜、水洗トイレ、浴槽取替え費用など、家主は修理を怠り佐藤さんたちは55万円の負担を強いられてきました。しかも、家賃は月額6万6千円で1万6千円も高くなっていることがわかりました。

 家主に家賃値下げを申し出ても応じてもらえず尼崎借組に相談してきました。佐藤さんは内容証明郵便で値下げしてもらいたいとの意思を伝えましたが、家主は値下げの意思はないと拒否回答をしてきました。

 話し合いがダメなら調停しかなく、今年の7月から家賃月額4万5千円に減額するよう調停を申し立てました。2回の調停で10月分から月額8300円の値下げで和解しました。申立ての通りにはなりませんでしたが、家賃が5万円台になり了解しました。やはり声を上げなければと語っています。


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2007年03月05日

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1カ月家賃を滞納した事を
口実にして明渡訴訟(京都市)
波路さんは、1年契約で借家に入居し、うっかり一ヶ月分の家賃を滞納したら、家主から間髪を入れず明渡しの裁判を提訴されました。波路さんは弁護士を依頼することなく本人で裁判を受けて立ちました。

 初めての公判で裁判官は、事実関係に争う点がないことから、話し合って和解の方向を指示してきました。波路さんも初めての経験から「円満にいくのならば」と和解の方向に同意しました。

 しかし、家主側の「直ぐに出て行け」「立退き料は払えない」などの態度に我慢できず正面から闘いに挑みました。
そもそも家主側の本音は、波路さんを借家から追い出し、そこを高く売って利益を得たいということでした。

 裁判の争点となった家賃の滞納については、波路さんは裁判に提訴される以前に払い込み、家主側も受け取っています。にもかかわらず一言の前触れもなく提訴されたものです。正面から争っても敗訴はないと判断できましたが、家主側との信頼関係が破壊され、これ以上のおつき合いは御免被りたい、という気持ちが強くなったことから、条件が合えば明渡すことに合意しようと思いました。

 この裁判、当初からせかされる進行でしたが、そのテンポに応じず、波路さんの要求を粘り強く主張し、7回の弁論の末、どうにか家主側も折れて要求が認められました。根負けせず主張を貫いたことが今回の教訓です。


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2007年03月03日

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居住しないまま退去したマンションの敷金・家賃・仲介手数料を取り返した(浜松市)
 
強い臭気で頭痛・吐き気に襲われ、
         
居住しないまま退去したマンションの
           
敷金・家賃・仲介手数料を取り返す。

  
 8月下旬、全国借地借家人組合連合会から浜松借地借家人組合を紹介されたAさんは、河岸組合長へ連絡し、契約書をめぐるトラブルの相談をしました。

 Aさんは7月23日、入居予定の賃貸マンションの部屋に入りました。ところが、契約した5月28日に下見した部屋と違って、部屋に入った途端に接着剤か消毒臭のような強い臭いに、「頭痛や吐き気」に襲われました。一緒に部屋を訪れた身内の者も余りの臭気に驚き、早速仲介業者に原因を明らかにするよう求めました。

 ところが、管理会社のM社は「臭気のもとは判らない」と原因も調べずに入居を迫るなど、原因不明のまま1ヵ月以上も経過し、Aさんは、8月末で解約を申し出ました。

 M社は「借主の都合で解約するのだから敷金の返還はできない」、「解約した翌月の家賃も契約どおり払って戴く」、「入居はしていないが、荷物を搬入しているので契約によりクリーニング代も戴く」とAさんへ解約時の負担を押し付けてきました。

 Aさんから相談を受けた浜松借地借家人組合は、Aさんと組合の連名で「�@臭気の原因の説明�A契約書の特約条項は国土交通省等の「ガイドライン」や消費者契約法第10条にも反すること」を指摘し、「敷金の全額返還と既に口座から引き落とされている家賃と仲介手数料の半額を返還」を文書で申し入れました。
 文書が到着後、管理業者から「仲介2社とも相談して、請求された金額を全額返還する」と通知してきました。

 管理業者の返事について報告のため浜松借地借家人組合を訪ねたAさんは、早速その場で組合に入会しました。


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2007年03月01日

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少額訴訟で敷金全額返還の判決 (大阪府大東市)
大阪府大東市の賃貸マンション「ハピネス」一室を平成3年6月に入居し、今年4月に退去した上林山さんは、契約時に納めた敷金27万円が返還返還されていないことからオーナーに返還請求通知をした。

 上林山さんは、家賃が高いので平成14年8月に家賃減額を交渉し、敷金40万円を支払うことを条件に月額2万3000円を引下げさせ再契約をしました。

 上林山さんは、今回の契約解約時にオーナーから当初契約時の敷金27万円が返還されるものと考え、敷金の返還を請求しましたが、オーナーは再契約時の条件に27万円も敷金の一部として含まれていると主張し支払いに応じようとしません。

 そこで、今年7月枚方簡易裁判所へ本人自身で少額訴訟を提起しました。その中で裁判官は「再契約時敷金を返還することを条件にしていない」とのオーナーの主張をオーナーが自ら立証するように求めました。ところが、その後2回開かれた公判にオーナーは出廷せず、裁判所は10月17日に敷金27万円全額を上林山さんへ返還するよう執行付きの判決を言い渡し確定しました。

 上林山さんは、支払を督促しましたが、オーナーはこれを拒否したため執行手続を進めています。

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2007年2月
2007年02月27日

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バリアフリー工事の鋪装で問題が

 板橋区小豆沢で借地して住む鈴木さんの土地は5〜6年前に地主が突然関西の業者に売却した。その後は、暴力的な脅かしもあり組合の入会した。組合から面会の強要などに対し、警告書などを通知するなどの対処した結果、面会の強要などはおさまり地代は銀行振込となって落着いた。

 鈴木さんはその後、介護保険で、室内のバリアフリーの工事を行うために区役所の許可をもらうことにした。室内と共に玄関から道路までの舗装が必要になり、ケースワーカーと話し合いを持った。

 しかし、当初必要としてない貸主の承諾を添付せよと書類をもってきた。しかも、その書類は建物の工事許可承諾書で一切土地の承諾ではないことなどから区役所の担当者に問合せをした。担当者は「介護保険の法律で建物の工事には貸主の承諾書を添付となっている。その建物を広い意味で土地と解釈して適用している」と説明した。

 地主がこのことに承諾をしないことは明らかであり、組合ではこの問題を東借連、全借連と相談し、厚労省との交渉や国会で取り上げていくことにした。

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2007年02月24日

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母子家庭家賃3ヶ月滞納で「鍵交換する」と脅される

 昭島市上川原町のアパートに居住する森田さんは、家賃を3ヶ月滞納したところ、不動産会社から滞納賃料を清算しないと契約の更新はしないといわれた。森田さんは、4月から8月までの5ヶ月間で滞納賃料を分割払いで支払うことを約束し、支払いを怠ったときは退室するとの念書に署名捺印した。

 その後、前の約束を翻して、不動産会社が突然次のような文書を送付してきた。「賃貸借契約を解約した。直ちに貸室を明渡すこと。本契約が解約されたときは、借主は直ちに本物件を原状に復し退去しなければならない。借主がこれを怠り明渡さなかったときは、貸主は直ちに明渡しを執行することができる。その際、貸主は玄関のドアの鍵を交換し、本物件内の家財一式を処分するも異議なき事とする。明渡しに要した費用は全て借主の負担とする。#9477;#9477;#9477;鍵交換日平成17年2月20日」。

 森田さんは母子家庭で、生活も大変で途方にくれ、組合に相談にきた。組合では、「家賃の滞納はよくないが不動産会社のやり方はひどすぎる」。相談に来た2月18日に内容証明郵便を作成し、「鍵の交換や家財道具を勝手に処分すれば、住居侵入等で刑事告訴や民事上の損害賠償も辞さない。今回のような不法不当な行為を止めるように通告します」と通知した。森田さんは、娘さんが4月に就職が決まり、通勤の時間も考え4月中に移転先を見つけ、滞納賃料は4月中に清算することも予告した。

 組合の通告に驚いたか、2月20日は何事もなく、不動産会社からはその後も何も言ってこなくなった。3月中に移転先も見つかり、4月4日には引越しを終え、無事に移転した。滞納家賃は敷金と相殺し、残金を4月中に清算した。結局、不動産会社からは何も言ってこなかった。

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2007年02月21日

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東京高裁は地裁の不当判決を覆した

 地代が税額の9倍弱

借地の地代減額を争ってきた借地人である斉藤さんは、昨年の9月に東京高裁で年額29万7000円の地代を平成16年1月1日から年額18万2600円に減額する判決を勝ち取った。

 借地人の斉藤さんは、アメリカ人の父親が借地する羽村市双葉町の宅地約100坪を平成8年に相続した。

 地代は父親の時代に平成3年年額21万7200円、平成4年24万3490円、平成5年26万4000円、平成6年29万7000円と毎年のように値上げされてきた。平成3年の地主の請求書には、「固定資産税の約4倍」との記載があり、父親は固定資産税が上がったものと信じて支払ってきた。

 斉藤さんは、疑問に思って平成10年に地主に固定資産税を開示するよう求めたが一向に開示されず、平成11年になって国や自治体が借地人への開示を認め初めて税金を試算し、平成11年以降税金が下落しているにもかかわらず平成15年の地代は公租公課の実に8・74倍と高額な地代であることが判明した。

 斉藤さんは、平成15年11月に地代減額を請求し、地主が拒否したため、平成16年2月に青梅簡裁に調停を申立てをした。地主の拒否で調停は不調になった。さらに弁護士を代理人に立て東京地裁八王子支部に提訴したが「現行賃料は不相当とは断定できない」と敗訴したが、諦めずに東京高裁に控訴し、一審判決を覆した。

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2007年02月19日

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価格交渉が決裂すると更新料680万円を請求され、調停へ

  板橋区大谷口の梨木さんは近所に住む地主から、自宅用に34坪を借地している。商店街ではないが、数件の商店が混在する通りに面した場所である。

 昨年の11月末に、契約期間が満了するという僅か数日前のことだ。地主からわざわざ「折り入って御相談したいことが有り、是非とも御来宅をお願います」との趣旨の手紙が届いた。

 その日の夜、梨木さんは早速に地主宅を訪問した。型通りの挨拶が済むと、直ぐに地主は2つの提案を切り出してきた。このまま更新しても相当の更新料も頂くことになるから、この際、底地を買って貰いたい。それが無理なら、私の方で家を買取ると言うのである。余りに突然な話で、梨木さんも少々困惑したが、返事は後日にすると約し、その場を引き上げた。

 数日後、梨木さんが地主に売却価格・買取価格の提示を求めたところ、契約期間が到来しているから、借地権価格は4割、底地価格を6割にするとの高圧的な回答だった。

 その後2度、話し合いの機会を持ったが、地主の意向は最初と全く変わらず、売買の話は結局は物別れで終った。

 その1週間後、更新料680万円を請求する旨の手紙が届いた。しかし、梨木さんは更新請求には、全く動じなかった。予め、覚悟していたし、組合と事前の打ち合わせも済ませていたからだ。即日、更新料を拒否する旨の通知を地主に送り付けた。

 その後、地主は更新料支払請求の調停を申立てたが、調停は第1回期日で不調に終った。

東京借地借家人新聞より


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2007年02月15日

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坪20万円の更新料を請求され、その支払を拒否する

八王子市元横山町1丁目で50坪を借地しているSさんは、4年前の9月に20年間の借地契約が満了し、地主代理人の弁護士から更地価格1億200万円の10%相当の1000万円の更新料を請求された。

 Sさんは、20年前に自宅を改築し、当時としては高額な300万円を支払っている。今回も高額な請求に驚いたSさんは、早速組合に相談。組合を通じて、法的に支払義務の無い更新料の請求をきっぱり拒否した。

 地主は20年前の建物新築に関する合意書なるものを持ち出し、不当な因縁をつけて土地明渡を請求してきた。組合の励ましを受けてSさんも頑張ることを決意し、以来地代の供託を続けている。

 この地主は何かと言うと「法的措置を検討する」と脅しをかけて来る。今年1月にも外壁の修繕をしたところ、「無断で大修理をしている」という趣旨の文書を送ってきたが、Sさんは「契約違反には当たらない」と修繕を完了させた。

 Sさんは、車を新たに購入するために車庫証明が必要になり、6月に八王子警察署を訪ねた。警察は契約書及び地主の承諾印が必要な「保管場所使用承諾証明書」の提出が必要であると説明した。

 だが、Sさんは借地契約は法定更新しているので、契約書がない。そこでSさんは組合に相談し、後日、Sさんと組合役員が同行し、車庫証明の発行に際して地主の承諾印は必要がないこと、及び契約書がない場合には地代の領収書か供託書の写しを添付すれば足りることを組合役員が縷々説明した。

 結果、供託書のコピーを提出しただけで、車庫証明は難なく発行された。

東京借地借家人新聞より


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2007年02月13日

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借家の明渡しで家主が嫌がらせ

荒川区南千住のEさんは、14年前から木造2階建アパートの一室を借り書道塾を経営している。
 ところが最近、近所の人が来て、今度、この建物が私のものになったので建直すから明渡せと言われた。
 Eさんは早速組合に相談し、家主対して立ち退く意思のないこと、なぜ急に建替えるのかと理由を訊いた。家主は皆んなに出てもらったら、娘の住まいにするためと説明した。Eさんは、家主の一方的な都合では借家人を追い出すことは出来ないと家主にはっきり伝えた。

 その後、家主は何度も大声を上げて嫌がらせをしたが、Eさんはその都度繰返し反論した。意思確認のために立退き拒否の内容証明郵便を出すと家主からこんなものは無視しても何ら構わない、このままでは済まないと脅しをかける有様である。事実、解体屋まがいの人間が来て、こんな家は直ぐにでも取壊せるとすごんだりもした。

 Eさんは家主の明け渡し要求を拒否し、最後まで戦うと張り切っている。

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2007年02月09日

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家主が改築を理由にした建物明渡請求

 大高さんは、12年前から先月まで、板橋区高島平の2DKのマンションに住んでいた。8世帯用の小さなマンションである。小学校と中学校に通学中の子供を持つ大高さんには手狭で、来年3月の卒業後は引っ越す予定だった。

 ところが今年3月末、家主代理人の不動産屋から「ご案内状」なる文書が郵便受けに投げ込まれた。改築を理由に9月末までに明渡せとの内容だった。

 4日後には不動産屋がやってきて8世帯が集められた。その席上で、明渡し期間は9月末、立退料は40万円と提示された。

 その後、数回の交渉の結果、立退料は80万円にアップ。そのため、大高さん以外の7世帯は9月末の明渡しに同意。通学中の子供を持つ大高さんには立退き料の額よりも、むしろ来年3月までの期日の猶予のほうが切実だった。話合いでも、そのことを強く要望したが、期日については一切受け入れてはもらえなかった。

 そんな経過で大高さんは組合に加入。「明渡し期日は要望するのではなく、あなた自身が決める権利です」と教えられた大高さんは「来年の3月を認めなければ、明渡しには応じられない。今後の交渉は組合を窓口とする」と不動産屋に通知した。

 効果は直ぐに現われた。いろんな経過はあったが、結局はその不動産屋の世話で、元の居住の直ぐ近くのマンションの3DKに、礼金なし家賃も今まで通りの条件で入居できた。勿論、礼金や家賃差額は、明渡しを求める側が負担した。

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2007年02月07日

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相続で家主が交代した途端、関係が悪化

台東区三ノ輪2丁目で昭和43年から木造2階建ての借家に住むMさんは、昭和53年まで麻雀屋を経営していたが、ご主人を亡くした後は営業を諦め、麻雀屋を廃業した。その後はパート勤めなどで細々と生活している。

 借家した当初以来、家主の承諾を得ていたので、家の修理や店舗の内装工事は、借家人の費用負担という条件で自由に改装を行って来た。その上、資材等は工事が進行するまで家主が快く預かってくれ、家主とは極めて良好な関係が長い間続いていた。

 また、更新の際にも不動産屋を間に入れると無駄な費用も掛かり、面倒な契約書の作成の手続もしなければならないから契約書の作成を省略しようと親切に言ってくれた。だが、このことが後に問題になった。

 ところが、その家主も歳には勝てずに入退院を繰返していたが、先頃呆気なくあの世へ旅立ってしまい、息子が一切を相続した途端に関係が悪化し始めた。家を無断で修理したという理由で、家賃の受取りを拒否し、建物明渡請求の調停を申し立ててきた。しかし、調停では家主の主張は認められず、結果は不調に終った。

 その後一旦は問題が解決し、供託を解除した。だが、昨年11月に突然「契約書を作成していないから家賃を受領出来ない、もし受取ってもらいたいなら不動産屋へ行って契約して来い」といって、支払った家賃を返して来た。

 Mさんは家主の難癖探しに今後も負けない決意で頑張っている。

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2007年02月05日

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隣りの借家人が家主になった途端、借家の明渡請求

荒川区東尾久6丁目で30年以上も前から木造平屋の2軒長屋の1軒約7坪の借家に住むMさんは、家も古く平屋建と言う事で家の維持管理は全て大家承知の上で自分で行って来た。
  ところが2年前突然隣りの同じ借家人が来て、今度私がお宅も含めこの建物を買取ったので出来る限り速やかに明渡してほしいとの請求を受けた。

  Mさんは何十年も住み続け、自分達で修理を行い狭い路地に入った家といえども手放す気になれず組合に相談し入会した。明渡しに対してもきっぱり拒否し、現在に至っている。

  この間、裏の勝手口の外に0.5坪位あった空地がブロックで囲われてしまった。Mさんは直ちに非常の場合の逃げ口を塞がれては生命にかかわるからと抗議したが無視された。

今度はどうしても出ていかなけば今迄月額1万5000円の家賃を3万5000円にするよう要求された。理由を聴くと、駐車場の世間相場だとの返事。Mさんの2万円ならとの回答に家主はそんな金は供託しろと受領を拒否。徹底抗戦の腹づもりで供託を開始した。

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2007年02月03日

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寺は懲りずに更新料で続けざまの調停攻撃

豊島区高田町の藤本さんの借地は30坪。接道(注)の関係で残念ながら再建築は出来ない。地主は、Kという寺で、一帯に相当の土地を持つ大地主。借地人泣かせで有名な寺だ。6年前の更新のとき、藤本さんは、更新料900万円を請求された。藤本さんも、100万円や200万円位は言われるものと覚悟はしていたが、金額を聞いて驚いた。

 その時が藤本さんと組合との最初の出会い。安い高いの問題ではなく、不払で頑張ろうと組合に励まされ、藤本さんが更新料の支払を断ったら、直に地主から更新拒絶の通知がきた。寺は、更新料ではなく、900万円は参詣者用の宿泊施設を建てる建築協力金ということを理由に挙げたが、何はともあれ寺への費用支払を拒否したことで、寺から更新拒絶を言い渡された。でも藤本さんは、そんなことでは怯まなかった。

 その後、寺は対応を変え、更新料支払請求の調停を申し立てたが、藤本さんはきっぱりと更新料支払を拒否の態度を貫いた。結局、調停は不調で終った。

 それから3年目の今年の4月、寺は再び調停を起してきた。調停の内容は�@土地を明渡せ、�A出来なければ、更新料450万円を支払え、�Bそれに加えて地代の値上げ、というものだった。

 しかし、再度の調停も寺の思惑通りには進まなかった。藤本さんが明渡し・更新料で話し合う意思はないとの態度を貫いたので、2回目からは地代だけの話しに切替えられたのだ。2度くらいの調停など、何のその予め決めた方針は必ず貫き通す。調停に臨んだ藤本さんの対応は、実に見事だった。

                
 (注)建築基準法上の道路幅の制限を充たしていないため。

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2006年12月
2006年12月29日

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地主宅を訪問し、更新料を堂々と断る

 夫婦は地主宅を訪問し、
         830万円の更新料の請求を堂々と断った

  豊島区千川町の杉本さんが借地したのは40年前。借地面積90坪、南側道路に面し広い庭のある立派な屋敷だ。豊島区内では市街化が比較的遅れた地域だが、地下鉄駅も近くに出来、敷地も広く緑の多いもの地域は、都内でも有数の住宅地である。

 今年の4月末で、2度目の更新である。3月末、近いうちに来宅するようにとの連絡が地主からあった。以前から考えてきたことだが、遂に来るべきものがきたとの思いだった。

 杉本さんの家では、2人の息子が今年大学を卒業したばかりのところで、大した蓄えはない。更新料の支払義務はないと聞いてはいたものの、前回は支払った経過もあり拒否するわけにはいかないのでは、との不安はどうしても拭えなかった。何とかしなくては、そんな思いで、2週間が過ぎた。

 杉本さんが思い切って組合を訪ねたのは4月15日、奥さんだけの訪問だった。相談員から法定更新制度、更新料の判例、不払の実態等について話を聞いたが、そんな訳にいかないのではとの先入観がわざわいし、充分な確信にはならないようだった。

 「大事な問題です。ご主人とご一緒に来て下さい」と言われ、翌日夫婦そろって再び組合を訪れた。この時のご主人の態度は実に見事だった。「組合に加入し不払を貫こう」とのご主人の一言が、奥さんの気持ちを決めた。

 数日後、夫婦は地主宅を訪問し、830万円の更新料の請求を堂々と断った。


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2006年12月25日

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家をぶっ壊すと脅迫

 荒川区町屋1丁目で戦中から借家をしているYさんは戦争で強制疎開になり、家を失った。昭和25年に再築した借家に戻り、現在まで母親と住んでいる。
 しかし数年前に隣近所の借地人も含め9名の人達が転借人であることが新所有者との明渡し裁判で判明した。数十年に亘り転貸借の関係維持されて来た経過もあって勝訴したが、借家の屋根も腐り落ち、天井も大きな穴が開いてしまった。

 所有者は借家のYさん宅も含め約200坪の土地を担保に7000万円の借金をしたため、今年5月頃から「土地を買取れ、さもなければ立退け」と代理の不動産業者が強要し始めた。

 Yさんは幾度となく話合いを重ねたが、相手の言う事が信用出来ず、住み続けられる限り借家で頑張ると主張した。

 不動産業者は、すでに空家を取壊した時にYさん宅につながるガス管も撤去してしまった。「言うことを聞かないと重機を持込み家をぶっ壊す」と脅して来たが、Yさんは徹底的に闘うと言っている。


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2006年12月20日

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退職金から勝手に差引いた原状回復費用を取返した

 2年前に、看護学校を卒業し、杉並区の病院に勤務していた川口さんは、病院が社宅として借りていた賃貸マンションに居住していた。

 2年間務めた病院を退職して新たな病院に勤務することになり、病院が借りていた賃貸マンションを退去した。 川口さんを立ち合わせることなく、病院は賃貸マンションの家主と間に入った不動産屋との話合いで原状回復について、室内クリーニング代、クロス代、ふすまの修繕費用などとして10数万円の費用を貸主が負担することで合意してしまった。しかも、その原状回復費用を病院側は川口さんの退職金から差し引いてきた。

 親が借地借家人組合に入会していた川口さんは、原状回復費用の請求に納得がいかないと言って組合に相談にきた。

 借主がする原状回復の費用負担は「退去に際して、借主が故意または過失によって生じた損耗やキズなどを復旧する費用であって通常使用や経年変化などは貸主が行うのが原則です」という組合の説明に対して川口さんは「私がキズつけたのはふすま位で後は通常の使用の範囲です」として、前の病院側に退職金から差し引いて、支払ってしまった原状回復費用の返還請求をすることにした。

 組合から「原状回復について貸主との間で合意した内容については無効。又、退職金から本人の承諾なく、差し引いたことは労働基準法に抵触する」と通知書を差し出した。病院はふすまの修理代以外の金額を返還してきた。


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2006年12月19日

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地代減額の高裁判決

 西武国分寺線・拝島線の小川駅西口から北に約240mの小平市西町4丁目で宅地103坪を借地しているWさんは、平成11(1999)年11月分の地代月額16万2220円(坪1575円)を月額10万3000円(坪1000円)に値下げするよう減額請求をした。

 しかし、簡易裁判所の地代減額調停も不成立に終り、その後も、地方裁判所から高等裁判所へと継続して地代減額で争われ、遂に平成15(2003)年2月に高等裁判所から判決が言い渡された。

 Wさんの地主は、小平市内一番の大地主で、借地以外にマンションや駐車場、大型量販店等に土地を貸し、温泉まで経営している。

 Wさんは、昭和56年に600万円の承諾料を支払い、2階建ての鉄筋ビルに建替え1階を店舗に貸している。以来地代値上げに苦しみ、昭和56(1981)年に坪350円の地代が平成7(1995)年までの14年間で実に4.5倍(坪1575円)に増額された。Wさんは組合の助言を得て、思い切って調停・裁判に踏み切った。

 結果は、裁判での地代鑑定には疑問があったが、高裁の判決で取敢えず月額13万6681円(坪1327円)と確認された。減額された地代の差額97万円は地主の銀行口座を差押さえ、強制執行した。Wさんは今回の結果に満足せず、引続き地代の減額を求めていく方針である。


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2006年12月18日

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業者が借家の明渡しを断念

 荒川区荒川2丁目に戦前から借家しているSさんは5月に入って不動産業者と名乗る2人連れが来て、今度私達の会社がこの物件を買取った。壊して建売にするから出て行けと通告された。
 Sさん他2名は3軒1棟の作りとなっている所謂長屋の居住者である。何事も相談し合って組合と連絡を取り、業者との話合いの時も家主の要求は「借家法の正当事由に当たらないから明渡す気持ちは全くない」と主張した。

 その後何回か業者と話し合ったが、Sさんはこれ以上話しても無理とはっきり断った。業者はその足で組合事務所に助けを求めて来た。「借地借家法」の説明を神妙に聞き入っていたが、その後数日経過した後、組合に連絡が有り明渡しから手を引くとの事だった。


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2006年12月15日

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増改築・更新料特約を新たに借地契約書に挿入する事を要求

 豊島区上池袋に住む田中さんは、50年位前に借地権付建売住宅を購入した。

 10数年前に契約更新と地代の値上げ問題で争いとなり、供託となった。昨年、父親が死亡し、母親と2人で相続した。共同で相続した事を通知したところ、地主の代理人である弁護士から「こちらも契約者である地主が死亡し、相続人の息子さんが、話合いによる解決を望んでいる」というので話合いに応じることにした。

 その後、弁護士からは「�@供託した地代と地主側が請求した地代との差額を支払うこと。�A10数年前の更新料を支払うこと」の提案が送付されてきた。

 到底受け入れられない更新料の請求なども含まれ手いるなどの問題点もあったが、建替え承諾などの合意などで話合いを継続していく事にした。地代の差額の計算、更新料の基礎となる時価なども調べるなどして相手に通知し、相手の連絡を待っていた。

 ところが相手弁護士から、何の合意もしていないなかで土地賃貸契約書の案が送付されてきた。中味は、今までの契約書にない「増改築に際して地主の承諾が必要とする条項や契約更新に際して法定、合意の更新を問わず、賃借人は適正な更新料を支払う。更新料に争いがあるときは鑑定士に鑑定してもらう条項」などが記載されていた。

 組合からの指摘されたとおりの展開になった中で、田中さんは「組合と相談して現行どおりの契約書案を作成し、相手の言いなりにならいで頑張る」と決意を固めた。


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2006年12月14日

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関西の地上げ屋が介入

  底地の買取等を強要
 荒川区東尾久に住むTさんは、昭和24年から約19坪を借地している。

 先月突然、関西で開発会社をしているA開発と名乗る地上げ屋が来て、「今度この土地は地主さんから買取ったので借地人は土地を買取るか、借地権を売るか、どちらかに態度を決めろ。底地を買取る場合は関西では地価の半値だ。売る場合は相談に乗る。もし売買不成立の時は法的手段を取る」と脅かされ、借地借家人組合に相談し入会した。

 組合の説明で借地を買取らなくても何ら心配ないことが解り、安心することが出来た。同時に近所の4軒の中1軒も入会し、他の3軒組合にも組合に入って一緒に頑張るよう説得している。

 A開発という会社は大阪にあり、代表者が3月に刑事事件を起し不動産免許取消処分を受け、4月に代表者などを変更し再免許を取得している。


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2006年12月12日

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借地権の買上げや底地の押売、借家の明渡しの相談が多発

東京が本社で大阪に支社がある不動産会社「東京都市開発株式会社」が、大阪の地上げ屋を使って、都内の借地やアパートの物件を買いまくっている。

 同社のホームページで、「底地買います」、「アパート買います」と宣伝している。宣伝文句は「資産の買い替えなど、お考えの方相続対策で底地売却をお考えの方、面積を問いません。借地権のついたまま現状で買取をいたします」と、メールで相談と無料査定を呼びかけている。この会社と組んでいるのが大阪の地上げ業者「三和住宅」で、都内の各地の組合に借地権の買上げや底地の押売、借家の明渡しの相談が寄せられている。

 武蔵野市吉祥寺南町でも、借地人の村上さんは今年の3月に前地主が東京都市開発に売却。前地主から「ご挨拶」の手紙で「突然ではございますが、貴殿に賃借戴いておりました不動産につき、今般事情があって下記の方へ売り渡したので本書をもってご通知致します」といってきた。その後、新地主の東京都市開発は今後の交渉と地代の受取りを三和住宅に全権委任しているの一点張りで、地代の振込も拒否してきた。やむなく、村上さんは地代を組合に預け、交渉は全て組合に任せた。

 三和住宅は、4月から村上さんの地代を毎月組合に集金に来ている。東京都市開発は借地権の買取を主張し、路線価格の60%の条件を提示してきた。村上さんは、高齢で病気のお母さんの介護をしなくてはならいない状態で、移転することは不可能であると借地権の売却を拒否した。


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2006年12月11日

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建物建替えの非訟手続で新築する事が出来た

八王子市大和田町で借地をしているOさんは、借地上の建物の建替えに関して地主との話合いが纏らず、裁判所へ建替えの代諾許可申立の手続を行っていた。それに対し、今年3月に東京地方裁判所八王子支部において建替えに関する和解が成立し、従来の建物を取壊し、そこに木造2階建建物を新築することが出来る事になった。

 Oさんの父親がなくなった以降から地主は頻繁に地代値上げ請求を繰返し、平成4年頃から地代の受取りも拒否され、法務局への地代弁済の供託を続けてきた。

 Oさんは今回の和解成立の2年前に自宅の改築を地主に申し入れたが、地主は地価の4%の承諾料、更新料として6%を要求された。地主の性格上、これ以上の条件と譲歩を求めた上で改築の許可を得ることは困難と考え、借地借家人組合とも相談して組合の顧問弁護士に依頼し、建替え承諾に関する借地非訟手続を行った。

 借地非訟の鑑定では、改築(新築)の申立は土地の通常の利用上相当と認められ、改築の承諾料を更地価格の3%(坪当たり約17000円)とし、地代の改定は不要として供託している現行地代が認められた。鑑定の結果通り和解が成立し、地主が契約書に挿入することを要求していた更新料支払特約は総て削除させ、平成30(20018)年2月まで期間とする借地契約書を締結した。


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2006年12月09日

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底地の買取で関西系不動産会社が買取を強要

昨年の10月、「この土地は今度A会社が取得した。私は旧地主と新地主の代理人として今後底地の売買で訪問する事になった」と言って関西系不動会社が、板橋区小豆沢に住む川村さんの家を訪ねてきた。

 しかしその態度に強圧的で脅迫しているように感じた川村さんは、知人に紹介されて借地借家人組合事務所を訪問した。同じ地主から借りていた人に呼びかけて一緒に対応したほうがよいというアドバイスを受けて6人全員が組合に入会した。

 当初、底地を5分5分で買取るように威圧していた関西系不動産会社も組合が窓口になったことを通知し、面会、電話で交渉を強要する事を拒否した趣旨の内容証明郵便を送付するなどして対応した。

 その結果、新地主の代理人として弁護士が、この土地を正式に買取り登記も済ませたので底地の売買の交渉を行いたいと申し出があった。直接面会などの強要はしないことなどを約束させた上で、底地の売買など紳士的に話し合うこととした。地代も受け取る事を約束した。


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2006年12月07日

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借地契約期間10年は無効

 江東区牡丹3丁目で値札製造の仕事をしているHさんは、新規の借地契約を昭和52(1977)年12月に権利金50万円を払って約11坪を期間10年、賃料は昭和62(1987)年まで年間5万円という内容の契約を交わした。

 昭和62(1987)年、この時の借地契約の10年間の期限が来たことと、地主自身が新築の建物を建てたいという理由で借地の明渡しを請求された。

 しかし、建物を建てて未だ10年であり、地主の要求はどう考えても非常識な要求である。投下資金の回収も出来ていない状態で建物を明渡すことは出来ないので地主の不当な要求を無視し続けた。

 だが地主も執拗に悪質この上ない明渡要求を言い続け、数年が経過しても不当な要求を執念でし続けた。Hさんは、ほとほと困り果てて平成5年に組合に入会した。

 組合は契約期間を10年とした場合は、最高裁の判例から「借地法2条の法定存続期間の20年に満たないため、借地法11条の規定に反し無効され、期間の定めがなかったものとして取扱われ借地権の存続期間は30年となる」ことから、平成19(2007)年まで借地期間は存続することをHさんに説明した。

 従って、借地契約の更新まで未だ14年も先のことなので、心配する事はないと激励した。加えて地主が建物を新築するために、わざわざ借地人を退けてまでする必然性があるとは到底思えないし、新築理由が借地明渡しの正当事由には当然の事としてなり得ない事を説明した。

 組合では早速話合いのために地主宅へ向かった。地主は「そちらが他人を立てるなら」と、地主は弁護士を代理人に立ててきた。その年の9月にHさんは組合役員と共に弁護士事務所で話し合った。
 代理人は「昭和62年の契約書の期間を20年とし、平成4年以降の賃料は免除する」。「但し地主が新築する場合と本件契約期間は更新しない」旨の確認書を渡されて是非協力してほしいと言われたが、Hさんは「新規契約は結びません」と契約を拒否し、そのまま今日に至った。

 地主の考える20年の契約期間、平成19(2007)年が近づいて来た為か、はたまた、前回の昭和62(1987)年の更新料の空振りの反省からか、地主は、「来年の事ではあるが、契約期間の満了が近づいて来たのでそろそろ借地の明渡しか、更新料を払って契約を更新するかのどちらかに決めておくように」と言ってきた。

 Hさんは今回も組合とよく相談し、組合と連携をとりながら更新料支払拒否を貫き、借地契約の更新を成功させる覚悟でいる。


 東京借地借家人新聞より


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2006年12月06日

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一旦支払った更新料を取り戻す

 改めて更新料の支払義務が
              無いことを地主に通知した

 練馬区に住む千葉さんは、この2月に地主から、契約更新に際して、更新料の支払いとして250万円請求された。

 すでに子供さんも嫁いで他の所に住んでおり、本人は年金生活を送っていた。その中からお金を工面し、100万円を持って地主宅を訪問したが、地主は「これでは駄目だから借地を娘名義にして残りの残金を娘に出してもらえ」と言われ困っていた。知り合いの人に相談したところ組合を紹介してもらい組合事務所に来た。

 組合で、よくよく話を聞くと100万円を支払ってもまだ領収書ももらっていないという事なので、このお金を返してもらうことから考え、次に更新料については支払う必要のないことを通告する事にした。

 嫁ぎ先の娘さんに電話で連絡を取り、娘さんから地主に電話してもらい「いろいろ検討するので、一旦100万円を返してください」と言ったところ、100万円は返してもらえる事になった。

 喜びの千葉さん「今度は、更新料の支払義務のないことを地主に通告し、地代の値上げも今まで言われたとおりにしてきたけれど、今後は頑張ってやっていきたい」と話している。


 東京借地借家人新聞より


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2006年12月05日

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借家人の抵抗で家主は不当条項を全面撤回
 荒川区西尾久2丁目で昭和48年から店舗を借りて中華料理を営んでいるSさんは、昨年9月末で3年間の借家契約の期間が満了した。
その際、家主から「再契約するには特約で3年間の期間限定とし、その時点で家主側に更新する気があれば継続できるが、そうでない場合は一切の立退料を請求せずに明渡すこと」また「更新する契約書には更新料支払特約を入れる」という条件なら更新してやると言われた。
 Sさんは、とても納得できず借地借家人組合と相談しながら何度も家主と話合い、最終的に裁判も辞さない覚悟で「借家人に不利な契約書には一切サインはしない」と通告した。
 家主は最近になってやっと諦めがついたのか、当初の条件だった3年後の更新拒否や更新料支払特約等を総て撤回し、Sさんと組合とが借家人に不利益な契約条項を削除・修正した契約書に基づいて契約をすることを認めた。
 東京借地借家人新聞より


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2006年12月04日

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更新料と地代の値上げを拒否する

 荒川区西日暮里4丁目で49坪の借地をしている深津重雄さんは、10月末日で20年目の更新を迎えたが、地主は8月頃から前回の更新料は350万円支払ってもらったから、今回は20年経過しているので倍の700万円を支払えと要求して来た。

 深津さんは長引く不況で支払えないと断った。地主は「それなら650万円にするが、それ以上はダメだ。支払は分割でも構わない。更新料の支払は慣習であり、当然借地人は支払うのが当たり前」と強気一点張りである。

 何度か地主と話合い行い、300万円まで値下げした。地主はこんなに誠意を持って値下げしたのだから更新料は間違いなく支払え。嫌なら明渡すか地代を大幅に上げると通告して来たので借地借家人組合入会した。

 早速、内容証明郵便で「更新料の支払は拒否する。地代も税額の4倍も支払っているので一方的な値上げは認められない」という趣旨の通告した。


 東京借地借家人新聞より


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2006年12月02日

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家主、明渡請求を撤回 

 荒川区東尾久6丁目に住居兼工場を20数年前から借家しているWさんは、ご主人と長期間努力し営業を続けて来た。今は奥さん一人で頑張っている。

 ところが、平成14年の秋頃突然家主から、借地を地主に返さなければならなくなったので、建物を明渡すよう請求された。Wさんは知人の借地借家人組合員に相談し組合入会した。地主に借地を返す必要も理由もないことを家主に伝えながら家賃を持参したが、受領を拒否され供託を開始した。

 供託を1年間続けた昨年の暮、ついに家主が折れ、借家の明け渡しを撤回した。「供託を解除してほしい。月額4万円の家賃を2000円だけ値上げを認めてほしい」との要求に対し、Wさんは、ほんの気持ちだけ応じて現在に至っている。

 Wさんは「組合に入会して本当に良かった。今までは家主に何か言うと後が恐くて何も言えなかったが、これからは自分の住まいを守る権利は勇気をもって主張して行く」と元気で働いている。


 東京借地借家人新聞より


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2006年12月01日

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不動産業者が定期借家契約を押し付ける

当事者の合意の上でも居住用借家契約から
         定期借家契約への切替えは法律で禁止されている

 昭島市東町の賃貸マンションに居住する藤森さんは、今年に1月に突然、家主の代理人の弁護士から、「定期建物賃貸借につき、契約期間の満了により前記賃貸借契約が終了することをあらかじめ通知致します」との内容証明郵便を送りつけられた。

 事の起こりは、2年前の契約更新時に始まる。藤森さんは今まで契約者だった奥さんと離婚したため、名義を変更してもらおうと不動産屋を訪ねたところ、新規契約と同じ家賃の5か月分を支払うよう請求された。藤森さんは離婚した奥さんと同居していたのに5か月分は支払えないと断った。その後、不動産屋から家賃の半月分35000円を支払ってくれれば、契約を更新するので手続きをするよう言われた。

 藤森さんは、不動産屋から署名捺印をするよう求められ定期建物賃貸借契約書であることもよく分からず、契約書と定期建物の賃貸借に関する説明書にも署名・捺印してしまった。後で、この契約書は2年たったら家主が更新しないと言えば無条件で追い出されてしまうとんでもない契約であることが分かった。

 藤森さんが日頃から建物の管理や入居者が生活しているにもかかわらず、家主が大きな騒音をたてて貸室の改造工事をすることに苦情を述べていることから、家主にとっては追い出したい借家人だったようだ。

 藤森さんは組合と相談し、2年前の契約は借地借家法第38条2項の説明義務に反し無効であること、名義変更で新規契約に当たらず、普通契約からの切替えは認められないと反論した。
 東京借地借家人新聞より


               
 参考
 「借地借家法の一部改正に伴う経過措置」附則第3条により「居住の用に供する建物の賃貸借の当事者が、その賃貸借を合意により終了させ、引き続き新たに同一の建物を目的とする賃貸借をする場合には、当分の間、改正後の借地借家法第38条の規定は、適用しない。」 

 即ち、既存の居住用借家契約から定期借家契約へは、仮に当事者が合意した上で契約を締結しても切替えは出来ない。それは附則3条で禁止措置が採られているからだ。

 但し、営業用の店舗・倉庫等は当事者の合意があれば、定期借家契約への切替えは可能である。更新契約時には、くれぐれも注意が必要である。(N)


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2007年1月
2007年01月31日

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競売で借地人が底地権を買受ける

 豊島区上池袋4丁目の猪熊さん達の借地人のグループは、去る10月3日の夕方から、盛大な祝賀会を催した。今まで借りていた土地の底地権を比較的安い値段で買取ることが出来、念願の土地を所有することが出来た。それを祝し、仲間同士でお祝いをすることになった。

 ことの始まりは、2年前の4月に起った。地主から突然の手紙が送付され、賃貸中の土地は、ある株式会社に譲渡した旨を知らされた。このような経過から、猪熊さんは近所の借地人の仲間を誘って、一緒に組合に加入した。組合から「地主が代わっても賃貸借契約は従前の契約内容同一条件で、そのまま新地主に承継されるから大丈夫です」と聞かされて、一先ず安心することが出来た。底地業者との対応の仕方についても相談した。

 数日後、新地主の代理人と称する底地業者がやって来た。「賃貸借を続ける意思はない。底地を買取るか、借地権を譲るかの、どちらかだ」と言われ、値段も示された。しかし、猪熊さん達は、組合との打ち合わせ通り、底地業者に「交渉は組合を窓口にする。直接の話合いには応じられない」と主張して頑張った。話合いの端緒を掴むことが出来ず、底地業者は「後のことは、総て組合が引き受けてくれ」と言って、匙を投げてしまった。

 昨年の11月頃、金融会社は、猪熊さん達が借地している土地の競売を申し立てた。猪熊さん達は組合と相談し、借地人の仲間と一緒に入札に参加した。複数の業者を含めての入札だったが、僅かの金額差で、業者を出し抜いて見事に落札し、土地の買受けに成功した。

東京借地借家人新聞より


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2007年01月26日

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8000円の減額で合意成立

豊島区南池袋の小笠原産は4年前に現在のの家に引っ越してきた。鉄骨2階建で3DKの小さな1戸建。池袋駅南口から5分程度で便利は良いのだが、家賃は16万円、楽に支払える額ではない。

 今年5月、2度目の更新を迎えた小笠原さんは、思い切って家賃の減額をしたのである。それというのも、日頃から読んでいた組合の新聞に、家賃の減額事例が、しばしば取り上げられているのを見ていたのが、思い切りのきっかけになったようだ。

 1割程度は値下げしてもらいたい、との小笠原さんの申し入れに対し、数日後、家主から5000円の減額なら応じても良いとの回答があった。小笠原さんは直ぐには同意しないで、組合と相談のうえ、改めて1万円の減額を提案し、話合いを続けた。

 その結果、家主も8000円の減額を認め、合意の成立を見ることが出来た。小笠原さんにとって、家主と堂々と話し合った今回の減額交渉は、大きな自身になったようだ。

 小笠原さんが組合に加入したのは、今から13年前に住んでいた家の立退請求がきっかけだった。立退きの条件も一切示されず、一方的に明渡しを求められた。家賃の受領も拒否されたが、供託を続けて頑張り、遂に解決。その時の経験が、今回の減額にもつながったようだ。

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2007年01月23日

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立退き料は借家権価格でお願いしますというが…

借地借家人組合の会員であるSさんは、台東区谷中で親子二代に亘る長屋住まいである。両親は去年の12月に相次いで亡くなるという不幸に見舞われ、現在姉妹2人で生活している。

家主は同じ長屋で直ぐ隣りの煙草屋である。今年の春先、家主の代理人(建築会社)から建物が相当傷んでいるので建替えに協力して欲しいとの家主の意向が伝えられた。その計画では5階建てのマンションにするとのことである。Sさんは早速、台東借地借家人組合へ相談を持ち込んだ。組合は取敢えず相手の条件をよく聴いた上で、その後の方策を考えても遅くはないと答えた。

 家主は過去にSさんの親を相手に家屋明渡請求訴訟で敗訴しており、今回の交渉には全く顔を出さず、総て建築会社任せである。建築会社は何種類かの立退き案を提示し、その交渉は至って低姿勢に終始していた。

 その提案の1つにバブル時代はよく使われたが、最近では非常に珍しい立退き料を借家権価格(注)でお願いしますというものである。この提案、借家人にとって現在では、かなり高額の立退き料になる。しかし、その後も何度か話合いを重ねたが、家主の代理人との交渉は未だに結論が出ていない。

 立退き料は、税制では一時所得として扱われる。その税額は{(立退き料−必要経費)−50万円}×50%で計算される。必要経費は弁護士費用・引越費用等である。住民税や健康保険料の所得割のことも考慮して極論すれば、立退き料の約半分は税金として消えていくことになる。

 こんなことも考えに入れて、立退き料の嵩上げだけを考えるよりは、新築マンションに低家賃で再入居する交渉を加えた方が得策ではないのか、或は現状のままで住み続ける方が良策ではないのか等、組合の考え方も伝え、姉妹で熟慮した上で慌てずに結論をだ出すようアドバイスした。

 Sさんは両親の一周忌を迎える師走までには何とか最終結論を出したいと思っている。



(注)借家権価格は、東京国税局管内では一律に借地権価格の3割として算定する取り扱いになっている。(N)

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2007年01月19日

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地主が不動産信託契約を締結した?

突然知らない会社から        
 借地人9世帯に地代請求の通知が

 豊島区南長崎の山本さん等は、借地して既に50年近くになる。もちろん、この間には、地代の大幅値上げや高額な更新料を請求されたこともあった。山本さん等は地主の言いなりに支払ってきた。

 地主とのいざこざは避けたいとの気持ちからだ。だから、表向きは平穏な賃貸借関係がずっと続いてきていたのである。しかし、今度という今度は、思いもよらない出来事の連続で、結局組合に加入することになったのである。

 2年前のことだ。ある日突然、全く知らない会社から手紙が届いた。「当社は、貴殿が賃借中の宅地につき、旧所有者岩元氏との信託契約により所有権を取得した。よって今後の地代は当社に支払え」との通知だった。寝耳に水の出来事だった。近所の人達にも同様の手紙が届いていた。

 山本さん等は、一緒に地主宅を訪ね、事の真相聞きだした。この時ばかりは、地主も低姿勢で、その通りだから、地代は会社にとの話しだった。譲渡するなら、なぜ先に声をかけなかったのかと迫る人や、1ヶ月前に数100万円の更新料を支払った人もあった。山本さん等は何とも割り切れない気持ちだった。

 今年8月、旧地主の岩元氏から内容証明郵便が届いた。「信託契約は解除、所有権を回復した。今後の地代は当方に支払え」との通知だった。程なく会社からも真の所有者は当社との通知も届いた。

 こんな経過で山本さん等9名は組合に加入した。現在、地代は「債権者不確知」との供託事由で弁済供託中だ。

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2007年01月16日

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組合の協力で地上げ業者から底地と土地を買取り建替え

地上げ業者から6坪底地と10坪の土地を買い取り新居建築

 大田区羽田5丁目所在の宅地約17坪を買い取り、この程新築した自宅の玄関前で微笑む野村さんに最高の時期が訪れた。

 昨年1月黒背広に黒ネクタイの2人組が訪れてから地獄の始まりであった。土地を買い取るか、借地権を売って明渡すかと怒鳴られて持病が悪化し病院通いの時、知人から組合を紹介されて同年2月に入会した。

 世間では地上げ屋と呼ぶ業者だ。早速、事務所に呼ぶとお馴染みの顔であった。6坪の借地人の野村さんの望みは建売ではなく、10坪の土地を取得して自分が希望する建物を建てることであった。業者と組合役員の厳しい交渉は半年余りにおよんだが、野村さんの限られた予算内で約17坪余を取得することに成功。

 直ちに新築工事が着工され、この程建物が完成し入居した。息子さんの強い要望の駐車スペースも確保することが出来た。

 地上げ屋が自宅を訪れなくなり、地獄の日々から救ってくれた、知人と組合には足を向けて寝られないと笑顔で話す野村さんだった。

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2007年01月12日

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借主いじめの貸主が呆気なく亡くなった

 荒川区西尾久3丁目でラーメン屋を営むSさんは、過去に2年毎の借家契約の更新時に3回もの調停を起され、加えて、2度の明渡裁判を提訴された。その都度組合とよく相談し、万全な対応で切り抜けて来た。
 5年前の更新時にも値上げ請求をされたが、その時は値上げを拒否して賃料12万円のまま供託をして、借家契約は法定更新を選択した。

 その後も貸主は2階に上る外階段の入り口に無断でチェーンに鍵を掛け出入り出来ない状態にしたり、店のシャッターの鍵穴に建材用のパテを詰め込む等の悪質な嫌がらせの連続で、時には警察に電話を入れ、パトカーも数回呼ぶ状態であった。

 そんな嫌がらせの元凶である貸主も先日、呆気なく亡くなった。その折り、Sさんは感情を抑えて通夜に列席した。数日後、貸主の妻と息子さんが2人してSさん宅を訪れ、今までは大変御迷惑をお掛けしましたと詫びの言葉があり、賃料は2万円値下げの10万円にするのでどうか供託は中止しして下さい。今後はいつまでも仲良くして、家屋を使って欲しいとの申し入れがあった。Sさんは、その申入れを快諾した。

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2007年01月10日

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不動産屋が更新料を強要

荒川区荒川6丁目に住むOさんは、20年前に約17坪の借地権付きの家屋を買い、今年3月に1回目の借地の更新を迎える。
 近所の人達から借地の事に関して「更新料をいくら払った。地主に何か言うと後が恐いから」等々を聞かされていた。初めての借地更新でいくらの更新料を請求されるのか不安になっていたところ、不動産屋から「今後も地主と仲良くしたいなら坪10万円にまけるから合計170万円支払え」と言われた。

 組合に相談に行ったOさんは、更新料を支払わなくてもいいことが解って、その旨を不動産屋に伝えた。すると、不動産屋は「それなら30万円まける。駄目なら土地を買取れ。住み続けるなら今後一切家屋の修理は認めない。嫌なら出て行け」と言った。

 Oさんは徹底して闘う決意でいる。

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2007年01月06日

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更新料を支払わなくても借金にならないが、銀行から借りて払えば借金になる

足立区伊興町の山田真理子さんは、夫を無くした後、息子さんと2人で小さな町工場を細々と経営している。

 土地の更新になる昨年9月1坪13万円の更新料を請求された。山田さんも更新料についてはある程度は覚悟していたが、なんと1坪13万円とは、天と地がひっくり返るような思いだった。

 どうしようそんな時、息子さんが組合のあることを知り飛び込んでいった。組合では、更新料は支払義務のないことを話すと、山田さんは本を買って40年ぶりに猛勉強をした。

 組合で勉強した一番の収穫は「更新料を支払わなくても借金にならないが、銀行から借りて払えば借金になる」という説明を聞いたことだ。この言葉で目がさめ、更新料坪13万円から1円も下げないと言う地主を相手に、現在地代を供託して頑張っている。

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2007年01月02日

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固定資産課税台帳の公開で税額と標準的な地代を計算してみた

  固定資産課税台帳の公開で
               地代減額請求の調停の申立へ

 台東区上野桜木は、JR鶯谷駅から5分位、緑の多い閑静な住宅地である。住環境に不満はないが地代には不満が残る。岩崎さんは、地代を1ヶ月49600円(31坪)支払っている。坪当り1600円である。近隣の地代に比較しても高過ぎる。

  2003年4月1日から借地借家人に固定資産課税台帳が開示された。そこで岩崎さんは借地契約書を持参し、都税事務所で「固定資産土地評価証明書」の交付(東京都内23区の場合、交付手数料400円)を受けた。 

 組合では、その「固定資産土地評価証明書」を基にして税額と標準的な地代を計算してみた。

   ◆ 【固定資産税額は固定資産税課税標準額×1.4%で求められる。】

 固定資産税課税標準額は「固定資産土地評価証明書」から31坪で年間、5474768円である。従って、1坪当りの固定資産税課税標準額は、5474768円÷31(坪)=176605円(年間)

 比較し易いように1ヶ月/1坪当りの固定資産税課税標準14717円(176605円÷12ヶ月)で計算する。

    1ヶ月/1坪当りの固定資産税額は、14717円×1.4%=206円…(A)

  ◆ 【都市計画税額は都内23区では2/1の減額措置が採られているので、都市計画税課税標準の特例額×0.3%で求められる。】 

 特例額は「固定資産土地評価証明書」から、固定資産税課税標準額と同額である。

   従って、1ヶ月/1坪当りの都市計画税額は14717円×0.3%=44円…(B)

 公租公課倍率法では、住宅地では固定資産税と都市計画税(A+B)の3倍前後、商業地では2倍前後が適正地代と言われている。税金は1ヶ月/1坪当り250円であるから、現行地代の坪当り1600円は6.4倍である。住宅地として計算すると、地代は坪当り750円前後が妥当であるから、1ヶ月の標準的な地代(31坪)は232500円前後となる。現行の地代1ヶ月49600円は高すぎる。

 「固定資産土地評価証明書」を根拠に岩崎さんは、簡易裁判所に近々地代の減額請求の調停を申立てる予定だ。

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2006年11月
2006年11月30日

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無効な定期借家契約
 仙台市でアンティ―クの雑貨のお店を営業している斉藤さんは今年の8月に建物を取り壊すので明渡して欲しいと言われた。突然の話しで困っていると家主はいきなりこの契約は今年の2月までの定期借家契約で期限が過ぎているので6ヶ月の予告で解約できると言ってきた。

 心配になってインターネットや本などで借地借家人組合と言う組織の存在を知って相談にきた。電話での相談で困難な面があったが、契約書などをファックスで送付したところ、定期賃貸借契約だという家主の主張には定期借家契約に必要な書面による通知がなかった。その上、家主の夫は宅建主任の免許をもっており、その仲介での契約であった。家主の代理人である弁護士からは」「定期借家契約に基いて、引き続き契約するならば定期借家契約。それ以外ならば明渡しを求める」との通知がきた。

 組合では斉藤さんと相談し「この『定期借家契約』そのものが借地借家法第38条2項の文書がないことで無効となり、通常の賃貸借契約であること。又、期限が過ぎての契約解除通告は無効である」と主張することにした。

東京借地借家人新聞より

 参考法令は「借地借家法」
 (定期建物賃貸借)
第38条 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り第30条の規定にかかわらず(注1)、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項(注2)の規定を適用しない。


2 前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ(注3)、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。

3 建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。

4 第1項の規定による建物の賃貸借において、期間が1年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から6月を経過した後は、この限りでない。

5 第1項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が200平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から1月を経過することによって終了する。

6 前2項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。


 (注1) 借主の権利を保護する強行規定である借地借家法26条の「法定更新」及び28条の「正当事由」の規定が適用されないことを明確にしたもの。

 (注2) 借主にとって不利益な契約ということで借地借家法29条1項で禁止されている1年未満の契約も定期借家契約では認めるとしたもの。

 (注3) 書面の交付とは、定期借家契約を締結する前に賃貸人は契約書とは別に定期借家契約であることを充分認識させることが出来る書面を「あらかじめ」借主に現実に引き渡していなければならないということである。

 そして賃貸人自身が直接、「契約は更新がなく、期間の満了により建物賃貸借が終了する旨」が記載された書面交付した上で定期借家契約であることを借主に理解出来るように説明する必要があり、賃貸人の説明義務である。これは宅地建物取引主任者による重要事項の説明義務とは別物でり,重要事項の説明で代用することは出来ない。

 なお、第38条3項にあるように賃貸人本人が説明義務を履行していないときは、定期借家契約中の法定更新及び正当事由排除特約の部分だけが無効とされ、契約全体が無効になる訳ではない。この場合建物賃貸借は法定更新及び正当事由が適用される普通借家契約として有効に成立する。

 �@果して、定期借家契約の期間満了後になされた賃貸人の定期借家契約終了通知が有効なのかどうかである。
 先ず定期借家契約を期間満了と同時に終了させるには、借地借家法第38条4項から期間満了の1年前から6ヶ月前までの間(この6ヶ月間を「通知期間」という)に期間満了により賃貸借が終了する旨を通知しなければならない。この通知請求をしない場合は、期間満了と同時に定期借家契約の終了を賃貸人は主張出来ない。
 ただし、「通知期間」後から期間満了日前までに終了通知を請求した場合は、通知日から6ヵ月後に定期借家契約は終了する。

 �Aでは、期間満了前までに賃貸人が定期借家契約の終了通知をしなかった場合は、どうなのか。
 その場合、賃貸人は、もはや定期借家契約の終了を賃借人に請求することは出来ない。「その結果、定期借家契約における「定期特約」は、事実上、消滅して期間の定めのない通常の賃貸借契約が継続することになります。」(「QA あなたの借地借家法」東京借地借家人組合連合会編 「別冊 Q&A 定期借家契約」19頁)即ち、「期間の定めのない普通の借家契約になる」というのが東京借地借家人組合連合会顧問弁護団の見解である。
 従って、借家契約を解除するには賃借人に正当事由が必要であり、最終的には裁判所の判断に委ねられる。(N)


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2006年11月27日

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80歳を超える借地人には無理難題な契約条件を強要
 台東区根岸に住むGさんは、80歳を超える年齢で、既にご主人に先立たれ、子供もいない全くの単身生活である。50坪の借地の殆どを駐車場及び倉庫として賃貸し、その賃料が生活費になっている。

 3月末借地契約が満了し、その更新に際して地主から新しい契約条件を提示された。その内容は�@地代は月当り15万円を4万円値上げの19万円に改定する�A更新料は500万円とする�B特約として相続を認めない契約者本人一代限りの契約とする、というものであった。現在の暮らしからはとても金額的に呑めるような条件ではなく、一人途方にくれていた。

 近所に住み日頃身の回りの世話をしている姪御さんがこの話を聞きつけ借地借家人組合に相談し加入した。その後、地主代理人の弁護士から話合いをしたいとの申し入れがあり、Sさんはご高齢なので姪御さんが組合指導の下に代理交渉に臨み、提示された3点には応じられない旨を伝え、従前の契約内容で更新したい意思も伝えた。

 しかし、地主側弁護士は3条件を呑んで貰えないのであれば更新に応じられないという態度を崩さず、話合いは物別れに終った。

 その後、取敢えず、4月以降の地代を地主に送金し、加えて借地法4条に基づく「借地更新請求」を配達証明付き内容証明郵便を送り付けた。

 今後の対応は組合の顧問弁護士と相談しながら進めていくことを確認した。


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2006年11月25日

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家賃3万円の値下げ
店舗の更新料と手数料がゼロに


 東上野で居酒屋を営業している望月さんが組合へ電話をかけてきたのは、11月末のことであった。契約の更新を不動産屋が言ってきた。だが、家賃を5千円値上げするという内容。この不況下に値上げは呑めない。不動産屋は、契約更新の条件として家賃は15万5千円に、更新料は家賃の2ヶ月分、更新手数料は家賃の1ヶ月分、それぞれに消費税、契約期間は3年を提示している。

組合としては不動産屋を除外して、家主に直接交渉して家賃減額を実現するのが近道とアドバイスした。

家主との交渉時、望月さんは、法定更新制度の説明をし、既に契約は更新されているので更新料の支払いの意思がないことを言い切った。更に、固定資産税・都市計画税も上昇していない。寧ろ、毎年下がっているのが現状だ。坪1万円の家賃は高すぎる。組合で調べてもらったら近隣店舗の相場は坪8千円ということだ。

それに今回から家賃に消費税をかけているが、家主は非課税業者の筈だ。もし課税業者なら『消費税課税事業者届出書』を提示してもらいたい。それでなければ、家賃の便乗値上げなので消費税分は支払わないと付け加えた。

 交渉の結果、更新料・更新手数料『0』、家賃は3万円減額、消費税も無しでOKになった。契約書がないと店舗改装資金の借入が困難なので、契約書は必要だった。そこで、家主には、法定更新しているのだから契約書は不要だが、そちらも不安でしょうからと契約書を作らせた。


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2006年11月23日

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建物の老朽化を理由に明渡請求
 台東区蔵前地区に20数年前より共同住宅形式の店舗併用住宅を借家しているKさんの元に家主の代理人より内容証明郵便が届いた。他の共同住宅の10名の借家人にも同一内容の内容証明郵便が届けられていた。それは設計事務所の鑑定書を添付したもので、建物の老朽化が激しいためにガスの配管・電気の配線が修理不能で危険な状態なので借家契約を中途解約するので6ヵ月後に明渡して欲しいとの内容であった。

 入居者は永年地元の固定客を相手に居酒屋・飲食店・印刷所・雀荘等を営業しており、突然の明渡請求に困惑してしまった。

 その後、民商の役員の紹介で入居者は借地借家人組合に加入した。取敢えず、組合役員の指導の下に書面より家屋は未だ使用に耐えられる状態にあり、契約の中途解約には応じる意思のない旨を伝えた。

 すると、その後代理人から入居者にその件に関して面談したいとの要望があった。組合員は事前に班会を開き、移転しての営業は難しく、住み慣れた当地を離れたくないとの各自の意思を確認した。そこで今後は組合役員と班長を窓口にして話合いに臨むよう対応が固まった。

 Kさん達は組合役員の説明を受けて、家主には建物明渡請求に関する正当事由がなく、居住者は従来通りに営業と居住が出来ることを知り安堵した。


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2006年11月22日

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更新後の借地期間を契約書に10年間と記載される
借地の契約期限を10年と地主記載

 練馬区旭丘で借地して40年を経過した酒井さんは、この10月で期間が満了し、更新の時期を迎えた。 地主から今回、更新後の契約書が送られてきた。契約書案には、その第2条で、契約期間を10年とするというものであった。

 組合の新聞その他で、借地借家法が改定される以前に契約したものは旧借地法が適用されると聞いていた酒井さんは、心配になった組合事務所に相談に来た。

 組合では、酒井さんが賃借している借地は旧借地法が適用されること並びにその期間については20年以上とすること。それ以下の期限を定めた場合はその条項は無効となり、期限の定めのない契約となって、堅固でない木造の場合は20年となることを説明した。(*)

 相手の地主は、平成4年に施行された借地借家法で2回目以降の更新は10年とするという条項を勘違いして契約書に記載してきたものと考えられるとし、相手の地主に通知することにした。

 酒井さんは「これで安心しました。ゆっくり眠れます」と話した。

 東京借地借家人新聞より


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2006年11月19日

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賃料減額で和解
春日部で和菓子の製造販売を行っている宮地さんは、2年前に司法書士を代理人として減額請求をしたが、成果はなかった。近隣並みの賃料にしたいという希望で組合に入会した。

 賃料減額については双方の合意が必要なこと。出来ない場合は調停を行い、合意が出来ない場合は、裁判で決着することなどを説明した。

 相手は弁護士を代理人にして、「近隣の相場と比較しても高くない」と主張した。宮地さんは知合いの不動産業者の資料などもとに高額であると主張したが合意できず、不調に終わった。裁判で決着をつけることにし、組合の援助で裁判所に賃料減額の裁判をおこした。同時に「話合いで合意したいと言うならば応じる用意があるが、だめならば鑑定の申し出を行い、判決をもとめる」と通知した。

弁護士はここにきて賃料減額に応じ、4万円の減額を申し出た。不服はあるものの宮地さんは合意に応じ和解。

「弁護士も使わずに一人で調停、裁判までできたのも組合のおかげです。ありがとうございます」と宮地さんは話した。


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2006年11月16日

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地上げ業者が借地人にしつこく底地の買取要求
 相続で業者が底地を買収
        底地の買取請求には資金が無いと断り続ける

  豊島区目白に借地している島田さんの底地は、平成16年に地主が相続のために業者に売買した。その後、代理人として大阪のA業者が訪問し「この地域の更地価格は200万円する5対5で買取れ」と迫った。Aさんは怖くなって組合に入会した。

 借地の売買及び契約については組合を窓口にして行うことを通知した。業者は底地の売買について、7対3にするなどの案を提案してきたが、島田さんは、このまま借地として住み続けたいし、買取る資金もないと断ることにした。

 その後、業者は1年以上にわたって、組合事務所に地代の集金にきて売買の話を持ち出したが、折り合いはつかなかった。いつのまにか担当者が替わり、島田さんに面会を強要するようになった。「いるのはわかっているんだ」「はやくでてこい」などと声を荒げて何度も戸をたたいた。ただちに警察に通報するよう指導し、現場に出向いた。今後は、警察などと連絡を密にし対応することにすると共に必要ならば法的手段も検討することにした。

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2006年11月14日

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家主の明渡請求を断念させる
       突然訪問し3時間も粘る家主の
       明渡請求を断念させた

 国分寺市並木町に住む田中さんは夫婦と長男の3人家族。2年前の04年5月に木造2階建4DKの貸家を家賃月額10万円、敷金2か月分、礼金1か月分を支払って契約した。

 去年の夏に家主が突然死亡し、5月の初めに家主の奥さんが突然訪ねてきた。新しい家主となった奥さんの話によると、ご主人の入院先が遠いため転居したが、主人が亡くなったので元の家に住みたいので退去して欲しいとのこと。契約は更新しないと言ってきた。

 田中さんは、契約更新間際になって突然言われても出て行くことはできないと断ったが、3時間も粘られて一方的に話をされ、ほとほと困ってしまった。

 田中さんは、インターネットで検索し、立川市に組合があることがわかり、早速に相談に行った。

 「家主は解約するには1年前から半年前まで解約の通告をしないと契約は従前と同一の条件で更新される(借地借家法第26条)ので、明渡しの話には一切応じる必要はない」とアドバイスを受け、今度家主と会う約束をしているのであれば、面会を断り、「今後の交渉は組合に任せている」と伝えることにした。

 家主から早速組合に連絡が入り、電話でのやり取りだけだったが、今回の明渡しを家主は断念。

 この度、更新契約書の作成を求めてきたが、契約書の内容が前より借主に不利であるため突き返すことにした。


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2006年11月11日

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ペット可のマンションで犬の鳴声が喧しと僅か2ヶ月で契約を解除される
犬を飼いたくて、ペット可のマンションを探し当てた。家賃6万9000円、礼金2ヶ月、敷金3ヶ月の計34万5000円を支払い今年5月に引越しを完了した。

 ところが入居してすぐに家主から複数の他の入居者から犬の鳴声が喧しいと苦情が出ているので契約を解除する。7月末までに部屋を明渡して欲しいと通告された。納得できないまま7月末でマンションを退去した。

 8月中旬、不動産屋から敷金の清算書が届き、室内クリーニング代・床張替等の原状回復費が差引かれ、8万5800円が返金されることになっていた。僅か2ヶ月で契約を解除され、高額の費用を負担させられ、何とも納得がいかない。

 インターネットで組合を識り、相談した。組合は、引越費用、仲介手数料等は別途請求することにして、取敢えず、34万5000円を少額訴訟で取り返すための準備をした。


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2006年10月
2006年10月10日

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建物明渡で裁判中
一時使用目的の契約を何回も更新した上で一転明渡し請求

昭島市中神町で米軍ハウスを借りている立野さんは、子育てをしながら画家の仕事をして頑張っているお母さん。

 平成4年8月に同ハウスを家主と直接交渉して借りた。というのは同ハウスは空家になっていて、不動産屋に聞いても「家主は貸さない」と言われたからだ。建物は木造瓦葺きの平家建で79.33m2と広く、庭もブロックの塀に囲まれていて、敷地も広いので立野さんはどうしても借りたくて、再三武蔵村山市の家主の自宅を訪問し、貸してもらいたいとお願いした。

結局立野さんの願いが届き、家主も「貸しましょう」と言ってくれた。その時の契約書は「確定期限付」と書かれてあり、その後3回更新したが、その時の契約書は「一時使用目的」とされ、特約として「契約期間中貸主より解約の予告があった場合無条件で明渡す事」と書いてあった。

 昨年7月に入り、家主は突然明渡を請求し、家賃の受領も拒否し、今年の3月には東京地方裁判所八王子市部に建物明渡しで裁判にかけてきた。裁判では立野さんが借りた時や更新の時の経緯が問題になった。家主は明渡の理由は一時使用契約であることと、土地の有効利用の必要性を主張した。

 立野さんは借りた当時も一時使用の合意は一切なかったこと、契約の更新時にも家主から明渡の話しもなく、不動産屋からも一時使用の説明もなく事務的に署名したものであること等を反論し、現在裁判を独力で闘っている。


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2006年10月06日

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更新料不払い
 借地人8人が一致団結し更新料の不払いで大きな成果

 八王子市本町の大村富三さん他7世帯の借地人一同は、地主の更新料請求の調停申立てに対し、八王子簡易裁判所に調停不調の上申書を昨年9月に提出した。

 上申書には、更新料請求を拒否した経過と、地主の代理人から契約解除の通告を受け、地主には正当事由がないため昨年5月1日をもって法定更新していることを主張した。また、更新料については最高裁昭和51年10月1日判決、同53年1月24日判決で、借地人には更新料支払い義務のないことは確定していることを主張した。

 地主の代理人から「前回更新時の契約書で次回の更新の際に更新料を支払う。金額は契約更新の時期に至った時当事者双方で協議して定める旨の約定がある」との全く嘘の主張に対しては、契約書の中にもそのような合意は一切ないことを明確に反論した。

 八王子簡易裁判所からは、昨年11月19日付で地主側が8名の借地人全員の調停申立てを全て取り下げたとの事由で「調停終了通知」が各借地人に送られてきた。その後現在まで、地主の側からは何らの動きもなく、地主の不動産業者や弁護士まで使った執ような更新料請求はひとまず陰をひそめた。

 最初は地主の代理人から、契約解除の内容証明郵便を送りつけられたり、「更新料を支払わないと孫子の代で借地権はなくなる」と脅かされたり、裁判所に調停を申し立てられたりと、この1年、借地人一同「ハラハラドキドキ」だったが、組合の指示に従ってしっかりと結束したことが、今回の結果に結びついた。


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2006年10月04日

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階下の居住者者が大暴れ
酒乱男がバットを振って、ドアを蹴るため危険を感じて110番

 国立市谷保の3階建て賃貸マンションの2階に昨年10月に引っ越してきた松政陽子さんは、引っ越して2週間後の11月8日の夜10時頃突然下の部屋から壁を叩くような音がした。だんだん音が近づいてくるので、ドアを開けてみると、男が廊下の手すりをバットで叩きながらこっちに向かってくる。松政さんは、危険を感じてドアを閉めて鍵をかけた。男は、ドアを蹴って「外へ出て来い。ぶっ殺してやる」と怒鳴り始めたので110番した。

 どうやら下の男は酒乱で、普通の生活音にも異常に敏感で、警官が来ても「今度やったらぶっ殺してやる」と叫ぶ有様で、その場は何とかおさまったが、生きた心地がしなかった。

 翌日早速、物件を紹介した不動産会社のエイブルの担当者に連絡し、家主にも事件のことを報告した。下の酒乱男は以前にも同じような騒ぎを起こし、3ヶ月住んで出て行った人がいたことが分った。

 松政さんは、一日も早くここから出て行きたいとエイブルの担当者に相談したが、誠意のある返事が返ってこなかった。困って組合に相談したところ、エイブル本社に直接連絡を入れるようにアドバイスを受けた。その後組合役員と一緒に立川店を訪問した。

 その結果、敷金と礼金3か月分を返して貰い、手数料なしで日野市内の物件を紹介してもらい無事引越しを終えた。松政さんは、「あの時は本当に心細く、組合が地獄に仏と思いました」と語っている。


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2006年10月02日

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更新料請求を撤回
八王子市本郷町で70坪を借地している中西さんは、今年の6月末で契約期間が満了する。地主の代理人の弁護士から、�@更新する意思があるか。�A更新する場合は地代を月額坪当り500円から750円に値上げする。更新料については協議して欲しい。�B契約書を作成して欲しい。以上3点について回答を求められた。

 中西さんは、組合から内容証明郵便で�@更新については旧借地法第4条に基づき前契約と同一条件で更新を請求する。�A更新料は法律上支払義務のない金銭であり支払えない。地価下落の中50%の値上げには応じられない。�B前契約と同一の条件で地代を据え置くなら契約書の作成には応じる用意はあると回答した。

 地主はその後、無断で増改築したとの因縁をつけてきたが、壁や屋根を塗装し、窓をサッシにしただけで増改築には当たらないと反論。その後、脅しが通用しないとわかったのか地主の態度が変わり、協議の結果他の借地人も含め坪20円の値上げで決着した。


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2006年8月
2006年08月31日

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納得できる条件で立退合意
納得できる立退条件で家主と合意

 江戸川区船堀7丁目の借店舗で靴屋を営む仲谷さんは、40年前の建物新築時から入居していた。建物は、各所で雨漏りがする状態になり、居住者が1人減り2人減りして、今では仲谷さんがたった1人になってしまった。

 家主は2000年8月に明渡調停を。調停は、結局2回開いて取り下げた。仲谷さんは雨漏りがひどいので家主に「…本書到達後10日以内に修繕してくれない場合は、当方で修繕しその費用は家賃と相殺します」という内容証明郵便をだしていた。

 ところが、本年7月に来た台風で隣の店の表看板が落ちた。家主は、消防署と警察から警告を受けた。 この事件を契機に、こう着状態であった交渉が一気に進展した。

 家主の代理人の不動産業者と組合の協議が7月24日に再開。組合は仲谷さんの営業補償を要求。即日、家主は応諾した。8月2日には、仲谷さんが納得できる条件で立退合意を家主と行った。

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2006年08月29日

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借地権譲渡で合意
大田区上池台5丁目に居住する小林あきのさんが、組合への加入は供託所で当組合員と知り合い紹介されたことだった。

 48・8坪の借地に関する更新料550万円の請求を受けて、117万円余の支払いを提示したが合意に至らず供託することになったが、80歳を越えて体には大変厳しいとのことで平成7年6月に組合に加入した。

 同年12月には、小林さんが提示した更新料の相当額を求めて地主は調停裁判に持ち込んだが、不払いを主張し不調になった。

翌年10月には明渡しの裁判になった。裁判で地主は立退料1500万円を提示。高齢で1人暮らしの母を心配する息子の意見を受入れて、息子の住む川越市に移転する方針で裁判に望んだ。1年半の時間が掛かったが、この程、提示額の2倍余の金額で今年の6月末引渡しの内容で合意した。

 先日、小林親子が組合事務所にきて、息子は自宅に母の住いを確保したと報告。当初は心配したが大変満足できる内容になったと喜んでいる。


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2006年08月22日

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堅固建物を許可
大道路拡幅での建替えに
地主が承諾せず裁判所に申立て

 東村山市栄町2丁目で、西武線の八坂駅の傍でパン屋を営業する澤田浩司さんは、東京都の道路拡幅工事で建物と借地の一部112坪が買収されるため、拡幅後の残地176坪に堅固建物を建てるため平成8年地主に許可を求めた。

 地主は建替えを許可しないばかりか、道路拡幅の借地権の補償も5分5分を主張したため、澤田さんは同じ借地人の阿倍さんとともに東京地裁八王子支部に借地条件変更の申立てを行った。審理は長期化し、鑑定も2度行われた。昨年の5月8日にやっと裁判所の「決定」が下りた。

 決定は、澤田さんの道路拡幅後の残地に鉄骨造地上4階建の堅固建物を建てることを認め、付随処分として条件変更に伴う財産上の給付として更地価格1708万円の1割170万8千円が相当であり地代は月額2万4844円(残地月額1万5167円)に変更することが決まった。

 裁判所の判断では、道路拡幅で澤田さんの店が全てなくなり、2階も居宅の6畳2間を失い営業も生活も出来なくなることから、4階建の堅固建物に改築することが必要であることが認められた。借地の一部についてのみ条件変更の申立てをすることは許されないとの地主の主張については、「相手側に不当な不利益は認められない」と退けた。

     
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2006年08月21日

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敷金全額返還請求
敷金を超える修繕費の要求
           故意過失がないので敷金全額返還請求
 豊島区内のマンションに住んでいた後藤さんは3月末に退去した。管理している不動産会社から5月に入り、17万円の原状回復費用の請求があった。家賃の2ヵ月分の敷金14万円を預託しているので3万円を支払えといってきた。僅か2年の居住で、しかもきれいに生活していた後藤さんにとっては納得いかない請求であった。

 インターネットで組合事務所の電話を調べ相談しにきた。国土交通省や東京都の原状回復のガイドラインや、昨年の最高裁判決(2005年12月16日判決)も説明し「不動産会社にもう一度ガイドラインに基づいて請求をしなおしてください。話合いに応じない場合は東京都に通告し、法的手続きをします」と通告するよう指導した。

 不動産会社はしぶしぶガイドラインについては知っていること。貸主にそのように説明し、敷金は全額返却するが、貸主を説得するために3万円くらい支払ってくれないかと提案してきた。

 「組合のおかげで敷金は返ってきましたが、納得のいかないお金は支払えない、最後まで頑張る」と後藤さんは話していた。       


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2006年08月18日

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欠陥が多発のマンション
 修理請求は回答せず、更に水道代を3倍値上げ

 仲村さんは、豊島区大塚のマンションに住んで、10数年経過した。入居当時から、不動産業者の重要事項の説明では、取り付けてあるはずのテレビのアンテナ配線がない、風呂場にシャワーがついていないなどのトラブルがあり、管理人を通して通知していた。

 一向にらちがあかないので、自費でもってケーブルテレビの配線をし、シャワー口の取り付けをするなどをしていた。しかしここに来て、水道代がそれ以前より、2倍から3倍の請求があるなど問題が多発し、管理人を通して話合いの請求をしていたが、納得できる回答がないまま過ぎてしまった。

 誠意ある回答がないので、家賃の不払いで対抗してきたが、家主の会社が倒産し、清算人に移行しているという話が浮上し、心配になって組合に相談した。

 組合では、仲村さんと相談し、「(1)家賃の未払いは明渡しの要因になるのですぐに支払いをする。(2)その上で、この間の経過を内容証明書で相手方に送付する」ことにした。抵当権が設定される前に入居しているのでじっくりと交渉することにした。


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2006年08月16日

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立退きで和解
 業者は立退き補償を
             当初金額の2倍を提示

 地下鉄有楽町線、要町駅から3分の豊島区千早町に住む河野さんは、焼け野原だったこの土地に戦後まもなく住みついた。当時は水道もなく井戸水を使用していた2軒長屋だった。

 この土地がバブル崩壊のあおりを受け、競売にかかる事になった。競売になった前後から、いろいろな不動産会社が河野さん宅を訪問し、「立退く意思があるのか」「ここは抵当になる前から、住んでいるから居住権があるから」。中古のマンションが買えるような補償がでるなどいろいろ言っていた。

 以前から組合に入会していた河野さんは、その度に組合に報告し相談してきた。競売の結果、「中古のマンションが買えるような金額を補償する」言っていた業者が、他の業者と一緒になって挨拶にやってきた。河野さんは、「条件が合えば明渡しに応じてもよい。話合いの窓口を組合にする」ということを相手に通知した。

 業者は、最初中古マンションを買えるような補償といったのは、言葉のあやなどと言った。それならば住み続けるしかないというこちらの回答で、業者が最初提示した金額のほぼ2倍以上の立退き補償額提示した。 河野さん「組合のおかげで安心して引越しが出来ます」と言っていた。

 東京借地借家人新聞より

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2006年08月15日

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家賃25%値下げ
豊島区池袋駅から15分、住宅地の中にある中華料理店を経営している伊藤さんは、バブルの頃に大幅な値上げをされ、その後10年間も賃料の値下げをせずに商売をしていた。しかし、この不況のあおりと年齢的にも現状の賃料では商売していけないと判断し、店を閉店する事にした。

 組合員でもある伊藤さんは、家主に店を閉店することを通知した上で、家主がどのような対応をするかで最終的な判断をすることにした。

 通知して2週間後、家主からは店舗付住宅を買取ってくれと言う話が最初持ち込まれた。しかし、建て直しをした際には大幅な面積の縮小になるので断ったところ、家賃の大幅な値下げ(現行の25%減額)を提案してきた。

 家主も伊藤さんが出て行った場合、今後店を貸す当てがないために賃料の大幅な減額して引き続き借りてもらったほうが得策と判断したと思われる。伊藤さん「瓢箪から駒。出来る所まで頑張ります」と語った。


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2006年08月12日

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家賃値下げ合意
3年間では124万円の減額
          近隣より高額な現行店舗家賃

 豊島区上池袋でスナックを営業している豊田さんは賃借している店舗の賃料が、近隣と比較しても高いために賃料値下げをさせたいと考え組合に入会した。
 3年毎の更新では、新賃料の2ヶ月分を更新料として支払っていた。

 今回、組合から家主に対して「経済事情の動向、公租公課の増減、近隣の相場どれ一つとっても値下げの要因ばかりです。しかも、今年、5月の2階からの水漏れについても、修理修繕も全くなされていない。今回の更新に際して、賃借人は、賃料を現行の13万円を10万円に値下げと更新料支払の特約削除を要求する。賃貸人が話し合いに応じなければ法定更新にする。今後の話合いの窓口は組合にする」という通知をした。

 組合からの通知に話合いを拒否していた家主は「家賃を11万5000円にし、更新料を1ヶ月とする」という逆提案をし、家主が直接話し合いたいと連絡が入った。

 家主は知り合いの郵便局長とともに来た。その局長は、家主の立場をしきりと擁護したが、組合と豊田さんが、賃料減額の正論を堂々と述べた所、最後は、賃料を10万円を支払うという合意が出来た。

 この合意について豊田さんは「3年間で、124万円の減額になり、どうにか商売を続けていく事が出来ます」と喜んだ。


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2006年08月05日

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家賃一万円値下げ
  豊島区南大塚でスナックを営業している大平さんは、この8月に店舗の契約更新を迎えていた。7月に家主から突然契約更新するならば、更新料を2ヵ月分(契約書では1ヵ月分)支払って更新をする。しかも事務手数料半月分請求された。

 驚いて前回更新時の不動産屋に相談した所、組合を紹介され入会した。その後大平さんは、組合と相談しながら家主の代理人である不動産会社と交渉した。

 その際、賃料の値下げとケーブルテレビ設置の工事も要求する事にした。まず、賃料の値下げを先行して交渉し、現行賃料の9万円を1万円値下げさせた。その上で、更新料については、前回の契約通り1ヵ月分、事務手数料については支払わないことにし、受け入れなければ法定更新にすることも含め交渉した。

 家主の嫌がらせが続いていた中で、ケーブルテレビの工事についても最終的に契約書の中に書き込ませる事ができ決着した。大平さんは「組合と相談しながらの交渉でやる事が出来ました」と述べていた。

            
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2006年08月03日

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家賃の値下げで頑張る
 家賃15万円を7万円に値下げ要求
                 家主は9万円を回答

 池袋の駅から歩いて15分位の所にある美容室カサブランカは、この地で商売をして約30年近くたっている。

 林さんが、ここで商売をはじめた頃は順調に進み、家主からの家賃の値上げについても、ほぼ言われるとおりに値上げに応じてきた。バブルの頃は、毎年のように値上げされ、それでもそれを上回る売上もあり応じてきた。バブル崩壊後も近隣の相場が軒並み値下げしてきても家主の言われるままに支払ってきた。

 ここにきて、自分も後何年仕事や商売が出来るか、そんな事を考えていると現在の家賃のことが気になるようになった。又、2年間近く空家になっていた隣の店舗がこの春入居して、賃料がいくら位のものか問い合わせた所、自分が支払っていた賃料の半分だったというのがショックで、なんとしても賃料の値下げをしたいと思うようになった。

 お店に来る知り合いから、借地借家人組合に相談したらよいと教わり、組合事務所を訪問した。
 組合で相談したところ、がんばって値下げ交渉をすることを勧められた。組合事務所から賃料値下げの話し合いをしたい旨、通知書をだした。「経済事情の動向、公租公課の増減、近隣の相場どれをとっても賃料値下げの要因である。しかも、お隣の賃料は当方の賃料の半分ということで現行15万円を7万円にするよう提案する」という通知に対して、家主側は、第1回目の回答で9万円を示してきた。

 家主から、この回答を引き出した林さんは自信をつけ「7万円にするようがんばってみたい」と決意し、第2回目の交渉に臨んでいる。

             

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2006年08月02日

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移転条件で合意
近隣に新店舗開き再出発
  移転料は当初提示の1.5倍で合意

 豊島区上池袋で中華料理屋を営業している加藤さんは、近所の噂で立退きの話がされていたので、あらかじめ城北借地借家人組合に加入していた。

 去年の11月に、家主の代理人という不動産業者が店に訪ねてきた。業者は「建物が老朽化したので立退いてほしい。立退補償や期限については話合う用意がある」と言ってきた。事前に組合に入っていた加藤さんは「借地借家人組合の組合員なので、今後の協議は組合を通じて行う」と返事をした。

 加藤さんは、今後も商売を続けていきたいと考えていてが、この機会に心機一転し、出直ししたいと心に決めて、今回の立退きの話をすすめることにした。
 交渉は組合が窓口となって家主の代理人の不動産業者と何回か話し合いをした結果、今年の1月に、立退補償を最初に提示した金額の1.5倍で合意した。

 新しい店舗も近所ですぐに見つかり、加藤さんは「組合のおかげで新しい店で、再出発ができます。後何年できるかわからないけれど頑張りたい」と語った。


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2006年9月
2006年09月27日

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屋根の葺替え実行
  組合役員が付っきりで見張り
          屋根の葺替え実行
            地主の妨害全く受けず

 江東区東砂3丁目の借地でクリーニング店をやっている中瀬さんは、建物の雨漏りがひどいので、屋根の全面葺替えをすることにした。

 地主は、地元では有名な強欲地主。中瀬さんは、かつて昭和63年の契約更新時に堅固な建物を建てる予定で更新料、名義書換料、借地条件変更料、増改築承諾料として僅か21坪で483万円もの大金を支払って30年間の契約書を作った。

 契約書には「5年以内に1回限り甲の承諾なしに建物の増改築を認める」と書かれているが、中瀬さんは増改築をしないまま他界され、5年の期限が過ぎてしまったため、せっかく支払った建替承諾料が無駄になってしまった。 

 そんな経過があって、今回の屋根の葺替えは、地主がどんな態度にでるか分からず、心配なので、組合の応援を受けて工事を進めることにした。

 7月18日着工。2日間で工事は完了した。工事中は組合役員が付きっきりで見張りをしたが、地主からは、なんの妨害も受けなかった。


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2006年09月23日

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新家主から店舗の明渡し
立退料192万円の提示を断る
従前と同一の条件で更新

 JR立川駅から徒歩10分ほどの高松商店街で書店を経営している比留間さんは、借地人である家主が立川駅前で経営する中華料理店が倒産したため、借地権と建物を今年の6月10日付で地主に売却した。地主である新家主から、6月5日に「立ち退き通知書」送られてきた。

 内容は、5月31日付で前家主との間で借地権と家屋の売買契約が成立した。立ち退きの件については、家賃月額16万円の12か月分192万円を支払う。敷金百万円は立ち退いた後原状に復帰した時点で精算する。

 比留間さんは、昭和52年に開業して今年で25年になる。長引く不況と駅前の開発の影響で、櫛の歯が欠けるように廃業する店が相次ぎ、隣の家具店がやめた跡地を地主は現在駐車場用地として貸している。比留間さん達を立ち退かせることが出来れば大きなマンションも十分に建つ。

 その後、家主は2年間のみ貸す等の条件を提示してきたが、組合の支援も受け比留間さんはいずれも拒否。結局6月1日から前家主と全く同じ条件で3年契約を更新した。


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2006年09月19日

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増築
更新料は断わり、地代は相当額で供託中

 小平市小川西町で54坪を借地している大崎さんは平成3年に地主から契約書を送りつけられ、契約の更新の名義変更料として200万円を請求された。都の相談室の弁護士に相談し、法律上根拠のない名義変更料と契約書の作成を拒否した。

 すると地主は、翌年の平成4年に地代を坪1100円から1400円に値上げしてきた。 大崎さんはたまらず値上げを拒否し、坪1100円で地代を供託した。

 大崎さんは母親と夫婦と子供3人の6人家族で、子供さんも成長したので、増築して子供の勉強部屋を作れないか思案し組合に相談をした。

 幸い、大崎さんの最初の契約書には増改築の定めがなく、また大崎さんは東京都の職員で都の職員共済組合で地主の承諾書がなくても融資が可能であることなどから組合の紹介で住宅生協に工事を依頼した。

 工事は4ヶ月間かかったが、幸い地主の妨害もなく工事は順調に行なわれて完成した。子供達も自分の部屋が出来たと大喜びだ。

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2006年09月16日

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明渡で全面勝訴
  受領を拒否され供託すると 
            供託無効だと借地契約解除

 小平市小川西町に住む北久保さんと当間さんは、一昨年以来地主と係争していた「建物収去土地明渡請求事件」で昨年11月25日に東京地裁八王子支部で原告の地主の請求を棄却するという借地人全面勝訴の判決を勝ち取った。

 裁判では、原告は「昭和63年分から平成3年分の賃料は原告に弁済の提供をしておらず、原告は受領を拒絶していないので、被告のした供託は無効である」、「平成3年12月4日到達の書面で、昭和63年1月1日以降の遅延賃料を書面到達後1週間以内に支払うよう催告したが、期限までに支払がないので契約は解除された」などと主張。

 北久保さんは、昭和63年12月頃、平成元年4月25日に昭和63年12月頃、平成元年4月25日に昭和63年分の賃料を提供したが、原告から受領を拒否されている。また、平成3年12月16日到達の書面で、平成2年分まで賃料を供託しており、遅延賃料など存在しないと反論した。

 裁判では、借地人が平成3年度分の賃料の供託がたった1週間地主の催促日より遅れたことが問題となった。

 判決は「建物所有目的の土地の賃貸借契約の解除については、債務不履行を理由とする解除要件が形式的に満たされていたとしても、債務不履行の態様が未だ賃貸人賃借人間の信頼関係を破壊したとはいえないような事情がある場合には、信義則上解除の効力を主張することは許されない」と判断した。
 地主は控訴できず、判決は確定した。

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2006年09月12日

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非訟手続で建物を建替え
非訟手続で建物を建替え

 大田区池上4丁目の若林さんは、親の遺産借地約60坪を継承した。
 しかし、地主は「親に貸したのでお前に貸した覚えはない」と、相続を認めようとしない。しかも地主は不動産業者に依頼して土地の返還を求める始末だ。業者に諌められて等価交換の話になったが、地主は業者の説得も聞き入れず、7割、6割の取り分を主張するので業者は手を引き、協議は決裂した。

 若林さんが望んでいた家屋建替えの承諾も再三にわたり拒否し、地代は供託するに至った。
昨年、建替えの非訟手続を取ったが、地主は一度も出廷せず、今年の4月に承諾料が確定した。

そこで、支払のため地主に連絡しても応じず、若林さんと組合役員が直接地主を訪ねたが地主はドアも開けずに受領拒否。若林さんは直ちに供託し、建替え工事に着手した。

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2006年09月09日

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原状回復請求34万が
修繕費で追及請求
内容の不備を指摘すると
請求額をどんどん下げる


  練馬区に住む沖山さんはある大手の管理会社が管理しているマンションに住んでいた契約どおり1ヶ月前に管理会社に通知をして退去する事になった。引越当日は、6年間も住んでいたので、絨毯や畳の一部は家具を置いたところと置いてないところなどでは日焼けなどで色が違っていた。又、本人の過失で襖に穴などがあいていた。台所などでも冷蔵庫などが置いてあった所とそうでない所では汚れなどで色などが違っていた。そのような個所、気になるところはほとんど全部写真に写しておいた。

 退去してから、管理会社から、原状回復費用を請求されて愕然とした。19万2000円の敷金に対して、請求はなんと約34万円の請求だった。沖山さん、こんな馬鹿な事があっていいものかと思いトラブル対策ガイドの本を見て、借地借家人組合に電話。

 組合で、敷金返還と原状回復についての知識を得て、このような費用の請求は原状回復とは違うのではないかと管理会社に電話すると2回目の請求金額は約22万円になった。FAXで送れてきた請求内容と写真をみて原状回復費用とは無縁の次に入居する人のためのリフォーム代であるということで再度、電話した。

 3回目は12万円になった。応対した大手管理会社の社員は国土交通省のガイドラインに照らしているといってこの金額が正当であると言っている。沖山さん「バナナの叩き売りでもあるまいし、こちらが知識をもって交渉すると値引きする。こんな事が大手の会社が行っていることは許されない。裁判も辞さない覚悟で最後までがんばる」と語った。

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2006年09月04日

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敷金の90%を返還
   いい加減な修繕請求を拒絶
         敷金の90%返還

 草加市青柳の黒田茂さんは、足立区内のマンションを昨年10月末日に退去した。11月28日に家主の不動産業者から49万6650円の退室精算書が送られて来た。黒田さんの預けてある敷金49万5000円に対して1650円不足しているという内容。黒田さんは、照明配線の修理代以外は、何もいじった物や故意・過失で壊したものがないので怒り心頭。

 黒田さんは家主が死去し相続中のため、照明配線の修理代2万5000円を差引いた敷金残金47万円を7日以内に返還せよと家主の不動産業者にFAXで通知した。

 すると、家主の不動産業者は、15万3300円という退室精算書を再送付してきた。全くいい加減な請求なので、直接、不動産業者に談判した。その結果、まず請求外の敷金残金34万1700円を直ちに返還させた。

 次に、相続人の代表者との直接交渉を要求したが家主側は相続でもめているとのこと。結局、家主の弁護士との交渉で黒田さんは残金10万3300円を返還させた。

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2006年09月01日

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更新料を請求される
地主からの更新料請求は断わり、
                 法定更新を主張した

 昭島市拝島町で113坪を借地している森谷さんは、地主から今年の4月末で借地契約が満了するので、更新料として205万9000円を試算したので協議に応じるよう通告された。

 森谷さんは、戦後間もなく義理の兄が工場として借地していた土地を地主の了解を受け、昭和30年に名義変更して借地権を引き継いだ。

 その後、地主から20年経過した昭和51年に契約書を作成するとの話があり、森谷さんは法律のことは何も分からず、言われるままに契約期間10年の更新契約書を作成した。

当初、旧借地法第5条に基づきさらに20年間法定更新されると、平成28年が更新時期で今年は更新時期ではないと主張したが、地主は借地法2条1項に基づき、期間10年は無効となり、当初の存続期間30年で、そこから契約時期が始まっていると主張してきた。

 その後、森谷さんに事情を聞いたところ、戦後兄が契約した当時は、契約書もなく借地の目的が建物所有を目的としていたかどうかも不明で、昭和51年に森谷さんの自宅を建てるために初めて契約書を作成した経緯があった。

 そこで、今年の4月末日で契約期間が満了したという地主の主張は認めるが、契約期間満了後も借地の継続について地主は異議を述べていないことから、森谷さんは法定更新を主張することにした。また、更新料については支払い義務がないことから、はっきりと拒否することにした。

 東京借地借家人新聞より



借地法
第2条 借地権ノ存続期間ハ石造、土造、煉瓦造又ハ之ニ類スル堅固ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ60年、其ノ他ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ30年トス
但シ建物カ此ノ期間満了前朽廃シタルトキハ借地権ハ之ニ因リテ消滅ス
2 契約ヲ以テ堅固ノ建物ニ付30年以上、其ノ他ノ建物ニ付20年以上ノ存続期間ヲ定メタルトキハ借地権ハ前項ノ規定ニ拘ラス其ノ期間ノ満了ニ因リテ消滅ス
 
第3条 契約ヲ以テ借地権ヲ設定スル場合ニ於テ建物ノ種類及構造ヲ定メサルトキハ借地権ハ堅固ノ建物以外ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノト看做ス

第5条 当事者カ契約ヲ更新スル場合ニ於テハ借地権ノ存続期間ハ更新ノ時ヨリ起算シ堅固ノ建物ニ付テハ30年、其ノ他ノ建物ニ付テハ20年トス
此ノ場合ニ於テハ第2条第1項但書ノ規定ヲ準用ス
2 当事者カ前項ニ規定スル期間ヨリ長キ期間ヲ定メタルトキハ其ノ定ニ従フ

第11条 第2条、第4条乃至第8条ノ2、第9条ノ2(第9条ノ4ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)及前条ノ規定ニ反スル契約条件ニシテ借地権者ニ不利ナルモノハ之ヲ定メサルモノト看做ス


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2006年7月
2006年07月30日

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明渡を拒否
家主のアパート建替明渡請求に正当事由がないと断固拒否

 板橋区中板橋の鈴木さんは、このアパートに住んで50年近くになる。隣に住む家主とは古い付き合いで、トラブルらしいことは一度もなかった。
 建物は古く、一部にヒビも入っていたが、2年前に契約更新して、来年の4月まで契約期間があった。

 ところが、建物を相続した子供達が6月に「建替えるので、明け渡せ」と言ってきた。鈴木さんは、契約の残存期間もあり、争いごとは好まないので、そのうち引越そうと思っていた。
 しかし、家主は不動産屋を介して「引越料は出さない、来年早々に明渡せ」と強く要求してきた。

 困った鈴木さんは、借地借家人組合に相談した。組合では早速「明渡請求には正当事由が無い。建物は古いが住めないわけではない」と、家主に通知をした。
 家主は、内容証明郵便で、昭和19年の大審院判例などを挙げて争う旨、通知してきた。

 その後、組合が代理人の不動産屋に「2年前にはまだ住めると言って契約を更新した」ことなどを指摘すると、「申し訳なかった。鈴木さんが希望する家賃の20ヶ月分の支払には応じますので、話し合いをまとめてください」と譲歩してきた。

 鈴木さんは「一時はどうなることかと思ったが、組合にお願いして助かりました。私のような者が安心して住めるような世の中にしてください」と語った。

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2006年07月29日

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交渉で地代値下
地代減額の請求で値下げが認められる 

 豊島区南大塚に住む田中さんは、戦前から借地して住んでいた。戦後、焼け跡の中から、家を建て住み続け、今日にいたった。地主の言う通りの地代を支払っていたが、地主も代替わりし、借地人も代替わりし、地代を調べてみると税金の5倍以上になっていた。

 田中さんは、組合のアドバイスも受けながら、地主に地代減額の請求をした。地主からは「減額請求する人間がいるなんて聞いたことがない」と回答された。

 インターネットなどで不動産鑑定協会などのデータや税金が平成9年以降下落していることなどを調べ上げて交渉にのぞんだ。地主は田中さんの請求に押され、現行の約半分とし、税金の3倍程度にすることで合意した。

 田中さんは「かつては税金の3倍程度だったが、税金が下がっているのに地代は下がっていない。減額請求している人が少ないからです。ダメでもともと組合員は請求すべきです」と語った。

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2006年07月26日

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地主が底地の買取りを求めてきた
14年間続いた借地の係争が解決


 大田区久が原1丁目に居住する北嶋さんは、土地賃貸借契約更新の際に更新料でトラブルが生じ支払を拒否。地主も地代の受領拒否し供託に至った。

 5年前頃地主は地元の不動産業者に依頼し、組合役員との交渉で建物の改造・大修繕工事の承諾の条件で金額も合意したのだが、地主は業者の意向を無視、またも地主のわがままで決裂。

 例年を上回る暑い真夏に天使がやって来た。地主が大手不動産業者を介して底地の売買値段を提示、北嶋さんは提示額に不満はないが、頑固に組合との交渉を主張した。組合役員が提示底地価格の45%の減額を求めたが、交渉の結果的は33%の内容で合意した。

 先日、決済され、10年ひと昔というが、14年目にしての解決となった。

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2006年07月21日

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店舗の明渡し
 老朽化で倒壊の危険ありとする
            家主の主張退けて勝訴

豊島区上池袋、池袋駅から歩いて15分位にある大通りで中華料理店とスナックを営業している高橋さんと渡辺さんは、一昨年、家主から明渡しを求められた。家主の条件は引越料程度だすが、後は一切補償しないというものだった。渡辺さんは入っていた民主商工会の紹介で、高橋さんとともに組合に入会した。

 その後の話合いは一方的で、話合いにもならない。家主は、建物明渡請求裁判を東京地方裁判所に起こしてきた。
 家主の主張では、本件建物は昭和24年に建築され、老朽化が著しい。その上、大通りに面しており、振動などの影響で建物内部構造がゆがんでおり、このままでは、地震等による倒壊の危険があると主張してきた。その証拠として、区役所が作成した耐震診断書を提出してきた。

 高橋、渡辺さんは、日常の営業のなかでは、倒壊の危険を感じたことがないこと、家主が2階を増築した時やその後、特別な補強をしなかったことが原因であるが、簡単な補強工事で十分耐震性のあるものにすることができること、家主自身、他に転居することなく生活していることから老朽化はしているが、朽廃が迫っているとはいえないと主張した。

結果は、家主の主張を退け高橋、渡辺さんの勝訴となった。

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2006年07月17日

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保証金の90パーセントが返還される
支払督促の手続きの和解で
              保証金の90%が返還された

 板橋区幸町に住む佐藤さんは、同じ町内で蒲鉾製造販売の商売をしていた。今から20年以上も前に再入居というかたちで、新しいビルに入居した。

 家主とは、再入居直後に店の前にある電柱の撤去をめぐって1年以上の争いがあり、その後、水道代、電気代の支払問題などで争いごとがあった。又、二年毎の賃料の値上げが、契約書の中に記載されており、いつのまにか近隣の相場からしても大変高い賃料になっていた。

 佐藤さんは、高額な家賃と長引く不況の中で、これ以上商売として続けていくことが困難になり、廃業することを決意した。しかし、この家主は、明け渡したあとも支払った敷金や保証金を返却しないという評判で、150万円近い保証金が返却されるかどうか不安になり、以前から知人に紹介されていた組合に入会した。

 今年の2月末に店舗を明渡した。1ヵ月後、保証金の返還を求めたところ、原状回復費用を50万円近く求めてきた。早速、組合から手紙を出したところ「裁判でもなんでもやってくれ」という返事だった。

 そこで、佐藤さんは保証金返還の支払督促申立の手続きを東京地方裁判所におこした。準備書面などを組合と一緒になって準備し、裁判所に出向いた。
 組合の事務局長も一緒に和解室で、裁判官立会いのもとで、条件について話し合い約9割近くの保証金が返還されることになった。

「組合の人が、和解室まで立ち会ってくれて大変心強かったです」と佐藤さんは喜んでいた。

東京借地借家人新聞より



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2006年07月14日

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更新料を請求される
地主からの更新料請求は断わり、
                 法定更新を主張した

 昭島市拝島町で113坪を借地している森谷さんは、地主から今年の4月末で借地契約が満了するので、更新料として205万9000円を試算したので協議に応じるよう通告された。

 森谷さんは、戦後間もなく義理の兄が工場として借地していた土地を地主の了解を受け、昭和30年に名義変更して借地権を引き継いだ。

 その後、地主から20年経過した昭和51年に契約書を作成するとの話があり、森谷さんは法律のことは何も分からず、言われるままに契約期間10年の更新契約書を作成した。

当初、旧借地法第5条に基づきさらに20年間法定更新されると、平成28年が更新時期で今年は更新時期ではないと主張したが、地主は借地法2条1項に基づき、期間10年は無効となり、当初の存続期間30年で、そこから契約時期が始まっていると主張してきた。

 その後、森谷さんに事情を聞いたところ、戦後兄が契約した当時は、契約書もなく借地の目的が建物所有を目的としていたかどうかも不明で、昭和51年に森谷さんの自宅を建てるために初めて契約書を作成した経緯があった。

 そこで、今年の4月末日で契約期間が満了したという地主の主張は認めるが、契約期間満了後も借地の継続について地主は異議を述べていないことから、森谷さんは法定更新を主張することにした。また、更新料については支払い義務がないことから、はっきりと拒否することにした。

東京借地借家人新聞より


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2006年07月13日

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保証金を取り戻す
修理代で家主と交渉
      保証金の償却分を除く全額返還

 埼玉県所沢市で学習塾を経営居していた渡辺さんは、今年の3月で学習塾を止めることにし賃貸借契約を解約した。契約時に預けた保証金300万円は、年2パーセントの償却分を除き、当然返却してくれるものと思っていた。

 その後、家主からはリフォーム代として40万円の請求をされ、「この金額を認めなければ保証金は返さない」ときつく言われ、困り果て知人に相談した。城北借組に入会していた知人は、組合を紹介した。

 組合事務所を訪れた渡辺さんは、事務局長から家主の退去時のリフォーム代請求について、建設省のガイドラインや、平成5年に出された大坂地裁の敷金返還裁判の判決などを資料にその不当性を説明され、すぐ入会した。

 組合の事務局長から「裁判も辞さない覚悟で家主と交渉する事。40万円稼ぐこと考えたらその位の労力を使って頑張ることが大事です」という励ましをうけた。

 その後、家主と不動産との交渉の中で、渡辺さんは、自分の主張を堂々と伝え交渉し、最終的には、保証金の償却分を除いた全額が返ってきた。

東京借地借家人新聞より


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2006年07月10日

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借家の明渡し
2月に更新し、3月に明渡請求
          立退料と更新時の費用返還で合意

 板橋区赤塚のマンションに住む田中さんは今年3月に2年間の契約期間が満了し、更新の時期を迎えた。2月末に窓口になっている不動産屋に更新料と更新手数料を支払い、契約を更新した。

 ところが、3月中旬になって家主は「建物が老朽化し崩壊する恐れがあるので立退いてくれ」という通知を寄越した。

 驚いた田中さんは、城北借地借家人組合が毎月開催している西武百貨店池袋店の「相談会」を訪ねた。
 相談員から「住み続ける権利があること、立退きに応じる場合でも適切な補償を請求できる」ことを聞き、同じマンションの居住者とともに組合に入って頑張ることになった。

 家主代理の不動産屋は、当初、家賃の6ヵ月分の補償を提案し「これで立退いた人もいる」と強弁していた。

 田中さん達は、組合が用意した「明渡合意書(案)」を示し、組合役員と一緒に交渉した。
 その結果、立退料は家賃の14ヵ月分と先に払った更新料と手数料は返還することで解決の見通しが付いた。

東京借地借家人新聞より


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2006年07月08日

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地主が更新料の請求を断念
更新料の法的根拠を求めた
地主の弁護士は更新料の請求を断念

 豊島区要町に33.5坪の土地を借地している加藤さんは、昨年末で借地契約期間の20年が満了し、更新を迎えた。10月頃に地主の代理人である弁護士から「近隣の相場である136万円を支払うよう」請求された。

 加藤さんは、組合と相談し「更新料の法的根拠、金額の根拠」を示すよう回答した。法的根拠を示すことの出来ない弁護士は「前回、更新料を支払った。これは更新料支払いの同意と同じである」と主張した。

これに対して、加藤さんは「前回の支払いは建替え承諾料で更新料ではない。又、前回支払っても、今回も同意したとはみなされないという裁判の判例もある」と回答した。

相手側の弁護士は、返事が出来なくなり、この4月に「更新料の請求を断念した。新しい契約書を作成したいので検討してください」という文書を送ってきた。

 加藤さん「組合と相談したおかげで、100%満足の回答です。でも、新しい契約がどのようなものか組合と引き続き相談していきます」と語った。

東京借地借家人新聞より



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2006年07月07日

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敷金を取り戻す
敷金でも嫌がらせ

 練馬区練馬でスナックを経営していた鈴木さんは、昨年4月に店舗を明渡した。店を借りた当初から家主の嫌がらせがあり、そんな家主なので敷金も返還されないという不安があった。案の定、敷金返還を拒否してきた。

 鈴木さんは組合に相談し、文書で敷金返還の支払督促の申立書を簡易裁判所に提出した。だが、家主は支払督促に異議の申立をし、通常裁判に移行した。

 家主の回答書は�@更新料2回分、�A敷金の償却分、�B未払い家賃3ヶ月分、以上の合計が家賃の7ヶ月になり、それらの債務は敷金と相殺され残金はなにもないと主張してきた。

 借主の主張は「�@更新料については法定更新されているので1回分は認める。�A家賃の未払いは認めるが、共益費の3ヶ月分は認めない。�B敷金の償却は契約書に記載されていないので認めない」というもので、この趣旨で準備書面を作成し裁判所に提出した。

 裁判所でも家主は敷金の返還を拒否したが、最終的には借主の主張通りの結果で和解は成立した。鈴木さんは「組合のお蔭で敷金を取り戻すことが出来ました」と語った。

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2006年07月05日

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敷金が戻る
敷金からクリーニング費用は
           差引かれたが残り全額が戻る

都築さんは千葉県市川市で9年前からマンションを借りていた。結婚のため引越しをすることになり、昨年の11月3日に管理を委託されている業者の立会いの下で退去の手続が無事に完了した。

 ところが、管理業者から原状回復費として30万3134円の請求が突然一方的に送られて来た。都築さんは敷金を18万5000円預託しているから約12万円の追加請求である。部屋を故意・過失で汚したり、傷つけたという所が全く無いと考えていたので、この請求には驚いている。

 友人の紹介で江東借地借家人組合に加入し、管理業者と直接交渉を開始した。先ず国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を示し、「故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損の復旧費用がなければ、敷金は全額返還が原則である。従って、内装費用まで負担することは認められない」と請求の誤りと不当性を正すと、管理業者は回答不能状態に陥った。全く根拠の無い請求だったことが明らかになた。

 すると、後日業者は今までの請求を全面的に撤回し、室内クリーニング費用3万円を提示して来た。都築さんは、余りにも根拠の無い業者の請求に不満ではあったが、応諾の通知をした。ところが通知を受ける前に管理業者は、既に銀行口座に室内クリーニング費用3万円を勝手に差引いた金額で振り込んでいた。

東京借地借家人新聞より


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2006年07月04日

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立退き合意書を無理やり作成
消費者契約法で家主に立退き合意書の取消を通知


 練馬区大泉にある5階建てのマンションに住む有田さんは、10年以上この同じマンションに住み続けてきた。訳が合って昨年離婚し、前夫が家から出て行った。前後し、前の家主がマンションを売却した。

 新家主が夜の9時頃に来訪し、家賃の支払が滞っていると文句をつけ、「夫がいない貴方に家賃が払えるか不安だ。そこで、部屋を退去するか、連帯保証人を両親にするか、今日、決めてもらいたい。」と強要した。
 会社のオーナーに相談してから返事をするから、取敢えず今日のところはお帰り願いたいと言っても聞き入れて貰えなかった。

 挙句の果てには、2月末に退去する旨の書類にサインしなさいの一点張りになり、書類にサインをしない限り帰ろうとはしない態度である。困り果てて仕方なく立退きの合意書類にサインをしてしまった。その後、心配になって、知人の紹介で組合に相談した。

 組合は、この「立退き合意書」は消費者契約法第4条3項に違反しており、合意事項は取り消すことが出きると説明した。早速、「不退去による困惑で締結した立退き合意書は、消費者契約法第4条3項の規定に違反するので取り消す」という文書を作成し、家主に郵送した。

 有田さんは「組合に相談して助かりまし女だと思って馬鹿にされ、悔しい思いもしましたが、これで安心して寝る事が出来ます」と語った。

東京借地借家人新聞より



(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)
第4条 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

 一 重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認

 二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認

2 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。

3 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

 一 当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと。

 二 当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から当該消費者を退去させないこと。

4 第一項第一号及び第二項の「重要事項」とは、消費者契約に係る次に掲げる事項であって消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきものをいう。

 一 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容

 二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件

5 第一項から第三項までの規定による消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは、これをもって善意の第三者に対抗することができない。


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2006年07月02日

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家主から原状回復費用請求訴訟申立をされる
川崎市内の賃貸マンションを退去したKさんは家主から敷金10万4000円を上回る20万円を請求され、組合に加入した。

 組合の支援と協力を得てkさんは家主と再三折衝を重ねた。しかし、家主は一方的に川崎簡易裁判所に原状回復費用請求訴訟を申し立てた。

 裁判所から訴状が送付され、Kさんは組合と相談した上で家主側の訴状を慎重に検討し、答弁書を作成して裁判所に提出した。

 第1回は裁判官から原告(貸主)と被告(借主)双方の事情聴取で終了した。

 第2階は被告(借主)側の答弁書に焦点が絞られ、原告(貸主)側に対して具体的な質問が集中され、次回判決を言い渡すことで終了した。

 第3回は原告(貸主)が欠席し、裁判官が被告(借主)に対して勝訴の判決を言い渡し5分で裁判は終了した。

 その後、原告(貸主)側から異議申立がなされず、借主の勝訴で判決の確定となた。

全国借地借家人新聞」より

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2006年07月01日

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家賃+消費税で支払え
豊島区のJR池袋駅から歩いて10数分。通り沿いにラーメン店を営む中村さんは組合に入会して10数年が経っている。

毎回の更新時に家主とその代理人である不動産屋から嫌がらせを受けている。その他にも、店の前に置いてある自転車の度重なるパンク、店の前に、上からたまごが落とされるなど。

今回の更新では「家賃は現行通りとする。しかし消費税5%を上乗せして支払うこと」という通知を受けた。そこで、組合に相談し、相手の不動産屋に応じられないので現行通りの家賃で支払う旨返答したところ、不動産屋は「それなら裁判だ」と脅かしてきた。 

 心配になった中村さんは、組合に相談し、家主に対して次のような文書を作成してもらった。それは、「現在、消費税は内税ですでに納めている。今回の新たな請求は賃料の値上げ請求であるので、一方的な値上げには応じられない。本来ならば値下げ請求をしたいくらいであるが、現状維持ならば、合意更新するが駄目ならば法定更新にする」という内容で、その日のうちに文書を家主に郵送した。

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2006年6月
2006年06月30日

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不当な遅延損害金を取り戻す
 不当な遅延損害金を消費者契約法で取り戻す

 練馬区に住む関口さんは体調を崩し、仕事ができなくなり生活保護を受給する事になった。生活保護費の受給が月初めなので、それを待って家賃の支払をした。

 ところが、建物を管理している会社は、契約書に「賃料は月の28日までに翌月分を支払うこと」と書かれており、「1日でも家賃が遅れた場合は1か月相当分の遅延損害金を支払うこと」という約定を楯に遅延損害金26000円を支払えと請求して来た。

 管理会社は、借主に無断で入室するという非常識を繰返し、更に常識を超える頻度で請求の電話を掛けてきた。これらの不法行為を繰返し行われることに対して関口さんは精神的にまいってしまい、管理会社の言うがままに遅延損害金を全額支払ってしまった。

 それらのことを心配した母親が組合に相談に来た。組合では即刻相手に電話で「不法な遅延損害金の返却と嫌がらせの中止」を警告したが、管理会社の社員は消費者契約法を理解しておらず、改めて消費者契約法違反を文書で通知した。

 後日、関口さんの母親から遅延損害金が戻ってきたと電話で報告があり、「法律相談で弁護士から約束だから支払わなければ駄目だと言われた。だが、諦めずに組合に相談して頑張った甲斐があった」と感想を述べてくれた。



 消費者契約法
(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
第9条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。

 1 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分

 2 当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が2以上である場合には、それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年14.6パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの 当該超える部分 

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第10条 民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

東京借地借家人新聞より


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2006年06月29日

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借地での建替え
借地非訟手続で裁判所から 
   建替承諾の許可を得て2階建てを新築

 大田区北糀谷1丁目に居住する河原さんは、3年前に借地(約36坪)の更新料を支払い、更に近隣の平均よりも高額な地代への改定にも同意して更新契約を締結した。

 それは総て地主の建替承諾を得るためである。仲介の不動産業者が地主の言い値で更新料と地代値上げを認めるのであれば、引換え条件として地主の建替承諾許可の同意を取り付けるという提案があたからだ。当時、地主(5人の相続人全員)は建替承諾を口頭であるが、了承して共有賃貸人として合意したものである。

 河原さんは、建替えの挨拶をしたところ、共有賃貸人の1人から相続での取り分が少ないという理由で借地の返還を求められた。不動産業者に相談しても我関知せずの態度のため、組合に相談し入会した。

 早速、組合は借地借家法17条に基づく増改築承諾許可の非訟手続を裁判所へ申し立てた。増改築許可申立の際に、共有賃貸人の1人が死去し、その相続人4人が加わり計8人相手の申立となった。

 後日、裁判所の許可の条件は、更地価格の3%の承諾料ということで決定した。

 しかし、地主側は承諾料と地代の受領を拒否している。止むを得ず、それらは法務局へ供託している。

  地主の嫌がらせは続く、非訟手続申立の際に図面に塀の設置が書き込まれていなかったことに難癖をつけ、工事の妨害をするなどである。

 河原さんは、地主の妨害をはねのけて新築建物を完成させ、塀の工事も完了させた。 玄関脇の柿木は風雪に耐えて見事な実をつけた。



 借地借家法
 借地条件の変更及び増改築の許可
第17条  建物の種類、構造、規模又は用途を制限する旨の借地条件がある場合において、法令による土地利用の規制の変更、付近の土地の利用状況の変化その他の事情の変更により現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるにもかかわらず、借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、当事者の申立てにより、その借地条件を変更することができる。

2 増改築を制限する旨の借地条件がある場合において、土地の通常の利用上相当とすべき増改築につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、その増改築についての借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。

3 裁判所は、前2項の裁判をする場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、他の借地条件を変更し、財産上の給付を命じ、その他相当の処分をすることができる。

4 裁判所は、前3項の裁判をするには、借地権の残存期間、土地の状況、借地に関する従前の経過その他一切の事情を考慮しなければならない。

5 転借地権が設定されている場合において、必要があるときは、裁判所は、転借地権者の申立てにより、転借地権とともに借地権につき第1項から第3項までの裁判をすることができる。

6 裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、第1項から第3項まで又は前項の裁判をする前に鑑定委員会の意見を聴かなければならない。

      (注) 借地権者=借地人   借地権設定者=地主

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2006年06月28日

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立退き合意書を無理やり作成
消費者契約法で家主に立退き合意書の取消を通知


 練馬区大泉にある5階建てのマンションに住む有田さんは、10年以上この同じマンションに住み続けてきた。訳が合って昨年離婚し、前夫が家から出て行った。前後し、前の家主がマンションを売却した。

 新家主が夜の9時頃に来訪し、家賃の支払が滞っていると文句をつけ、「夫がいない貴方に家賃が払えるか不安だ。そこで、部屋を退去するか、連帯保証人を両親にするか、今日、決めてもらいたい。」と強要した。
 会社のオーナーに相談してから返事をするから、取敢えず今日のところはお帰り願いたいと言っても聞き入れて貰えなかった。

 挙句の果てには、2月末に退去する旨の書類にサインしなさいの一点張りになり、書類にサインをしない限り帰ろうとはしない態度である。困り果てて仕方なく立退きの合意書類にサインをしてしまった。その後、心配になって、知人の紹介で組合に相談した。

 組合は、この「立退き合意書」は消費者契約法第4条3項に違反しており、合意事項は取り消すことが出きると説明した。早速、「不退去による困惑で締結した立退き合意書は、消費者契約法第4条3項の規定に違反するので取り消す」という文書を作成し、家主に郵送した。

 有田さんは「組合に相談して助かりまし女だと思って馬鹿にされ、悔しい思いもしましたが、これで安心して寝る事が出来ます」と語った。

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(消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)
第4条 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

 一 重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認

 二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認

2 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。

3 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

 一 当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと。

 二 当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から当該消費者を退去させないこと。

4 第一項第一号及び第二項の「重要事項」とは、消費者契約に係る次に掲げる事項であって消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきものをいう。

 一 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容

 二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件

5 第一項から第三項までの規定による消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは、これをもって善意の第三者に対抗することができない。


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2006年06月27日

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家主から原状回復費用請求訴訟申立をされる
川崎市内の賃貸マンションを退去したKさんは家主から敷金10万4000円を上回る20万円を請求され、組合に加入した。

 組合の支援と協力を得てkさんは家主と再三折衝を重ねた。しかし、家主は一方的に川崎簡易裁判所に原状回復費用請求訴訟を申し立てた。

 裁判所から訴状が送付され、Kさんは組合と相談した上で家主側の訴状を慎重に検討し、答弁書を作成して裁判所に提出した。

 第1回は裁判官から原告(貸主)と被告(借主)双方の事情聴取で終了した。

 第2階は被告(借主)側の答弁書に焦点が絞られ、原告(貸主)側に対して具体的な質問が集中され、次回判決を言い渡すことで終了した。

 第3回は原告(貸主)が欠席し、裁判官が被告(借主)に対して勝訴の判決を言い渡し5分で裁判は終了した。

 その後、原告(貸主)側から異議申立がなされず、借主の勝訴で判決の確定となた。

全国借地借家人新聞」より


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2006年06月26日

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家賃+消費税で支払え
豊島区のJR池袋駅から歩いて10数分。通り沿いにラーメン店を営む中村さんは組合に入会して10数年が経っている。

毎回の更新時に家主とその代理人である不動産屋から嫌がらせを受けている。その他にも、店の前に置いてある自転車の度重なるパンク、店の前に、上からたまごが落とされるなど。

今回の更新では「家賃は現行通りとする。しかし消費税5%を上乗せして支払うこと」という通知を受けた。そこで、組合に相談し、相手の不動産屋に応じられないので現行通りの家賃で支払う旨返答したところ、不動産屋は「それなら裁判だ」と脅かしてきた。 

 心配になった中村さんは、組合に相談し、家主に対して次のような文書を作成してもらった。それは、「現在、消費税は内税ですでに納めている。今回の新たな請求は賃料の値上げ請求であるので、一方的な値上げには応じられない。本来ならば値下げ請求をしたいくらいであるが、現状維持ならば、合意更新するが駄目ならば法定更新にする」という内容で、その日のうちに文書を家主に郵送した。

東京借地借家人新聞より


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2006年06月25日

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不当な遅延損害金を取り戻す
  不当な遅延損害金を消費者契約法で取り戻す

 練馬区に住む関口さんは体調を崩し、仕事ができなくなり生活保護を受給する事になった。生活保護費の受給が月初めなので、それを待って家賃の支払をした。

 ところが、建物を管理している会社は、契約書に「賃料は月の28日までに翌月分を支払うこと」と書かれており、「1日でも家賃が遅れた場合は1か月相当分の遅延損害金を支払うこと」という約定を楯に遅延損害金26000円を支払えと請求して来た。

 管理会社は、借主に無断で入室するという非常識を繰返し、更に常識を超える頻度で請求の電話を掛けてきた。これらの不法行為を繰返し行われることに対して関口さんは精神的にまいってしまい、管理会社の言うがままに遅延損害金を全額支払ってしまった。

 それらのことを心配した母親が組合に相談に来た。組合では即刻相手に電話で「不法な遅延損害金の返却と嫌がらせの中止」を警告したが、管理会社の社員は消費者契約法を理解しておらず、改めて消費者契約法違反を文書で通知した。

 後日、関口さんの母親から遅延損害金が戻ってきたと電話で報告があり、「法律相談で弁護士から約束だから支払わなければ駄目だと言われた。だが、諦めずに組合に相談して頑張った甲斐があった」と感想を述べてくれた。



 消費者契約法
(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
第9条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。

 1 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分

 2 当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が2以上である場合には、それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年14.6パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの 当該超える部分 

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第10条 民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

東京借地借家人新聞より


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2006年06月23日

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借地での建替え
借地非訟手続で裁判所から 
   建替承諾の許可を得て2階建てを新築

 大田区北糀谷1丁目に居住する河原さんは、3年前に借地(約36坪)の更新料を支払い、更に近隣の平均よりも高額な地代への改定にも同意して更新契約を締結した。

 それは総て地主の建替承諾を得るためである。仲介の不動産業者が地主の言い値で更新料と地代値上げを認めるのであれば、引換え条件として地主の建替承諾許可の同意を取り付けるという提案があたからだ。当時、地主(5人の相続人全員)は建替承諾を口頭であるが、了承して共有賃貸人として合意したものである。

 河原さんは、建替えの挨拶をしたところ、共有賃貸人の1人から相続での取り分が少ないという理由で借地の返還を求められた。不動産業者に相談しても我関知せずの態度のため、組合に相談し入会した。

 早速、組合は借地借家法17条に基づく増改築承諾許可の非訟手続を裁判所へ申し立てた。増改築許可申立の際に、共有賃貸人の1人が死去し、その相続人4人が加わり計8人相手の申立となった。

 後日、裁判所の許可の条件は、更地価格の3%の承諾料ということで決定した。

 しかし、地主側は承諾料と地代の受領を拒否している。止むを得ず、それらは法務局へ供託している。

  地主の嫌がらせは続く、非訟手続申立の際に図面に塀の設置が書き込まれていなかったことに難癖をつけ、工事の妨害をするなどである。

 河原さんは、地主の妨害をはねのけて新築建物を完成させ、塀の工事も完了させた。 玄関脇の柿木は風雪に耐えて見事な実をつけた。



 借地借家法
 借地条件の変更及び増改築の許可
第17条  建物の種類、構造、規模又は用途を制限する旨の借地条件がある場合において、法令による土地利用の規制の変更、付近の土地の利用状況の変化その他の事情の変更により現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるにもかかわらず、借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、当事者の申立てにより、その借地条件を変更することができる。

2 増改築を制限する旨の借地条件がある場合において、土地の通常の利用上相当とすべき増改築につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、その増改築についての借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。

3 裁判所は、前2項の裁判をする場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、他の借地条件を変更し、財産上の給付を命じ、その他相当の処分をすることができる。

4 裁判所は、前3項の裁判をするには、借地権の残存期間、土地の状況、借地に関する従前の経過その他一切の事情を考慮しなければならない。

5 転借地権が設定されている場合において、必要があるときは、裁判所は、転借地権者の申立てにより、転借地権とともに借地権につき第1項から第3項までの裁判をすることができる。

6 裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、第1項から第3項まで又は前項の裁判をする前に鑑定委員会の意見を聴かなければならない。

      (注) 借地権者=借地人   借地権設定者=地主

東京借地借家人新聞より


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2006年06月22日

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保証金が戻った
豊島区要町で料理屋を経営している大石さんは、3年前の店舗の更新問題で組合に入会した。その時には組合が作成した文書を家主に送り、更新時の更新料2ヶ月分を1か月分に変更、家賃40万円を5万円減額させた。

 今回、家主は更新料を2万円負けるから契約更新しようと催促してきた。長引く不況で、この店舗を借りた10年前に比べると売上は半分以下に減少しており、営業を続ける上でも大変と考え組合に相談した。駄目で元々となのだからと家賃、更新料、共益費の減額などを請求することにした。

 契約書を検討したところ、バブルの頃の契約で保証金が1000万円もあることが判明し、保証金の返還も合わせて請求することにした。組合で文書を作成し、家主に提示したところ保証金500万円を返還すると回答してきた。

 大石さんは「保証金の返還は考えてもいませんでした。返還された保証金は店の回転資金として使います。本当に助かりました。」と喜んでいた。


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2006年06月21日

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明渡しで家主敗訴
豊島区長崎のマンションに上山さんは平成8年から住んでいる。家主の借金が原因で、家主が交代するという通知を平成13年11月に受けていた。

 その後、立退き問題が浮上し、新家主との間で金銭補償で話合いが行われたが、合意に至らなっかた。 そんな中で、給湯器の修理修繕で問題が紛糾し、新家主との関係が悪化していた矢先に突然、家主が建物明渡しの訴訟を提起して来た。

 明渡し理由は、上山さんがこのマンションの住所に自分の会社の登記をしていたことが居住以外の使用を禁止する契約条項に違反するというものである。所謂、用法違反を理由に訴えたものである。

 裁判を起こされてから組合に入会した上山さんは、弁護士を頼まずに組合の指導と援助を受けて裁判所に答弁書、準備書面などを提出した。裁判の途中で和解の話合いも持たれたが、金額で折り合いがつかずに不調に終わり判決となった。

 6月に行われた判決で、家主の敗訴が確定した。上山さんは、引き続きこのマンションに住み続けることになった。

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2006年06月20日

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更新に際して家主に要求してみたら

 賃料は15%減額、保証金は25%返還

             減額請求に対し、更新料も免除と家主が回答


中野区の新井薬師でビルの1階を賃借し料理屋を経営している佐藤さんは契約更新の時期を迎えた。年々営業が苦しくなる中で、契約更新に際して、家主に対し幾つかの交渉をして経営の安定を目指したいと考え、そのことで組合に相談した。

 契約書の中にはバブルの頃の影響もあって、保証金は5年間で40万円。その上更新に際しては、新賃料の1か月分と書かれていた。代理人の不動産会社は当然のように賃料は現行通り、更新料は1か月分を請求してきた。

 組合との相談で佐藤さんは、賃料の2割値下げ、保証金の約5割の返還、更新料の減額を家主に請求した。家主への手紙には「今年の34月は売上が極端に悪くなり、先の見通しもつきかねる現状です。もう少し営業の継続をさせていただきたく、お話合いをお願いいたします」と訴えた。

 家主側は「今回限り更新料の免除、賃料については約15%の減額、保証金は25%を返還する」という回答をして来た。

 佐藤さんは「要求はして見るべきですね」と喜んでいた。

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2006年06月19日

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地代坪当り1000円値下げ
坪当り2500円は近隣地代の約3倍

 練馬区に住む中曽根さんが4月に組合事務所を訪問してきた。今までずと地主の言いなりに地代の値上げを認めてきた。この先このまま値上げが続いたら年金生活では住み続けることが出来ないので、何とか地代を値下げ出来ないかという相談だった。

 地代が近隣相場の約3倍の坪当たり2500円ということなので値下げ請求をすることにした。地主が近所に住んでいるというので組合の名前を出さずに文書を作成し、値下げの通知書を出した。

 地主は不動産会社を代理人として「大幅に値下げします。坪当2000円で了承してください」という回答をしてきた。

 だが、中曽根さんは納得がいかない。「大幅な値下げというが近隣相場の約2倍である。せめて1500円位にして欲しい」というのが希望である。

 そこで、今度は組合名で「本来ならば1000円位が妥当な地代であるが、1500円ということであれば了承する」という旨の通知を出した。

 程無く、地主の代理人から坪当り1500の地代で同意するという回答が来た。

 中曽根さんは「組合の名前で通知したら、早速の、希望額での値下げ返事。さすが組合ですね」と感想を述べた。

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2006年06月17日

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新地主から突然の高額地代請求され組合に加入

 大江さんは葛飾区立石にて親の代より、50坪を借地している。契約書はなく、地主に直接地代を支払うのではなく、地主の代理人不動産業者に地代を支払っていた。約40年前に明渡しを求められ、賃料の受領を拒否されたため、やむなく供託とあいなって現在に至ったのである。

 供託の賃料は長期間値上げしておらず、かなりの少額であった。突然、新地主である(所有権を取得した)という人物が現われ、地代150000円(坪当たり3000円)を支払え、又は底地を買取れと要求された。 大江さんは思い余って葛飾借地借家人組合に相談し、その場で直ぐに入会した。

 あまりの高額地代の請求に当組合では土地の登記(所有権移転)を確認し、土地(固定資産税)の評価証明書により税額を算出し、適正と思われる賃料40000円(坪当たり800円)を現金書留郵便にて新地主に提供し、地主(静岡県浜松市在住)は受領した。

 今後は地主の出方次第で臨機応変の対応となる。

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2006年06月16日

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更新料は坪10万円

組合のアドバイスで地主に更新料の根拠を示せと主張

豊島区上池袋に住む榎本さんは借地して60年になる。20年前に親が地主の言いなりになり更新料を支払った。 定年を過ぎ、年金生活の現在、今回の更新及び更新料については、どうなることなのか不安でしょうがなかった。

 地主から「更新についてのご案内」という通知をもらった。その中には「更新する意思があるのか。更新するなら坪当り10万円を支払え」と記されていた。30数坪を借りている榎本さんにとっては300数10万円を支払わなければならない。そんな矢先に城北借地借家人組合のチラシが入った。そこには西武百貨店で借地借家の無料相談を行う案内が載っていたので、さっそく相談にいった。

 榎本さんの「更新料の相場はいくらかですか。更新の期間が過ぎてしまったらどうなるのですか」という質問に対して相談員は「更新料支払うという約束がなければ支払う必要がないこと。更新時期が過ぎても正当な事由がないかぎり更新拒絶はできないことその場合、法定更新されて期間は20年になること」などを丁寧に説明された。

目からうろこが取れた榎本さんは組合に入会し、その上で地主に「(1)更新料を支払うという法的根拠を示してください(2)坪10万円という数字の公の根拠(裁判の判例など)を示してください」という通知を出すことにした。その後、地主からの回答はない。榎本さん「回答がないというのは、多少不安であるが、組合に入会してよかった」と述べた。

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2006年06月15日

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敷金が返ってこない
 
マンションを引越したが預けた敷金が
      返ってこないが、取り戻す方法は


 (問)
 7年間借りていたマンションを私の都合により引越した。預けてあった敷金24万円は、管理業者が「後日清算します」と言って返してくれない。10日後に請求書を送ってきた。

 その内容は「乙は本物件を明渡す時は本物件を原状に回復しなければならない」という契約条項を根拠に請求金額は「畳の表替え、クロスの張替え、玄関ドアーとベランダ手摺りの塗装、鍵の交換、ハウスクリーニング代の合計額から敷金24万円を差し引いた不足分36万3200円」となっていた。

 私には、請求された金額の支払義務はないと思います。敷金を取り戻す方法はないものでしょうか。

(答)
 敷金は借主の家賃など債務の担保として家主に預けているもので、建物を明渡す時点で家賃の未払分など借主が家主に支払うべき債務があれば、それを敷金から差し引いた残金が返還される。勿論、債務がなければ敷金は全額返還される。

 貸家の修繕について、民法606条1項は「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要なる修繕をする義務を負う」と規定している。借主が建物を普通の使い方で使用した結果、年月が経過して汚れたり、擦り傷等の通常損耗や自然損耗の修繕は、家主に修繕義務がある。通常損耗や自然損耗の修繕費用は家賃に含まれているというのが最高裁の判断である(最高裁2005年12月16日判決)。

 もっとも、普通の使い方ではなく、借主が誤って壁に穴をあけたとか畳に焼け焦げをつくったようなものについては借家人が弁償しなければならない。

 原状回復とは、借家人が建物を借りた後に、和室を洋室にしたとか間仕切りをしたとか棚を吊ったとかしたものを借りる前の形に戻すことで、修繕とは別のことである。

 管理業者が請求してきたものは、次の人に貸すために家主のする仕事の費用であり、それを前に借りていた人に支払わせるというのはとんでもない悪徳商法である。勿論、相談者が支払うべき債務ではないことは明らかである。従って、借主が先ずやることは、家主に内容証明郵便で敷金を全額返せという請求をすることである。

 詳しい事は、東京借地借家人組合連合会 3263−7074へ相談ください。或は下記の組合に相談して下さい。


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2006年06月14日

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高額更新料

家主の一方的な値上げと受領拒否に対し供託で頑張る

豊島区南長崎で2軒長屋の店舗を借りて商売をしていた橋本さんと須永さんは昨年の年末に5年目の契約更新の時期を迎えた。2人とも、この不況の中で商売も大変で、売上も中々伸びないどころか後退している。本来ならば、賃料を下げてほしいと思いつつも、現行のままの条件で更新すると思っていた。

 その矢先の12月に、家主が持ってきた更新に際しての通知書には「(1)賃料を現行の12万円を13万円に値上げする。(2)更新に際して更新料として新賃料の2カ月分を支払うこととする。(3)契約期間は3年間とする。」というものであった。

 「賃料を値下げしてほしいと思っていたのに値上げを通知され、その上、今まで支払っていなかった更新料まで請求され、期間も5年から3年契約に変更を要求されている」こんな理不尽なことが許されるのかと思って、知人に相談したところ、組合を紹介された。

 組合で、賃料の増減、契約内容の変更には双方の合意が必要なことを説明され、この時期に一方的な値上げは認められないとして、現行どおりの賃料を持参したところ家主は受取を拒否してきた。橋本さんは隣の須永さんも同じ通知書を受け取っていたので2人で組合に入会し、合意更新が出来ないならば、法定更新で、賃料の受取を拒否したので供託して頑張ることにした。2人とも「組合に入会したことで安心して対応できる。」と語った。

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2006年06月13日

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借家の明渡し請求

無断大修繕をこじつけに建物の明渡請求をされる

 日本提で印刷業を営んでいる加藤さんは、木造2階建(約10坪)を借家している。建物は古いがその都度家主の承諾を受け、小まめに修理を重ね、我家同然の気持ちで程度良く維持している。建物を自己負担で修理をしていることもあって当然家賃は2万3000円と平均よりは安い。

 家主が亡くなって息子が引継ぐと直に、「建物が老朽化して危険だから明渡せ」とか、「無断大規模修繕を行ったので契約を解除するので建物を明渡せ」という言い掛かり的な理由で一方的な内容証明郵便を繰返し送りつけて来た。

 明渡しの意思もないので内容証明郵便は黙殺していた。だが余りにも執拗に送りつけて来るので昨年の3月以後、内容証明郵便の受け取りを拒否した。

 それ以後、内容証明郵便は来なくなった。


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2006年06月12日

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値上げ撤回

6軒の借家人に1月から

3千円の家賃値上げ通告


1月初旬、組合に相談の電話が入った。家主から6軒の借家人に対して、1月の家賃から1か月3000円の値上げを通告され困っているという内容である。

過去、2年毎の値上げが繰返され、その都度、値上げを呑まされ続けており、借家人の意見は、これ以上値上げは呑めないということで全員一致している。

だが、値上げ通告にどのように対処するか、借地借家人組合への加入に対しても、各人の意見は纏らない。

 そこで組合の説明会を開いてほしいということで、1月13日に会合を開き、借地借家人組合とはいかなることをするのかを説明した。加えて借地借家法の条文のコピーを配り、それを基にして、家賃値上げの対処方法、供託、調停等を解説した。

組合に加入したいので、1月26日に再度会合を開きたいとの要請があった。

会合で今後の行動の意見交換をし、1月31日に代表者3名と組合役員とで6軒分の家賃を纏めて家主の元へ持参すること、家主への対応は総て役員が行なうことを決めた。

 当日、家主に対して、6名が組合に加入したこと、交渉は組合を中心に行なうことを通告。今回の値上げは認められない。従って、今まで通りの家賃額で支払うので受領の有無を返答してもらいたいと告げると、家主は共同所有者に電話で相談するので待ってもらいたいと奥へ引込んだ。

 数分後、今回の値上げは撤回すると言い、今まで通りの金額で受領した。


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2006年06月10日

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更新料を断ると明渡請求
  地主の車の出入の邪魔という理由

 大田区南蒲田2丁目に居住する借地人の飯田さんは、高額な更新料を請求されて知人の紹介で組合に加入した。

 知人も借地人で今年2月に地上げされたことから組合に加入し、地上げ業者と対応して希望する価格で底地を購入することができたことを説明して、組合への加入を勧めた。

 飯田さんは18坪の借地権付の建物を40年前に購入し、クリーニング業を営んできた。前回の更新時は坪当たり5万円の更新料だったが、今回は坪15万円の請求で、あらかじめ考えていた金額を大幅に上回っていた。

 しかも円満に更新ができればと思い、近隣よりも高額な地代に応じてきたのに、地主は周辺の更新料請求額の2倍強の高額な請求をしてきた。

 飯田さんは、坪15万円の更新料の支払を断り、月々の地代を提供したが受領を拒否された。地主は「立退料を出すから明渡せ」と言ううので、それも断り、地代は供託すると伝えた。

 地主は、道路の角地にある飯田さんの建物が車の出入りの邪魔だと言う。飯田さんは、こんな無謀な話しには絶対に妥協しないと決意している。

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2006年06月09日

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賃料増額請求権は5年で消滅時効になる
 判例紹介

賃料増額請求権が5年の消滅時効
により消滅したとされた事例

 賃料増額請求権が5年の消滅時効により消滅したとされた事例(判例タイムス535号274頁以下。名古屋地裁昭和59・5・15判決)

 (事案)
 本件土地の賃料は昭和45年4月1日当時1ヶ月当たり1万2000円であった。 賃貸人Xは右の賃料が不相当になったとして、昭和48年12月13日到達の内容証明郵便をもって、翌年1月1日以降の地代を・3.3平方メートル当り500円に増額するとの増額請求をしたが、賃借人Yがこれに応じなかった。

 そこで、Xは昭和52年5月に賃料増額の調停を申立てた。その後、調停は不調となり、本訴を提起し、昭和56年8月1日以降の賃料を3.3平方メートル当り1200円に増額する意思表示をした。

 この訴訟で、Xは昭和49年1月1日以降の賃料が3.3平方メートル当り月額500円であることの確認をも求めていた。  

 これに対しYは、昭和49年1月1日以降の増額請求のうち、訴状送達の日である昭和56年7月31日までに5年を経過した分については民法169条により時効で消滅したと主張して争った事案。Xの請求を一部却下。

 (判旨)
 Xが最初に本件土地の賃料増額の意思表示をしたのは昭和48年12月13日である。月単位の賃料債権は5年間行使しないことによって時効消滅するから、Yの右時効援用によって本訴提起(昭和56年7月14日)に5年以上隔たる賃料債権差額分は消滅したことになる。

 したがって、Xはこれをもはや請求し得ないのであるから、その金額を確定する利益がなく、則ちこの部分は訴えの利益を欠いて却下を免れないこととなる。

 Xが主張する、賃料額が判決によって確定されるまで消滅時効は進行しないとの立論は、一旦賃貸人が増額請求をすればその後どれ程放置しても訴提起に至るまで時効期間は進行しないという結果を招くに等しく、採用できない。

 Xは、X申立の賃料増額調停中にYが多少の増額には応じる旨の債務の承認をしたから時効は中断したとも主張するが、右調停はXの主張によれば不調に終わったというのであるから、民事調停法第一九条の趣旨に則り、その後に訴の提起がなかった本件にあってはこれに時効中断の効果を認めることはできない。

 (寸評)
 判旨は当然のことである。この判決の後に、平成10年8月31日東京地裁の判決で、本判決と全く逆のものがあったことは、本紙で既に紹介した。 長期間にわたり供託している組合員が結構多いことを見ると、本件と同様に、相当以前の地代の増額請求を受けることがあると思われるので、参考のために紹介した。
                     (弁護士 田中 英雄)

東京借地借家人新聞より


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2006年06月08日

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消費者契約法 3
 (3)解約後賃料の5倍の損害金を払うなど
            借家人に不利益になる約定は無効

 不退去・監禁

 消費者契約法は、自宅を訪れた事業者に対し退去を求めたのに退去しないで契約をさせられた場合(不退去型契約)や事業者の事務所などに呼ばれた消費者が帰りたがっているのに帰してもらえないまま契約をさせられた場合(監禁型契約)、その契約を取消すことができると定めています。借地借家のケースを想定すると、

 (例3)明渡し約束

 借家契約の更新期に家主が自宅にやってきて、今回は更新するが次回には更新しないのでそのことを契約書に書き入れてくれ、書かないのであれば更新しないと要求。借家人は、よく考えて返事するから帰ってくれと答えるが、家主は、今了解しないのなら更新はしないと迫り、困り果てて家主の言とおりに契約書に印を押してしまった。これは、不退去型の困惑契約になるので、借家人は取消すことができる。
 以上ですが、消費者契約で取消せる契約をまとめると、不実告知、断定的判断の提供、不利益事実の不告知により消費者が誤認した場合、不退去、監禁により消費者が困惑した場合ということになります。

 事業者の代理人

 消費者に誤認をさせる、困惑させることは事業者本人でなくともできます。事業者から契約の委託を受けた者あるいは代理人となった者が同じことをすれば、消費者は、事業者が行ったのと同様に契約を取消すことができます。借地借家の場合は、不動産仲介業者が地主、家主の代理人となることが多いですが、事業者と同じと扱われることになります。

 取消権行使の期限

 消費者に契約の取消権がある場合、権利行使には時間の制限があります。不実告知、断定的判断の提供、不利益事実の不告知の場合は消費者が誤認したことに気付いたときから、不退去、監禁の場合は不退去、監禁が終わったときから、6か月以内に取消さなければなりません。また、契約してから5年経つと無条件に取消すことができなくなります。

 契約条項無効

 消費者契約法は、消費者に不当な不利益を与える契約条項は無効である旨定めています。たとえば、借家契約書に、賃貸借契約解除後立ち退くまでの間、契約家賃の5倍の損害金を支払うことが明記されていたとします。このような損害金条項については、「当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるものは、超える部分については無効」とされます。何が平均的な損害の額かは明白ではありませんが、新規に賃貸すれば得られるであろう賃料額と考えればいいと思います。また、賃料滞納した場合、滞納賃料に年20%の遅延利息を付すという条項があったとすると、消費者契約法では上限を4.6%としていますので、これを超える部分は無効となります。
(弁護士 川名照美)

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2006年06月07日

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消費者契約法 2
 (2)事実と異なることを告げられた賃料
          値上げや更新料の支払約束は取消せる
 消費者の取消権

 消費者契約をする場合、事業者は、�@重要事項について事実と異なることを告げたり(不実告知)、�A将来の価額、金額、価値の変動が不確実な事項について、断定的な言い方をして(断定的判断の提供)契約をすることができません。また、事業者は、�Bある重要事項やそれに関連する事項について、消費者の利益となることだけを強調し不利益になることを隠して(不利益事実の不告知)契約することができません。 取引社会ではあの手この手の方便を使って、事業者は契約を勧誘します。事業者は、消費者に比べれば、売りつける物品、サービスあるいは契約内容について、圧倒的な情報を握っています。情報量の格差をこれ幸いに消費者をだますような契約は不公正です。消費者契約法は、前記の3点のようなことがあった場合、消費者にあとから契約を取り消す権利を与えました。

 借地借家契約の場合

 消費者契約法は、平成13年4月1日からの施行ですから、この法律が適用されるのは、4月1日以降の契約に限られます。しかし、それ以前からの借地人、借家人は、この法律を使えないのかといえば、そうではありません。当初の借地借家契約が平成13年4月1日以前であっても、その借地借家契約に付随して、例えば、地代家賃の値上に関する契約、更新料支払に関する契約、一時立退再入居に関する契約、立退に関する契約、借地建物増改築に関する契約、更新に関する契約など、当事者間で取り交わす合意事項があります。これらの付随的合意は、その一つ一つが消費者契約となり得る別個の契約であり、既存の借地借家であっても、平成13年4月1日以降になされるこれらの契約(合意)には適用されます。

 (例1)賃料値上問題

 地主・家主が今年は税金が上がったので賃料を上げてくれといってきた。借地借家人は止むを得ないと思って値上に応じたが、実は税金は上がっていなかった。賃料増額契約について公租公課額の増減は重要事項なので、この点で事実と異なることを告げられて増額を承諾した借地借家人は、増額合意を取消すことができる。

 (例2)借地更新料支払問題

 更新料支払約束のない借地契約なのに地主は更新料を要求した。その理由として、法律でも支払うことになっているし、自分の貸地の借地人は全員が払っていると説明した。借地人は、しぶしぶ更新料を払うと約束してしまったが、地主の借地人の中には払っていない人も数人いたことがわかった。この場合、支払約束のない更新料について支払義務があるという法律はないし、他の借地人全員が支払っているということも事実と異なっており、いずれも重要事項と言えるので、この借地人は、更新料支払約束を取消すことができる。 借地借家人が取り消せる契約のあり方は、もう一つあります。



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2006年06月05日

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消費者契約法 1
(1)費者契約法の消費者とは借家人で
建物を住居として利用する個人
 2001年4月1日から消費者契約法が施行されています。
 「消費者」と「事業者」

 この法律で最も特徴がある点は、「事業者」と「消費者」の定義です。「事業者」とは、�@「法人その他の団体」、�A「事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人」です。それ以外の個人はすべて「消費者」です。「事業」とは、一定の目的をもった同種の行為がくり返し行われるものであり、営利目的の有無は問いません。この定義は非常に広いもので、国も「事業者」になりえます。
 消費者と事業者の間でなされる契約を「消費者契約」といいます。この「消費者契約」というのは、個別の売買契約、工事請負契約とは別の次元になり、個別の契約の上に消費者契約という網をかぶせるものです。

 借地借家人は「消費者」

 借地借家契約と消費者契約の関係は次ぎのようになります。
 (例1)個人の家主と個人の借家人が住居目的で借家契約をした場合、家主は事業として貸家契約をするので「事業者」になります。借家人は、個人で、しかも事業のための借家契約ではないので、「消費者」になります。この借家契約は「消費者契約」です。

 (例2)個人の家主と個人の借家人が店舗目的で借家契約をした場合、借家人は、個人ですが店舗営業という事業のために借家契約をするので「消費者」には該当せず、この借家契約は「消費者契約」ではありません。

 (例3)個人の家主と会社名義で住居として借家契約をした借家人は、たとえ住居目的であっても、契約の当事者が個人でなく会社名義なので、「消費者」には該当せず、この借家契約は「消費者契約」ではありません。

 では、借地借家契約が「消費者契約」である場合、借地借家人はどんな権利行使ができるのか?

東京借地借家人新聞より


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2006年06月03日

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借地法定更新で更新料支払いの慣習は認められないとした事例
判例紹介

 土地賃貸借契約の法定更新の場合でも更新料の支払義務があるとする慣習は認められないとした事例(平成14年1月24日、東京地方裁判所民事第45部判決。未掲載)


(事案)
 Xは、東京都墨田区内に土地428.08平方メートルを所有し、これをYに建物所有の目的で賃貸していた。

 右契約が平成12年10月31日の経過により満了するため、Xはその10ヶ月前に期間満了の通知をした。

 YはXに対し、契約更新の希望と更新の際の条件の提示を要請した。

 Xは堅固建物の存在を前提として、契約期間を30年とする場合の更新料を2040万9963円(1平方メートル当たり4万9125円)と提示。

 合意に達しないまま、平成12年11月1日、法定更新となり、XはYに対し、賃貸借契約の更新に当たっては、合意更新であると法定更新であるとを問わず、更新料の支払いが条件になることは、現在では社会的な慣習となっていると主張して、更新料2040万9963円等の支払を求めた事案。Xの請求棄却。


(判旨)
 「YがXに対して本件賃貸借契約更新の条件の提示を要請したのは、YがXの条件の提示を見て、これに応じるかどうかを検討しようとしたものであって、更新料の支払義務を認めたものということはできない。……また、賃貸借契約の法定更新の場合でも更新料の支払義務があるとする慣習は認められない」


(寸評)
 法定更新の場合に、更新料支払の義務があるとする慣習はないとするのが判例の立場であることは、周知のこと。それにもかかわらず、依然として、更新料請求の訴訟が提起されるのは、更新料の支払拒絶を明言せずに、条件交渉をする賃借人が多いことをあらわしている。更新料交渉について注意を喚起するために紹介した。

(弁護士 田中英雄)

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2006年06月02日

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借地の更新料の支払い拒否

地主に 更新料の支払いを断り、

          拒否された地代の供託を通知


 大田区新蒲田3丁目所在の宅地39坪を賃借中の中本さんの契約期間満了は平成14年の6月。また、同一地主から賃借人の荒井さんも宅地50坪の期限は同年10月であった。

 地主より不動産業者を差し向けるとの連絡があり、やっと平成17年になって業者と話し合いとなった。業者は地主より伝えられていた、坪5万円の更新料に固守し交渉は決裂した。

 しかし、地主は請求額の更新料を3月末日までに、持参せよとの書面により催促してきた。

 組合と相談し、中本・荒井の両氏は、平成16年12月分までの持参した地代が受領されていることから、既に借地契約が法定更新されていると説明された。更新料の支払い義務は法律上の規定にはなく、更新料支払いの商習慣も最高裁が否定していることも説明された。

 そこで、組合は、地主に対して借地人らは更新料の支払いに応じないことと、拒否された地代を供託する旨を内容証明郵便にて通
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2006年4月
2006年04月30日

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契約書の無い借地契約
契約書がないまま亡父が昭和25年に
    借地した土地の明渡しを要求された


 (問)
 地主から、今年は借地期間が満了するから明渡してくれと言われました。借地の契約書は作っていなかったようですが、亡父の話しでは昭和25(1950)年9月に土地を借り木造の家を建てて住み始めたと聞いています。地主の請求に対しどう対処したらいいでしょうか。

 (答)
 借地権を設定する際に、当事者の間で存続期間を定めなかった場合には、その借地権の存続期間を「借地法」で法定している。相談者の場合も「借地法」の適用となり、同法第2条1項の規定により非堅固の木造建物の場合、借地期間は30年となる。

 従って30年後の1980年に一旦契約期間は満了する。だが、その時点で建物が朽廃しておらず、また借地人が土地の使用を継続し、地主が遅滞なく異議を述べないと、借地権は前契約と同一の条件をもって設定されたものとみなされる。契約書が無くても借地契約は更新されたものと扱われる。それを法定更新といい、その場合の期間は木造の場合は20年と法定される(「借地法」第6条1項)。そうすると、借地契約は2000年に再び法定更新され、2020年まで期間が延長されている。

 但し借地契約が40年以上も前になされ、契約書も無く関係者も死亡して、借地契約の始期を明確に知り難い事情が有ったという事案において、裁判所の審理の結果判明した満了時より1年半を経過して述べられた異議も遅滞の無いものとして、「遅滞なく」を緩やかに解した最高裁の判例(1964年10月16日判決)もある。

 相談のケースでは、借地契約書も無く、地主の方でも先代の地主が死亡したりして、正確な更新時期がよく解らないとしても5年も経過している以上、遅滞なく異議を述べたとは言えない。契約は2020年まで法定更新されている以上、土地の明渡に応じる必要はない。

 なお、契約期間が満了し地主から遅滞なく更新拒絶の異議の申立てがあった場合でも、地主の述べる異議には正当事由が必要である。正当事由があるか否かは、裁判所によって借地関係の存続を希望する借地人と、終了を望む地主との双方の土地を使用する事情等を総合的に考慮して判断される。裁判所は地主の正当事由を簡単には認めていないので借地の明渡が認められる事は先ず有り得ない。


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2006年04月29日

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家主から明渡請求
秋晴れの日、組合事務所を訪れた田口さんは、開口一番「家主の明渡し請求に応じなければいけないのですか」との質問だった。

 月額41000円の家賃を約定どおり支払い何らの違反もないにもかかわらず、家主の代理人不動産業者が紹介する物件を見て回ったが、納得できず相談にきて組合に加入した。

 緑が多く静寂な住宅街である大田区久が原2丁目に所在の木造瓦葺2階建て共同住宅の内階上、東南の角の部屋約13・2�u(築約40年)環境は最良のところだ。

 田口さんは相談の中で、業者の言いなりではいけないと自覚した。これまでの対応を白紙に戻し、今後は組合を通して交渉する旨を業者に通告した。驚いた業者から連絡があり、早速組合役員が交渉に入る。

居住者一人となり、家主の建替えの意向を踏まえての交渉で、当初を大幅に上回る補償額と、田口さんの納得する内容で合意に達した。

 「権利は自ら主張することの大切さが判りました」とは田口さんの言葉。

東京借地借家人新聞より


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2006年04月27日

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シックハウス訴訟

シックハウスで売り主に賠償命令

 瑕疵担保責任認める

2005年12月05日   アサヒ・コムより

 購入した新築分譲マンションが「環境物質対策基準に適合している」と宣伝していたのに実際はシックハウスだったとして、東京都台東区の40代の夫妻が売り主を相手に損害賠償を求めた訴訟の判決が東京地裁で5日、あった。杉浦正樹裁判官は「品質が契約の前提になっていた水準に達していなかった」と売り主の瑕疵(かし)担保責任を認め、購入代金4350万円を含む4791万円の支払いを命じた。シックハウス症候群に詳しい弁護士によると、同様の訴訟での勝訴は初めてという。

 問題のマンションは「ベル・アンド・ウイング」(東京都港区)が東京・浅草地区に建てた。

 判決などによると、ベル社はチラシなどで「シックハウス症候群の主な原因とされるホルムアルデヒドの発生を抑えるために、基準以上を満たしたフローリング材などを採用」と宣伝。夫妻は02年7月に売買契約を結び、翌03年7月に家具の一部を運び込んだ。ところが、夫妻は目がかゆくなったり、せきが出たりする症状が出たため転入を断念。「健康を害し、居住に適さない状態にある」と訴えていた。

 判決は、鑑定の結果から、04年5月時点のホルムアルデヒドの濃度が旧厚生省の指針値(1立方メートルあたり0.1ミリグラム以下)の1.8〜0.9倍だったと認定。「引き渡し時には指針値を相当程度超える水準だったと推認するのが相当」と述べた。

 そのうえで「売買契約では、指針値に適合していることが前提だったが、マンションはその水準に到達していない。買い主が容易に発見できない『隠れた瑕疵(欠陥)』だ」として、売り主が無過失でも問える瑕疵担保責任を認め、売買解除と損害賠償を認めた。

 一方、「日本工業規格などの基準の仕様を満たす建材などを使っており、物質の発生メカニズムはわからない」として、売り主側の故意や過失は否定。慰謝料などの請求は退けた。

 NPO法人「シックハウスを考える会」(大阪)の関根幹雄弁護士は、この5年ほどで約100件のシックハウス関連の訴訟や相談を受けた。同様の訴訟は全国で相次いでいるが、関根弁護士は「損害を認めた例は聞いたことがなく、今回の判決は画期的だ」と評価する。

 ベル社は「コメントできない」としている。



毎日新聞

シックハウス:マンションの売買代金返還命令 東京地裁
 購入した分譲マンションでシックハウス症候群となり居住できないとして、東京都内の40代の夫婦がマンションの販売業者に代金返還などを求めた訴訟で、東京地裁は5日、業者側に4791万円余の支払いを命じる判決を言い渡した。原因とされる化学物質ホルムアルデヒドの発生源について、杉浦正樹裁判官は「建物の建材に求めるほかない」と指摘。原告側代理人の弁護士によると、シックハウスを理由に売買契約の解除を認めた判決は初めて。

 判決によると、夫婦は03年5月、台東区内の新築マンションを不動産販売会社「ベル・アンド・ウイング」(港区)から4350万円で購入。同7月に家財道具を搬入したが、頭痛などがして住むことができなかった。

 同社はパンフレットで「ホルムアルデヒドの放散量が少ない建材を使っている」と記載していたが、判決は「保健所の測定によって、国が定めた基準(室内の空気1立方メートル当たり0.1ミリグラム以下)を相当程度超えていたと推認される」と指摘。同社に手数料や引っ越し費用などを含めた代金の返還を命じた。【武本光政】

毎日新聞 2005年12月5日


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2006年04月26日

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底地を公売で落札
江東区大島5丁目の坂田さんは約42坪の借地をしていた。15年程前に地主が地上げを業とする不動産業者に変わってから係争が始まった。高価格で底地を買取れといわれたり、次々と地主が変わった。このため、15年間供託をして頑張り抜いた。

 ところが、最近静かになったのでどうなったかと思っていたら東京都が私の住んでいる借地の差押に来た。

 早速、都主税局整理部や公売課と交渉を開始。10数回の話合いで地主は全く資料がないので坂田さん方で全部揃えることになった。

 いよいよ公売になったため、坂田さんも参加した。公売はその土地に関係のある人が入札権を持っている。

入札の結果、坂田さんは公売底値の400万円で落札できた。直ちに、入金を済ませて昨年12月には登記も完了した。「思いだせば、借地人組合に元気と力を出してもらって今日という日があると思います」と坂田さんは語る。

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2006年04月25日

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放火が原因で建物と車が焼失         豊島区池袋で青果業を営んでいる畑中さんは、自宅兼店舗の前に借地し貸家とトラックを置く駐車場として使用していた。借地期限が過ぎたから契約を解除し、自己使用するから明渡せという地主との争いで10数年にわたって供託している。

 今年の秋に放火が原因で建物と車が焼失してしまった。直ちに「この土地上に存在した建物が滅失したが、借地権者は新たに建物を建築する計画であるという」建物公示書を道路側の見えるところに掲示する事にした。(*)

 全焼にともなって保険金は出たが、建替えをするには全額自己資金ではいかない事情があり、前述の建物公示書をはずしてしまった。

 そこにつけこんで、地主の代理人の弁護士は、建物が焼失したのだから借地権もなくなったので明渡せと内容証明書を送付してきた。

 明渡しの要求は拒否する事にし、自己資金で建替え出来る建物を建てて残りを従来どおり駐車場として使用するか、借地権を買い取ってもらうように交渉するか方針を家族で相談することにした。

(*)借地借家法第10条2項
第10条 借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。

2 前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から2年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。

3 民法(明治29年法律第89号)第566条第1項及び第3項の規定は、前2項の規定により第三者に対抗することができる借地権の目的である土地が売買の目的物である場合に準用する。

4 民法第533条の規定は、前項の場合に準用する。

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2006年04月24日

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消費者契約法は借主の救済に有効
消費者契約法は借主の救済に有効
   借主に不利益な原状回復特約を無効にする

 賃貸借の契約トラブルの中で圧倒的に多いのが契約終了時の敷金の清算と原状回復の問題だ。国土交通省の調査でも相談の約4分の1を占めている。賃貸借契約トラブルの原因は、消費者と事業者の情報量や交渉力の格差を利用した事業者の契約支配によるものが多くなっている。
 トラブルに巻き込まれた場合に消費者である借主に強い見方になる法律がある。それが2001年4月1日に施行された「消費者契約法」である。

 <借主に不利益な 原状回復特約>
 賃貸マンションやアパートを借りる場合、多くは不動産業者が物件の仲介をするが、その際に作成する契約書は事業者に有利な内容のものが殆どである。
 例えば「乙(借主)は賃貸借物件の使用に際して原状回復義務を負う。従って解約時には賃貸借物件を借りたときの状態に戻さなければならない」或は「解約時の畳の表替え、襖、障子の張替等は乙(借主)の負担とする」等である。
 従来はこのような特約が書き込まれた契約書の場合、敷金は殆ど戻らない例が多かった。だが、消費者契約法第10条は、消費者である借主の義務を加重させ、借主の利益を一方的に害する特約は借主が承知の上で契約したものであっても無効に出来る。

 <不当な原状回復費用を請求され、少額訴訟へ >
 渋谷区本町1丁目の賃貸マンションに8年居住した田中幸子さんは昨年3月末に部屋を退去した。だが退室時の立会の際に、家主が一方的に作成した「リフォーム代金覚書」に強引に署名捺印させられた。納得がいかないままに応じてしまった覚書には、クロスの張替え(85248円)、カーペット張替え(51000円)、クリーニング代(33000円)、現場諸経費(10000円)等消費税を含め、原状回復費用の合計が215090円であった。

 後日、この金額が家主から請求された。釈然としない請求に納得出来ず、借地借家人組合に相談した。組合は直ちに「覚書は消費者契約法第10条により無効である」と家主に通知した。加えて、6月に東京簡易裁判所に敷金16万円の返還少額訴訟を行なった。少額訴訟で被告の家主は契約時に原状回復費用を原告(借主)が負担する約束があったとして争った。

 <少額訴訟異議審でも借主勝訴>
 9月に少額訴訟の判決があり、「被告(貸主)は原告に対し、金110468円及びこれに対する年5%の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告の負担とする」との判決が言渡された。だが、被告の家主は、この判決に不服で異議の申立をしたが、今年の2月に「少額異議判決」が下され、「同裁判所は昨年9月11日に言渡した少額訴訟判決を認可する」として家主の異議の申立が退けられ、田中さんが勝訴した。

 このように賃貸借契約で原状回復費を借主に負担させる原状回復特約を押付けられ、押印しても「故意・過失及び善管注意義務違反」以外の「通常損耗や自然損耗」に関しては借主にその費用の支払義務はない。「故意・過失及び善管注意義務違反」以外は原状回復の対象にならない。従って家主が敷金を返さないといて借主は泣き寝入りする必要はなくなった。
 「消費者契約法」は「借地借家法」と共に借主にとっては大きな「武器」となる。借地借家人組合は借主救済のために消費者契約法を積極的に活用しなければならない。


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2006年04月23日

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建替えで和解
地主が無理難題をいうので
         非訟手続を進めると和解を提案  

大田区池上3丁目に所在する土地約91・68�uを賃借する松島さんは、9年前の契約更新満了の際に地主より代理人弁護士を通して自己使用を理由とする更新拒絶を求められたが、これを拒否し法定更新にて今日に至った。

 一昨年秋に建替えの必要が生じたので、地主に承諾を求めるために組合役員同席で地主の弁護士と交渉を行った。その場での合意内容は地価については路線価を基準にすることだったが、その後地主は、松島さんの借地の場所からはかけ離れた商店街通りの路線価を基準にした計算方式で、松島さんの提示額の2倍強(400数10万余)の更新料と建替え承諾料を求めてきた。

 さらに、更新拒絶後も受領していた地代は5.2倍の増額請求だった。地価下落の現実を無視した信託銀行不動産部の調査に基づくものとして松島さんに提示してきたものだった。

 松島さんは限られた予算と今後支払う地代を考えると、こんな無理難題をいう地主代理人弁護士とは交渉は出来ないと、組合役員と相談のうえ借地非訟手続を申立てることにして、昨年の2月にその手続が行われた。

 同年10月に地価の3%との鑑定が裁判で示された。すると相手弁護士から承諾料に10数万円加算し100万円で和解したいとの申し入れがあったと組合顧問弁護士より連絡あり、松島さんは地主の意向を受入れてこの程和解が成立した。

 新年を迎えて、新築の工事に着工することになった。

東京借地借家人新聞より


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2006年04月22日

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敷金を少額訴訟で取り返す
豊島区西池袋に住む加藤さんは、子供が生れるのを機会に引越しする事を決めた。結婚して2年間住んだアパートをこの4月に引越した。僅か2年間の生活なのでほとんど損傷も汚れもなかった。引越をしてもなかなか敷金は返されなかった。
 管理会社に原状回復費用についても再三の請求にもかかわらず返答がなかった。そこで家主に直接内容証明で敷金返還の請求をしたところ管理会社と話し合うよう回答があった。

 あらためて回答を求めると43万円の原状回復費用の請求があった。組合とも相談し、敷金返還の少額訴訟をおこす事を決め、ただちに裁判所に手続きをした。 

 裁判所では、管理会社の人間が賃貸契約書には原状回復費用として、クロスの張替、畳の取り替えなどが約定にあると主張したが、裁判官はその訴えを途中で遮って、そのような主張は認められないからとして和解を勧告した。和解の内容には不十分さがあったが、一日で敷金問題は決着した。

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2006年04月21日

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  更新料と地代値上げを拒否
 更新料と地代値上げを拒否、
         な特約条項を削除させる

 板橋に住む、西郷さんの家は板橋区と豊島区の区界で、昔は、目の前を川が流れており、今は暗渠になって遊歩道と公園になっている。

 昨年の夏に、西郷さんの自宅に地主の代理人の不動産会社が訪問してきた。内容は、法定更新中の契約を更新したいので、更新料の支払と地代の値上げ、そして契約書を取り交わしたいと言ってきた。

 昔、借地借家人組合に相談した事がある西郷さんは、知り合いの人を通じて組合事務所に相談に来た。組合では、直ちに地主宛てに「更新料については法的根拠がないこと。地代の値上げについても、経済事情の動向、公租公課の増減、近隣の相場のいずれもとっても値上げの要因がないこと」との断りの通知書を出した。 

 この通知書に対して代理人は更新料と値上げをあきらめ財務省に物納したいので契約書の作成に応じて欲しいと言ってきた。財務省に提出予定の契約書案は増改築特約や更新料支払などの内容で認められないと返答。最終的には借地人に不利な条項を全て削除した契約で文書が出来上がった。

東京借地借家人新聞より


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2006年04月20日

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借地明渡で勝訴
 地主の正当事由を否定 

 墨田区東向島で30坪の土地を借り、木造2階建ての建物を建て居住している村上さんは昨年3月に地主から建物収去土地明渡請求で東京地方裁判所に提訴された。昨年11月に判決が下り「原告の請求を棄却する」との内容で村上さんが全面勝訴。地主が控訴せず判決が確定した。

 事の起こりは、前地主が借金を返済できず土地に設定した抵当権に基づき、昭和59年競売が開始された。平成元年に現在の地主が566万円で買取り、地主の地位を承継した。

 その後、地主は地上げ屋を使って土地の明渡を迫り通路妨害などいやがらせを行った。平成2年に村上さんは、通路の占有使用妨害禁止の仮処分を申請し、平成3年に賃借権存在確認請求で提訴し、平成4年に和解が成立した。その時に契約の期限を平成11年12月31日と定めた。

 平成11年7月に地主は更新を拒絶する通知を寄越したが、村上さんは直ちに明渡しを拒否する回答を出した。その後地主が起こした調停は平成12年2月に不調となった。

 今回の判決では、地主の更新拒絶の理由に正当事由があるかどうかが争点となった。判決理由では「本件土地は公道に接してはいるものの、間口は1mにも満たないもので、…本件土地が建物用地として適格性があるものとは認められない。そうすると、更新を拒絶して本件土地の明渡を求めることによって原告の目的(建替えて家族と一緒に暮す)を達することは困難である」と判示した。

東京借地借家人新聞より


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2006年04月19日

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借地の更新料を拒否
  更新料特約も無いのに
             200万円の更新料 を請求

 豊島区要町に住む田沼さんは、約58坪の借地で今年の6月で20年の契約期間が満了した。地代は毎月きちんと支払い、建物を改築した時は承諾料も支払ってきた。

 今年の3月に、地主の代理人と称する不動産業者が訪れ「契約を更新したいのならば、更新料を200百万円(坪34500円)支払え」と請求された。年金暮しで息子夫婦と一緒に暮らしていた田沼さんにとっては、いきなりの大金の請求で困っていた時に、組合のチラシが入り、急いで組合に相談に行った。

 組合では、更新料については、法律上の定めもなく契約上の定めのないものは、支払う必要が無いことを説明され、早速組合に入会した。組合では不動産業者に「田沼さんは借地借家人組合の組合員であること、今後の協議は組合を窓口にして行うこと」を通告した。

 その後、不動産業者から「更新料について話合いしたい」と組合に電話があったが、「法的にも契約上でも義務のない更新料は一切支払わない」と通告すると「法律上なくても、私の知るかぎりでは、全員が更新料を支払っている」と言い張ったが、最高裁判例などを説明すると「判りました」と言って電話をきった。

 その後、不動産業者は代理人を下りてしまい、地主も更新料請求については断念した。
 田沼さんは「更新料を支払わずに済んだのは組合を知ったからです。いつ、追出されるのか不安の毎日でしたけれど、これからは安心して、眠れます」と語った。

東京借地借家人新聞より


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2006年04月18日

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借地更新料不払い
借地人には更新料支払義務はない

 20年、30年の借地契約期間の満了時に必ずといっていいほどに請求される「更新料」は、借地人にとっては頭の痛い問題だ。各地で開催されている借地借家講座・相談会でも「地主さんから請求された場合、一体どの位払ったらいいのでしょうか」、「更新料の相場を教えて下さい」と言った質問がよく出される。

確かに旧借地法にも借地借家法にも、更新料に関する法律上の規定は何もない。地主が更新料を請求する法律的根拠は何も無いということである。従って、その請求に対して借地人は更新料を支払う必要もないし、支払義務がないことは当然のことである。

借地法・借地借家法では、借地の契約期間が満了しても契約は当然に終了するのではなく、地主に正当事由がなければ、従前の契約と同一の条件で更新したものとみなされる(借地法法4条・6条、借地借家法5条・6条)。

従って、契約の更新に際して借地人が更新料の支払いを拒否した場合、地主はそれを理由にして更新を拒否しても法律の規定に従って自動的に借地契約は法定更新される。

各地で更新料不払い。地主が請求する更新料の金額も千差万別である。
 �@千代田区富士見町1丁目で借地している奥田さんは、契約が昨年末で期間満了した際に地主から更新料を763万円(坪当たり173000円)を請求され、組合を通じて更新料全額を拒否する通知を出した。その後、地主の代理人の弁護士から更新料500万円支払えという調停をかけてきたが、奥田さんは調停には出席しない旨の上申書を裁判所に提出し、あくまでも更新料の支払いを拒否する意向だ。

 �A豊島区西池袋に住む萩原さんは102坪の借地で期間満了に当たり「更新するなら5000万円(坪49万円)支払え」と言われた。組合に相談し、「契約を更新するが、更新料は支払う意思も資力もない」とはっきり文書で断った。その後、地主は金額を半分にしてもいいと言って来たが、萩原さんは地代の供託を続けている。

 �B府中市府中町で約138坪を借地している正宗さんは、地主の代理人から3000万円(坪217400円)の更新料を請求されたが、組合より「更新料は法律上支払う義務はなく、借地契約は法定更新にしたい」と回答したところ、地主はあっさり断念した。

 このように坪何十万という高額な請求がある一方で、高額な請求をして借地人に支払いを拒否されるよりは少しでも支払って貰う方が徳と考え、借地人が支払えそうな金額を請求する事例が多く見掛けるようになった。

 �C台東区谷中で35坪を借地している石井さんは寺の土地を管理する管理会社から105万円(坪3万円)の更新料を請求された。公示価格坪150万円の2%で算定しているという説明を受けた。台東区内でも3〜5万円ぐらいの請求がかなり多い。

 �D足立区の西新井地域で更新料が坪8〜12万円という高めの請求がある一方で、坪2〜3万円といた請求もあり、地主の更新料請求もかなりばらつきがある。

 地主も現実的になり、借地人の支払い可能な限度で請求するようになった(�C、�Dの後者の事例)。

 それでも支払いが困難な借地人は、組合を頼り法定更新と更新料不払の途を選択する(�@、�A、�Bの事例)。この傾向は1976(昭和51)年10月1日の最高裁判所が法定更新時における更新料支払いの慣習を否定したことから、平成初年代からバブル経済の崩壊に伴う地価の下落と経済不況は、更新料不払の増大を加速し、更新料支払い慣行は衰退化の途を辿っている。その後の下級審の裁判例は、法定更新の場合について、更新料支払いの事実たる慣習或は慣習法の存在を認めた判例はない事から法定更新を選択し、更新料不払の途を選ぶ借地人が多くなっている。

 東京借地借家人組合連合会と各借地借家人組合では金額の額に拘らず更新料は不当で根拠のない請求であることを多くの借地人に呼びかけ更新料不払の運動を展開している。


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2007年04月17日 
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地代の大幅値下げ
組合からの通知に地主が40%の値下げを応諾する
 豊島区の池袋駅東口西武百貨店から歩いて2分位の駅前でお食事処を営業している大東さんは、親の代から借地していた。

 バブルの前から地主の再三にわたる値上げ請求で,現在は坪当たり約8000円になってしまった。景気のよい時には何とか支払っていた地代も、この不況の中で大変きついものとなってしまった。何とかならないものかと思い民主商工会の事務所に相談した所、この問題は借地借家組合が一番適任ということで相談にきた。

 組合では、いろいろ調べたところ、半分位の賃料でも高いと判断し、「地主に賃料値下げの請求と話合いに応じるよう」手紙を出した。話合いに応じた地主に裁判も辞さない決意である事を伝えた。地主は、税金の下げ幅に応じた賃料値下げ、即ち現行賃料の4割近い値下げを提案してきた。

 大東さんと組合では、不十分さはあるものの裁判をせずに此処まで値下げできたので了解し、合意する事になった。大東さんは「月5万円以上、年間約70万円の値下げで、何とか商売を続けられます。組合のお陰です」と感謝の言葉を述べた。

東京借地借家人新聞より


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2006年04月16日

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地主が更新料を請求
年金暮しなので更新料は断るつもりですが、
借地契約はどうなるのか
(問)
 今年の11月12日で20年間の借地契約期間が満了する。地主は近所の不動産屋を通じて更新料を坪10万円、34坪で総額340万円請求してきた。
 20年前は坪1万円だったし、私はまだ若く収入もそれなりにあったので更新料の支払いをした。ところが現在、収入は年金だけで、とても地主の請求に応じられない。
 借地借家人組合では、更新料は支払義務がないと言っていますが、更新料を支払わないと新しい契約書がもらえないと思います。その場合、借地契約はどうなるのでしょうか。
 
(答)
借地契約の更新には、地主と借地人が更新契約条件に合意して、新しい契約書に署名捺印する「合意更新」と、新しい契約書を作らずに、そのまま従前の契約期間が過ぎると法律の定めで自動的に更新してしまう「法定更新」の二通りある。

 法定更新した場合の契約条件は、借地上の建物が木造などの非堅固建物ならば契約期間は20年で、その他は従前と同一条件で継続される。

 借地借家法が1992年8月に改正されたが、借地契約を今更新しても新法の適用はされず、旧借地法が引き続き適用される。

 更新料は地主に契約を更新してもらう対価として支払うものと言われている。だが、更新は地主にしてもらわなくても法律の定めで自動的に出来るので、更新料を支払う理由が見出せない。

 また地主は更新料を請求する根拠として「更新料の授受は世間の慣習だ」と主張したが、最高裁判所で慣習説は否定され、借地更新料は支払義務なしとされました(最高裁判所1976年10月1日及び1978年1月24日判決・東京借地借家人組合連合会発行のパンフレット「借地借家更新料について」参照)。

 借地更新料は支払う必要のないものであり、更新料を支払わなくても借地人が後に不利益を蒙ることは全くない。既に更新料を支払わずに法定更新した借地人は大勢いますが、今も従前どおり借地を続けています。

 具体的にすることは、借地法4条に基づいて、
 �@契約期間満了後も従前通り引き続き借りたいという「借地の更新請求」をする、
 �A更新料の請求を断わる、
 以上のことを組合を通じて行えば一層効果的に借地の更新と更新料支払い拒否が達成出来る。

東京借地借家人新聞より


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2006年04月15日

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敷金を上回るリフォーム代請求を
     少額訴訟で取り返す

 板橋区小豆沢に住む鈴木さんは、3年前に家主から、息子が結婚して同居するから明け渡せと言われて困った時に、友人の紹介で借地借家人組合に入会した。その時は、組合からの手紙で家主も追い出しを断念した。

 昨年、仕事を新たに始めることになり、引越すことになった。組合からのアドバイスを受け、破損部分は自費で修理して明渡すことになった。当日は家主の代理人として不動産業者が立会い、チェックをしていった。それから数日後に見積書が郵送され「金額は32万4千円で敷金が24万円ですから、その差額をお支払いください」という内容。

 家主と何回か話合ったが、鈴木さんは納得できず、組合と相談して裁判にすることにした。当初、支払督促の申立てをする予定だったが、一日で決着がつく少額訴訟に切替えた。事前に組合と相談して写真、被告答弁書に対する反論書も準備した。

 鈴木さんは当日の気持ちをを次のように語った。
 「緊張感で一杯でした。相手の家主と不動産会社の社長が裁判官に対して、契約書に書いてある原状回復の特約は有効かと尋ねると裁判官がこの特約は不法なもので有効ではないと答えると信じられないという感じでもう一度聞き直していましたが、答えは同じでした。それから話し合いに入り、私の主張がほぼ認められ、22万円を返還することで和解しました。意思を曲げなかった事が良い結果を出せたのだと思います」。

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2006年04月14日

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地上げ屋が競落
 業者が強要 
    底地の買取りか借地権の売渡し
 豊島区千早町は閑静な住宅街だったが、地下鉄の開通などでバブルの頃には、地価が急騰しさまざまな地上げ屋が横行した。その名残りではないが、木下さんの借地も競売になり、競落したのが昔風の地上げ屋だった。

 競落と同時に「底地を買うか借地を売って出ていけ」と連日のように電話、訪問。
 電話を切ろうとすると「勝手に電話を切れると思っているのか」等と脅迫され、生きた心地がしなかった。
 近所にいる借地の組合員に紹介され組合に加入。

 早速、組合から電話を入れ、今後は組合が窓口になると通知した。「てめーらは黙っていろ、じゃまするな」とヤクザ言葉。  このままでは、身の危険も感じるということで、家の前に組合が作った「無理やり電話、面会を強要した場合は、ただちに警察に通報する」という告知板をはり出した。

 その結果、効果てき面で、その後は一切電話も面会もなくなった。

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2006年04月13日

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借地契約で不利益な特約
 借地人に不利な特約付の契約書の作成を
       要求されたがどうしたらよいか
(問)
 父の代から土地を借りています。10年前に父が亡くなり、長男である私が借地権を相続し、地代を支払っています。父が土地を借りてから70年以上が経過し、建物も相当古くなっていますが、修理しながら建物を維持し生活しています。契約書は全く作成せず口約束で借りていて、地代の領収印が押された通い帳が契約書時から全部残っています。

 地主も代替りし、最近になって契約書を作成したいと言って、契約書の案文を郵送してきました。それを見ると契約期間は10年となっていて「更新時には借地権価格の10%の更新料を支払うことによって契約を更新することができる」「建物の増改築は一切行わないこと」と書かれています。どうしたらいいでしょうか。

(答)
 土地や家の賃貸借契約は口約束でも契約は成立する。借地借家法が一部改正され、更新のない定期借地や定期借家契約が法律で認められたが、定期借地や定期借家契約の場合は書面で契約して置かないと契約として認められない。それ以外の普通の借地や借家の契約は、地代なり家賃の領収書があれば立派に契約は成立する。

 契約書を作成して置かないといつ追出されるか不安だと思っている人もいて、契約書の内容が借地人にとって不利なものであっても判を押してしまう人がいる。契約書は契約内容を証明する一つの手段に過ぎない。貸主側が作成する契約書の多くは、借地人の権利を拘束し、義務ばかり押付けた不利なものが多く、作成したために後で取り返しの付かないことになり兼ねない。

 契約書の特約の中で借地借家法の強行規定に反する条文は無効である。10年の契約期間も旧借地法が適用される借地契約では最低が非堅固な建物では20年、堅固な建物では30年以上でなければ無効となる。更新料の支払特約は判例上、一概に無効とは言えない。

 いずれにしても借地人にとって不利な特約は削除させるか、削除に応じない場合は契約書の作成は拒否した方が得策だ。借地人の中には契約の更新時に莫大な更新料を支払った上に、著しく不利益な契約書を作成し、後で後悔している人が見かけられる。是非とも契約書を作成する前に組合に相談し、充分に点検して貰ってから押印しましょう。

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2006年04月12日

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底地が競落される
競落した業者の強引な底地
     買取要求に5名で一致団結  
 板橋区南町の西村さんは、借地して30年以上になる。ここ10年は、地主が何回か代わるなどし、その都度様々な嫌がらせを受けた。 

 2年前に地主が借金の返済ができず貸地を競売にかけられた。競落したのは競売物件を専門にしている業者だった。借地人には「底地を買ってくれ、嫌ならば2〜3年後にくる更新時に更新料をしっかり貰う」と、脅かしつつ強引に底地の買取を迫ってきた。

 最初、1人だった組合員は「底地を買うにしても、引続き借地のままにしても組合としてまとまって業者と交渉しよう」ということで5人に増えた。組合に入っていない人たちは、借地権割合7対3の坪45万円より僅かに安い40万円で購入した人が何人もいた。

 組合員には「引続き借地のままでも、今までと何ら変らない、更新料は払わなくて済む」ことを理解してもらい、組合を窓口にして交渉する方針だ。

 組合は、競落価格を知っているし、もし買取価格で折合いが付かなければ、借地のままにする姿勢でいる。地主の不動産会社は「なんとか買ってもらうことで話しをまとめたい」と組合に申し入れてきた。

 こうした経過の末、業者が最初に提示した価格のほぼ60%で全員が取得できた。
 西村さんは「組合に入っていたお陰で交渉から解決まで全く安心していた」と言っている。

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2006年04月11日

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底地買い
 
業者、底地買取を強要 
 北区滝野川で中華料理店を営んでいる杉本さんの家に、関西に本社がある不動産業者が訪れたのは9月の中頃だった。業者は「地主からこの土地を買った。底地を買うか買わないかハッキリさせろ、買わないなら追出してやる」と脅し、今問題になっている商工ローンの取立てみたいな連中だった。

 その後も、営業中にもかかわらず、訪ねてきては「早く土地を買い取れ」と脅迫してくる不動産業者に、杉本さんは、精神的にもまいってしまい、以前から知っていた組合を訪問した。そして、今後の交渉は組合を通じて行うことにした。

 その後、組合事務所を訪れた不動産業者は担当者を入替えて「お宅の組合は大阪でもお世話になっています」と一応低姿勢の挨拶だった。「買うか買わないかは借地人が選択する事、しかも、正当事由がなければ立退きも認められない事、更新料については一切支払わない事」を組合から通告した。最近、この業者が他の土地でも同じような事をしている事がわかった。

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2006年04月10日

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家賃値上げ特約 
法定更新の選択を通知すると
       家主は特約の削除に合意 
 池袋駅から歩いて5分の繁華街の一角で6年前から美容室を営業している小池さんは、この1月で契約期間が満了する。

 昨年12月に家主から契約更新にともない「原契約にあるとおり、賃料の15%の増額、更新料の2ヵ月分の支払をお願いいたします」と通知してきた。

 小池さんはこの不景気の中で家賃は下がっているのに「契約書には更新時に15%の値上げの特約」があるために毎回値上げを認めていたのでは、五回更新すれば最初の家賃の2倍になってしまう。 そこでなんとかしなければと思って組合事務所にやって来た。

 組合は「更新には、両者が合意して更新する合意更新と合意が出来ない場合、法律が自動的に更新してしまう法定更新があることを説明し、この法定更新では期限の定めのない契約になり更新というものがなくなってしまう事」を説明した。

 小池さんは直ちに家主に現契約書に書いている更新時に、賃料の15%値上げの特約を削除しなければ、法定更新にすることを家主に通知した。

 すると家主側はこの特約を削除する事で合意したいと言ってきた。  小池さんは「最初は不安だったが、組合の言うとおりに交渉したら、一発で解決した。さすが組合だ。困った時は組合に行きなさいと今度は私が宣伝して回ります」と喜んで語った。

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2006年04月08日

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店鋪賃料値下げで和解
調停で現行賃料を月額1万円減額

 豊島区巣鴨で商売をしている若林さんは、2年前には、家主から家賃値上げの調停を申立てられた。その際は、不調になり値上げをさせることは出来なかった。

 その後の2年間は、景気はますます悪くなる中で近隣の店鋪、事務所の賃料は安くなる一方だった。家主からの嫌がらせも後を経たず、この際、家賃値下げを裁判も辞さずの覚悟で調停を簡易裁判所におこすことを決意した。

 組合の全面的な援助をもらい、調停手続きを行った。近隣の店鋪を賃貸している人や不動産屋からも資料をもらい調停の場に提出した。家主側も近隣の相場を資料として提出したが、家賃が高くて入居者がいないところの資料を出してきた。

 若林さんは、もし値下げに応じないならば本裁判も辞さない決意を表明した。その後、1万円値下げするならば和解に応じてよいと言う提案をしたところ、家主はしぶしぶ和解に応じた。

 若林さんは「組合のお陰で値下げすることが出来ました。この景気の悪いときに大変有り難い結果をえる事ができました」と語った。

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2006年04月07日

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減額に成功
 
交渉で減額に成功する

  店舗補償金補充の減額交渉も三回

 江東区深川1丁目の田中さんは、地下鉄東西線の門前仲町駅近くで店舗を借り、コーヒー店を営んでいる。

 当初借りたのが25年前。2年契約で家賃は11万円だった。

 その後、契約更新毎に更新料、保証金の償却・補填をはじめ、家賃の値上げは、田中さんが温厚なのにつけ込んで13万円、次は15万円、17万円、20万円、24万円と値上げが続き、保証金の補充は72万円に達した。

 平成2年になって、家賃を28万円に値上げ請求を受けて、田中さんは遂に組合に加入した。組合を通じて家賃額の交渉をした結果、264000円に抑えることができた。

 次の更新からは、弁護士を頼んで保証金補充の減額交渉を三回やってもらい、それなりの成果を上げた。

 田中さんは、現状では、まだまだ負担が重すぎるため、組合のアドバイスで家賃の減額交渉を始めた。1回目の交渉で24000円の値下げを勝取ったが、その後も粘って、さらに1万円値下げに成功した。田中さんは「組合に入っていて本当に良かった」と話している。

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2006年04月06日

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敷金トラブル
朝日新聞 2005年10月29日 be betweenより

    テーマ:敷金トラブル
 ルールの徹底はこれから

手間もお金もかかる引っ越しについて、beモニターに尋ねたところ、半数近い人は不愉快な思いをしていました。

 なかでも不満が多いのは、「返還された敷金の額」です。引っ越し業者のサービスや価格と並んで、500人以上が原因としてあげました。

 「わずか7カ月の入居で大人2人だけ。汚しも壊しもしないのに敷金では足りないと、改装費を別に請求された」(福島、62歳女性)、「壁の色あせを理由に敷金のほとんどが戻らなかった」(奈良、61歳男性)と、不当な扱いをされたという思いを持つ人は多いようです。

 どう対応していいかわからず、泣き寝入りする人も。「引っ越し当日の忙しい最中、交渉している余裕が無かった。また、自分自身に知識も無く、どのくらいが相場かもよく分からなかった」(神奈川、28歳女性)。ただ、交渉すると強いのは女性かもしれません。「交渉したが聞いてもらえなかった」という答えは女性より男性の回答者が多く、全部または一部を認めさせた、という答えは、いずれも女性が上回りました。

 「消費者法が専門。こちらに従う義務がないことを、配達記録郵便で示すと、あっさり応じた。必要なものは揺るがない法的根拠」(愛知、24歳女性)と、専門知識がある人は損をしていません。

 残念ながら、裁判になることもあります。「簡易裁判所に調停を申し立て、やっと半額を取り返した。立ち退きの際のトラブルを未然に防止する法律を整備する必要がある」(千葉、56歳男性)という意見は、ごもっともです。

 「入居している人は、家賃を払えば何をしてもいいという考えでなく、自分の家と同じ考えで大切に使ってもらいたい」(新潟、58歳男性)という大家さんからの注文もありました。

 国土交通省は敷金トラブル解決のため、判例などをもとに「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」をまとめて公表していますが、知っていると答えた人は11%でした。早く常識として広がることを期待したいものです。

(担当 松浦新)




 beモニター 現在、全国で約8400人が登録しているbeの読者。02年4月の土曜be創刊以来、折をみて募集し、インターネットで毎週調査している。



●シックハウスの症状が出て3カ月で転居したにもかかわらず、敷金からがっぽり引かれた(兵庫、31歳女性)

●敷金が戻らず、1年以上過ぎてから30万円以上の請求があった。地道に粘ってあきらめさせた(福岡、47歳女性)

●借り主に責任がある修復も、礼金の中でおさめるべきだ。だいたい礼金だっておかしな名目(山梨、47歳女性)

●九州から関西に引っ越した後だったので、一度電話で交渉しただけであきらめた(熊本、32歳男性)

●仲介業者が暴力団風の電話をかけてきた(静岡、50歳男性)

●文句を言ったが、専門用語を並べられたり、また別の平日に立ち会えなど無理な要求をされてあきらめた。いまだに気分が悪い(神奈川、33歳女性)

●大家の側から言えば非常識な入居者もいる。次の転居先などまで大家側が面倒を見て、未回収の家賃も泣き寝入りすることも(東京、52歳男性)


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2006年04月05日

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鉄骨住宅に建替え
建替承諾料・借地更新料支払い無し

 地主との4年半に亘る裁判の末に、借地上に鉄骨3階建の自宅がやっと完成した。
 事件の発端は、地主側弁護士からの通告書であった。借地期限が後1年になったことから、建築計画を立て、建築会社の設計図も完成し、新築の準備をしていた矢先のことであった。
 地主側の通告書には、「通告人は、本書面を以って貴殿が本件土地上に於いて建物の新築・改築又は増築を行わないよう請求致します」と記されていた。

 ところが、裁判の始まる5年前に「貸地上に建築計画上の住宅・店舗の建築に際して更新料・承諾料の要求は一切致しません」と言う直筆の実印が押された念書を地主から貰っており、地主からは既に建物建築の承諾を得ていたにも拘らず、このような建築中止の通告である。地主の悪どい遣り方に納得が出来ず裁判に訴えた。

 地主の敷地は借地部分を含めると約250坪で奥に長い四角形である。言問通りに面し、その南側にある。言問通りに面した部分〈約70坪〉に借地人の4軒の建物が建っている。従って地主の土地はその一部が言問通りに面し、L字形をしている。土地の殆どは借地人達の建物の裏(北)側にある。
 地主は裁判が始まる5年前に住宅金融公庫から建築資金を得て、5階建の賃貸マンションの建築を11月から始めた。ところが、地主の敷地内で工事が行われていれば何ら文句は無い。しかし、4軒の借地人の同意も得ずに、その借地内に勝手に入り込んで無断で足場を組み、あまつさえ借地部分に60�p以上も喰い込んで鉄板で囲い始めた。公庫と建築会社に敷地の無断使用を抗議した結果、工事は全面的にストップした。

 公庫・建築会社と借地人との話合いの過程で、山留めのH鋼が借地人の敷地内に16本打ち込まれる計画であることが判明した。敷地外にH鋼を移動することは、現在の建築面積が採算ラインぎりぎりであって、これ以上建築面積の縮小は採算ライン以下になり工事の全面見直しとなる。H鋼の移動は不可能である事も解った。公庫は地主の杜撰な建築計画に常識外れと呆れていた。

 公庫は地主に対して、借地人の同意が得られず、12月中に着工出来ない場合、融資打ち切り・建築中止を勧告した。
 地主は建築中止を怖れ、借地人が要求する内容の念書を仕方なく書いたのであるが、借地人としては16本のH鋼 の打ち込みを容認する代償として念書を得たのである。

 裁判が始まると地主側は木造建物の建築承諾はしたが、堅固建物の建築承諾はしていないと反論してきた。だが、裁判の結果は非堅固建物から堅固建物への変更を認め、30年の借地契約で鉄骨3階建の建物へ建替えることを認めた。地主が書いた念書通り建替承諾料・借地更新料共に支払わずに済んだ。

 建築資金は店舗併用住宅なので国民生活公庫から融資を受けて、裁判から2年後に建物は完成した。


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2006年04月04日

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民法の現代語化
2005年4月1日から施行されている民法は、2004年11月25日に第161回国会で可決成立した「民法の一部を改正する法律案」により12月1日法律147号として公布されたものである。

 既に民法の第4編親族、第5編相続は昭和22(1947)年に大改正され平仮名・口語化されていた。だが第1編総則、第2編物権、第3編債権は明治29(1896)年の制定以来、部分的な手直しは有ったが全面的な改正を受けないまま、片仮名・文語体の表記形式が維持されていた。現代では殆ど使われない用語・用字が条文中に多数残されていた。

 そこで法務省は民法の現代語化の基本方針として
�@第1編から第3編までの片仮名・文語体の表記を平仮名・口語体に改める、
�A現代では一般的に用いられていない用語を他の適当なものに置き換える、
�B確立された判例・通説の解釈で条文の文言に明示的に示されていないもの等を規定に盛り込む等である。

 例えば「或土地カ他ノ土地ニ囲繞セラレテ公路ニ通セサルトキハ其土地ノ所有者ハ公路ニ至ル為メ囲繞地ヲ通行スルコトヲ得」(210条)。

 句読点も濁点も無い片仮名交じりで、加えて難しい漢字も見受けられる条文が今回の現代語化で次のように改められた。

「他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる」。
 用語の平易化は「公路」を「公道」に、「囲繞地」を「その土地を囲んでいる他の土地」。

 他に「疆界」を「境界」、「溝渠」を「溝、堀」、「穿ツ」を「掘る」、「僕婢」を「家事使用人」、「薪炭油」を「燃料及び電気」、「欠缺」を「不存在」、「事跡」を「事由」、「出捐ヲ為シテ」を「費用を支出して」に置き換えている。



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2006年04月03日

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2006年5月
2006年05月31日

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借主に敷金が全額返還された(東京簡易裁判所判決 )
H17. 8.26 東京簡易裁判所 平成17年(少コ)第1527号(通常手続移行) 敷金返還請求


事件番号  :平成17年(少コ)第1527号(通常手続移行)
事件名   :敷金返還請求
裁判年月日 :H17. 8.26
裁判所名  :東京簡易裁判所
部     :民事第8室(少額訴訟係)
結果    :請求認容


平成17年8月26日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 
平成17年(少コ)第1527号(通常手続移行)敷金返還請求事件
口頭弁論終結日 平成17年7月15日
司法委員
判 決
主      文
1 被告は原告に対し,金25万7200円及びこれに対する平成17年1月10日から支払済みまで年6パーセントの割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
4 この判決は仮に執行することができる。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
被告は原告に対し,金25万7200円及びこれに対する平成17年1月10日から支払済みまで年20パーセントの割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
1 請求原因の要旨
原告は,平成8年5月27日,被告から東京都中央区A町b丁目c番d号所在の○○マンションB号室を,期間2年の約束で借り受け,敷金25万7200円を支払い,4回の更新を重ねた後,平成16年11月19日,被告に対し,上記賃貸借契約を解除する旨を通知し,平成17年1月10日,建物を明け渡したと主張して,敷金25万7200円の支払を求める。
2 被告の主張
本件賃貸借契約は,対象物件を事務所用として賃貸したものであるから,居住用賃貸借契約とは異なり,本件賃貸借契約書20条1項の「この契約が終了したとき,乙は,契約終了までに甲の指定する業者により,乙が本物件内に設置した造作その他の設備を乙の費用に於いて撤去し,本物件を現状に復し,且つ,本物件の内装及び付属諸設備,諸造作等の破損,汚損箇所を甲の指定する業者に於いて修復し,甲に明渡しをする。」という原状回復条項,つまり,造作その他を賃借人の負担において契約締結時の原状に回復させるという条項は,そのまま適用されるべきである(東京高等裁判所平成12年12月27日判決,判例タイムズ1095号176頁)。したがって,本件における原状回復費用は40万9500円であるから,これに敷金を充当すると,原告に返還すべき敷金は存在しない。
3 争点
本件原状回復特約の適用の可否
第3 当裁判所の判断
1 オフィスビルの原状回復特約とその必要性
被告が,参考として挙げる前記判例は,本件と同様の原状回復特約「本契約が終了するときは,賃借人は賃貸借期間が終了するまでに,造作その他を本契約締結時の原状に回復しなければならない。」の必要性について,一般に,オフィスビルの賃貸借においては,次の賃借人に賃貸する必要から契約終了に際し,賃借人に賃貸物件のクロスや床板,照明器具などを取り替え,場合によっては天井を塗り替えることまでの原状回復義務を課する旨の特約が多いということを認定したうえ,賃借人の保護を必要とする民間居住用賃貸住宅とは異なり,市場性原理と経済的合理性の支配するオフィスビルの賃貸借では,このように,賃借人の建物の使用方法によっても異なり得る原状回復費用を,あらかじめ賃料に含めて徴収する方法をとらずに賃借人が退去する際に賃借人に負担させる旨の特約を定めることは,経済的にも合理性があると説明する。当裁判所もオフィスビルの賃貸借契約においては,このような原状回復特約の必要性についてはそれを肯定するものである。
2 本件はオフィスビルの賃貸借契約といえるか。
前記判例における賃貸物件は保証金1200万円という典型的オフィスビルであり,しかも新築物件である。それに比して,本件物件は,仕様は居住用の小規模マンション(賃貸面積34.64�u,)であり,築年数も20年弱という中古物件である。また,賃料は12万8600円,敷金は25万7200円であって,事務所として利用するために本件物件に設置した物は,コピー機及びパソコンであり,事務員も二人ということである。このように本件賃貸借契約はその実態において居住用の賃貸借契約と変わらず,これをオフィスビルの賃貸借契約と見ることは相当ではない。
3 結語
本件賃貸借契約は,その実態において居住用の賃貸借契約と変わらないのであるから,オフィスビルの賃貸借契約を前提にした前記特約をそのまま適用することは相当ではないというべきである。すなわち,本件賃貸借契約はそれを居住用マンションの賃貸借契約と捉えて,原状回復費用は,いわゆるガイドラインにそって算定し,敷金は,その算定された金額と相殺されるべきである。 しかしながら,被告は物件明渡時,絨毯下の床まで傷がついた状態であるなど,経年劣化を超える汚れや傷が認められたと主張するが,それについて,何らの立証もなく,また,その他の原状回復についても,何らの主張,立証もない。
なお,原告が遅延損害金として,年20パーセントの請求をする根拠はない。
よって,主文のとおり判決する。
東京簡易裁判所少額訴訟6係


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2006年05月30日

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今回も借地更新料を拒否
大田区羽田3丁目に居住する石井・小島・佐藤・須山(正)・須山(新)・田村(アイウエオ順)ら借地人6名が借地人組合に加入して20年余を経過する。

前回の更新の時は、父から相続した息子より依頼された小田原の弁護士との交渉であった。当時周辺で更新料を支払う事例を見聞きする中、石井さんら6名の借地人は借地法や判例を学習の上、更新料不払いで意志を統一し団結を強めて交渉に臨んだのです。

その結果、地主代理人弁護士は法律上更新料を諦めざるをえないが、地主を説得するので地代を増額してほしいと提案する。交渉は長引き小田原への通いは1ヶ月余に及んだが遂に、更新料請求は撤回され、地代も納得出来る増額内容で合意した。

 早いものです。あれから20年も経ちました。その間の数回の地代値上げは地主との直接交渉であったので、今回の更新についても地主との交渉と想定したが、組合を嫌がったのでしょう。地主は地元の不動産業者に依頼されたのです。業者は借地人らにではなく、組合に書面にて契約更新を打診してきた。

直ちに、借地法第4条に基づき更新を請求することを通告すると、業者は更新料は頂けないだろうと請求せずに地代の増額を提示してきたのです。その内容は坪当たり60円の値上げであった。

借地人らは更新契約書を手にすることが出来ればと了承するつもりであったが交渉で坪当たり50円で合意し12月に締結。嬉しい新年を迎えられました。

東京借地借家人新聞より


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2006年05月29日

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業者との交渉で底地を取得
  価格も想定以内で面積も10%増しで合意

 今年3月、組合事務所を訪ねて即刻入会したのは、羽田5丁目に居住する田中さんです。相談内容は、地主が土地開発を主要な生業とする会社に替わり、委任状持参の代理人の挨拶は驚きであった。

 借地20坪を買い上げると価格提示するばかりで、田中さんの主張を受け入れようとはしない。つまり、借地人を立ち退かせて更地に仕上げることを目的とする不動産業者の登場であった。

 悩む田中さんは以前知人に紹介された組合を思い出したという。 聞くと組合を良く知っている業者だった。直ちに、今後一切組合の承諾なく、田中さんに接触しないことを確約して交渉に入った。

 底地を購入したいという田中さんの希望を4カ月に渡る交渉で業者を説得、価格も想定以内で面積が以前より1割増しで合意。

 隣接する同一地主の借地人も田中さんの紹介で入会し、希望通りの条件で同時合意となった。 測量分筆の作業に着手したので、近々に決済を迎える。

東京借地借家人新聞より


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2006年05月26日

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更新料を断わる
 豊島区JR大塚駅より歩いて数分のところに親の代より借地している仲村さんの所に地主から借地の更新の話があったのは昨年のことであった。

20年前の更新時に支払った更新料より高い300万円を請求され、しかも、地代の値上げを請求された。知合いの組合員さんから紹介されて組合に入会した。

組合から更新料の支払いについてその法的根拠、及び算出根拠を求める手紙を出したところ、回答に窮して、私道の駐車問題などで財産権の侵害だなどと称して話合いがつかないならば裁判だと主張してきた。また、前回更新料を支払ったのだから、暗黙の了解があったと解すべきだ主張してきた。

組合では、仲村さんに、先の東京借地借家人新聞に載った更新料支払いの了解についての判例紹介(*)などをもとに貸主に反論することを提案した。この間、数度にわたる通知書のやり取りをしてきた仲村さんは「組合に入って、このような問題でも安心して相談できる。本当に助かります」と話していた。
東京借地借家人新聞 


 (*)判例紹介〔東京借地借家人新聞 2005年4月15日号〕「かつて更新料を支払った事実があるというだけで更新料支払の合意があったことの根拠とすることはできない」(東京地裁2004年5月21日判決)。そして、更新料の支払いの慣習があるとする地主の主張も認められなかった。

東京借地借家人新聞より


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2006年05月23日

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2005年12月16日最高裁判決全文
 最高裁判決

 判例 平成17年12月16日 第二小法廷判決 平成16年(受)第1573号 敷金返還請求事件

 要旨:
 賃借建物の通常の使用に伴い生ずる損耗について賃借人が原状回復義務を負う旨の特約が成立していないとされた事例

 内容:
  件名   敷金返還請求事件 (最高裁判所 平成16年(受)第1573号 平成17年12月16日 第二小法廷判決 破棄差戻し)
  原審   大阪高等裁判所 (平成15年(ネ)第2559号)

                          主    文
 原判決を破棄する。
 本件を大阪高等裁判所に差し戻す。

                           理    由

 上告代理人岡本英子ほかの上告受理申立て理由(ただし,排除されたものを除く。)について
 1 原審の確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。

 (1) 被上告人は,地方住宅供給公社法に基づき設立された法人である。

 (2) 第1審判決別紙物件目録記載の物件(以下「本件住宅」という。)が属する共同住宅旭エルフ団地1棟(以下「本件共同住宅」という。)は,特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律(以下「法」という。)2条の認定を受けた供給計画に基づき建設された特定優良賃貸住宅であり,被上告人がこれを一括して借り上げ,各住宅部分を賃貸している。

 (3) 被上告人は,平成9年12月8日,本件共同住宅の入居説明会を開催した。同説明会においては,参加者に対し,本件共同住宅の各住宅部分についての賃貸借契約書,補修費用の負担基準等についての説明が記載された「すまいのしおり」と題する書面等が配布され,約1時間半の時間をかけて,被上告人の担当者から,特定優良賃貸住宅や賃貸借契約書の条項のうち重要なものについての説明等がされたほか,退去時の補修費用について,賃貸借契約書の別紙「大阪府特定優良賃貸住宅and・youシステム住宅修繕費負担区分表(一)」の「5.退去跡補修費等負担基準」(以下「本件負担区分表」という。)に基づいて負担することになる旨の説明がされたが,本件負担区分表の個々の項目についての説明はされなかった。 上告人は,自分の代わりに妻の母親を上記説明会に出席させた。同人は,被上告人の担当者の説明等を最後まで聞き,配布された書類を全部持ち帰り,上告人に交付した。

 (4) 上告人は,平成10年2月1日,被上告人との間で,本件住宅を賃料月額11万7900円で賃借する旨の賃貸借契約を締結し(以下,この契約を「本件契約」,これに係る契約書を「本件契約書」という。),その引渡しを受ける一方,同日,被上告人に対し,本件契約における敷金約定に基づき,敷金35万3700円(以下「本件敷金」という。)を交付した。 なお,上告人は,本件契約を締結した際,本件負担区分表の内容を理解している旨を記載した書面を提出している。

 (5) 本件契約書22条2項は,賃借人が住宅を明け渡すときは,住宅内外に存する賃借人又は同居者の所有するすべての物件を撤去してこれを原状に復するものとし,本件負担区分表に基づき補修費用を被上告人の指示により負担しなければならない旨を定めている(以下,この約定を「本件補修約定」という。)。

 (6) 本件負担区分表は,補修の対象物を記載する「項目」欄,当該対象物についての補修を要する状況等(以下「要補修状況」という。)を記載する「基準になる状況」欄,補修方法等を記載する「施工方法」欄及び補修費用の負担者を記載する「負担基準」欄から成る一覧表によって補修費用の負担基準を定めている。このうち,「襖紙・障子紙」の項目についての要補修状況は「汚損(手垢の汚れ,タバコの煤けなど生活することによる変色を含む)・汚れ」,「各種床仕上材」の項目についての要補修状況は「生活することによる変色・汚損・破損と認められるもの」「各種壁・天井等仕上材」の項目についての要補修状況は「生活することによる変色・汚損・破損」というものであり,いずれも退去者が補修費用を負担するものとしている。また,本件負担区分表には,「破損」とは「こわれていたむこと。また,こわしていためること。」,「汚損」とは「よごれていること。または,よごして傷つけること。」であるとの説明がされている。

 (7) 上告人は,平成13年4月30日,本件契約を解約し,被上告人に対し,本件住宅を明け渡した。被上告人は,上告人に対し,本件敷金から本件住宅の補修費用として通常の使用に伴う損耗(以下「通常損耗」という。)についての補修費用を含む30万2547円を差し引いた残額5万1153円を返還した。

 2 本件は,上告人が,被上告人に対し,被上告人に差し入れていた本件敷金のうち未返還分30万2547円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事案であり,争点となったのは,�@ 本件契約における本件補修約定は,上告人が本件住宅の通常損耗に係る補修費用を負担する内容のものか,�A �@が肯定される場合,本件補修約定のうち通常損耗に係る補修費用を上告人が負担することを定める部分は,法3条6号,特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律施行規則13条等の趣旨に反して賃借人に不当な負担となる賃貸条件を定めるものとして公序良俗に反する無効なものか,�B 本件補修約定に基づき上告人が負担すべき本件住宅の補修箇所及びその補修費用の額の諸点である。

 3 原審は,前記事実関係の下において,上記2の�@の点については,これを肯定し,同�Aの点については,これを否定し,同�Bの点については,上告人が負担すべきものとして本件敷金から控除された補修費用に係る補修箇所は本件負担区分表に定める基準に合致し,その補修費用の額も相当であるとして,上告人の請求を棄却すべきものとした。以上の原審の判断のうち,同�@の点に関する判断の概要は,次のとおりである。

 (1) 賃借人が賃貸借契約終了により負担する賃借物件の原状回復義務には,特約のない限り,通常損耗に係るものは含まれず,その補修費用は,賃貸人が負担すべきであるが,これと異なる特約を設けることは,契約自由の原則から認められる。

 (2) 本件負担区分表は,本件契約書の一部を成すものであり,その内容は明確であること,本件負担区分表は,上記1(6)記載の補修の対象物について,通常損耗ということができる損耗に係る補修費用も退去者が負担するものとしていること,上告人は,本件負担区分表の内容を理解した旨の書面を提出して本件契約を締結していることなどからすると,本件補修約定は,本件住宅の通常損耗に係る補修費用の一部について,本件負担区分表に従って上告人が負担することを定めたものであり,上告人と被上告人との間には,これを内容とする本件契約が成立している。

 4 しかしながら,上記2の�@の点に関する原審の上記判断のうち(2)は是認することができない。その理由は,次のとおりである。

 (1) 賃借人は,賃貸借契約が終了した場合には,賃借物件を原状に回復して賃貸人に返還する義務があるところ,賃貸借契約は,賃借人による賃借物件の使用とその対価としての賃料の支払を内容とするものであり,賃借物件の損耗の発生は,賃貸借という契約の本質上当然に予定されているものである。それゆえ,建物の賃貸借においては,賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の減価の回収は,通常,減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行われている。そうすると,建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは,賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるから,賃借人に同義務が認められるためには,少なくとも,賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているか,仮に賃貸借契約書では明らかでない場合には,賃貸人が口頭により説明し,賃借人がその旨を明確に認識し,それを合意の内容としたものと認められるなど,その旨の特約(以下「通常損耗補修特約」という。)が明確に合意されていることが必要であると解するのが相当である。

 (2) これを本件についてみると,本件契約における原状回復に関する約定を定めているのは本件契約書22条2項であるが,その内容は上記1(5)に記載のとおりであるというのであり,同項自体において通常損耗補修特約の内容が具体的に明記されているということはできない。また,同項において引用されている本件負担区分表についても,その内容は上記1(6)に記載のとおりであるというのであり,要補修状況を記載した「基準になる状況」欄の文言自体からは,通常損耗を含む趣旨であることが一義的に明白であるとはいえない。したがって,本件契約書には,通常損耗補修特約の成立が認められるために必要なその内容を具体的に明記した条項はないといわざるを得ない。被上告人は,本件契約を締結する前に,本件共同住宅の入居説明会を行っているが,その際の原状回復に関する説明内容は上記1(3)に記載のとおりであったというのであるから,上記説明会においても,通常損耗補修特約の内容を明らかにする説明はなかったといわざるを得ない。そうすると,上告人は,本件契約を締結するに当たり,通常損耗補修特約を認識し,これを合意の内容としたものということはできないから,本件契約において通常損耗補修特約の合意が成立しているということはできないというべきである。

 (3) 以上によれば,原審の上記3(2)の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は,この趣旨をいうものとして理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,通常損耗に係るものを除く本件補修約定に基づく補修費用の額について更に審理をさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 中川了滋 裁判官 滝井繁男 裁判官 津野 修 裁判官 今井 功 裁判官 古田佑紀)


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2006年05月22日

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敷引特約は消費者契約法10条に反して無効 神戸地裁が判決
 神戸地方裁判所は、平成17年7月14日の判決で、敷引特約は消費者契約法10条により、無効であるとし、敷金30万円から差し引いた25万円を、賃借人に全額返還するよう命じた。

 ●050714 神戸地裁 エイブル
 ●神戸地裁 平成16年(レ)第109号 保証金返還控訴事件(平成17年7月14日言渡)
 ●裁判官 村岡泰行、三井教匡、山下隼人(第5民事部)  ●代理人 松丸 他
 ●原審 神戸簡裁 平成16年(ハ)第17056号

 ●要旨
   事案の概要
  賃借人(控訴人)は、平成15年8月、家賃月5万6000円(共益費月6000円)、賃借期間2年との内容で建物の賃貸借契約をし、約7カ月間居住していたが、平成16年2月に同契約を解約した。

 この賃貸借契約には、保証金(敷金)として30万円を差し入れることになっていたが、契約終了時に敷引金として25万円を控除して、残余の5万円を返還するとの特約(敷引特約)が付けられていた。

 賃借人は、このような敷引特約は消費者契約法10条に違反し無効であるとして、保証金返還請求権に基づき、敷引金に対応する保証金25万円の返還を求めた。  

 裁判所は敷引金の性質について検討した。
  (1) 契約成立の謝礼、
 (2) 自然損耗の修繕費用、
  (3) 契約更新料免除の対価、
 (4) 契約終了後の空室賃料、
  (5) 賃料を低額にすることの代償などのさまざまな要素を有するものが渾然一体となったもの、

 (1) の要素については、賃借人に一方的に負担を負わせるものであり、正当な理由を見いだすことはできない。

  (2) の要素については、賃料に加えて二重の負担を強いることになる。

 (3) の要素については、賃借人のみが更新料を負担しなければならない正当な理由を見いだすことはできず、しかも、賃借人としては、契約が更新されるか否かにかかわらず、更新料免除の対価として敷引の負担を強いられるのであるから、不合理である。

  (4) の要素については、賃借人が使用収益しない期間の空室の賃料を支払わなければならない理由はなく、賃貸人が自らの努力で新たな賃借人を見つけることによって回避すべき問題である。

  (5) の要素については、賃料の減額の程度が敷引金に相応するものであるかはどうかは判然とせず、また、賃貸期間の長短にかかわらず、敷引金として一定額を負担することに合理性があるとは思えないとした。

  「以上で検討したとおり、本件敷引金の(1)ないし(5)の性質から見ると、賃借人に本件敷引金を負担させることに正当な理由を見いだすことはでず一方的で不合理な負担を強いているものといわざるを得ない。
 そして、本件敷引金に上記(1)ないし(5)で検討した以外に、賃借人に賃料に加えて本件敷引金の負担を強いることに正当な理由があることを裏付けるような要素があるとも考え難い。

 さらに、敷引特約は、賃貸目的物件について予め付されているものであり、賃借人が敷引金の減額交渉をする余地はあるとしても、賃貸事業者(又はその仲介業者)と消費者である賃借人の交渉カの差からすれば、賃借人の交渉によって敷引特約自体を排除させることは困難であると考えられる。

 これに加え、上記のとおり、関西地区における不動産賃貸借において敷引特約が付されることが慣行となっていることからしても、賃借人の交渉努力によって敷引特約を排除することは困難であり、賃貸事業者が消費者である賃借人に敷引特約を一方的に押しつけている状況にあるといっても過言ではない。

 以上で検討したところを総合考慮すると、本件敷引特約は、信義則に違反して賃借人の利益を一方的に害するものと認められる。

  したがって、本件敷引特約は、賃貸借契約に関する任意規定の適用による場合に比し、賃借人の義務を加重し、信義則に反して賃借人の利益を一方的に害するものであるから、消費者契約法10条により無効である。」

東京借地借家人新聞より


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2006年05月21日

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原状回復特約は消費者契約法10条に違反し無効の判決  
 自然損耗を含む原状回復特約は
         消費者契約法10条に違反し無効の判決

敷金返還請求裁判で、貸主に対して敷金全額返還(13万6000円〕を命ずる判決があった。。

          2005年11月29日、東京簡易裁判所判決 全文

 ◆H17.11.29 東京簡易裁判所 平成17年(少コ)第2807号(本訴),同年(ハ)第19941号(反訴) 敷金返還請求(本訴,通常手続移行)損害賠償請求(反訴)

事件番号   :平成17年(少コ)第2807号(本訴),同年(ハ)第19941号(反訴)
事件名     :敷金返還請求(本訴,通常手続移行)損害賠償請求(反訴)
裁判年月日 :H17.11.29
裁判所名   :東京簡易裁判所
部      :民事第8室少額訴訟係
結果    :本訴請求認容,反訴請求棄却

平成17年11月29日判決言渡 同日判決原本領収 裁判所書記官
平成17年(少コ)第2807号敷金返還請求事件(通常手続移行)
平成17年(ハ)第19941号損害賠償反訴請求事件
口頭弁論終結日 平成17年11月22日

判         決
主         文

1 被告(反訴原告)は,原告(反訴被告)に対し,13万6000円及びこれに対する平成16年11月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告(反訴原告)の反訴請求を棄却する。
3 訴訟費用は,本訴反訴を通じて被告(反訴原告)の負担とする。
4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

事 実 及 び 理 由
第1 請求

1 本訴請求
主文1項と同旨
2 反訴請求
反訴被告は,反訴原告に対し,4万4390円及びこれに対する平成16年11月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
1 請求原因の要旨
原告(反訴被告)(以下,原告という。)とA株式会社との間で,平成8年3月ころ締結した東京都杉並区○○a丁目b番c号所在のBマンションd号室(以下,本件居室という。)の賃貸借契約(その後,2年ごとに更新され,平成14年3月1日最終の賃貸借契約(更新契約)を締結し,期間満了後の平成16年3月1日に法定更新された。被告(反訴原告)(以下,被告という。)は平成16年7月22日所有権を取得し,賃貸人の地位を承継した。)に関し,原告が預け入れた敷金13万6000円について,平成16年9月23日本件居室明渡し(同日賃貸借終了)に基づく,原告の被告に対する前記敷金及びこれに対する遅延損害金の支払請求。

2 抗弁及び反訴請求原因の要旨
(1) 原告とA株式会社間の上記1の更新契約においては,原告が本件居室内の汚損や破損による損害を賠償する義務を負うことが約され,また,原被告間には,平成16年9月22日,原状回復(修繕)に関する費用負担の合意があるから,これらの合意に基づいて原告が負担することになった原状回復費用18万0390円を敷金から控除すると,原告に返還すべき敷金はない。
(2) 原告の被告に対する敷金を控除した原状回復費用残額4万4390円及びこれに対する遅延損害金の支払請求。

3 争点
原告の負担する原状回復費用があるか。
第3 当裁判所の判断
1 賃貸借契約書(甲2)第5条には,「敷金は本契約が終了し借主が明渡し後,本契約に基づく一切の債務,電気・水道・ガス等の未払金及び損害金を差引き,借主にその差額を返還するものとし,損害金の中には,(1)畳・襖・壁,床,天井・ガラス・ドア(室内外)・その他の汚損,破損。(2)換気扇・ガス台・流し台・浴室・浴槽・風呂釜・湯沸し器・トイレ,網戸,エアコン等の汚損・破損,この回復に費用を要する時。」などと合意され,また,第6条には,借主の修理費負担部分の合意がされ,さらに,第11条には,「明渡しの時は,原状に復するものとし,又,借主は故意及び過失を問わず,本物件に損害を与えた場合は直ちに原状に復し,損害賠償の責に任ずるものとする。」と合意されているが,これらの趣旨は,借主が賃借開始当時の原状に回復すべきこと,つまり自然損耗等についての原状回復費用も負担することを定めたものといえる。しかし,貸主において使用の対価である賃料を受領しながら,賃貸期間中の自然損耗等の原状回復費用を借主に負担させることは,借主に二重の負担を強いることになり,貸主に不当な利得を生じさせる一方,借主には不利益であり,信義則に反する。そして,上記第5条の合意は,原状回復の内容をどのように想定し,費用をどのように見積もるのか,とりわけ,自然損耗等に係る原状回復についてどのように想定し,費用をどのように見積もるのか,借主に適切な情報が提供されておらず,貸主が汚損,破損,あるいは回復費用を要すると判断した場合には,借主に関与の余地なく原状回復費用が発生する態様となっている。このように,借主に必要な情報が与えられず,自己に不利益であることが認識できないままされた合意は,借主に一方的に不利益であり,この意味でも信義則に反するといえる。そうすると,自然損耗等についての原状回復義務を借主が負担するとの合意部分は,民法の任意規定の適用による場合に比べ,借主の義務を加重し,信義則に反して借主の利益を一方的に害しており,消費者契約法10条に該当し,無効である。

2 被告は,原告との間で原状回復(修繕)に関する費用負担の合意がされたとして,引渡立会負担区分合意書(乙1)を提出するが,原告は,被告代表者から明渡しが完了したので署名して欲しいと求められたので署名したものであり,その際,負担者欄の負担者を示す丸印は記載されていなかったし,修繕費用を負担する趣旨で署名したものではない旨供述する。そうすると,被告代表者の供述及び合意書から,原告が被告との間で費用負担の合意をしたと認めることはできず,他に合意をしたと認めるに足りる証拠はない。

3 以上から,自然損耗等についての原状回復費用に関する部分は,上記1のとおり無効であり,また,原被告間に費用負担の合意がないのであるから,原状回復費用の負担については,民法の規定に従い,借主が故意又は過失によって毀損したり,あるいは通常の使用を超える使用方法によって損傷させた場合に,その回復費用を借主の負担とすべきであるが,本件居室の汚損状況を写した写真(乙2)によれば,原告が明け渡した際に,壁等がカビ等で汚損されている事実を認めることができる。しかし,他方,原告本人の供述及び陳述書(甲4)によれば,原告は,賃借する際に,改装工事もなく前借主が使用していた状態,いわゆる居抜きの状態で入居したものであり,入居当初から多少のカビが生えていたところ,南北にしか通気がなく風通しも十分でない構造も影響して,その後改装工事もなされないまま8年間使用し続けてきた結果,カビが広がったものである事実を認めることができるし,また,通知書(甲7)によれば,原告は,前貸主A株式会社から更新時期の前である平成15年10月ころ,本件建物の老朽化を理由に平成16年12月までに明け渡すように求められていた事実も認めることができるから,これらの事実に照らして考えると,前記カビ等で汚損している事実から原告の故意又は過失による毀損,あるいは通常使用を超える使用方法による損傷と推認することはできず,他に原告の故意過失等によって損傷を与えたとする事実を認めるに足りる証拠はない。

そうすると,原告の負担すべき原状回復費用を認めることができないから,被告の抗弁事実及び反訴請求原因事実は認めることができず,原告の本訴請求は理由がある。

東京簡易裁判所少額訴訟4係
                      裁 判 官   行  田    豊




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2006年05月20日

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約定更新料を地主が請求
 建築確認も取れない土地と支払を拒否

 大田区南六郷1丁目に、所在する宅地約17.82坪を木造住宅建てて使用している山下さんは、父から引きついだ家屋に夫と子供2人と生活している。

借地契約は今年9月末日で期間満了を迎えて、地主より105万円請求された。返事を渋ると、地主は、契約書に借地権価格の1割以上の更新料を支払うと約してあると、電話で執拗に支払いを求めた。

 山下さんはこれまで色々と相談していた隣人(同一借地人の林さん)に相談。林さんは組合の存在は知っていたが、場所は判らず、区の消費者センターに問合わせて組合事務所を訪ねて2人で入会。

 約定更新料は借地法第11条〔注〕により無効になることを勉強した山下さんは、組合に入会したことも含め地主に通告。

 地主の依頼を受けた弁護士から組合に連絡があり、地主は請求額に固執し支払いは月賦でも良いとの条件を提示。 

 法律を学んだ山下さんは、建築許可も取れない奥まった宅地を踏まえ重ねて支払い拒否。林さんも2年後の更新を控えて、山下さんに続くと決意している。

東京借地借家人新聞より  


 〔注〕借地法 第11条 第2条、第4条乃至第8条ノ2、第9条ノ2(第9条ノ2ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)及前条ノ規定ニ反スル契約条件ニシテ借地権者ニ不利ナルモノハ之ヲ定メサルモノト看做ス


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2006年05月19日

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地代減額裁判で30%減額で和解  
葛飾区立石で借地をしている山崎さんは当葛飾借組の同地域の組合員の紹介で入会をした。山崎さんの借地面積は約42坪、1ヶ月の地代は22万5000円で坪約5250円。

 これは、近隣と比較してもかなりの高額な地代であった。そこで地代減額を書面で要求した。

 しかし、地主に全く無視されたので調停を申し立てたが、1回で不調となった。 この結果に、納得できなかった山崎さんは東部法律事務所の榎本弁護士に依頼をして本裁判に臨んだ。

 山崎さんは近隣の借地料を調べ資料として裁判所に提出した。数回の裁判の後、鑑定となった。

 結局、鑑定額の1ヶ月相当地代15万2000円(坪3619円)という現行地代の30%の減額(1ヶ月7万円)で和解し勝利となった。 裁判費用も数ヶ月分の差額地代の返還があったので山崎さんの負担は殆どなかった。

 同地主と同時に裁判を闘っていた四ツ木地区の田中さんの地代減額裁判も地主側の弁護士より和解の申し出があり、地代の鑑定をすることなく、こちらも地代の30%減額で勝利することができた。

東京借地借家人新聞より


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2006年05月18日

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底地を買うか借地を売るかと強迫  
大田区多摩川1丁目の宅地約44・2坪を賃借中の落合さんは、5年前地主から依頼された不動産業者から底地の買取を求めたが、経済的に無理する考えはないと拒否。

 今年4月譲受人と称す不動産業者(地上げ屋)から挨拶状が届くと、すぐに業者が訪れて「土地を買うか借地を売るか」と捲し立てるが、すでに組合員で自らの権利を自覚していた落合さんには適わない。その意志はないと伝え、交渉は組合を通すことを求めた。

 さらに同一借地の2世帯の相談にも応じて組合を紹介し入会を勧めた。3世帯の団結により1世帯は、組合と相談の上提示した額に業者が応じて土地売買が成立。

 しかし、落合さんら2世帯に手を焼いた業者は新たな業者に転売。組合員であることを承知で買受けた業者は組合と交渉の結果、前地主からの契約を継承することを了承してこのほど合意した。

東京借地借家人新聞より


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2006年05月17日

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不当な契約条件を撤回させる
埼玉県新座に住む向井さんは、今から2年前にこのマンションに入居した。入居の際のトラブルやその後の結露などの問題で借地借家人組合に入会。

 向井さんは、今年の8月末で期間満了となり更新をして、新しい契約を締結するつもりでいた。

 契約書には「更新時には、更新は新賃料の1ヶ月分を支払って更新することが出来る。又、更新手数料は借主、貸主から0.5ヶ月分ずつとする。火災保険は管理業者指定した○○保険とする。」と記載されていた。

 更新に際して、請求できることは、貸主にきちんと伝えようということになり、本人が「(1)更新料支払い特約の削除。(2)管理会社は貸主の代理人であるから、更新手数料は貸主に請求すること。(3)火災保険についてはもっと掛け金の安い全労災にするので管理会社の要求には応じられない。(4)借地借家人組合に入会しているので今後の窓口は組合にする。」と記した通知書を出した。

 早速、貸主からは「更新料削除や火災保険会社の変更など、貴殿の一方的な主張は認められないので契約を解除する」とする内容証明書が送られてきた。

 向井さんは組合と相談し、「契約更新は双方がその契約条件などで要望や請求を出し合い話し合うのが筋で気に入らないからといって契約を解除することこそ一方的である」とする文書を用意していた。

 ところが、貸主からこちらの主張を全面的に認める更新契約書を送ってきた。

 「やはりがんばるものだ」と向井さんの感想である。

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2006年05月16日

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建替え再入居

寿司屋を営む清水さん新築店舗の所有権を取得

    内装費用は家主側負担で双方合意



 新宿区で寿司屋を営業していた清水さんは、昨年、家主の代理人という不動産会社からこの土地にマンションを建設するからという理由で、明渡を請求された。

 譲渡権付店舗契約で寿司屋を営業していた清水さんとしては、簡単に立退く訳にもいかなかった。大変困った時に、常連のお客さんから「借地借家問題で相談出来る組合があるからそこにいくといいよ」と言われた。

 組合に相談し、自分で出来るところは自分でやってみようと思った。清水さんは、明渡には応じるが、新しいマンションに入居出来るという条件を呑めるならば、話合いに応じるという事で交渉した。

 交渉は最初の不動産会社から建主の会社へと移ったりしたが、粘り強く交渉した結果、新しく出来るマンションの1階店舗を立退き補償金で買い取る事で話しが纏った。その上、新店舗の内装費用は家主が負担するという事で合意が出来た。

 店舗内装の中味の問題やその間の休業補償の問題での合意も出来、この3月に正式に明渡し再入居合意書と売買契約が結ばれた。清水さんは「この難しい交渉を出来たのも組合のお蔭です」と語った。

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2006年05月15日

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土地買取で合意  
豊島区駒込に住む梅村さんは、親の代から1軒家を借家として借りていた。3年前に契約更新に際して建物の老朽化を理由に契約更新のない契約を押し付けてきた。

梅村さん、知人の紹介で組合に入会し、直ちに「正当な事由とは認められない」としてその部分の削除を要求し、合意更新した。

昨年の更新時に今度は不動産会社を代理人として更新拒絶を通知してきた。そのうえで梅村さんが退去しないならば、建物を第三者に売却すると通知してきた。

明渡しを拒絶すると共に売買については値段の折り合いがつければ買取る意思のあることを回答した。

明渡しを断念した貸主と不動産会社は相場価格坪170万円を提示してきたが、梅村さんは、借家権と建替えに際してはセットバックしなければならない地形などを考慮し価格を提案した。半年以上の交渉のなかで当初の提案より50%以下の価格で提案してきたので話合いをまとめる事にした。

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2006年05月14日

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雨漏り修繕を借家人が実行
 大田区西馬込1丁目居住の上岡さんは、賃借中の木造瓦葺2階建1棟居宅兼作業場の建物を取得した隣人の家主から、建物の老朽化を理由にした明渡調停を起こされた。だが、明渡調停は不調となった。

 そんな関係から、 これまでも家主に何度も雨漏りの修繕を申し出たが、それに対する家主からの返事はなかった。今回、改めて書面で雨漏りの修繕請求したところ、家主代理人弁護士から家賃と比較して工事費が高額であると拒否回答をしてきた。 

 上岡さんが依頼した業者の見積書は、29万円余で9万円の家賃と比べても適正であると通告した。だが、それに対する返事はなかった。

 やむを得ず上岡さんは雨漏り工事を着工した。すると梯子設置等に家主の協力があり、2日で工事は終了した。家主の協力があり修繕費に関してやや期待したが、家主は工事代金の支払を拒否した。

 そこで、供託中の家賃から月額3万円X9回分の27万円と、最後2万円余との合計29万円余を相殺することを通知し、2月分の供託から実行した。

 参考条文
 賃貸物の修繕等
 第606条 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。(民法606条1項)

 賃借人による費用の償還請求
 第608条 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。(民法608条1項)

 賃借人が自ら修理費用を負担した場合は、賃貸人に対して、民法608条により、直ちに支出した費用の全額を費用償還請求できる。賃貸人が修理費用を支払わない場合は、家賃と相殺することが出来る。
 修繕特約があるばあいはこちらを参照

東京借地借家人新聞より


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2006年05月13日

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更新料支払特約  
更新料の授受は慣習に多く頼っており、地域差が非常に大きいという理由から「借地借家法」においても更新料の規定は置かれなかった。更新料については法律には何の規定もない。

 従って法律上は、賃借人が更新料支払の義務を負っている訳ではないし、また賃貸人が更新料を請求する権利を持っている訳でもない。

 最高裁は更新料に関して「賃借期間満了に際し賃貸人の一方的な請求に基づき当然に賃借人に賃貸人に対する更新料支払義務を生じさせる事実たる慣習が存在するものとは認められない」(最高裁1978年1月24日判決)と判断した。

 即ち、予め更新料の支払約束が無い場合は賃貸人が賃借人に対して更新料を請求することが出来ない。前記最高裁判決後、借地・借家に関して更新料支払合意が無い場合には更新料支払を認めた判例は存在しない。

 それでは、契約書に更新料支払特約がある場合、賃借人は更新料の支払義務を負うのか。
更新料支払の理由として多くの裁判例で指摘されるのは、
(A)賃料の不足を補充する趣旨
(B)賃貸人の更新拒絶権・異議権放棄の対価
(C)合意更新された期間は解約申入れの危険を回避出来るという利益の対価、
 以上三点である。

更新料支払特約がある場合、契約を合意更新せずに、法定更新するとどうなるか。
 �@「肯定説」更新料特約は契約自由の原則によって合意したのであるから合意更新は勿論であり、法定更新にも有効である。即ち、更新料特約が有る場合、賃借人は更新料支払の義務がある。

 �A「否定説」更新料特約は合意更新の場合にのみ有効であり、法定更新になった場合は効力を有しない。即ち法定更新した場合は賃借人に更新料支払の義務はない。

 借家の場合において、最高裁は�Aの立場から「本件建物賃貸借契約における更新料支払の約定は特段の事情の認められない以上、専ら賃貸借契約が合意される場合に関するものであって法定更新された場合における支払の趣旨までも含むものではない」(1982年4月15日判決)と明快な判断をしている。

 更新料支払特約は合意更新を想定したもので、法定更新には適用されない。法定更新した場合は賃借人に更新料支払の義務はない。

 これは当然の結論である。借地借家法は経済的負担の無い法定更新を定めている。更新料特約は法の趣旨に反して借主に不利益な経済的負担を課している。特約が法定更新の場合にも適用されるとすれば、それは実質的に経済負担を強制する合意更新を義務付け、無償の法定更新を排除するに等しい。換言すれば法定更新制度の否定である。


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2006年05月12日

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店舗の更新で家主嫌がらせ  
荒川区西尾久で家賃12万円の店舗を借りラーメン屋を営んでいる佐藤さんは、11年9月末に3年毎の更新を迎えた。だが、条件で折り合いがつかず借家契約を法定更新した。

 しかし、家主は契約書を作成していないから賃貸借は消滅したと言い張った。家主は「自分の老後に使用するから直ちに店を返せ」と言い、挙句には店のシャツターの鍵穴にパテ入れ開かない様にしたり、2階食材置場に通ずる階段入口にクサリで施錠する等、度重なる嫌がらせをして来た。

 佐藤さんは昨年7月に家主に対して賃貸借確認の訴訟を起こした。裁判中にも突然家主からの依頼で業者が店のトタン屋根を剥しに来たりの妨害行為があった。そのときは営業中であり承諾してないと業者を追い返した。 

 今年の2月末に裁判の結果が出た。当然の結論で法定更新が認められ、賃貸借関係は成立しているとの判決を得た。だが、家主はその裁判の結果が不満で抗告した。佐藤さんは裁判所で家主と徹底的に戦う決意である。

東京借地借家人新聞より


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2006年05月11日

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最高裁判決(2005年12月16日)
最高裁判決で通常損耗は
      貸主の費用負担が原則であることが確認された

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、通常損耗の修復費用を借主に負担させる原状回復特約についての判例の動向は
 「賃貸物件の通常の使用による損耗、汚損はその家賃によってカバーされるべきで、その修繕等を賃借  人の負担とすることは、賃借人に対し、目的物の善管注意義務等の法律上、社会通念上当然に発生する義務とは趣を異にする新たな義務を負担させるというべきである、特約条項が形式上あるにしても、契約の際その趣旨の説明がなされ、賃借人がこれを承諾したときでなければ、義務を負うものではないとするのが大半であり、特約の成立そのものが認められない事案が多い。」と解説されている。

 また、東京都の「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」は、退去時の修復費用に関して
 「賃貸住宅の契約においては、通常損耗や経年変化などの修繕費は、家賃に含まれるとされており、貸主が負担するのが原則です」と説明され、従来からの判例動向に基づいて通常損耗の修復費用は貸主負担が原則であると解説している。

 今回の最高裁判決は、通常損耗の修復費用に関して
 「建物の賃貸借においては、賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の減価の回収は、通常、減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行われている」と指摘し、通常損耗の修復費用は家賃の中に含まれており、これらの費用は貸主負担が原則であることが確認された。

 この原則に反して通常損耗の修復費用を借主に負担させる原状回復特約は、家賃の二重取りであり、借主に「不当な負担」を課すものである。従って最高裁判決では、原状回復特約が認められる成立要件を厳しく制限し、「賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているか、仮に賃貸借契約書では明らかでない場合には、賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識し、それを合意の内容としたものと認められるなど、その旨の特約が明確に合意されていることが必要である」と判示した。最高裁は、それらの成立要件が認められない場合は通常損耗を含む原状回復義務を借主に負担させることが出来ないと判断した。

 最高裁判決は、このような厳しい成立要件の下でのみ特約の効力を承認したものであり、現実には通常損耗・自然損耗の修復費用を借主に負担させる不当な原状回復特約を排除することを意図していると見るべきである。
 この最高裁判決によって不当な原状回復特約による修復費用負担から借主が幅広く救済され、原状回復特約が賃貸市場から根絶されることを期待したい。


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2006年05月10日

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最高裁2005年12月16日判決の意義
通常損耗を賃借人負担とすることは原則として許されない
〜画期的な最高裁判決が出る!〜
大阪支部  増 田   尚


 最高裁第二小法廷(中川了滋裁判長)は、2005年12月16日、大阪府住宅供給公社の特優賃物件での敷金返還請求訴訟で、通常損耗を賃借人負担とする特約が成立しており修繕費用の控除は正当であるとして賃借人の敷金返還請求を棄却した原判決を取り消し、審理を大阪高裁に差し戻す判決を言い渡した。


 この事案は、大阪の弁護士及び司法書士らで結成された敷金問題研究会が、結成当初の2002年10月にいっせいに提起した訴訟の一つであった。当時、原状回復費用と称して実質的には賃借人が負担すべきでないリフォーム費用を請求する事例が多発しており、中でも、特優賃物件の相談件数が目立っていた。


 もともと、大阪府住宅供給公社は、地方住宅供給公社法に基づき設立された法人であり、住宅の賃貸業務を遂行するに当たり、住宅を必要とする勤労者の適正な利用が確保され、かつ、賃貸料が適正なものとなるように努めなければならないとされている(同法22条)。そのような、いわば「家主の鑑」ともなるべき住宅供給公社が通常損耗を賃借人の負担であるとして請求していることは、社会的にも問題視された。


 しかし、裁判の壁は厚かった。何しろ、大阪府住宅供給公社は、修繕箇所を事細かに分割して、その大半の修繕を賃借人の負担とする「修
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2006年3月
2006年03月31日

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韓流・賃貸住宅保証金制度

 韓国ソウルの借家率は60%(全国では46%)と言われている。
 「チョンセ」(保証金)という賃貸制度がソウルでは賃貸住宅全体の70%を占めている。韓国独自の賃貸住宅制度で、住宅価格の50%〜80%に相当する高額の保証金を入居時に家主に一括払いする。ただし、月々の家賃は要らない。保証人も不要。契約期間は普通2年。契約期間が満了すれば保証金は借主に全額返金される。

家主はチョンセを自由に運用することが出来る。例えば株に投資したり、銀行に預けたりしてその運用益を収入とする。最近は銀行の利率が低下したので家主がチョンセを返還できなくなるトラブルが多発しているという。

 チョンセほど多額の金額を必要としないので、最近増えているのが月々の家賃を払う「ウォンセ」でチョンセほど保証金が必要でないので若い人はこの制度を使う。保証金は家賃の50倍位は必要である。ただしチョンセ同様、契約終了後は全額戻る。


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2006年03月30日

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定期借家制度
賄賂で成立した定期借家制度

『不動産業界の2億円余の賄賂で成立した定期借家制度』が導入されて5年になる。定期借家契約の普及率は僅か4.7%という国土交通省の調査結果がある。

 国土交通省は定期借家制度普及のため2001年4月一代限りの定期借家制度「終身賃貸借制度」を導入した。2002年7月施行の「都市再生関連法」によって供給される賃貸物件は総て定期借家契約が条件となっている。

一方東京都は2002年12月限定枠を取外して一般都営住宅全般(約6千戸)へ拡大し、公営住宅法を無視して定期借家制度を導入した。このように国と東京都は、民間住宅市場で受容れられていない定期借家制度を普及させようと御節介な努力をしている。

8千億円の需要があるという定期借家市場の為に不動産業界は、2006年の定借法見直しに向けて再び多額の政治献金攻勢をかけるのか。


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2006年03月29日

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店舗を明渡しは中止になる
    建物が売れず立退き撤回する


 10数年前から台東区浅草2丁目でスナックを営む北倉さんは、昨年12月に家主から建物を売却したいので今年6月の現契約の満了に伴い店舗を明渡して欲しいと通告をうけた。

 その後、同棟の3店舗と2階のアパートの居住者7世帯が次から次と明渡ししに応じ、最後に北倉さんだけが残り、心細く不安な日々を過ごした。

 3月に入り、日頃加入している民商の役員より、「借地借家人組合に加入して居住と営業の権利を守るために闘わなければ権利は護られない。」と進言され、台東借地借家人組合に加入した。

 その後、組合役員の立会いの下に家主代理人の不動産屋と何度となく交渉を重ねる内に、契約期限の6月を過ぎてしまった。最近にになって不動産屋は「景気が悪く建物が売れなくて、家主の気持ちが変わってしまた」と伝えてきた。

 結局、店舗を明渡しはご破算になり、更新料無し、家賃の値上げも無しで契約の更新をすることが出来た。無事従来通りに営業が続けられるようになり、北倉さんは「組合に加入してよかった」と痛感している。
家人新聞より


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2006年03月28日

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立退き交渉纏る
 明渡し交渉1年後に決着

 東浅草に10年前から店舗併用住宅を借りて皮革加工業を営む吉田さんは、昨年1月に2階に住む家主から突然、「土地・建物を売却するので速やかに退去してもらいたい。就いては多額の負債を抱えているので立退き料等の補償には一切応じられない」という通告を受けた。

 職業的には分業制のパーツ作業なので取引先は殆ど地域的に纏っており、他所に移り住めない。近所を探してみたが、現在の家賃より遥かに高い物ばかりで、引越しは無理である。

 そんな折、借地借家人組合があることを知り、訪ねてみた。組合の借家に関するの説明を受け、組合に加入することにした。居住の権利は借地借家法で護られているので、慌てて立ち退く必要がないことがよく解り、安心することが出来た。落ち着いて有利な条件が出るまでゆっくり交渉に臨めばいいことがよく理解出来た。

 その後1年が過ぎ、土地・建物の所有権が金融会社に移転していた。新所有者の代理人が来て「出来るだけの補償を考慮するので、近隣の代替物件に移転を考えて頂きたい」との申入れがあった。組合役員立会いの下で3度の交渉が行われた。

 その結果、移転先の入居費・内装費・差額家賃6年分を補償することで交渉は纏った。現在吉田さん以前より新しい店舗で忙しく仕事に励んでいる。


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2006年03月26日

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敷引特約は消費者契約法に違反し無効
「敷引き」は無効 神戸地裁が逆転判決

 関西地方などでマンション明け渡しの際、損傷の有無にかかわらず敷金(保証金)の一部を差し引く「敷引き」特約は無効として、神戸市中央区の男性(29)が東京都港区の不動産業者に約25万円の返還を求めた控訴審判決で、神戸地裁は20日までに、返還請求を棄却した神戸簡裁判決を取り消し、業者に全額返還を命じた。

 村岡泰行裁判長は「賃借人の利益を一方的に害し、消費者契約法により無効」と判断した。
 大阪の弁護士らでつくる「敷金問題研究会」によると、控訴審で敷引きが無効と認められたのは初めて。同研究会の増田尚弁護士は「敷引きに法的根拠はなく、制度そのものに疑問を投げ掛ける判決。関西の慣例というだけではもう通用しない。制度を見直す時期だ」と話している。(共同通信) - 7月20日12時48分更新

 2005年7月14日 神戸地裁の敷金返還裁判で借主が全面勝訴した。神戸地裁は敷金の全額を返還するよう不動産業者に命ずる判決を下した。敷引特約は「賃貸業者が消費者である賃借人に敷引特約を一方的に押しつけている状況にある」として信義則に反し消費者の利益を一方的に害するものであると判断し、消費者契約法に違反し無効であると結論づけている。


 

   下記は2005年7月14日 神戸地裁の敷金返還裁判に対する敷金問題研究会のコメントです。

   敷引特約を消費者契約法10条により無効とした判決

 敷金問題研究会
                               共同代表 浦井裕樹
                               同    増田 尚



 神戸地裁(村岡泰行裁判長)は、平成17年7月14日、敷引特約は消費者契約法10条に違反し無効であるとして、賃借人からの敷引金の返還請求を棄却した1審判決を取り消し、賃貸人に対し25万円の返還を命じる判決を言い渡しました。

1 事案の概要
  賃借人(29歳男性、神戸市内在住)は、2003(平成15)年8月、神戸市中央区に所在するマンションの1室につき、家賃月5万6000円(共益費月6000円)、賃借期間2年との内容で賃借し、単身で、約7カ月間居住していました。
  この賃貸借契約には、保証金(敷金)として30万円を差し入れることになっていましたが、解約時には、いわゆる敷引として25万円を控除して、残余の5万円を返還するとの特約(敷引特約)が付けられていました。
  賃借人は、このような敷引特約は消費者契約法10条に違反し無効であるとして、保証金25万円あまりの返還を求める訴えを提起していました。

2 判決の概要
  判決は、敷引特約が消費者契約法10条に違反するかどうかについて、民法のない義務を負担させものであって、民法の適用による場合に比して、消費者の義務を加重する条項であると判断しました。
  また、信義則に反し消費者の利益を一方的に害するかどうかについては、敷引特約は、「さまざまな要素を有するものが渾然一体となったもの」との立場(いわゆる渾然一体説)に立ち、以下のとおり、各要素について分析をすすめています。

�@賃貸借契約成立の謝礼(礼金)という要素については、「賃借人に一方的に負担を負わせるものであり、正当な理由を見いだすことはできない」。

�A自然損耗の修繕費用という要素については、「二重の負担を強いることになる」。

�B更新料免除の対価という要素については、「賃借人のみが…更新料を負担しなければならない正当な理由を見いだすことはできず、しかも、賃借人としては、賃貸借契約書が更新されるか否かにかかわらず、更新料免除の対価として敷引の負担を強いられるのであるから、不合理」。

�C空室損料という要素については、「賃借人が使用収益しない期間の空室の賃料を支払わなければならない理由はな」く、賃貸人が「自らの努力で新たな賃借人を見つけることによって回避すべき問題であ」る。

�D賃料を低額にすることの代償との要素については、「賃料の減額の程度が敷引金に早々するものであるかはどうかは判然と」せず、また、「賃貸期間の長短にかかわらず、敷引金として一定額を負担することに合理性があるとは思えない」。

  以上のような分析に基づき、
敷引特約は、
「賃貸事業者が消費者である賃借人に敷引特約を一方的に押しつけている状況にある」
と評して、信義則に反し消費者の利益を一方的に害するものであると判断し、消費者契約法10条に違反し無効であると結論づけました。

3 本判決の評価
  本判決は、敷引特約について、消費者契約法違反を理由に無効であると判断したものであり、控訴審レベルの判断では初めてのものです。
  本判決は、敷引特約を構成するあらゆる要素について、その合理性を疑問視し、消費者の利益を害するものであると判断しており、敷引特約そのものの問題性を浮き彫りにしたものといえます。
  現在、大阪府では、「賃貸住宅の退去時における原状回復に関する防止方策研究会」において、原状回復問題への対応を協議しているところですが、敷引特約を無効とした本判決を踏まえて、敷引特約による「尻抜け」を許さないよう、トータルな措置をとることを期待しています。
 また、不動産業界に対しても、敷引特約の見直しの検討を求めます。


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2006年03月25日

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地主が更新料を要求
地主に借地契約の更新請求を通知した

 台東区元浅草で永年豆腐店を営みむ関口さんは13坪を借地している。先月末に3軒先に住む地主に地代を持参した折り、突然地主から「来月10日に契約が満了になる。契約を更新するのであれば更新料として500万円支払って頂きたい」と言われ、慌ててしまった。家に帰り、家族と更新料について話し合った。だが昨今の景気動向では、とても高額な更新料を支払うことは出来ない。

 困り果て、近所の人から借地借家人組合があることを知り早速組合に加入した。組合の説明で、関口さんの借地契約書には「更新料支払特約」が書き込まれていない。このように更新料の支払い約束の無い場合は、法律的に更新料の支払義務がないことは判例上確定している。従って更新料を支払わなくても何ら問題がないし、借地の更新も問題なく出来るという説明であった。

 後日組合の指導により、借地法4条に基づいた「借地契約の更新請求」を地主に内容証明郵便で通知した。借地法4条は借地権が消滅した場合でも借地人からの請求によって一方的に更新を認め、地主は原則としてこれを拒めない。借地契約は地主と合意しなくても前の契約と同一条件の借地権が設定されたものとみなされ、借地契約は法定される。

 「次回、地主宅に地代を持参する時は地主に更新料は法定されていないし、判例上も支払義務がないことは確定していることを説明し、更新料支払い拒否の意思を明確に伝える積りである。今ままでは地主の要求に言われるままに応じて来た。これからは借地法を勉強して根拠の無い要求には一切応じない決心を固めた。これからは組合とともに頑張りたい」と語った。



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2006年03月24日

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理由の無い建物明渡請求

近隣の空地が妙に目立ってきていた矢先であった。


 松本さんは、夫婦2人で約20年の借家住いだ。台東区三の輪で5坪の平屋の建物を月額35000円の家賃で借りている。

 平成11年12月末、安穏な暮らしは唐突な一通の配達証明付内容証明郵便により揺り動かされた。

「平成12年6月末日をもって建物賃貸借契約を解約します。…」という家主の代理人の弁護士からの明渡請求であった。近隣の空地が妙に目立ってきていた矢先であった。

 組合に相談、入会。家主に対する対応策の説明を受け、埼玉県の家主へ現金書留郵便で家賃を送り、反応を観ることにした。

 予想通り1月中旬に家賃受取り拒否の文面と共に家賃が送り返されて来た。即日、東京法務局へ弁済供託をしたのは勿論のことである。その後も供託を続けた。

 平成14年1月、家主の代理人の弁護士から再度建物明渡通告書が送られて来た。「自己使用に基づき明渡しを求めたところ、貴殿はそれを拒否し、家賃を供託して使用を継続しております。しかし、この敷地地代は平成13年7月から20%弱増額され、貴殿に賃貸していたのでは土地の有効利用はできず、私にとっては損失が大きくなるばかりです。 よって、私は、再度、賃貸借の解約を申し入れますから、本書到達の日より6か月後、建物を明渡すよう通告します。」

 松本さんから上記の建物明渡通告書のコピーが送られて来た。組合が調べた所では、固定資産税・都市計画税共に下がり続けているので地代が値上がりする理由は考えられない。また、家主は借地人ではなく、土地・建物は家主名義である。従って、「敷地地代は平成13年7月から20%弱増額され」という事は有り得ない。理由のない建物明渡通告書は無視することにした。

 2年後、家主側は建物明渡の調停を申立てきた。
 結果的に、調停は家主側が建物明渡を撤回することで終了した。根拠の脆弱な建物明渡請求は認められないという常識が調停の場で確認された意味は重要である。


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2006年03月23日

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「敷金・礼金不要」? 
マンション:短期滞在型の中途解約トラブル増える
       「敷金・礼金不要」?よく確認を

「システム権利金」って何?


敷金・礼金なしで部屋を月単位、週単位で貸すいわゆる「短期滞在型マンション」で、中途解約時の返金をめぐるトラブルが増えている。前払いの料金に含まれる権利金・保証金の扱いがあいまいなことが原因だ。

国民生活センターや東京都消費生活総合センターには最近、「契約期間前に解約したが、残金を返してくれない」「契約前に入金してキャンセルしたところ、大部分が返金されない」という相談が相次いでいる。

相談の対象は「ウィークリー」「マンスリー」の名前で全国展開する大手業者。都消費生活総合センターによると、この業者は契約時に短期利用システムを使うための「システム権利金」を部屋代と合わせて請求し、中途解約の場合は権利金の部分を返金せず、部屋代のみを返す精算方法をとっている。

同センターが主な5業者を調べると、この大手業者の精算方法がとりわけ複雑で、契約時に解約条件や返還金額について十分な説明をしていないケースがあった。このため、同センターが仲裁に入って未利用分の返還を求めた。この業者は「十分説明したつもりだったが、中には納得いただけなかったケースもあったようだ。今後は誤解のない契約を結びたい」(同社賃貸事業本部)と残額を返金した。

同センターの法律アドバイザーで消費者問題に詳しい弁護士の高見沢重昭さんによると、消費者契約法に照らせば、中途解約に際して客側に一方的な損害を与えかねない契約条項は無効と判断されることがある。また、返金についての説明が不十分な場合も、重要事項の説明義務違反にあたり、契約を取り消すことが可能という。

高見沢さんは「敷金・礼金不要という宣伝をうのみにせず、契約時に中途解約条件をよく確認することが大切」とアドバイスする。短期滞在型マンションは全国に約10万室あると見られる。宿泊施設か賃貸住宅かの法律上の線引きがあいまいで、業界の統一ルールもない。強引な契約を結ぶ一部業者が問題化している。

                 毎日新聞 2004年4月2日 東京朝刊


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2006年03月22日

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地上げ屋が旧家主の明渡要請書面を使って立退きを強要


 戦後より浅草の鳥越に住み、子供達の養育を終えた深田さん。今は一人暮らしで和裁仕立てとタバコの販売を行っている。

先日、第*開発の社員と称する者が突然現れた。「建物を売却したので新家主の要求に宜しく対応してほしい」という旧家主の署名捺印つきの書面を提示し、近日中に現存家屋を壊してマンションを新築するので「できるだけ早い期日に家屋を明渡して欲しい」と宣告された。

 50年来の近隣の知人に囲まれて、楽しく平穏に生活を過ごしてきた深田さんにとって「突然の明け渡し要求」に単純に応じる訳にはいかず、頭を悩ませ困り果てていた。古い知人に相談した処、区内に借地借家人組合があるから早急に組合に加入して頑張りなさいと進言され、すぐ組合事務所に出向いた。

 組合の役員より説明を受けた。家主が代わっても新家主に賃借権はそのまま承継される。新家主に対しても従前の契約内容がそのまま継続される。単に貸主が交代しただけで借家関係に何の変化も無いことがよく解った。新家主に正当事由が無いと明渡し請求は出来ない事も理解出来た。新家主が明渡裁判をしても建物に人が居住していることを知っていて建物を買った事を理由に裁判所は普通以上に正当事由を認めないという説明を受けて、深田さんは安心して従来の生活を維持出来ることを知った。

 その後役員が近隣の土地・家屋の権利関係を法務局で調べた処、半年前に近隣6軒の土地・家屋が第*開発によって取得されていた。 近隣の人も底地を買われ困っている事がわかり、近日中に班会を開き、役員同席で借地借家法の理解を深めて、新家主・新地主への対応策を検討する事になった。深田さんは組合に加入して平穏な日々が暮らせる事に感謝している。


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2006年03月21日

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不動産屋が勝手に契約を解除
 不動産屋の小賢しい手口


 台東借地借家人組合に相談の電話があった。


 「不動産屋へ来月分の家賃を支払いに行った。ところが、不動産屋は家賃の受取を拒否した。来月アパートの契約が満了するが、家主が契約の更新を拒否しているので家賃は受取れない。直ぐに部屋を明渡すように準備をしてもらいたい。次の引越し先は既に見付けてあるから心配要らない。」と言う返事が返ってきたというのである。「不動産屋が言うように直ぐに引越さなければならないのか」と心配そうである。


 「取敢えず、本当に家主が契約の更新を拒否しているのかを確認するために直接、家主宅へ家賃を持参してみてください」と返答して電話を終えた。


 その日の夕方、相談者から再度電話があった。家主は契約の継続を希望しており、契約更新をするので今まで通り部屋を使って欲しいという返事であり、家賃はすんなり受取ったということであった。家主は何故、不動産屋がそんな勝手なことをするのか訳が解らないと驚いていたという。


 この不況で不動産屋は、借家の回転率を上げることを考え、家主に無断で借家契約解除する。その人を自分の管理する別の借家へ仲介し、入居させる。その空いた借家に新規の客を入居させる。仲介・管理を任された賃貸物件で、これを繰り返す。所謂、借家人の盥回しで小賢しい手数料稼ぎを企んでいたようだ。


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2006年03月20日

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火事で明渡請求
明渡係争中に出火 即修復工事をし、家主の解約の請求を断る

 
 浅草橋1丁目に住む木村さんら3名は、昨年から家主に家屋の老朽化を理由に借家の明渡し請求を受けて困った末に組合に加入した。

 組合役員は、家屋の老朽化を理由にした明渡し裁判では老朽化が正当事由として認められることは稀であることを説明した。家主の明渡し請求に正当事由がないことを知り、安心した。家主の解約要求を拒否し、今まで借り続けていた。

 最近、組合員の入居する長屋の一部から出火があり、組合員2名が消火活動上の水害と営業備品の損傷を受けた。 早速、役員立会いで班会議を開き、早急に原状回復を図り従前と同じように営業や生活ができるようにすることで全員の意思が固まった。

 その後、家主代理の弁護士から「家屋が通常の修繕工事では修復不能につき、建物を解体するので明渡せ」との書面が送られて来た。
 役員協議の上「現家屋は通常の使用に耐えうる状態にあり、建物明渡しには応じられない。また、従来どおりに営業と生活を続けることを再確認させてもらう」との回答書を送った。

 その後、木村さんよりも更に古い借家に住んでいる役員から激励を受け、今後10年以上まだまだ住めるとの確信を得て頑張っている。


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2006年03月19日

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地上げ 
 頻繁に「業者」が現れ、明渡を迫られている

 台東区台東4丁目で木造2階建ての住居を借りている平山さんは、戦前の親の代からこの場所に住み続けている。

 10年程前から「地上げ」が横行し、建物の所有権が二転三転し、その度に家主(業者)が入れ代わっていた。昨年からは、この建物が競売物件の対象となり、今年の夏に3度目の競売開始の通知が東京地方裁判所から届いていた。

 最近、平山さん宅に頻繁に「業者」が現れ、時には強圧的に、時には穏やかに、明渡を迫っている。平山さんは、その都度「高齢の母親がいるし、夫婦共に近所の職場で働いているので明渡す意思はない」と断っている。それでも業者は執拗に「今回が補償を貰う絶好のチャンスで、以後は補償額が下がる一方だ」とか「新しい家主が決まったら永くは住んでいられない」などと、なかなか引き下がらない。

 平山さんは、業者があまりにもしつこいので、今度は組合役員に立会って貰い、業者と話し合いをすることにした。 話合い当日、組合役員から正規の代理人としての資格を有しているかと業者に質問したが、業者は明確な返答が出来ずに狼狽していた。

 平山さんは「移転の意思は全くなく、今後も末永く家族3人でこの家に住み続ける」と明確に伝えた。更に組合役員が「この物件は抵当権設定より先に賃借されているので、第三者に対抗力を有している。今回の競売で競落されても、されなくても借家権は十分に法律によて保護されている」と伝えた。業者は「その通りです」と言って引き上げて行った。  


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2006年03月18日

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マンション火災で「防火扉の説明義務あった」
「防火扉の説明義務あった」マンション火災で最高裁
2005年09月16日 アサヒ・コムより

 東京・西麻布のマンションの最上階で00年に起きた火事をめぐり、入居者が「室内の防火扉が作動せず、天井が焼け落ちるなど部屋が台無しになった」として、売り主と仲介会社を相手に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が16日あった。最高裁第二小法廷(津野修裁判長)は「会社側には防火扉の作動方法などについて説明する義務があった」として、請求を退けた二審・東京高裁判決を破棄し、審理を同高裁に差し戻した。

 00年10月、ポーラ化粧品本舗元会長、鈴木常司さんの8階の自宅(210平方メートル)の寝室から出火。寝室と居間の間の廊下にあった防火扉は作動せず、居間などに燃え広がった。5億3000万円で購入し、数日前に入居したばかりだった。同年11月に死去した鈴木さんの遺族が売り主の三井不動産と販売を仲介した三井不動産販売に「防火扉の説明を怠った」として原状回復費用やマンションの値下がり分など約2億8000万円の賠償を求めた。

 一、二審判決によると、防火扉は電源が入っていなかった。扉のスイッチにふたがあり、ネジで開ける仕組みだった。

 第二小法廷は「販売会社と、同社と密接な関係がある仲介会社には、少なくともスイッチの位置や操作方法を説明する義務があった」と判断。「防火扉が作動していれば損害が軽減できたことは明らかだ」と述べた。


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2006年03月17日

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賃料増減請求権に期間制限を

 借地借家人組合の組合員の中には、土地・家屋の明渡し又は家賃・地代の値上げ等の問題が進捗しないままに供託を20年以上に亘って続けている場合が少なからず存在する。

 例えば貸主から賃料の値上げ請求を受け、借主が値上げに不服で賃料の合意が得られない。そこで借主は従前の賃料を貸主に提供する。貸主は当然その賃料には不満であるから受領を拒否する。借主はそれを法務局へ弁済供託する結果になる。

 前期の法定手続きをして従前の賃料で弁済供託していれば借主は債務不履行の責を免れる。調停・裁判で新賃料が確定され、不足額があるとときは、その不足額に年10%の利息を付して支払う。以上が借地借家法11条及び32条の趣旨である。

 ここで問題になるのは、借主が賃料を供託しているにも拘らず、貸主が長期間、調停・裁判を提起してこないで借主を生殺し状態のまま放置する場合である。家賃・地代は不確定のままの状態で継続することになる。

 この様な弊害を可能な限り除去するためには、立法論的には賃料増減請求権の行使に時間的な制限を加える。例えば「賃料増減請求権の行使期間は5年とする」というように期間の制限を設ける。
 これよって権利を有しながら長期間、その権利を無為に行使しない権利の上に眠る貸主に請求権の行使に期間制限枠を嵌める。それによって当事者間で協議をするか或は裁判制度を使って問題を解決するかを決断させる。

 「賃料の増減請求権は5年の消滅時効にかかる」(大阪地裁2000年9月20日、東京地裁1985年10月15日、名古屋地裁1984年5月15日の各判決がある)


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2006年03月16日

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賃借人が破産した場合  
(問)賃借人が破産した場合、賃貸借契約はどうなるのか。

(答)〈賃借人が破産した場合〉

 賃借人が破産するという典型的なケースは、借家人が店舗を借りて営業し、その経営が行詰って自己破産する場合である。破産しても何とか営業を続けていきたいと思っても、従来は賃借人が破産した場合は民法621条に基づいて賃貸人及び破産管財人は解約の申入れをすることが出来た。

 今までは、借家人が破産した場合、破産が契約の終了原因になり、解約の申入れには「借家法1条の2の『正当事由』を考慮する必要はなく、もっぱら621条が適用される」(最高裁1970年5月19日判決)。このように破産を理由にして借家契約の解除が出来た。他方、借地人が破産した場合は、解約の申入れには「賃借土地上に建物を所有している場合は、借地法4条1項但書、6条2項の『正当事由』が必要である」(最高裁1973年10月30日判決)としている。

 だが破産法の改正(2005年1月1日)により、破産しても再起出来るよう挽回の機会を与える必要があるとして民法旧621条が削除された。その結果、賃貸人は破産したことを理由に借家契約を解除することは出来なくなった。従って、賃借人は賃料を支払っていれば賃貸借契約は継続することが出来るようになった。営業も居住も今まで通り続けられる。

 借地についても破産に関しては考え方は同じである。しかし借地の場合、例えば銀行から融資を受けて建物を建築し、銀行への支払いが出来なくなった場合、大概は借地人の建物を任意売却或は競売で資金の回収を図るので破産というケースをとることは稀である。

〈賃料はどうなるのか〉

賃借人が自己破産の申立をする。裁判所から破産手続開始決定前に賃借人が延滞していた賃料については破産債権となり、賃貸人にとっては保護されない債権となる。従って賃貸人は延滞賃料を全額回収することは困難となる。

 破産手続開始決定後の賃料については財団債権となる。賃貸人は解除権を奪われた見返りに賃貸人には賃料の受領が財団債権の中で優先的に保障される。

 なお、破産手続開始決定前に延滞していた賃料については破産債権となるが、破産手続決定後に、賃借人が財団債権としての賃料の不払・延滞等の事由があれば、当然、賃貸人から民法541条に基づいて契約を解除される。


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2006年03月15日

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第*開発から明渡し請求が  
 12月までに立ち退かないと立退き料は出さない

 台東区鳥越に住む山崎さんは、印刷業をしている。仕事は極端に減っている。そんな折、昨年9月第*開発の顧問弁護士から借家の明渡しを通告する内容証明郵便を受取った。

 山崎さんはどう対処していいのか解らず、台東借組へ相談した。組合は明渡し要求には応じられない趣旨と借家を継続して使用する趣旨を内容証明郵便を送った。すると、第*開発は2005年4月以降の家賃の受領を拒否する文書を送り付けてきた。

 近くに都営地下鉄「大江戸線」の駅が出来たので、4年程前から近所で地上げが続々と進んでいた。第*開発は、既に何軒かの家と立退の交渉を決着させていて、山崎さんの家主も土地建物を既に売渡していた。

 今年の4月末、第*開発の口座へ4月の家賃10万円を振込んだところ、5月の初めに、第*開発はそれを小切手で送り返してきた。組合は家賃の受領拒否なので即刻法務局へ4月分の家賃を供託した。数日後再度10万円を小切手で送り返してきた。小切手は取り敢えず預かって置き、5月末に5月分の家賃を供託した。

 6月になると、再度、第*開発の社員が訪ねて来るようになた。「立退き料を幾ら払えば明渡してもらえるのか或は「何時頃立ち退いてもらえるのか」と執拗に粘る。立ち退く気はないと言って無視を決め込むが相手はへこたれない。そんな事の繰り返しで数か月が過ぎた。商売のことを考えると将来の見通しは暗いので、心は揺れ、未だ結論はでない。


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2006年03月14日

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「法定更新」
 借家相談事例(更新料・家賃の値上げ要求・建物明渡し)

 組合員の借家相談事例(更新料・家賃の値上げ要求・建物明渡し等)の殆どは、「法定更新」で対応できる。
 �@期間満了の1年前〜6ヶ月前までの法定通知期間に、当事者双方から何らの更新拒絶の申出がない場合には、前の契約と同一条件で借家契約は継続する。更新拒絶の申出が法定通知期間内になされていない場合は、満了の6ヶ月前に法定更新される事が決定され、家主は反証を挙げて更新を否定することは出来ない。

これが借地借家法26条1項(旧借家法2条1項)による法定更新である。家主または不動産業者は通常、契約満了の2〜3ヶ月前に契約の更新の通知をして来る。だが、この時点で期間満了の1年前〜6ヶ月前までの法定通知期間の条件を充たしていない。従って借家契約は法定更新される。

 �A仮に、家主が法定通知期間内に更新拒絶の通知をした場合でも、借家人が期間満了後も借用を継続しているのに家主が遅滞なく異議を述べないと�@同様、法定更新される。

 �B家主が遅滞なく異議を述べても、更新拒絶に対する正当事由を裁判所が認定しなければ、契約は法定更新される。 更新料の支払い請求に対しては、契約が法定更新されてしまえば、更新料の支払いを拒否すればいい。

家賃の値上げ要求に対しては、既に契約が更新されているので家賃の値上げ要求は拒否して従来の家賃を支払えばいい。家主が家賃の受領を拒否したら供託すればいい。調停・裁判で適正家賃(*)が決まるまで供託を続けていればいい。家賃の増額請求の消滅時効は5年である。5年以上の差額家賃の請求はない。

 建物明渡し請求に対しては、組合の顧問弁護士を頼んで明渡し裁判で徹底的に争えば結果が出るまで地方裁判所で4〜5年は掛かる。高等裁判所まで争えば明渡し裁判をやた目的はほぼ達成したも同然である。

(*)借地借家法 第32条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

2 建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。


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2006年03月13日

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OCR供託制度 
平成15年から地代・家賃の弁済供託の申請システムが変更

 平成15年10月6日から地代・家賃の弁済供託の申請システムが変更された。 供託規則の改正により全国の供託所でパソコンによる供託事務処理システムを利用して、供託書をOCR(光学的文字読取装置)により処理することになった。OCR用供託書による申請以外は受付けられない。OCR供託制度になったことにより供託申請に押印が不要になた。

 このOCR供託制度のメリットは、供託書の記載が供託カードの発行により簡略化されたことだ。 地代・家賃は供託原因が消滅するまで毎月継続して供託されるものである。従って地代・家賃の供託を申請する時に「供託カード」交付の申出をするとOCR用供託書の記載内容を登録したカードが発行される。

それ以後の供託からは、用紙に�@申請年月日�A供託者氏名�B供託カード番号�C供託金額�D供託する賃料欄を記入するだけでよくなる。以上5ヶ所に記入したOCR用供託用紙に供託カード及び80円切手を添えて供託窓口へ提出すればよい。従来のように封筒を自分で用意する必要はなくなった。

 供託に関して不明の点は、東京法務局民事行政部供託課(電話03・5213・1353)へお問い合わせ下さい。


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2006年03月12日

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「e(電子)内容証明」
インターネットを利用した[e(電子)内容証明]

「e(電子)内容証明」とは、従来の内容証明郵便を電子化し、インターネットを利用したIT時代を象徴する便利な郵便サービスである。

概要は次の通り。差出人がパソコンで作製した内容証明文書を郵便局の専用のホームページに送信。その後、日付印がその文書内に自動的に挿入され、『内容証明の証明文』『差出人宛ての謄本』『受取人宛て原本』をシステムが自動印刷。

さらに印刷時にはシステムが、文書が確実にプリントアウトされているか再電子化して差出人が作製した元の電子文書と突合せて全て確認。そして封筒に自動封入・封緘後、郵便物として発送される。

�@余白�A最小文字ポイント�B最大頁数(5頁)の規定はあるが、現行の内容証明郵便より規定が緩和されている。従来の内容証明郵便3頁分の文字数が、電子内容証明文書なら1頁に収まる。

まず、事前に利用登録をして、利用者IDを取得し、パソコンのワープロソフト(ワードか一太郎)で文書を作成する必要があるが、24時間いつでも差出し可能。

利用料金はクレジットカードか料金後納を選択。受付時に必要な内容証明文書3通が自動的に作製され、封筒も事前に準備する必要はなく、システムで用意されたものを使用し、宛名書き等もすべて自動で行われ、窓口で作製するより迅速に処理できる。詳しくは郵便局か下記ホームページで。
(http://www3.hybridmail.go.jp/)


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2006年03月11日

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短期賃貸借の保護規定は廃止されたが附則第5条で
法定更新した借家契約は抵当権設定後の短期賃貸借の保護があるか

(問)コンビニを経営する大家のアパートに住んでいる。4年前に借家契約は法定更新にした。大家はバブル期に利殖目的の副業としてアパートを始めたもので、土地・建物はその時点で銀行の抵当権が設定されていた。最近、本業のコンビニ経営に失敗し、アパートが競売に掛けられた。このまま住み続けられるのか心配です。

(答) 2004年4月1日施行の民法395条の改正によて短期賃貸借の保護規定は廃止された。しかし、「短期賃貸借契約に関する経過措置」(附則第5条)によて2004年4月1日以前に結んだ短期賃貸借契約については最長2007年3月31日まで短期賃貸借の保護規定は適用される。

 その場合、敷金は買受人(新所有者)に承継されているので新所有者から返還される。しかし、この規定がなくなると敷金は経済的に破綻した旧所有者に返還請求することになり、差入れた敷金は事実上回収不能ということになる。

 抵当権登記後に抵当不動産上に設定された利用権は、抵当権が実行されると効力を失うというのが原則だ。しかし、例外的に抵当権設定後の短期賃貸借(民法旧395条)に限って、抵当権者・買受人に対抗することが出来る。これを短期賃貸借と言い、借家契約は3年以内に限って保護される。

 従って、抵当権の実行により差押の効果が生じるまでは、3年以内の期間を定めた借家契約であれば、借家人は何回でも契約を更新することが出来る。その場合、法定更新の規定も適用される。また抵当権の実行により所有権が買受人に移転し、買受人から明渡し請求を受けても3年に限って、その期間内は住み続けられる。

 しかし3年を超えた期間を定めた場合、判例は一貫して抵当権者・買受人に対抗出来ないとしている。期間を定めない借家契約の場合、判例(*)は「正当事由」があれば、いつでも解約できることを理由に「短期賃貸借」に該当するとしている。法定更新後の借家期間は期間の定めのない借家契約と同じ扱いで民法395条が適用される。

 期間の定めのない借家契約の場合、買受人からの解約の申入れには正当事由が必要である。しかし、正当事由の認定に際し、短期賃貸借という特殊事情を考慮し、借家人の権利を弱める方向に判断されている。従って正当事由の判断は相当程度に緩和して考える。買受人の利益を保護する方向に判例は統一されつつある。事実、借家契約を保護した判例は皆無である。

 結論、借家権を買受人に対して主張出来る。 しかし、裁判所の建物明渡判決があり、買受人の明渡し要求があれば、僅かな猶予期間で建物を明渡さなければならない公算が大きい。相談者はその覚悟をして措く必要がある。要するに、借家契約を結ぶ前に、登記簿で抵当権設定登記の有無を調べるという基本的な労を惜しんではならない。

(*)「競売手続きだ開始された時点においては、期間の定めのない賃借権であったのであるから、民法395条によって保護される賃借権であったと認められる」(東京高等裁判所2001年6月22日判決)


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2006年03月10日

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定期借地
普及しているのか定期借地

 定期借地契約が導入されて約10年になる。
現在、事業用定期借地権は10年以上20年以下の存続期間になているが、期間の延長が予定されている。

次に30年以上の期間の経過後に借地上の建物を地主に譲渡することを約して借地権を消滅させることが出来る建物譲渡特約付定期借地権がある。

その他に50年以上の存続期間を定めて設定される借地権については、特約をすれば期間が満了すると確定的に借地権が消滅し、土地を更地で返還してもらえる(借地借家法22条)。

その特約は�@契約の更新が無いこと、
�A借地期間の延長が無いこと、
�B借地借家法13条の建物買取り請求権を排除すること、
以上3点を公正証書等の書面によってしなければならない。この条件が充たされると、その場合は借地人の費用負担で建物を解体し、更地にして返還しなければならない。

 これは投下資本の回収が望めないことを意味する。例えば後5〜6年で契約期間が満了する財産的価値の無い定期借地権を中途で買う人間がいるであろうか。このように借地権の換金性が低いことから普通借地権(都市部の借地権割合は90〜70%)に比べて定期借地権の財産的価値は著しく低く、価値は不安定である。

 定期借地権進協議会の実績調査(平成14年12月)によると、この10年間に定期借地契約で建設された建物は全国で4万601戸(1戸建が27352戸、マンションが13249戸)であるという。
首都圏の定期借地の1戸建の延床面積の平均は124�u、地代の平均は30376円、保証金の平均は890万円、住宅価格の平均は2669万円という調査結果である。
 目先の安さで定期借地を選択しても将来的に後悔しなければいいが…。


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2006年03月09日

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借地人がなぜ更新料を支払うのか
地主側には更新料を請求する法的根拠はないが

地主側の立場から書かれた『悪質借地人に対抗する地主の正攻法』安西勉著(自由国民社)の中に次のような内容が書いてある。

借地人がなぜ更新料を支払うのかという理由で一番多いのが
�@特別な理由があるというのではなく、「更新料を払うのは慣行だから」というものだ。
�A次に多いのが地主と争うのがいやだからという結果があるという。

このことから著者の結論は、地主側には更新料を請求する法的根拠はない。
しかし、「更新料というものは、なにも特別な理由づけをしなくても、当然のこととして支払ってもらえる場合が多いということ」要するに、駄目もとでいいから、取敢えず借地人に更新料支払いを要求する。 すると、大概の借地人は理由もわからずに払うケースが多い。

「もしそうでなく、借地人としては本当は支払いたくない場合であっても、地主が更新拒絶などの権利を行使すれば、支払ってもらえることが多いということです」要するに、支払わないとごねてゴチャゴチャ言うようであれば更新拒絶で威嚇してみれば、借地人はビックリして厭々ながらでも更新料を払うものである。

 地主側には更新料を請求する法的根拠はなくとも、「地主がもっと強く更新料を請求していれば、支払ってもらえたであろうケースが多い」というのが地主側の結論である。

 地主側の更新料支払い請求はこの程度のものでしかなく、裁判になれば勝てないことは充分承知している。しかし、更新料を支払ってもらえない理由は「そのもっとも大きな原因は、要するに地主が怠慢だということ」が著者の下した最終結論である。


「宅地賃貸借の期間満了にあたり、賃貸人の請求があれば当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商習慣ないし事実たる慣習が存在するものとは認めるに足りない」(最高裁1976年10月1日判決)。

「建物所有を目的とする土地賃貸借契約における賃借期間満了に際し賃貸人の一方的な請求に基づき当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生じさせる事実たる慣習が存在するものとは認められない」(最高裁1978年1月24日)。


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2006年03月08日

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土地の明渡訴訟
建物占有移転禁止の仮処から土地明渡の裁判

 「東京地裁の建物占有移転禁止の仮処分決定書に基づいて店舗併用住宅が仮処分の執行を受けた、どう対処したらいいか」と台東借組に電話相談があった。

 相談者の竹内さんは谷中で17坪の借地。地代は月額28300円で昨年9月に半年分を銀行から地主に振込んだ。ところが、地主は振込んだ地代を返金してきた上、今後も受領しないと通告してきた。

 竹内さんは供託の知識もなく、そのまま放置していたが、今回仮処分の執行を受け、心配になって組合に相談した。組合役員は竹内さんに会い、関係書類を見せてもらい、今後の方策を話合った。先ず組合に加入してもらい組合の顧問弁護士と相談することを薦めた。組合は取り敢えず、受領を拒否された地代15カ月分を法務局に供託した。

 地主は建物占有移転禁止の仮処分をしたことから、当然地代不払を理由にした土地明渡の裁判を目論んでおり、裁判になることは必定である。

 予想通り地主は2003年土地の明渡し訴訟を提起してきた。

 なお、賃借人があらかじめ賃料の受領を拒否し、賃料の提供があても受領しない意思が明白な場合には、賃借人が口頭の提供をしなくても債務不履行の責任は生じない。従って、供託をすることもなく、賃料の支払を怠った場合でも賃料不払いにはならず、それを理由にした契約解除は無効という最高裁判決(1957年6月5日)がある。


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2006年03月07日

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更新料支払い請求
  更新料支払い請求を拒否し、賃貸契約は法定更新

 浅草橋のマンションに2年前から親子二人で住んでいる田中さんは、家業不振な折に今年4月に契約更新を迎え、不動産屋から家賃2ヶ月分相当の更新料を請求された。月々の家賃も前払いから当月払いにして、何とか支払ってきた。そんな状態では更新料を請求されても払える訳も無い。

 その頃から階上に住む管理人が何かに付けて嫌味を言うようになった。最近では、田中さん親子が昼間営業に出ている間に「無契約状態だから、部屋の鍵を取り替え、室内の物品は田中さんの事業所に送る」などと言われるようになった。

 田中さんは、組合役員と相談し、役員立会いの元で家主と管理人に「申し入れ」をすることにした。家主に都合を打診したところ当分都合が悪いと言うので、書面による以下の「申入書」を送った。

 家主宛には(1)特約で更新料支払いを約束していないし、借地借家法でも借家人の更新料支払い義務は法定されていない。従って更新料の支払義務は無い。(2)契約は借地借家法26条の規定で既に法定更新されている。従って無契約状態ではない。

 管理人宛には(1)公序良俗に反する言動はしない事。(2)管理・点検以外の目的で勝手に部屋に立ち入らない事。

 その後は、管理人の不穏当な言動は影を潜めた。

第26条  建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。

2  前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。


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2006年03月06日
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建物を取壊すから立ち退け
 新家主の寺は建物明渡訴訟を提起して来た

台東区谷中は寺町である。谷中100箇寺といわれる程寺が多い。谷中の殆どの借地は寺が地主である。

今回のトラブルは、寺から借地して建てられた中古の2棟のアパートの老朽化が著しいので取壊すから直ぐに立ち退けということ始まった。立退き料も満足に出さずに、借家人全員を短期間で立ち退かそうという強引なものだ。

アパートA荘に居住15年の金井さんと別棟のB荘に居住23年の谷さんは、2000年4月に家主から突然、部屋の明渡し請求をされた。

 家主は契約を解除したのだから直ぐ立ち退けの一点張りで家賃の受取も拒否した。両人は困って台東借地借家人組合に相談し、その場で組合に入会した。

 家賃は弁済供託することにして、 両人は組合のアドバイスを基に家主に対して立退きを拒否した。両人以外のアパートの借家人は、家主の執拗な明渡し要求に屈して2000年中に総て退去してしまた。

 両人の明渡し拒否の強い態度に家主は、明渡し交渉を諦め、2001年12月中旬アパートを放棄して、転居先も告げずに突然、家主は引越してしまった。

2004年1月寺は旧家主名で調停を申し立て、両名に立退き料として450万円を提示した。だが両人は調停で問題点は金銭ではないこと、住み続けたいという点を強調した。主張は平行線のままで、調停は3回で不調という結果に終った。

この調停の中で家主は、地主である寺から強硬に借地の更地返還を迫られていたことが判明した。

 家主は借地期間10年という借地法に違反する契約を寺から押付けられていたことも判明した。未だ10年の借地期間が有るので家主は慌てて立ち退くことは無かった。家主も被害者ということになる。

2005年1月新家主の寺は建物明渡訴訟を提起して来た。寺の表面的明渡しの理由はアパ−トの老朽化が著しいので取壊したいから立ち退けというものである。しかし、寺の近隣では、以前から寺と石材店とが組んで築30年のアパートを取壊し、そこに墓地を造成
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2006年2月
2006年02月28日

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困難な借地処分 
 年金生活で地代支払も困難に高齢者の借地返還は深刻だ

 台東区谷中の非組合員の中川さんは、83歳で身寄りのない一人暮らしである。年金生活で蓄えもないので建物の修理を怠っている。雨漏りもある。現在は地代も滞ることなく支払っているが、今後もこの調子で支払を続ける自信はない。ましてや3年後の更新の際、借地更新料の支払は殆ど不可能である。

 そこで地主に建物付で借地を返還したい旨を伝えた。その際、建物を買取って欲しい旨(*)も付け加えた「買取るなど冗談じゃない。建物を取壊して更地にして土地を明け渡すというのであれば、申出を諒承する」と言われた。

 中川さんは、地代の支払が出来なくなる前に家屋を処分して老人ホームへ入所したいと考えているが、そのためにも何か旨い解決策はないかと組合へ相談してきた。
 地代の支払に困って土地を地主に返還するのだから、解体費用など無理な話である。地代を滞納すれば賃料不払で契約解除となり解体費用は借地人に請求される。

 解決策は建物を第三者に賃貸して家賃収入の一部で地代を支払い、借地契約を存続させる。取り敢えず貸すにしても修理代金をどうするかという問題がある。

 次は、借地権を第三者に譲渡する。この場合は地主へ承諾料を支払わなければならない。非訟手続きで裁判所の代諾許可を得る場合でも借地権価格の約10%の承諾料は必要である。又借地権の買い手を見つけるのにも苦労する。一人暮らしの高齢者には、借地の処分は深刻な問題である。

 組合に加入していれば特典として借地権の売却又は借地の有効活用等の手伝いも出来るのだが、電話相談だけでは何の解決も、また何の手伝いも出来ないのが歯痒い。

(*)借地借家法第13条(建物買取請求権)
「借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる」。確かに借地人には建物買取請求権が認められている。だが「借地権の存続期間が満了した場合」という条件が付いている。


台東借地借家人組合 
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2006年02月27日

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住職が店舗の明渡を強要
吉本さんは台東区松が谷で約10坪の2階建店舗併用住宅(1ヶ月6万円)を借りて、写真館を50年以上も営んでいる。

 家主は隣の寺で、2002年8月に住職から借家契約の解除を通告された。前住職とは何のトラブルもなかった。娘婿の新住職に代わるや庫裏と本堂の改修工事が大々的に始められ、その挙句門前の店舗を含めた檀家泣かせの新築工事計画を立案したが檀家の大反対で頓挫した。

 その後、住職から立退きを強要する言葉を頻繁に浴びせられた。加えて、デジタルカメラの普及で現像の需要が激減し、商売に対する不安も重なり強迫観念に襲われる状態まで追込まれた。

 2003年1月その対応に苦慮して台東借地借家人組合に相談し、その場で組合に加入した。組合は家主の解約要求に応ずる必要はない事、家主要求に屈し無ければこのまま商売も続けられる事を説明した。2月には入ると、住職は家賃の受領を拒否した。組合は手筈通り、東京法務局へ家賃の弁済供託をした。

 寺側の今回の計画は、門前の店舗から吉本さんを立退かせ、そこを自動車で来る檀家の駐車場にしようと考えている。そのため2003年8月に東京簡易裁判所に家屋明渡請求調停の申立をしてきた。

 台東借地借家人組合と対応策を検討していたので不安もなく調停に臨めた。調停は6回行なわれたが、2004年7月に不調で終了した。

 一安心している矢先の 10月に吉本さんは、自宅の階段を踏み外し足首を骨折し、一ヵ月程店を休業してしまた。客は他店へ流れ、戻って来ない。その後も体調不良で店を閉める日が多く、売上は極端に落ち、商売に対する不安が脳裏を掠めた。

 2004年12月末、台東借地借家人組合に再度相談があった。「家賃を払っていく自信が無い。店を閉めたいので、立退き交渉をお願いしたい」というものであった。

 2005年1月初旬、組合の顧問弁護士に家主側の弁護士との交渉を依頼した。立退料が出なくて当然という状態での交渉であったが、2月末ほぼ立退き交渉は纏まった。8月末迄に店舗を明渡し、3〜8月分の家賃は支払免除し、立退料は家賃の65ヵ月分という解決案であた。

 8月末に組合の顧問弁護士が立会、残りの立退料と引換えに建物の明渡しが完了した。


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2006年02月26日

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地代を値下げ
現行地代は適正額の3倍なので地代の減額調停を申立

 地下鉄銀座線の稲荷町駅に程近い場所、JR上野駅400m位の場所に下谷神社がある。その神社の近辺が東上野3丁目になる。

 神社の裏手に居住する木村さんは最近同一地主の借地人達に、地代がどの程度かを尋ねて回った。その結果、近隣の地代に比べても高額であると気付いた。地代は、1ヶ月48800円(29坪)を支払っている。1坪当り約1700円である。

 地代の問題の他に更新料の問題もあるので、組合に加入して相談してみた。
 組合は、固定資産税の路線価を基にして地代を試算してみた。

 木村さんの家が面している通りの固定資産税評価の路線価は1�u43万円 。1坪当り約142万円である。
 2002年度修正率はマイナス13%なので、1坪当りの固定資産税評価額は約125万円となる…(A)。

固定資産税は、(A)×固定資産税率×軽減措置で計算出来る。
(1)固定資産税は固定資産税評価額×1/100×1.4(固定資産税率)×1/6(注1)
1坪当りの年間固定資産税は約2920円、1ヶ月当り約240円になる…(B)。

都市計画税は、(A)×都市計画税率×軽減措置×23区の軽減措置で計算出来る。
(2)都市計画税は固定資産税評価額×1/100×0.3(都市計画税率)×1/3(注1)×1/2(注2)
都市計画税は1坪当り年間約630円、1ヶ月当り約50円になる…(C)。

1ヶ月当りの支払税額は(B)+(C)で1坪当り約290円。
 標準的な地代は(B)+(C)の2〜3倍といわれている。(注3)

借地面積は29坪であるから1ヶ月の地代は、16820〜25230円となる。
木村さんの支払っている地代は、適正地代より約2〜3倍高い。

そこで、木村さんは簡易裁判所に地代の減額請求の調停を申立てた。話合いを続けた結果、1万円の値下げ案が提示されたが、地主側は肯首しなかった。このままでは調停が不調になってしまうので、今回は仕方なく7800円で妥協した。
 2003年4月以降に都税事務所で評価証明書をもらって、もう一度減額請求の調停をやる決意だ。

 (注1)軽減措置で200�u(60坪)以下の場合は、(1)固定資産税は1/6で(2)都市計画税は1/3に減税。200�u(60坪)以上の場合は、(1)固定資産税は1/3で(2)都市計画税は2/3に減税。

(注2)都内23区の軽減措置で1/2に減税されている。

 (注3)東京簡易裁判所の調停成立事例では住宅地は3.1倍前後、商業地は2.4倍前後という調査結果がある。


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2006年02月25日

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地代の値上げ
台東区東浅草の非組合員の森さん(借地28坪)は、簡易裁判所で地代値上げの調停中。地主は、現行地代1ヶ月19040円(1坪当り680円)を23520円(坪当り840円)に値上げ請求している。

 調停は最終段階を迎え、森さんは現行額の1%増(28坪で190円)なら呑んでもいいと回答し、それ以上なら拒否するつもりでいる。しかし、森さんは確信が持てない。現在の地代が高いのか、安いのか、判断する根拠が解らないからだ。

 地代値上げを呑まずに調停が不調になって、本裁判になった時にどうするか、弁護士の手配・費用は等々、悩みは尽きない。 そこで、台東借地借家人組合へ電話を入れ、最終調停の前日組合事務所を訪ねた。

 組合は、インターネットで国税庁が公表している相続税路線価データを調べ、地代を推定してみた。正確な固定資産税と都市計画税は都税事務所の固定資産課へ行って評価証明書の交付を受けて、それに基づいて計算するのが基本である。 

 住所で調べた路線価は1�u当り205000円であった。1坪当りにすると676500円である。国税庁が公表している相続税路線価は国土交通省の地価公示価格の80%に設定されている。

 従って、路線価÷0.8=地価公示価格であるから、推定公示価格845625円になる。

 固定資産税評価額は公示価格の70%に設定されている。固定資産税評価額=公示価格×0.7

(1)1ヶ月当りの固定資産税は固定資産税評価額×1/100×1.4(固定資産税率)×1/6(注1)÷12(ヶ月)

(2)1ヶ月当りの都市計画税は固定資産税評価額×1/100×0.3(都市計画税率)×1/3(注1)×1/2(注2)÷12(ヶ月)

 計算すると、(1)固定資産税と(2)都市計画税の合計は、1ヶ月1坪当り139円となる。

 標準的な地代は(1)(2)の合計の2〜3倍といわれている(注3)。例えば2.5倍とすれば、坪当たりの地代は347.5円となり、28坪で9730円となる。

 地主の要求している23520円は、かなり高額であると言える。現行でも割高であり、寧ろ値下げを要求すべきである。

 翌日の調停で、森さんは1%の値上げ以外は認められないと確信を持て主張した。地主側も要求額を譲らず、調停は不調に終った。

 しかし、地主側は調停の翌日、森さんの主張(1%の値上げ)を全面的に受け入れると連絡して来た。結局、現行地代の1%の値上げ190円で決着した。

(注1)軽減措置で200�u(60坪)以下の場合は、(1)固定資産税は1/6で(2)都市計画税は1/3に減税。200�u(60坪)以上の場合は、(1)固定資産税は1/3で(2)都市計画税は2/3に減税。

(注2)都内23区の軽減措置で1/2に減税されている。

(注3)東京簡易裁判所の調停成立事例では住宅地は3.1倍前後、商業地は2.4倍前後という調査結果がある。


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2006年02月24日

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借家の更新料支払い請求
更新料の供託で危機を脱出

 台東借地借家人組合員の谷本さん夫妻は、台東区今戸で作業場(10坪)を月8万円で借りている。前回(3年前)の更新時に更新料問題で揉め、調停で更新料が家賃の3ヶ月分から1ヶ月分へと減額された経緯がある。家主は更新料が減額されたことにかなり固執している。

 本年、7月の更新を前に6月中旬、家主は翌月からの家賃値上げ2000円を通告し、現行家賃での受取を拒否した。それを受けて、組合は東京法務局に現行家賃8万円で供託の手続きをした。

 7月末に家主は更新料支払と更新料支払い特約付きの契約書へのサインと押印を強要してきた。
 8月中旬、更新料及び家賃値上げを撤回するように家主と交渉をした。結果、家主は2000円の値上げのみを撤回し、頑強に更新料の支払いに固執した。後日、「更新料を払わない場合は、家屋の明渡しを要求する」という趣旨を内容証明郵便で通告してきた。

 組合の顧問弁護士とも相談し、これ以上、更新料拒否を強行するのは危険と判断した。家屋の明渡し要求をされているので、取敢えず更新料も供託し、借地借家法26条の規定によって借家契約を法定更新することへ方針転換した。

 供託による更新料支払いには家主も肩透かしを喰った形になった。借家契約を法定更新することによて、更新料支払特約付の契約書にサインと押印をすること無く、借家の契約更新は成された。契約期間は借地借家法26条の規定によって「その期間は、定めがないものとする」ということになり、3年という期間の区切りが無くなるので、以後、法律の上では契約の更新は無くなる。これにより更新料支払から解放される第一歩を踏み出すことができた。


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2006年02月23日

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3年越しの明渡裁判が和解
立退料は家賃の160〜170ヵ月分  

 台東借組の組合員TさんとKさんは、幸田露伴の小説で有名な谷中の五重塔(昭和32年心中事件で炎上)跡に程近いアパートに居住している。両人は、来年の春には、静謐な環境のアパートから立退かなければならない。2005年の春に、約3年に亘った建物明渡し裁判で和解が成立したからだ。

 家主は、アパート隣の寺で、3年前の春に、建物明渡し訴訟を提起してきた。寺側の表面的理由は、アパートの老朽化が著しく、修繕したのでは採算が合わないというものだ。 

 寺側の本心は勿論、アパートを取壊し墓地を造成して儲けようという目論みである。裁判が始まり暫くすると、寺側は当初の理由を取下げ、檀家専用の駐車場にするという理由に変更してきた。寺の周辺は谷中霊園。駐車スペースは無尽で何処に駐車しようが交通の障碍にはならず、駐車違反の取締など皆無の場所である。

 和解の終局は結果的に金銭での決着であった。立退料は独り暮らしのTさん(25年居住)が家賃の160ヵ月分、5人家族のKさん(17年居住)が家賃の170ヵ月分であった。


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2006年02月22日

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不動産会社のミスで立退き
  文句があるなら出ていけば

 若林さんは昨年9月、浅草雷門近くのビルの2階事務所(26坪、家賃225000円)を借りて友人3人と商売を始めた。しかし僅か4ヶ月で、そこを退去しなければならなかった。別段、商売不振で撤退した訳ではない。原因は不動産会社エ*ブルとのトラブルにあった。

「不動産会社からすぐ家賃を払えという請求が来ているが、一体どういうことなんだ」と契約の連帯保証人になっている兄からの怒りの電話であった。礼金、前家賃、備品、広告代等の支払いで、準備資金の殆どを使い果たしていた。家主には10日程、家賃が遅れると伝え、その諒承を受けていた。エ*イブルにも、その旨を連絡していたにも拘らずのことであった。

 エ*ブルの担当者に苦情を言った。すると、「期日までに家賃を支払わないから連帯保証人に請求した。そのための連帯保証人だ。それの何処が悪いんだ」と開き直り、揚句には「そんなに文句があるんだったら契約を止めて出て行ったらどうなんだ」と不動産業者とは思えないような暴言を吐いた。兄とエ*イブルの間でもトラブルがあり、このことが原因で兄が連帯保証人を降りてしまた。

 契約の継続は無理なので、退去することになった。結果的に開店資金、店舗改装費、宣伝費等、開店の努力が総て無に帰してしまった。最悪なのは家賃の6ヶ月分相当の保証金の返還が拒否されている。

「中途解約の場合は家賃の2ヶ月分を償却すると契約書に明記している。解約通知は退去日の2ヶ月前までに文書ですることになている。だから保証金から2ヶ月 分を差し引くことになる。後の2か月分は原状回復費に当てる。だから返還するものは何もない。」というのが不動産業者の言い分である。

 以上が組合への電話相談である。本人が自分で保証金取り返すということなので、交渉相手は不動産業者ではなく、飽くまで家主だけを相手に交渉することが解決の早道であるを伝えた。


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2006年02月21日

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原状回復特約
 修理を依頼しても、そのつど黙殺される

 鈴木さんは、台東区入谷の賃貸マンションを2年契約で借りた。家賃12万5千円、管理費1万円で敷金25万円。築30年以上なので修繕箇所も多く、家主に修繕を依頼したが、聞捨てられた。あまりの誠意の無さに、1年後遂に引越しを決意。独り住まいで部屋の汚損も無く、敷金は全額戻ってくるものと考えていた。

 ところが、家主は契約書の原状回復条項を盾に、リフォーム代と相殺したので敷金の返金はないと返答してきた。埒が明かないので、台東借組へ相談した。組合は、「原状回復費用の居住者負担の特約があっても、その範囲は居住者の故意・過失によるものに限られる」と言うのが判例の立場であり、家主が敷金を一方的に精算することは出来ないと説明した。

 後日、組合立会いで家主と話合いをした。だが家主は原状回復費の明細も示さずに返す敷金はないの一転張りである。嫌がる家主を伴って、実際の所どことどこを原状回復したのか、退去した部屋を両者で精細に点検してみた。修復した形跡は何処にも見出せない。部屋は退去した時のままであった。家主は不満げであたが渋々敷金を全額返還した。


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2006年02月20日

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東京の「賃貸住宅紛争防止条例」施行後、1年
賃貸住宅の退去時に敷金が戻らなかったり、敷金を上回る修繕回復費用を家主から請求されるという敷金を巡るトラブルが10年前に比べて約10倍に増えている。
 トラブルの原因は原状回復が�@通常損耗�A自然損耗(経年変化)を含めて総て借主の費用負担で行われていることに起因している。

 2004年2月に改定された国土交通省のガイドラインでも�@と�Aは家主の負担で修繕するものであり、これらを借主の費用負担で回復修繕する義務はないとしている。
 東京都は敷金トラブルを防止するための「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例」を2004年10月1日から施行している。

 日本賃貸住宅管理協会が2005年6月24日から7月8日に調査した「賃貸住宅紛争防止条例施行後アンケート」によると、借主への説明は1件当り最多は「10分」で32%で、次が「15分」と「20分」が共に12%という結果であた。
 説明が10〜20分というのが全体の約60%を占めている。そんな短い時間でその内容を借主が充分理解出来るとは思えない。
 説明の最短は3分という酷いものもあた。不動産業者のお座成りな説明でトラブルが減少するとはとてもではないが思えない。アンケート結果に「費用負担の割合のトラブルが増えた」という意見があたというのは、それを裏書する。

 賃貸住宅紛争防止条例施行後、1年が経過しようとしている。もう一度、東京の「賃貸住宅紛争防止条例」を点検してみよう。
 条例第1条により「専ら居住を目的とする建物」として居住用建物の賃貸借に適用され、店舗・倉庫・事務所等の営業用建物には条例は適用されない。

 第2条では不動産業者は宅建業法35条1項の重要事項の説明(この説明は取引主任者が説明する必要がある)に併せ、東京都規則事項を説明する義務を課されている。
 �@退去時の通常損耗の復旧は貸主が行うのが基本であること
 �A入居期間中の必要な修繕は貸主が行うのが基本とされていること
 �B入居期間中の修繕及び退去時の回復費用に関する特約で借主の負担としている事項
 �C修繕及び維持管理等に関する連絡先等。

 不動産業者はこれらの事項を記載した書面を交付して説明することを義務付けられている。
 この場合、宅建業法35条の関係から宅建主任者は借主に対して取引主任者証を提示し、主任者が直接東京都規則を説明しなければならない。(東京都の説明では、取引主任者が説明する必要はないというがトラブルの防止の観点からみても矛盾している。)

 違反した業者に対しては、報告・資料の提出を要求することが出来(第4条)、その内容を是正するよう指導・勧告が出来る(第5条)。勧告に従わない悪質業者は社名を公表することが出来る(第6条)。 
 条例は宅建業法に該当する業者に適用されるのであって、一般の貸主に対しては適用されないというこに注意しなければならない。

 第1の問題はこの条例に違反しても宅建業者に対する罰則規定は何も無く、業務停止、免許取消などの行政処分は行われないことから条例の実行性が危ぶまれる。

 第2の問題は当然2004年10月1日以降の宅建業者が取扱う居住専用賃貸住宅の契約の総てに適用されるべきであるのに根拠も無しに更新契約を適用除外していることだ。東京都の説明では、2004年10月1日以降の新規契約のみに適用されるとしている。

 第3の問題は条例に特約を制限する規定が盛込まれていないことである。トラブルの原因である特約の規制措置をしない限り、トラブルを根本的に防止することは難しい。


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2006年02月19日

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家賃2万円値下げ
  家賃2万円値下げ更新料0円

 台東借組組合員の小泉さんは、今年4月借家契約満了に際して、家主から家賃1ヶ月分の更新料を請求され、相場より高い家賃10万円の件と併せて対処法を組合に相談した。

 組合では、家賃を8万円に減額するように家主と交渉することを提案。組合立合いの上で、家主と交渉した。
 更新料に関しては、既に法定更新を完了していて問題は無かった。

 賃貸情報誌の谷中の物件を例に挙げて、風呂無しの10万円は高いことを説明した。建物の築年数から考えても精々8万円がいいところだ。

 押し問答が続いたが、こちら側の主張を全面的に呑む事を渋々承知した。家主は、家賃受領通帳の契約条件欄に「家賃1ヶ月8万円」と書き自署押印し日付を入れた。

 しかし、家主の不満は相当に嵩じていたのであろう。2ヵ月後家賃支払の際に、受領印をもらうため通帳を差出すと、突然、家主は実力行使に出た。合意内容を覆い隠すべく事前準備した紙を契約条件欄に両面テープで貼り付けたのである。そして家主は家賃10万円でなければ受取らないが、8万円は内金として受領すると宣言した。

 しかし、この証拠隠滅行為は失敗だった。後日両面テープは問題なく剥がれた。

 翌月、家賃受領通帳の契約条件欄に「家賃1ヶ月8万円」と書かれた所を指差して家賃は8万円ということを確認して下さいと念を押して支払った。家主は今回、「内金として受領する」と受領通帳に書き込まなかった。

 その後は何事も無かった如く家賃8万円をすんなり 受領している。


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2006年02月18日

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借地の明渡し訴訟
 占有移転禁止仮処分をされて貸倉庫の収入がストップ 

 竹内さんは、台東区谷中で17坪を借地している。地代は月額28300円。何十年も、3〜6ヶ月分纏めて、地主に払っていた。それが一昨年9月に地代の受領を拒否され、そのまま地代を支払うことなく放置していた。

 2003年6月に地主は、建物占有移転禁止の仮処分を東京地裁に申請し、竹内さんの住宅と賃貸している倉庫部分が仮処分の執行を受けた。竹内さんはこの時点で組合に加入し、放置していた地代15ヶ月分を一括して供託した。

7月地代の不払いを理由に無催告(注)で契約解除を通告され、土地の明渡し訴訟を提起された。裁判は組合の二人の弁護士が担当した。

 今一番の痛手は、仮処分を受けたことで倉庫を貸していた会社がトラブルを恐れて倉庫の契約を解除して退去した。そのため倉庫の賃料収入が途切れてしまったことだ。仮処分は裁判の結果を見るまで殆ど継続され、取消は認められないのが通例だ。そのため仮処分の取消があるまでは、二度と倉庫を貸すことが出来ない。この不景気の時世に地主の仮処分による損害は多大だ。

 裁判では、地主側のミスで債務不履行とされたが、借地人の債務不履行は存在しないことが確認され、地代は間違いなく支払われていたことが証明された。

 だが、半年分後払いが履行滞納なのか、慣習化して地主も暗黙の了承していた支払い方法であったのかが問題になった。半年分後払いが10年以上に亘って長期間行なわれ、その間地主から何らかの異議もなかったという事実がある場合には、支払い方法の変更の黙示の合意があたとみなされる。

 それが証明されれば、履行滞納を理由にした契約解除は否定される。だが、竹内さんは銀行振込の控えを殆ど保存していなかったので、半年分後払いが証明できなかった。

 長期間の領収書等の支払いを証明するものがあれば問題がなかったのだが、残念な結果であった。裁判所の結論は4年半後に建物はそのままで借地を明渡すというものであった。

 これに付随して、毎月約15万円支払い続けていた父親の遺した銀行の借金(約450万円)が清算されたことには驚いている。組合に言われ、抵当権を設定している銀行に、今回の判決文を持参して担当者に読んで貰った。その結果が借金0ということである。

 組合は、借地期間が5年に満たないので銀行が竹内さんの建物を競売に掛けても買い手がいないのと競売をやっても経費倒れになるので債権放棄をして、仕方なく自ら不良債権処理をしたのだと説明してくれた。

(注)契約の解除をするときは、予め相当の期間を定めて履行を催告しなければならない(民法541条)。又、借家の事例であるが、11ヶ月分の家賃を遅滞し契約を無催告で解除された事案で、原判決を破棄し催告は必要であるとしている (最高裁1960年6月28日判決)。 借地の場合、借地権及び建物は経済的価値を有し解除に伴う借地人の損失は甚大である。信頼関係を損なわない軽微な義務違反で解除を認めることは権利の濫用である。


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2006年02月17日

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借家の明渡請求
    新家主から建物の明渡しを通告された

 5月26日、台東借組に電話が入った。組合員の平田さんからだ。平田さんは台東区下谷で平屋(6坪)を倉庫として家賃7500円で借りている。倉庫として借りている建物の引き戸に南京錠を掛けられ、閉め出されたという内容だ。

 平田さんの家主は、地主から借地の返還を執拗に要求され続けていた。遂に根負けし、本年4月に東京地裁で土地明渡しに合意し、借地権と建物を地主に譲渡した。その旨を家主から連絡を受け、家主が地主に代わったことを識った。地主は新たに家主になっているにも拘らず、態度表明せず、音無しの構えなのだ。

 平田さんが倉庫として借りている借家の隣りが地主の住まいである。平田さんは、この地主と地代の値上げ問題、更新料で揉めている。地代は現在、供託中である。こんな嫌がらせをするのは地主以外には考えられない。

 組合のアドバイスは
�@家主の不当行為に対しては、緊急の自力救済措置として錠を破壊してでも居住を確保する。
�A家賃を誰に払うのかを判断するため、建物の所有権が家主から地主へ移転登記されているかを調べる。

 「新所有者の移転登記が無い場合には賃料請求をすることができない」というのが判例である。登記簿謄本で建物の所有者を調べてみると,既に5月11日に所有権の移転登記は完了していた。

 そこで5月30日、新家主の地主に家賃を支払うが、受領を拒否された。已む無く法務局に家賃を弁済供託した。

 6月28日新家主の代理人である弁護士から『建物明渡督促』が内容証明郵便で送られて来た。「貴殿と旧家主との間の法律関係は賃貸借ではなく,単なる使用貸借関係であったものと思料されます」とさ平田んと旧家主の建物賃貸借契約を事実に基づかない独断で借家法の保護を受けない使用貸借と決め付け「貴殿と旧家主の間の使用貸借関係を継承する理由はありませんので本年7月15日頃までに、建物の明渡しを…」という独善的論旨のものであった 。


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2006年02月16日

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競売の買受人から借地の明渡しを要求された
 底地に抵当権が設定された後に建物を
建替えたが競落人に対抗できるか

(問) 7年前、地主の建替えの承諾を得て借地上の木造建物を取壊し、鉄骨4階建ての建物へ建替え、登記も済ませた。勿論、木造建物の時も登記はしていた。ところが建替えの3年前に地主は土地に抵当権をつけていた。その抵当権が実行され、第三者が競落した。その買受人が借地の明渡しを要求しています。

(答) 「借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することが出来る。」(借地借家10条)と規定し、建物登記がある場合に、借地権に対抗力を認めた。これにより借地人の保護が図られている。

 今回の質問と殆ど同一の問題で争われた東京高裁の判決(2000年5月11日)がある。
この判決は最高裁でも支持され判例として確立された。

判決の要旨は、
�@不動産競売において対抗問題が生じるのは、抵当権設定時であって、不動産競売の買受人への売却時ではない。従って、不動産の競落時における対抗要件の存在は必要ではない。
�A抵当権に対する借地権の対抗要件があるかどうかは、抵当権設定時に登記があったか否かだけで定まる。

抵当権設定後の建物の存在や登記の存在は、抵当権に対する対抗力の存否とは無関係である。建物が滅失したり、登記が抹消されても、抵当権者・買受人に対する借地権の対抗力は消滅しない。即ち、借地権の対抗力の有無は、競売時ではなく、抵当権設定時点で決定される。

 質問者は木造建物を保存登記していたので、抵当権が設定された時点で借地権の対抗力がある。従って買受人の明渡し要求に応ずる必要はない。買受人を貸主として従前の契約内容で借地を続けることが出来る。

 結論、建物登記をした後に底地に抵当権が設定され、その後改築をして新たな建物登記をした場合、借地権が勝つというのが判決の趣旨である。
従来の判例では、抵当権が設定された借地での建替えは大変危険なもので、後日、抵当権が実行された場合、借地人は、建物を取壊して明渡さざるをえない恐れがあった。東京高裁の判決が確定したので、借地に抵当権が設定されていても、借地人は大幅な建物の増改築が今後可能になったということだ。借地人にっては注目される判決である。


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2007年02月15日
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借地権の相続  
 借地人が死亡し借地権を相続する場合、
    物を第三者に賃貸する場合に地主の承諾は必要だろうか


(問)
 父が亡くなり、私が借地権を相続することになりました。相続に当たり地主の承諾は必要ですか。地主は契約書の書換えと、名義書換料を要求してきています。それと、その建物を人に貸すことは出来ますか。建物を人に貸す場合は、地主の許可が必要ですか。 

(答)
 借地権も他の遺産と同様に法的に当然相続人が相続する。親が死亡すると相続が開始され、親の有していた法律的地位が当然に相続人に一体として移転することを包括承継と言う(民法第896条)。

 包括承継は相続法の基本原理とされ、遺産中の不動産・動産のみならず債権や債務を承継するもので、被相続人の地位の承継とも解される。従って相続人は死亡した親の借地権を承継し、地主に対する権利・義務も一切引継ぐことになる。

 地主との賃貸借契約の内容を誠実に履行していれば何らの問題も惹起されない。「土地を借りた本人が死亡したのだから、土地を返してもらいたい」と地主に要求されても、それに応じることはない。

 まず、相談者の場合は、相続で借地権を譲り受けたので、名義書換の問題は発生しない。よって、地主の承諾は必要ない。名義書換料要求は不当であり、拒否しても何ら問題はない。勿論、契約書を新しく作り直す必要もないので、今まで通りでいい。相談者は、地主に「私が相続人になりました」と通知すればそれでいい。

 次に、借地上の建物を人に貸すことについてであるが、何ら問題ない。借家を無断で他人に貸した場合は、転貸ということで契約解除の理由になる。しかし、借地人が地主から賃借しているのはあくまで土地であり、その土地上の建物は借地人の所有物であり、自由に使用収益することが出来る。

 借地契約は、借地人に建物を所有させることを目的とする契約だから、借地人が所有建物を貸して収益を上げることは借地契約の目的に反するものではなく、転貸にはならない。

 万が一、地主が「無断転貸をしている。契約違反だから承諾料を払え」等と言ってきても文句を言われる筋合いは無い。拒否すればいい。

 但し、借地上の建物を第三者に売却する場合は、借地の無断譲渡または無断転貸の問題が起きるので注意したい。


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2007年02月14日
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大幅な原状回復費を請求される
  自然損耗の負担義務は無い

 台東借組の組合員山田さんは今年4月、台東区のマンション(家賃12万・管理費1万・敷金36万・礼金24万)から引越すことになり、家主に敷金の返還を要求したところ、不動産屋は連帯保証人である弟宛に内容証明郵便で原状回復費48万円を要求してきた。兄弟関係が拗れて悩んだ挙句組合に相談した。

 原状回復に対する裁判所の考えは次のようなものだ。
「通常の建物の賃貸借において、賃借人が賃借建物を返還するに際して負担する「原状回復」とは、賃借人の故意、過失による建物の毀損や、通常の使用を超える使用方法による損耗について、その回復を約定したものと解するのが相当であって、賃借人の居住、使用によって通常生ずる建物の損耗についてまで、それがなっかた状態に回復すべきことまで求めているものではないというべきである」(東京簡易裁判所2002年9月27日判決)。通常の使い方をしていれば、原状回復費用を借家人が払う必要はないという結論になる。

 組合は、家主に次のような趣旨の内容証明郵便を出した。「�@連帯保証人への請求中止。�A原状回復費用負担の拒否。�B敷金の即時返還」というす趣旨の通告をした。

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2006年02月13日

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下水の修繕工事 
 家主に下水の詰り工事を依頼するが拒否される

 台東区下谷の福沢さんは、築40年になる借家で暮らして20年になる。
 数年前から家屋の各所に不具合が生じてきていたが、軽微な工事だったので自費で修繕していた。しかし、今年になってからの下水の詰りは、業者の見積もりによると高額な工事代金が必要と解り、家主に修繕して欲しい旨を伝えたが修理工事を拒否された。

 下水の詰りは、炊事・洗濯・トイレ等日常生活にも支障をきたす状態となり組合に相談した。
 組合の指導で
 �@下水が詰まり困っている事
 �A工事に着手してもらえる期日は何時か
 �B返答無き場合は当方にて工事する事
 �Cその工事代金は家主の負担であり、家賃と相殺する事
 �D満足に使えなかった期間分の家賃も差し引く事
 以上の趣旨を記した内容証明郵便を家主に送った。

 結果は直に現れた。家主は、内容証明郵便に驚き、直ちに下水工事に着手した。


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2006年02月12日

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敷金返還請求
 敷金返還の少額訴訟で取り戻す

 有村さんは、台東区三ノ輪のマンションに7年4か月暮らしていた。家賃は1か月11万円、管理費8000円であった。日本提に新築のマンションを見つけ、引っ越すことになった。

 4月28日の退室当日、不動産会社の人の立会いで、部屋を点検した。指摘されたのは、洋室の壁の陥没3箇所と、破れた障子2面。それらについては、修繕費を負担する覚悟でいた。その他は、補修・交換の必要なしとのことだった。

 ところが不動産会社から届いた5月22日の敷金精算書には、原状回復費用20万円とあり、敷金22万円から差し引いて残金2万円を返金すると書かれていた。費用の内訳には、指摘個所の補修費用約3万円の他に、台所と洋室のクロスの全面張替費用と、クリーニング費が追加されていた。

 賃貸契約書の第21条に原状回復特約があり、賃借人の費用負担で入居時の状態まで回復させる義務があるとされている。台所と洋室のクロスの全面張替費用を賃借人が全額負担しなければならないことには納得がいかない。

 そのことに関して、不動産会社に文句を言ったが原状回復特約を結んでいるのだから仕方が無いの一点張りで埒があかない。敷金返還要求の内容証明郵便も送り付けたが不動産会社に無視された。

 手詰まり状態を打開するために組合に相談した。組合は「通常の用法に従った使用に必然的に伴う汚損・損耗は原状回復義務の対象にならない」(東京地裁1994年7月1日判決)というのが判例の確定した考え方であると説明した。

 東京簡易裁判所の判決に次のようなものだある。即ち「建物賃貸借契約に原状回復条項があるからといって賃借人は建物賃借当時の状態に回復すべき義務はない。賃貸人は賃借人が建物を通常の状態で使用した場合に時間の経過にともなって生じる自然の損耗・汚れによる損失は賃料として回収しているのであって賃借人に負担させるべきでなく、原状回復条項は賃借人が故意・過失によて又は通常ではない使用をしたために建物の棄損等を発生させた場合の損害の回復について規定したものと解するのが相当である」(東京簡易裁判所1995年8月8日判決)。 

 以上、判例の考え方から言えば洋室壁穴補修工事と障子2面の修繕は賃借人が負担しなけばならない。この28560円は控除されるのは仕方が無いが、それ以外は家主が負担すべきである。

 不動産会社と交渉するのは時間の無駄というのが組合の結論であり、家主を相手に組合が薦める少額訴訟に踏み切った。訴状は組合作成の少額訴訟のサンプルと組合の説明を基にして自分で書き、必要書類を添付して東京簡易裁判所に提出した。

後日、少額訴訟の決着は約2時間でついた。納得できない所もあたが、敷金の80%が戻ることになり、やってよかったと思っている。


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2006年02月11日

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更新料・名義書換料・20年間の差額地代を請求
地主が不当請求を撤回

 台東借組の組合員である田中さんは地代の供託を既に20年に亘って続けている。これまで地主との揉め事は組合との二人三脚で何とか切り抜けて来た。

 今回の借地の更新に際して地主は�@更新料の支払いと�A名義書換料を請求している。加えて�B20年間の差額地代+利息を請求している。更に�C前回不支払の更新料も再度要求している。

 田中さんは組合に対応を相談し、組合役員の立会いの下で地主と折衝することになった。地主側も不動産業者を加えてガードを固めている。交渉は約4時間に亘って行われた。

 更新料に関しては更新料支払の合意が無いので請求の根拠が無い。仮に支払の約定が前の契約書にあったとしても最高裁の判例は「更新料支払の約定は、合意更新される場合に関するものであって法定更新された場合における支払の趣旨まで含むものではない」(1982年4月15日)と明言している。

 従って�@と�Cに関しては前回・今回とも法定更新され、最高裁の判例から更新料支払義務が無いことは明らかである。勿論�Cは既に時効であり、支払義務は無い。更新料債権が他の債権と同様に一般には10年、商事については5年で時効消滅する。

 �Aに関しては母親の死亡に伴う借地権の相続であるから名義書換の問題は発生しない。名義書換料の要求は不当なものである。

 �Bは地主の一方的な主張であり、借地借家法11条2項の規定に従った取扱いをしてもらいたい。

 地代等は民法169条規定から5年で消滅時効となり、既に15年分が消滅時効となっている。

 地主は説明が間違いでないことを不動産業者に確認して渋々ながら不当請求を全面的に撤回した。
    
 借地借家法
第11条 地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

2 地代等の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。

3 地代等の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた地代等の額を超えるときは、その超過額に年1割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

(定期給付債権の短期消滅時効)
第169条 年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、5年間行使しないときは、消滅する。

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2006年02月10日

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敷金が戻る
組合指導の文面で敷金返還請求

 今年の4月に山田さんは自然環境と静謐な生活を求めて谷中霊園に程近いワンルームマンションに入居した。しかし、予想もしない車の騒音に耐えられずに、そこを3か月で退去せざるを得なかった。

 8万円の敷金を返して貰おうと不動産屋を訪れた。業者から明細書を渡され、3万円の追加を言われた。何で復旧費用に11万円も必要なのか。余りの理不尽さに驚き、区の消費者センターに相談し、巡って台東借組へ相談することになった。

 先ず家主に対し、組合指導の文面で敷金8万円の返還請求を内容証明で行った。

 後日、こちらの振込指定日に家主から電話があり、敷金を全額返金すると返事があった。銀行の口座を確認すると確かに敷金の全額が振り込まれていた。


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2006年02月10日

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借地権を売却 
借地権譲渡許可申立をして解決する

 桑田さんは借地(65・2坪)を地代1か月6万1300円で借りている。平成13年3月の更新の際に、建物を担保にして更新料615万円を支払った。

 借金までして更新料を払ったことに疑問を感じ、組合員の紹介で台東借組に加入した。

 負債を整理するため、借地権を売却するにしても建物の抵当権を抹消しなければならずその資金の目途も無い。それに加えて借地に対しては地主の債務に関する抵当権が設定されているので、第三者への譲渡は難しい。

 当事者間の協議で桑田さんは地主に対して借地権と建物の買取を要請し、6285万円を買取要求額として希望したが、地主は4300万円の買取額を提示して来た。結局当事者双方の妥協点が見出せなかった。

 そこで組合の顧問弁護士と相談して債務整理のために、台東借組組合員の「住宅監修業(株)力建」の協力を得て、借地借家法19条1項による借地権譲渡許可申立書を2005年1月26日東京地裁に提出した。

 すると地主側は3月25日の答弁書で借地借家法19条3項の「介入権」行使の申立をして来た。
 これは地主の先買権と呼ばれるもので地主が第三者に優先して借地上建物と借地権との譲受を認めるものである。地主の土地所有権回復の手段とされている。借地人は投下資本の回収を図ることが出来るのであるから買受人が地主であっても特に不利益はない。

 裁判所の調停で地主側は、買取価格として6200万円((株)力建の買取価格)から借地権譲渡承諾料10%(注)を差引いた5580万円を提示して来た。

 借地人側は借地権の相続に際し、支払い義務が無い名義書換料353万円を支払い済みであり、その点を充分考慮するように取敢えず訴えてみた。駄目元ということで言ってみたのだが、裁判所は5580万円に考慮分の110万円を上乗せした5690万円を提示した。

 結局、この価格で借地権を地主に売却することで2005年5月24日和解が成立した。借地と建物に抵当権が設定されているという悪条件にも拘らず、(株)力建の協力があって、桑田さんは、ほぼ希望の価格で借地を売却すること出来、満足している。

 (注)借地人は、借地権を第三者に譲渡すれば、地主に対して名義書換料を支払う。従って地主自身が譲り受ける場合は、その名義書換料相当額を対価の額から控除すべきであると解されている。裁判例では、名義書換料相当分として借地権価格の10%を控除するのがほぼ確立した基準となっている。

 
 借地借家法(土地の賃借権の譲渡又は転貸の許可)

第19条 借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。この場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、賃借権の譲渡若しくは転貸を条件とする借地条件の変更を命じ、又はその許可を財産上の給付に係らしめることができる。

2 裁判所は、前項の裁判をするには、賃借権の残存期間、借地に関する従前の経過、賃借権の譲渡又は転貸を必要とする事情その他一切の事情を考慮しなければならない。

3 第1項の申立てがあった場合において、裁判所が定める期間内に借地権設定者が自ら建物の譲渡及び賃借権の譲渡又は転貸を受ける旨の申立てをしたときは、裁判所は、同項の規定にかかわらず、相当の対価及び転貸の条件を定めて、これを命ずることができる。この裁判においては、当事者双方に対し、その義務を同時に履行すべきことを命ずることができる。

4 前項の申立ては、第1項の申立てが取り下げられたとき、又は不適法として却下されたときは、その効力を失う。

5 第3項の裁判があった後は、第1項又は第3項の申立ては、当事者の合意がある場合でなければ取り下げることができない。

6 裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、第1項又は第3項の裁判をする前に鑑定委員会の意見を聴かなければならない。

7 前各項の規定は、転借地権が設定されている場合における転借地権者と借地権設定者との間について準用する。ただし、借地権設定者が第3項の申立てをするには、借地権者の承諾を得なければならない。


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2006年02月10日

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敷金を全額取戻す
 住宅金融公庫の融資物件

 宮本さんは、引越しに際し不動産会社に前のマンション(台東区谷中)の敷金返還を要求したところ、「原状回復費に50万円掛るので敷金45万円を充当します。不足金5万円をお支払下さい」と驚くべき言葉が返ってきた。

 困っていたところ台東借組を紹介された。原状回復に対する組合の説明は、故意・過失によるもの以外は賃借人に回復義務責任がないということだ。交渉は直接家主とすることにした。

 数日後、組合の調査でそのマンションは、住宅金融公庫から資金の貸付を受けて建設したものであり、登記簿を調べると、融資金の返済中ということが確認出来た。

 住宅金融公庫法第35条、同法施行規則10条1項で家賃及び敷金(家賃の3月分を超えない額)を受領することを除く外、賃借人から権利金、謝金等の金品の受領を禁止されている。即ち、公庫融資を受けた家主は借入額を完済するまで、礼金・更新料等の受領及び敷金の一定額の償却も禁止されている。

 組合は住宅金融公庫へ電話を入れ、公庫法違反の家主に対し厳重指導(同法46条による刑事罰適用又は融資の繰り上げ返済請求等)を申し入れた。
加えて、組合は家主に対し配達証明付内容証明郵便を送った。 趣旨は、
�@原状回復費用負担の拒否
�A住宅金融公庫法違反の礼金30万円と
�B敷金45万円の返還要求するというものである。

 住宅金融公庫への電話談判の効果が現れ、後日、相談者の銀行口座に要求の全額が振込まれた。

  住宅金融公庫による融資物件の場合、住宅金融公庫法施行規則第10条においても,下記のような賃貸条件の制限が規定されている。
  第10条 賃貸人は,毎月その月又は翌月分の家賃を受領すること及び家賃の三月分を超えない額の敷金を受領することを除くほか,賃借人から権利金,謝金等の金品を受領し,その他賃借人の不当な負担となることを賃貸の条件としてはならない。
 罰則:  賃貸条件の違反について30万円以下の罰金(公庫法46条1項1号)


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2006年02月09日

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修理特約
修理特約があろうとも小修理以外は家主負担

 台東借組の組合員である松岡さんは、水道局の検査で借家の水道管が漏水していることが判明した。

 漏水箇所は床下。水道工事店に見積をしてもらった。自己負担で修繕するには費用が過重である。

 契約書に「修繕は借主の費用負担で行う」と書かれている。加えて現在家主から家屋の明渡請求を通告され、家賃の受領を拒否されている状況で、家主に修繕を要求しても無視されるのは判りきっている。

 如何すればよいか組合に相談した。「修理特約があっても、その範囲は小修理・小修繕に限られる」というのが組合の回答である。

 工事代金の回収方法も教えてもらい、業者の見積もり金額を書き期限を切って、家主に修繕依頼の配達証明付き内容証明を送付した。

 その内容は、指定した日までに着工されない場合は自費で修繕し、その費用は供託家賃と相殺することを通告するものである。

 指定日に家主から工事費を全額支払うと連絡があり、銀行の口座に工事代金が振り込まれていた。家主に領収書を郵送して、今回の水道工事は無事に決着した。


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2006年02月08日

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2006年1月
2006年01月31日

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減額家賃で供託 
家賃の減額請求をしても勝手に
        主張する金額で支払うのは危険である


 (問)家賃15万円の賃貸マンションを借りている。最近、隣の入居者が月13万円の家賃で借りていることを知った。同じ間取りあるにも拘らず、2万円も安い家賃というのは納得が出来ない。月末に13万円の家賃を持参し、家主に家賃の値下げを交渉したが、家賃は受領して貰えなかった。家主に家賃の受領を拒否された時は供託をしないと家賃の不払で契約を解除されると聞いたが、どうしたらいいのか。

 (答)民法494条「供託」は「債権者が弁済の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、弁済することができる者は、債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができる」と規定している。借家人は賃料額を法務局に供託して措けば債務を履行した(家賃を支払った)ことになる。

 家賃の値下げに関して、借地借家法32条は「建物の借賃の減額については当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる」と規定している。即ち、借家人から家賃の値下げを請求された場合、裁判で適正な家賃が確定するまでの係争期間中の家賃は、家主自身が相当と認める額を借家人に請求することが出来る。

 それでは家主が「相当と認める額」に関しては、東京地裁1998年5月29日判決で「裁判が確定までの間は賃借人には『賃貸人が相当と認める額』の賃料支払義務がある」として、その賃料は「特段の事情のない限り、従前の賃料と同額であると推定することが相当である」としている。 

 借家人が家賃の値下げ請求をしても、借家人は家主が「相当と認める額」(家賃15万円)を暫定的にせよ係争期間中は支払わなければならない。家主の請求する額を下回り、自己の主張する家賃額(13万円)の供託を継続した場合、債務不履行を理由に契約を解除され、建物明渡を要求される恐れがある。

 従って相談者は納得がいかないだろうが従前の家賃額を支払い、借地借家法32条3項に基づいて、家主に配達証明付き内容証明郵便で家賃の減額請求を行う。その後、簡易裁判所に民事調停を申し立てて正当な家賃を決定して貰う方法を考慮すべきである。

  
(借賃増減請求権)
第32条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

2 建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。

3 建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年1割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。


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 2006年01月30日

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家賃3万円の値下げ
 店舗の更新料と手数料がゼロに



 東上野で居酒屋を営業している望月さんが組合へ電話をかけてきたのは、11月末のことであった。契約の更新を不動産屋が言ってきた。だが、家賃を5千円値上げするという内容。この不況下に値上げは呑めない。不動産屋は、契約更新の条件として家賃は15万5千円に、更新料は家賃の2ヶ月分、更新手数料は家賃の1ヶ月分、それぞれに消費税、契約期間は3年を提示している。

組合としては不動産屋を除外して、家主に直接交渉して家賃減額を実現するのが近道とアドバイスした。
家主との交渉時、望月さんは、法定更新制度の説明をし、既に契約は更新されているので更新料の支払いの意思がないことを言い切った。更に、固定資産税・都市計画税も上昇していない。寧ろ、毎年下がっているのが現状だ。坪1万円の家賃は高すぎる。組合で調べてもらったら近隣店舗の相場は坪8千円ということだ。

それに今回から家賃に消費税をかけているが、家主は非課税業者の筈だ。もし課税業者なら『消費税課税事業者届出書』を提示してもらいたい。それでなければ、家賃の便乗値上げなので消費税分は支払わないと付け加えた。

 交渉の結果、更新料・更新手数料『0』、家賃は3万円減額、消費税も無しでOKになった。契約書がないと店舗改装資金の借入が困難なので、契約書は必要だった。そこで、家主には、法定更新しているのだから契約書は不要だが、そちらも不安でしょうからと契約書を作らせた。

東京借地借家人新聞より


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2006年01月29日
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敷金を返せ 
償却特約も無いのに勝手に
          敷金から2ヵ月分を差引


 今年の4月に10年間住んでいた台東区竜泉のマンションを引越した。差入れていた40万円(家賃の5ヵ月分)の敷金の返還を家主に請求した。 

 後日、敷金清算書が郵送されて来た。そこには、原状回復工事費として15万3千円。工事明細は�@カーペット張替�Aクロス張替�Bルームクリーニング�Cシャワーカーテン交換�D床凹み補修等である。それに加えて、契約書には償却特約など書かれていないにも拘らず勝手に家賃の2ヵ月分(16万円)を償却している。その結果、敷金から工事代金と償却分が差引かれ、残金8万7千円と書かれていた。

確かに原状回復条項はある。しかし、多くの判例は「建物賃貸借契約に原状回復条項があるからといって、賃借人は建物賃貸開始当時の状態に回復すべき義務はない」と結論を下している。原状回復は故意・過失・通常ではない使用による損害に対するもので通常使用による損耗や経年変化による自然損耗は原状回復の対象にならない。

原状回復工事としているものは総て耐用年数を超えた減価償却されたものばかりである。例えば財務省の原価償却資産の耐用年数の省令によるとカーペットやクロスの償却年数は6年である。このような資産証価の無くなったものを新品に交換してその代金を請求するのは暴利行為だ。
 そもそも、これらのものは家賃で回収すべきものであり、賃料の二重取りであり、支払う理由のないものだ。敷金40万円は何が何でも取戻すぞ。

東京借地借家人新聞より


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2006年01月29日

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不動産屋の執拗な立退き要求
法定更新しているにも拘らず
          不当建物明渡請求をされる


 木田さんは台東区橋場で二階建一軒家(約20坪)を月9万円で借家している。家主は建物が老朽化していて強い地震があると倒壊の危険があるので契約が終了する5月31日以降に建物を明渡すよう不動産屋を通じて伝えて来た。家主は明渡しに関して立退料として30万円、敷金(3月分)は全額返金すると説明した。

 6月になると不動産屋から連日明渡要求の執拗な電話攻勢を受けた。対抗上、留守電にして電話には出なかった。すると今度は自宅へ引切り無しに押掛けて来るようになった。契約が終っているのに何故退去しないのだ。威圧的に明渡要求を繰返されて精神的に追込まれ、ストレスから病院通いもした。そんな折、友人から借地借家人組合を紹介され相談した。

 組合は木田さんに法定更新制度の説明をした。契約は法律上自動的に更新され、法律の定めに拠って前契約と同一の条件で継続される。従って契約は終了していない。家主が契約する意思がないと反証を挙げて更新を拒否しても法的に更新を覆すことは出来ない。

 後日、組合は明渡要求を繰返す不動産屋に対して�@木田さんは引越す意思がないこと�A契約は借地借家法26条の規定により既に法定更新されていると通告した。今後、家主の側に一方的に偏した代理として違法な明渡請求を繰返す場合は、宅地建物取引業法31条「業務処理の原則」違反で東京都住宅局民間住宅部指導課へ通報すると警告した。

その後、不動産屋の連日の明渡要求は嘘のようにぴたりと止んでしまった。家主も立退きのことを何も言って来ない。既に半年が経つが何の変化も起きていない。

東京借地借家人新聞より


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2006年01月28日

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トラブル解決・家賃の値下げ
 
台東借地借家人組合に加入したばかりの組合員の島村さんから、家主との話合いに立ち会って欲しいとの要請があった。2年契約の期間満了が近づいている。家主は、更新料の支払いを約束していないにも拘らず10万円の更新料を請求してきたのだ。家主との間にはトラブルが他にもある。

 島村さんは、2年前家賃10万円で風呂付一戸建て住宅に入居した。入居時からガス給湯器とガス釜が故障していて、使用出来ない状態であった。修理を依頼すると、「修理出来る程の家賃を貰っていない」と逃げの一手。結局、風呂は2年間使えない状態で、銭湯に行かざるをえなっかた。ガス給湯器は仕方なく新品に付替えた。

 もうひとつ、島村さんには腑に落ちない事があった。水道メーターは家主と共用で、風呂を使っていなに拘らず料金が高過ぎるのだ。そこで水道局に過去3年間に遡り料金の開示請求をした。すると島村さんが入居する前の家主の水道料金は基本料だけ支払う状態であったことが解り、家主は、島村さんに水道料金の殆ど(今年に入ってからは、全額)を払わせていたことが判明した。

 こんな悪徳家主の所には居たくはないが、何もせずにこのまま引越してしまうのでは口惜しすぎる。そこで組合に相談ししてみた。組合役員が話合いに立合うことにした。

 組合が立会い家主と話合をしたその結果、1か月大人2人分の銭湯代2万円を考慮して家賃は今後8万円とする。更新料10万円は無し。水道代は、島村さんが入居する前の金額を勘案して、不当と思われる差額分を2年間遡って返金する。給湯器の交換代金4万円は家主が負担する。以上の如く決着した。

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2006年01月27日

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今時、大幅値上げ
 e内容証明郵便を受け取った


今年4月、台東区浅草の井田さんは、家主の代理人の弁護士によるe内容証明郵便を受け取った。「賃料は、1月当り金7万円を毎月末限り翌月分を支払うとのお約束となっております。…その間土地建物に対する租税その他の公課は増額され、土地建物の価格は上昇し、又近傍類似の賃料に比較すると、上記賃料は不相当であります。よって、上記賃料を本書面到達の日の翌日より1月当り金12万円に増額させていただきます。」という驚くべき内容であった。 

 こんな大幅で理不尽な家賃の値上げは認められないので、5月分の家賃は、現行の7万円で支払った。勿論家賃の受け取りは拒否され、法務局へ供託した。

その後、弁護士から家賃値上げの調停手続がとられた。6月に第1回の調停があり、値上げの根拠を具体的に示すよう弁護士に要請したが、それには何も応えない。弱点を衝かれたのか、逆上した弁護士は「こんな調停、やってられるか、止めだ、止めだ。」と叫んで退席してしまった。結局、調停は1回で不調に終わってしまった。

東京借地借家人新聞より


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2006年01月25日

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建築業者が手抜き 
 建築後5年で床が鳴るようになり業者に遣り直しをさせる


 台東区下谷の木村さんは、5年前に地主と擦った揉んだの末、借地上の自宅を建替えた。最近、部屋・廊下など所々で床が鳴るようになった。

 そこで、請負の建築業者(大手家電メーカー傘下のPホーム)に、調べさせた結果、床の合板と根太を留めている釘が緩んでの摩擦音だと判明。根太と床板の浮きを木ネジで締め付ければ床鳴りは解決するという。

 手抜きをせずに、初めから床の合板を木ネジで確実に固定すれば問題は起きない。だが最近時間短縮のため、空気圧縮式の釘打器を使う業者が多い。その釘は、従来のものと違い寸胴で釘の頭の部分が無いので緩み易い。

 民法の634条は、請負人の完成した仕事が不完全であった場合の責任の規定で、仕事の目的物に瑕疵(欠陥)があるときは、注文者は請負人に対し、相当の期間を定めて、その欠陥の修補を請求することが出来ると定めている。更に、同条2項で注文者は、欠陥の修補に代え、またはその修補と共に、損害賠償の請求をすることが出来るとなっている。民法638条の規定から堅固建物の場合は引渡しから10年間、木造等の非堅固建物の場合は5年間無料で業者に修理させることが出来る。だから、建築業者Pホームは、今回の補修工事も当然無料で行う義務がある。

 業者はクロスを全部剥がし、更に床の合板も剥がしてその下の根太の浮きまで点検した。床板の取り付を総てネジ留めに遣り直し、勿論無料でクロスも新規に全部張替えた。


 民法
 第634条 仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。

 2 注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第533条の規定を準用する。

 第638条 建物その他の土地の工作物の請負人は、その工作物又は地盤の瑕疵について、引渡しの後5年間その担保の責任を負う。ただし、この期間は、石造、土造、れんが造、コンクリート造、金属造その他これらに類する構造の工作物については、10年とする。

東京借地借家人新聞より


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205年01月24日

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敷金返還請求
 特約事項を盾に18万円償却
            原状回復費用25万円を要求


 台東区谷中の大塚さんは、今年4月に三筋のマンションから引越した。
 三筋のマンションは家賃が1ヶ月9万円で、敷金36万円を差入れていた。契約期間は平成15年8月1日から2年間。

「敷金は中途解約による明渡の場合は2か月分を償却するものとする。」という特約事項が書かれていた。契約書第15条には、契約が終了したときは、「賃借人は賃貸借物件を原状に回復し、賃貸人より賃貸借物件の検査を受けたうえ、賃貸者に明渡すものとします。」と書かれている。

 家主はこれを根拠にして、25万円を原状回復費用として請求してきた。家賃の4ヶ月分の敷金を返金しないで、更に原状回復費用の不足分7万円を追加払いしろというのである。

 敷金の2ヶ月分の償却は、問題があるが、取敢えず、家主に残りの敷金の返還請求を以下のような文面で行なった。
 「賃借人は建物を既に明渡しておりますが、預けてあった敷金18万円をまだ返還して頂いておりません。本年5月20日までに当方の口座にお振込下さるようお願い致します。期日までにお返し頂けない場合は、東京簡易裁判所に訴訟手続をとります。」

5月18日、不動産屋から、敷金18万円を返しますが、原状回復工事の不足分7万円を払ってもらいたいという返事があった。

 それに対して「通常の用法に従った使用に必然的に伴う汚損・損耗は原状回復義務の対象にならない」(東京地判1994年7月1日)とあるように、原状回復費用を賃借人が負担すべき謂れはないとして、工事代金の支払いを拒否する返事をし、少額訴訟の手続をすると伝えた。

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2006年01月23日

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不動産業者から明渡しを強要される
契約は借地借家法に
        違反明渡に応じる必要は無い


台東区浅草橋の原口さんは万策尽き、どうしたらいいのか悩んでいた。マンションを管理している不動産業者から再三に亘って執拗な明渡請求を受けていた。

 今年の3月に契約更新をした。その際、不動産業者に期間6箇月で期間満了後は更新しない旨の賃貸契約を一方的に押付けられた。期間満了後は速やかに退去し、立退料等の金員を請求しない旨の契約内容であった。

 そして6箇月後、契約を盾に業者は強硬に立退きを迫っている。何度か業者と話合おうと思い連絡をしてみたが、契約書の内容を履行しろの一点張りである。
部屋に押掛けて来ては明渡確約書に署名・捺印を強要するのみで、交渉は一切受付けない。
 困り果てて「区民相談センター」に相談すると借地借家人組合を紹介された。

組合は原口さんの契約書を検討した。問題点が浮かび上がった。それが6箇月の契約期間だ。借地借家法29条は、借家人の居住の安定を図るために1年未満の短期の借家契約を禁止している。1年以下の約束で借家契約を結んでも、その期間についての約束は無効とされる。
 契約期間は最短でも1年以上でなければならないと規定する。従って、業者の明渡要求は違法なもので、明渡に応じる必要がないと説明した。

 原口さんは「立退かなくてよいという明確な法律的根拠があることを知りやっと安心することが出来た」と述べ、組合へ加入して頑張ることを誓った。

 借地借家法
 (建物賃貸借の期間)
 第29条 期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす。

 (強行規定)
 第30条 この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。

東京借地借家人新聞より


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2006年01月22日

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地代を値下げ
固定資産課税台帳の公開で
              地代減額請求の調停の申立


台東区東上野3丁目の下谷神社の裏手に居住する木村さんは、約29坪を借地している。悩みは地代が高いことだ。前回の2002年の調停では1ヵ月4万8800円(坪1688円)の地代が4万1000円(坪1414円)に減額された。

都税事務所で2003年4月1日から借地借家人に固定資産税課税台帳の閲覧及び評価証明書の交付が受けられるようになった。そこで都税事務所に行き固定資産税の評価証明書を交付してもらった。

 東京23区の場合、借地の固定資産税(A)は証明書の「課税標準の特例額」に1.4%を掛ければ、年間の税額が計算出来る。同様に都市計画税(B)は同じく特例額に0.3%を掛ければ求められる。

 計算すると1坪当りそれぞれ222円(A)と48円(B)となる。調査統計から地代は(A)+(B)の2〜3倍なので540〜810円。29坪の借地の1ヵ月の地代は1万5660〜2万3490円が妥当な金額となる。減額後の坪1414円の地代は(A)+(B)の5.2倍ということでまだかなり高額である。

そこで再度、簡易裁判所に地代の減額請求を申立てた。今回も地主は調停に一度も出席しなかった。総て弁護士任せという姿勢は前回と同様であった。立て続けの調停策に地主は困惑したのか、弁護士費用に閉口したのか、今後3年間減額請求を中止するという条件を呑むのであれば、地代の減額に応じる姿勢を見せた。

今回の調停は1ヵ月の地代を3万3500円(坪1155円)に減額するという結果であった。(A)+(B)の約4.3倍でまだまだ高い。固定資産税は毎年下がっているので3年後に再度地代減額請求の調停を計画している。

東京借地借家人新聞より


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2006年01月21日

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唐突な明渡し
家主の地代不払いが原因で
            借家の立退きを要求される


台東区橋場の武田さんは、15年間借りている店舗併用住宅の明渡要求を通告する唐突な配達証明付き内容証明郵便を受け取った。

 判明したことは、
�@賃借している建物が借地上に建てられていること
�A家主が借地人であったこと
�B明渡要求の通告人が地主であること
�C家主が一年も地代を滞納し、地主に債務不履行を理由に借地契約を解除されたこと
�D借家している建物を取壊すので通知の6ヶ月後に退去しろということであった。

 この時点で武田さんから組合に、地主の明渡要求に応じなければならないのか、何か対応策はあるのかという相談があった。組合は武田さんに判例上は地代の不払い等の債務不履行に基づく解約の場合、借家人は地主に対して賃借権を主張できないので、最終的には明渡さなければならないであろうと説明した。

確かに、判例では借家人が借地権の消滅を防止するために借地人に代わって直接地主に地代を支払うことが出来るというのがある。希望的には、地主が家主の滞納地代と今後の地代を借家人が代払いすることを認めるということであれば、明渡問題は総て氷解してしまうのだが、建物を取壊す目論見があるので地主との交渉は困難が付纏う。

借地契約が解除される場合でも、借家契約は直ちに終了する訳ではない。
 地主と借家人との間で建物・敷地の明渡義務が確定され、地主が建物収去土地明渡の強制執行をして建物の使用収益が現実に出来なくなる等、借家人が現実に建物を使用出来なくなるまで借家契約は終了しないので、それまでは明渡請求に応じる必要はない。

 但し、借家人は建物取壊しまでの間の家賃を支払う義務がある。また地主から地代相当額の損害金の請求を受ける場合もある。

東京借地借家人新聞より


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2006年01月20日

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住宅金融公庫の廃止で 
 借地上の建物を建替えたいが
             建築資金の借入は借地でも可能か


(問)借地の場合でも、金融機関から建築資金の融資は受けられるのでしょうか。手持ち資金は殆どありません。また、契約書には、増改築禁止の特約があり、地主は建替えに反対しています。

(答)地主が増改築禁止特約を盾に建替えを認めない場合でも、借地人が裁判所から地主の承諾に代わる許可の決定を得れば適法に建替えが行える。

しかし、建築資金の調達に、銀行・信用金庫等の民間金融機関による住宅ローンの利用を考えている場合は、先程の、裁判所の代諾許可の決定だけでは、建替えは殆ど不可能である。

 民間金融機関は、融資の条件として例外なく建物に抵当権を設定する。銀行は借地人を通じて、借地人が建築する建物を金融機関の抵当権(担保)設定することについて地主の承諾書―署名・捺印・印鑑証明書を要求する。更に、借地人の地代の不払いによる借地契約の解除を防止するために地主に対して地代の延滞が発生したら直ちに銀行に通知することを義務付ける確約書面への署名押印を要求する。

 借地人の建替えに反対している地主が、そう簡単に承諾書や確約書に署名押印する訳がない。仮に承諾するとしても借地人の弱みに付け込むことは当然で高額な「判子代」という不当な対価を要求する。

 では、自己資金のない借地人は建替えが本当に出来ないのか。 

 金融公庫等の公的融資を受ければ建築は可能だ。公的融資の場合は借地上の建物に対する抵当権の設定を免除してくれるので先程から問題になっている地主の承諾書はいらない。裁判所の代諾許可の決定があれば、それだけで融資が受けられる。 

 宅金融公庫の融資だけでは資金不足の場合は、厚生年金・国民年金加入者なら、年金融資から「併せ貸し」が利用出来る。また、建物の一部を店舗や賃貸住宅にすれば、その部分は、事業資金として、国民生活金融公庫から融資を受けることが出来、賃貸部分の収入を融資の返済に充てるという方法もある。

 結論、契約書に増改築禁止の特約があり、地主が建築に反対の場合でも、借地人が建築資金不足の場合でも、住宅金融公庫当の公的融資で住宅ローンを組めば建替えは可能である。

  


 住宅金融公庫は2007年4月1日で廃止されることが決定された。従って金融公庫が行っていた個人向け住宅融資は2007年4月1日で原則的に廃止される。

東京借地借家人新聞より


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2006年01月19日

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賃借の不動産仲介手数料
不動産業者の仲介手数料は
       家賃の半月分プラス消費税(5%)が原則だ


(問)マンション・アパート等の仲介手数料は町の不動産屋では家賃の1.05倍というのが殆どである。しかし、最近テレビCM等で大手不動産会社の仲介手数料は1か月の0.525倍と宣伝している。仲介手数料に関して法改正でもあったのだろうか。

(答)不動産業者が貸借の媒介(仲介)・代理に関して受取ることの出来る報酬額(仲介手数料)は、宅地建物取引業法(宅建業法)第46条1項の規定に基づき、昭和45年10月23日の建設省告示第1552号で定められている。

《貸借の媒介に関する報酬の額》
「宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者双方から受取ることのできる報酬額の合計額は、当該宅地又は建物の借賃の1月分に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の1月分の2分の1に相当する金額以内とする。」

このように不動産業者が受取れる仲介手数料は、賃料の1か月分が最高限度であり、宅建業法46条2項では、これ以上の金額を報酬として受取ることを禁じている。
 殊に、居住用建物に関しては、貸主・借主双方から受取れる仲介手数料は家賃の0.5か月分以内とすることを原則としている。

 そのことを説明しないで当然の如く仲介手数料として家賃の1か月分を要求し、受領するのが不動産業界の習慣と化している。悪質な業者は貸主と借主の両者からそれぞれ家賃の1か月分相当の仲介手数料を受領する。貸主に対しては広告費という名目で仲介手数料を受領する。

これなどは明白に宅建業法46条2項に違反する。同法82条で30万円以下の罰金に処せられる行為である。又同法65条2項で1年以内の期間で業務の全部又は一部の停止の行政処分を受けることに繋がる重大な違法行為である。

 賃貸住宅の仲介業界で1位のエイブルと2位のミニミニが家賃の1か月以上の仲介手数料を受領していたとして、この46条2項違反として業界で初めて東京都から2000年3月29日付で「業務の全部停止10日間」の行政処分を受けた。

 尚、消費税の総額表示の実施に伴い、国土交通省告示第100号で前記「1月分」が「1月分の1.05倍」に、「1月分の2分の1」が「1月分の0・525倍」に改正され、2004年4月1日より施行されている。下記参照

   貸借の媒介に関する報酬の額

 宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)の合計額は、当該宅地又は建物の借賃(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該媒介が使用貸借に係るものである場合においては、当該宅地又は建物の通常の借賃をいう。以下同じ。)の1月分の1.05倍に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の1月分の0.525倍に相当する金額以内とする。(最終改正 平成16年2月18日国土交通省告示第100号)

(報酬) 
第46条 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。

2 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。

3 国土交通大臣は、第1項の報酬の額を定めたときは、これを告示しなければならない。

4 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、第1項の規定により国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。(宅地建物取引業法)

東京借地借家人新聞より


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2006年01月18日

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内金として受領すると言われた
 内金として受け取ると言われたが、
          賃料を持ち帰って供託してもよいか


 (問)
 賃料の増額を請求され、貸主のところに従来の賃料を持参したが「内金として受け取る」と言われた。賃料を持ち帰って供託してもよいか。


 (答)
 賃料の増額請求をされた場合、借主が相当賃料として従前の額を提供し、貸主がこれを賃料の内金(一部)として受領するという事例は多い。 

 このように貸主が内金として受領する旨を申出たことが民法494条の受領拒否に当るかということが問題になる。
 民法494条の受領拒否に当るかということが争われた事例では、「賃貸人が賃料を弁済の提供を受けた際内金(賃料の一部)として受領する旨述べることは、特段の事情のない以上、賃料の全額として提供されるのであればその受領を拒絶する趣旨を含むものと解することができる」(東京高判1986年1月29日 /同趣旨の判例は名古屋高裁1983年9月28日及び東京地裁1993年5月20日がある)として貸主が受領拒絶をしたと認定し、借主の弁済供託を有効とした。

 従って貸主が「内金(賃料の一部)として受け取る」という趣旨の申出は、賃料の受領拒絶の意思表示と認定され、借主が賃料を持ち帰って供託したことは適法な供託であるとした。

 東借連弁護団会議では、この東京高裁の判例―貸主の内金受領が受領拒絶にあたるかが検討された。弁護団会議の最終結論は、貸主の内金受領が受領拒絶の意思表示であると一般化するのは問題があり、これを実行することには危険が伴うので、従来通りの見解でいくというものであった。

 即ち「貸主が、内金であれ、賃料として受け取ると言った場合は、受領を拒否したものではないので支払わなければならない。それを、賃料全額としては受領を拒否したのだからと考えて供託するのは、供託理由がなくて供託することになるので、その供託は無効となり、賃料未払いとして、契約解除の危険がある。
したがって、借主としては、従来賃料を支払い、念の為貸主に対して、その賃料額が全額であることを意思表示すればよいのである。(この意思表示は、内容証明郵便で出すのがのぞましい。)
なお、受領証に、「内金として」と記載されても、それだけでは、賃料を増額されたことにはならない」
(地代・家賃の供託―東京借地借家人組合連合会パンフレット より)

東京借地借家人新聞より


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2006年01月17日

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法定更新・借家
  契約の更新に際し、契約条件の改悪を
                要求されたら法定更新を選択する


 (問) 3年契約で店舗を借りています。5月末日で契約期間が満了になります。2月に不動産会社が「6月の契約から3年の定期借家契約で」と言ってきました。どうしたらいいでしょうか。

 (答) 営業用店舗は2000年3月1日以降の契約更新の場合、合意があれば定期借家契約への切り替えは出来る。定期借家契約を拒否するには賃借人としては法定更新に持込み今まで通りの普通借家契約を続けるのが営業権を守る安全策であろう。

 以下の�@�Aは借地借家法の法定更新規定の要旨である。
�@期間の定めのある借家契約で期間満了の1年前から6ヶ月前(法定通知期間)までに賃貸人が賃借人に対して、更新拒絶の通知または条件変更の通知をしていなかった場合は、従前の契約と同一の条件で自動的に借家契約が更新され、借家関係は継続される。尚、更新拒絶の通知をするには、正当事由が必要である(借地借家法28条)。

�Aまたその通知をした場合でも、期間満了後、賃借人が継続して建物を利用していることに対して賃貸人が遅滞なく異議を述べないと�@と同様に従前の契約と同一の条件で自動的に更新される(借地借家法法26条)。

�@と�Aは当事者の意思の如何に拘らず、法律上当然に借家契約が更新されるので、これを「法定更新」という。

 相談者の場合は、不動産会社が「法定通知期間」内に適法な更新拒絶の通知を何ら行なっていないので、借家契約は既に従前の契約と同一条件で「普通借家契約」として法定更新されることが確定される。

 このように期間満了の6ヶ月前までに通知をしていないと、その時点で既に契約更新がなされることが法的に決定される。この更新を賃貸人が覆すことは出来ない。

 相談者は不動産会社から繰り返し定期借家契約への切替を執拗に要求されるであろうが、「法定更新は法律上自動的に更新するもので賃借人の回答を必要としない」(東京高判1955年1月21日)のであるから、期間満了の5月末日に法定更新が確定するまで、ただ沈黙していればいい。

 法定更新後の借家契約は期間の定めのないものとして扱われるので原則的に更新問題は起こりえず、定期借家への切替や更新料で揉めることもなくなる。

 借地借家法
 第26条 建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。

 2 前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。

 3 建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。

第28条 建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

東京借地借家人新聞より


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2006年01月16日

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建物買取請求権 
更新拒絶で借地契約が終了した場合
          借地人に何か対抗する方法があるか


(問)
 地主が土地の明渡しを求めてきた。借地人は地主に対して借地上の建物を買取らせることが出来るというが、どんな場合に出来るのか。

(答)
 借地契約が終了した場合、本来ならば借地人は建物を取壊し、更地にして返却しなければならない。しかし、使用に耐えられる建物を壊すことは社会経済的利益の保護及び借地人が建物のために投下した資本の回収が出来ない。そこで借地人に「建物買取請求権」(借地借家法13条1項)を設けて借地に投下した資本の回収を可能にした。また間接的に地主に経済的負担をかけることによって更新拒絶を遣難いものにする効果をもっている。

 借地人が建物買取請求権を行使した場合、地主が買取を承諾しなくても、請求があればそれだけで建物の売買契約が成立する。その結果、地主は買取を拒否できず、建物を時価で買取ることになる。

 建物の時価は、「建物が現存するままの状態における価格であって敷地の借地権の価格は加算すべきではないが、この建物の存在する場所的環境は参酌すべきものである」(最高裁1960年12月20日判決)。即ち、地主が支払う建物の時価は建物自体の価格に場所的利益が加算される。この判例では、借地権価格を含めないとしているが、実際は借地権価格を考慮に入れている。

 それでは、どんな場合に「建物買取請求権」を行使出来るのか。一番多いケースは、借地人が更新請求をしたが、地主が更新を拒絶した場合である。
 権利行使の要件は
 �@借地期間が満了したこと
 �A契約の更新がないこと
 �B借地上に建物があることである。

 地主と借地人が合意の上で解約した場合はどうであろうか。
 判例は「土地の賃貸借を合意解除した借地権者は買取請求権を有しない」(最高裁1954年6月11日判決)としている。借地人が買取請求権を放棄したものと解されている。また地代不払い等の債務不履行や契約違反で契約解除された場合も判例は一貫して建物買取請求権を否定している。

 地主と借地人の間で買取価格について協議が纏まらなかった場合は、調停や裁判で適正な買取価格を決定してもらうことも出来る。
 建物の買取価格は、鑑定実務では概ね借地権価格の20〜30%と考えられている。

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2006年01月15日

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地代を誰に払えばいいのか判らない 
本当の地主が誰なのか判然としないときは
             地代を誰に払ったらよいのか




(問)地主が経営するスーパーが経営不振で閉店した。その後、地主から土地を買ったという人間が現れて、来月から自分の方に地代を支払うようにと言って来た。しかし、地主はまだ所有権は自分にあるので今まで通りに支払うようにと言っている。どちらに支払ったらいいのか。


(答)賃貸不動産が譲渡された場合、その譲受人は、どのような要件を具備したら賃借人に賃料を請求できるのか。民法177条(不動産に関する物件の変動は、不動産登記法に定められた登記がなされて初めて第三者に対抗することができる)は不動産の物件変動を登記によって公示するという考え方を採用し、登記は対抗要件であるとしている。

判例は賃貸不動産の譲受人は所有権移転登記をしない限り賃借人に対して所有権の取得、賃貸人たる地位の承継を主張することが出来ない。賃借人は民法177条の第三者に該当し、譲受人の移転登記がない場合には賃料請求をすることが出来ない(最高裁1974年3月19日判決)。

 これは所有権移転の事実を確実にして、賃借人の二重払いの危険を回避するために登記を保護要件としている。これによって賃借人の保護をしている。即ち、「登記簿上の所有名義人は反証のない限り当該不動産を所有するものと推定される」(最高裁1959年1月8日判決)。登記されていない物件の変動は無視しうるという形で取引の安全が保障され、取引の迅速化が促進される。

 借地人の取りうる態度として第一の方法は登記簿を調べて登記上の権利者に支払うということになる。即ち、譲受人が移転登記を完了していれば新所有者に支払う。移転登記がなされていなければ、地主に支払えば、債権の準占有者(民法478条)へ有効な弁済をしたことになる。

尚、前記1974年最高裁の判例では、新所有者が賃借人の賃借権を否定して明渡を請求する場合にも、登記を具備する必要があるとしている。

第二の方法は、民法494条供託原因による「債権者の確知不能」として供託する。今回のように債権譲渡の通知を受けたが、借地人が賃料の支払の相手が誰なのか断定出来ない場合、「債権者が確知できない」との供託事由により供託することが出来る。供託に関しては各組合へ問合せて下さい。

東京借地借家人新聞より


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2006年01月14日

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法定更新したにも拘らず更新料を請求される
調停で支払い約束をした更新料は
          法定更新した後も支払い義務があるのか


(問)
 3年前に、更新料を支払って、法定更新をした。それにも拘らず、家主は弁護士を使って更新料の支払を要 求する。平成6年の簡易裁判所の調停で、家賃の一ヵ月分の更新料を支払うという条項があり、それを根拠に支払えというのだ。

(答)
 法定更新は、「適法な更新拒絶の通知、条件変更の通知、および正当事由の立証は賃貸人がしなければならず、この立証がないかぎり賃貸借は法律上当然に更新される」(東京高判1956年1月30日)ということである。

家主は法定通知期間(契約満了の1年前から6か月前)に適法な更新拒絶・条件変更の通知を行っていない。相談者の借家契約は、借地借家法26条1項の規定に基づいて適法に、従前の契約と同一の条件で3年前に法定更新されている。

法定更新後の借家契約の契約期間は26条の但し書により「定めがないものとする」ということになる。従前の3年契約のように契約に期間を区切って更新を繰返す契約ではないので、法定更新すれば以後契約の更新という事態は生じない。更新は法的に発生しないから更新料の支払い問題は発生する余地はない。

関係する判例を挙げると、
�@「賃貸人の請求があれば当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商慣習ないし事実たる慣習は、存在しない」(最判1976年10月1日)。

�A「法定更新の場合、賃借人は何らかの金銭的負担なくして更新の効果を享受することが出来るとするのが借家法 の趣旨であると解すべきものであるから、たとえ建物の賃貸借契約に更新料支払い約定があっても、その約定は、法定更新の場合には適用の余地がないと解するのが相当である。」(東京高判1981年7月1日)。

�B更新前の調停・和解の効力は、「更新された賃貸借は旧契約とは別個のものだから更新前の調停・和解の執行力は新賃貸借には及ばない。」(広島地判1966年6月6日、大阪地判1971年6月26日)。

相談者が簡裁で合意した調停条項の「更新料として新賃料の1か月分を支払う」という調停の効力は、法定更新された契約には及ばないことは勿論のことである。
 以上のことから、家主の更新料支払い請求は理由がない。相談者は家主の不当な更新料支払請求を拒否することが出来る。

東京借地借家人新聞より


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2006年01月13日

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更新手数料を請求された 
不動産管理会社から不当な更新手数料を
請求されても支払う必要はない

(問)
家主に支払う更新料以外に管理会社から更新手数料の請求が来た。契約書をみると確かに特約として更新の際には更新料と更新手数料が必要であるという記載があった。更新手数料の支払を拒否することが出来るのか。

(答)
元来は契約の更新は家主と借主の間で行うものであった。しかし、家主が自ら更新手続きを行うことを煩わしく思い、家主の代理人として管理会社に業務を委託することがある。

 その場合、家主は管理会社に契約更新の手数料を支払うことになる。管理会社は更新手数料を家主から受け取れば業務終了ということになるが、中には家主から手数料以外に借主からも何の合理的理由も無く更新手数料を請求してくる業者もある。家主から受け取るべき手数料を総て借主に転嫁して徴収する悪質な業者もある。

一般的には更新に関与する業者は、家主から委託を受けて更新事務を行うものであるからその労務報酬は家主が負うべきものである。支払うべき理由も無いのに手数料を徴収するというのは不当利得に当り、もし既に支払っているのであれば、支払った手数料の返還請求をすべきである。裁判所に提訴して過去に支払った手数料を全額返還させた例もある。

 ところが常識的に支払う必要が無い費用を「特約」として入れた場合、判例では、
 �@特約の必要性に加えて暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在する
 �A通常の義務を超え義務を負うことについて認識している
 �B借主が特約による義務負担の意思表示をしていること
 以上3つの用件を充たしている場合でなければ特約として認められないのが裁判例である。

先ず借主が管理会社に更新手続きを依頼していないので更新手数料を支払う必要性や支払う合理的な理由があるとは考えられない。
従って契約書に更新手数料の記載があるとしても「特約」として認められないということになる。

 2001年4月以降に結ばれた契約及び、更新した契約書の中にそのような特約があれば消費者契約法10条の「消費者の利益を一方的に害する条項」に該当し、そのような特約は無効ということになるので、借地借家人組合に相談してみるべきである。

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2006年01月12日

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法定更新した場合の約定更新料は
更新料支払特約は法定更新の場合には
               適用が無く更新料支払義務は無い



(問)
 京都地裁で更新料支払特約があっても契約を法廷更新した場合には、借主に更新料支払義務は無いという借家での判決があった。他に約定更新料の支払義務無しという借家に関する高裁又は最高裁の判例はあるのか。

(答)
 東京では更新料特約がある場合、契約を法定更新した時に更新料の支払義務の有無が裁判で幾度となく争われている。 
具体的な判例で検討してみる。借主Aは、賃貸マンションを期間2年、更新の際は新家賃の2ヵ月分の更新料を支払うという更新特約が有る契約を結んだ。2年後の更新時に家賃の増額で紛糾し、合意更新ができなかった。Aは更新料を拒否し、相当と思われる家賃を供託し、法定更新の途を選択した。貸主は増額家賃・更新料の不払を理由に契約解除を通告し、未払家賃・更新料の支払と建物明渡を求めて提訴した。

 地裁は、約定更新料は法定更新には適用されず、支払義務は無いとしてAの主張を全面的に認め、貸主の請求を棄却した。

 控訴を受けて東京高裁は「法定更新の場合、賃借人は何らの金銭的負担なくして更新の効果を享受することができるとするのが借家法の趣旨であると解すべきものであるから、たとえ建物の賃貸借契約に更新料支払の約定があっても、その約定は、法定更新の場合には適用の余地がない」(東京高裁1981年7月15日判決)とした〈注1〉。

 この判決を不服として貸主が上告したが、最高裁は上告を棄却した。
 最高裁は「本件建物賃貸借契約における更新料支払の約定は特段の事情の認められない以上、専ら右賃貸借契約が合意される場合に関するものであって法定更新された場合における支払の趣旨までも含むものではない」(1982年4月15日判決)と明快な判断を下している〈注2〉。

  このように更新料支払特約は合意更新を想定したもので、法定更新には適用されない。これは当然の結論である。借地借家法は経済的負担の無い法定更新を定めている。更新料特約は法の趣旨に反して借主に不利益な経済的負担を課している。特約が法定更新の場合にも適用されるとすれば、それは実質的に経済負担を強制する合意更新を義務付け、無償の法定更新を排除するに等しい。換言すれば法定更新制度の否定である。

     


 〈注1〉「借地・借家 更新料について」(東京借地借家人組合連合会500円)の資料4に判決が掲載されている。

 〈注2〉「借地・借家 更新料について」の資料3に判決全文が掲載されている。

 「借地・借家 更新料について」は東京借地借家人組合連合会 03-3263-7074へ問い合わせてください。

東京借地借家人新聞より


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2006年01月11日

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原状回復費の負担割合は使用年数を考慮する
借主に過失がある場合は減価償却分を
差引いた残りが費用負担分である


(問) 不注意で壁のクロスに傷をつけ、30�p位破れてしまった。入居してほぼ4年になるが、退去する場合部屋全体のクロスを張替え、その費用を全額負担しなければならないのか。

(答) この質問に関しては、東大阪簡易裁判所の判決が参考になる。

 裁判は子供が描いた落書の壁クロスの張替え費用負担をめぐって争われた。壁クロスには落書(1�u未満)が11箇所に亘って描かれていた。

判決は「国土交通省(旧建設省)発行のガイドラインによればクロスは過失による部分の補修で足り、経過年数により賃借人と賃貸人の負担割合を算出するべきとある。反訴原告(賃借人)の居住期間は4年9ヶ月(57ヶ月)であり、入居時において新品であったとしても、6年(72ヶ月)で賃借人負担(残存価値)割合は10%となるような直線で考えると、賃借人即ち反訴原告の負担割合は28・75%になる。本件について試算すると下記の試算式となる。1050円(単価)×11�u(負担範囲)×28・75%(負担割合)=3320円すなわち、反訴原告(賃借人)の負担すべき原状回復費用は金3320円という事になる」(東大阪簡裁2003年1月14日判決)と判断した。

 国交省のガイドラインは6年(72ヶ月)で減価償却を90%としている。以後、何年経過しようとも残存価値は10%で一定としている。
 判決は国交省のガイドラインに随ってクロスの減価償却は1ヶ月当り1・25%としている。
 従って判決文にある57ヶ月の減価償却は71・25%(1・25%×57ヶ月)ということになり、その残存価値は28・75%になる。

 今回の質問に対しては4年(48ヶ月)で退去し、入居時のクロスが
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2005年12月
2005年12月28日

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家賃の値下げ
隣室の家賃は我家より2万円安いので、
                  家賃の値下げを要求したいが



  15万円でマンションを賃貸し、2度更新しました。最近隣に入居した人の家賃は、広さ間取りも、内装のグレードも同じなのに13万円だと知り納得できません。今度の契約更新の際に家賃の減額を要求しようと思っています。

 (答) 現行家賃に納得がいかない場合、家主に対して家賃の減額を請求する手段はある。
 借地借家法32条に次のように規定している。
 「借主は、建物の税金・価格の減少、その他、経済事情の変動により、近隣家賃相場と比較して不相当になった時は、契約の条件に拘らず、家賃の減額を請求することが出来る」(32条1項の主旨)

 賃貸契約は家主と借主の一定の賃料で合意することで成立する。期間が経過し経済状況が変化すれば、継続家賃が近隣の家賃と比較して「不相当」になっているということは在り得る。その場合の、家賃の改定は、先ず当事者間の協議で決定するのが基本になる。

 しかし、家主が借主の減額要求に応じないで協議が調わなかった場合、借主は借地借家法32条に基づいて内容証明郵便で家賃減額の意思表示を明確にした上で、調停を申し立てる必要がある。調停で当事者間の合意が出来ない場合は裁判が必要になる。

 裁判になった場合は、適正家賃額を定めるための鑑定が必要となり、その費用として30〜35万円(双方で分担)程度の経済的負担を覚悟しなければならない。

 係争となった場合、賃借人は減額請求をし、減額を正当とする裁判が確定するまで、従前の家賃を支払う必要がある。一方的に減額した家賃しか支払わないのは危険である。不足額の支払いを請求され、家賃の一部不履行による契約解除、建物明渡しを要求される恐れがある(東京地裁1998年5月28日判決)。

 後日、裁判で減額が確定した場合、払い過ぎがあれば、減額請求した日まで遡って、その差額に1割の利息をつけて返還を求める事が出来る。(借地借家法32条3項)

 賃料減額請求は、請求者の意思表示が相手方に到達した日の分から、その効果が生ずる(最高裁1970年5月6日判決)。

 減額請求の起算日を確定するためにも減額請求は、内容証明郵便で配達証明付にする必要がある。

 結論、家賃改定は当事者間の話合いで合意するのが基本である。


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2005年12月27日

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住宅金融公庫の廃止で(2)
 住宅金融公庫の廃止で借地人の増改築が不可能になる場合も 
                      承諾書要求は悪しき慣行に過ぎない



 (問) 
 住宅金融公庫の廃止は、借地人に何か影響があるのか。

  (答)
 住宅金融公庫廃止で浮上したのは、借地権と担保の問題だ。住宅金融公庫は、原則的に借地上の建物に抵当(担保)権を設定する。しかし、地主が反対した場合、地主の承諾書を免除し、融資の道を拓いている。

 民間金融機関は借地人の建物を担保にすることに固執し、地主の承諾書を飽くまで要求するので地主が反対すれば借地人への融資の道は塞がれる。
 その結果、公庫が廃止されると借地人保護条項の借地借家法17条の借地非訟制度が空洞化されるという重大な問題へと繋がる。即ち、建築資金不足の借地人は、増改築制限特約があり、且つ地主が反対した場合、増改築出来ないという重大な問題が発生する。

 民間金融機関は地主の抵当権設定承諾書に拘泥する。だが、この借地人泣かせの地主の承諾書要求は単に民間金融機関の悪しき実務慣行でしかない。

 借地人は融資の担保として、�@団体信用生命保険と�A火災保険の質権設定を要求される。�@と�Aは強制加入が義務付けられている。�B保証協会の保証も要求される。借地人は担保のために多大な保険料と保証料を負担している。
 借地人に問題が起これば金融機関は�@�A�Bから保証され実害は無い。依って、建物を担保にする必要性は無い。単なる実務的慣行で行なわれているのだから廃止しても何ら実務的影響は無い筈だ。

 政府は公庫を廃止する前に先ず民間金融機関に対して、地主の抵当権設定承諾書を要求する悪しき実務慣行を即刻廃止する措置を講ずるか、地主が抵当権設定に反対した場合は、公庫並に地主の承諾書を免除する措置を金融機関に対して行政指導するのが筋である。

 借地人の権利確立を目指すのであれば、従来法務省が検討していた「借地権の担保化」を法的に具体化する。
 例えば、借地人の地主に対する借地権登記請求権を法的に認め、借地人の権利として明確化する。借地権登記を借地人が自由に行なえる権利とする。

 そうすれば、借地権に抵当権設定を―地主の承諾を得ずに―借地人の権利で自由に行なえる。これによって借地権の担保化が具体化する。増改築問題の懸案は解決するし、借地人の融資問題に道を拓くことになる。


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2005年12月24日

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住宅金融公庫の廃止 で (1)

 
住宅金融公庫を2007年4月1日に廃止する法案が2005年6月29日の参院本会議で自民・公明・民主の賛成多数(反対は共産・社民)で可決成立した。

 住宅金融公庫は2007年4月1日以降、新たに独立行政法人「住宅金融支援機構」として発足し、銀行などが融資した住宅ローン債権を買い取って証券化することが主な業務になる。住宅ローンを小口に証券化して市場で販売する支援業務が中心になり、公庫が実施してきた個人向け住宅への融資は原則的に廃止される。

   果して、住宅金融公庫が廃止されると借地人に悪影響が出るのか

 例えば、地主が借地人の増改築に飽くまで反対した場合、建築資金不足の借地人の増改築は事実上不可能になるという問題が発生する。理由は、民間金融機関は融資の条件として借地人の増改築建物に抵当権を設定し、その地主の承諾書を必ず要求する。地主は増改築に反対しているのであるから勿論、承諾書に判子を押さない。当然、地主の承諾書が無いので増改築の融資は打切られる。

 しかし、公庫は地主が反対して承諾が得られない時は、地主の承諾書を免除する措置がある。即ち、地主の抵当権設定承諾書が無くても公庫は、借地借家法17条による借地非訟手続きで裁判所の増改築の代諾許可の決定を得れば、現在はそれだけで建築資金の融資は受けられる。

 建築資金不足の借地人にとって、公庫廃止の影響は借地人保護条項である借地借家法17条の形骸化に繋がる。その結果、借地人は地主の地代値上げ・更新料・承諾料等の不当な要求に諾々と従わざるを得ない情況に追込まれる。

 だが、借地人泣かせの「地主の承諾書」要求は、法的根拠に基づくものではなく、単に民間金融機関の悪しき実務的慣行に過ぎないという事実は重大である。


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2005年12月23日

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網入りガラスの破損
陽当りのよい南側窓の網入りガラスの
                  自然破損は施工不良と考えられる



(問) ベランダの網入りガラス2面の破損代金を請求されています。自然にヒビが入ったのでも、弁償しなければならないのでしょうか。

(答) 網入りガラスに何もしないのにヒビが入ったという経験をした人、現在ヒビが入っているという人は結構多い筈である。普通、ガラスに物が当って割れる場合はぶつかったところから放射状に亀裂が入る。

 ところが、自然にヒビが入いたと考えられる網入りガラスは、陽当りのよい部屋の南側に位置している筈である。そして、ヒビはガラスの下部に集中。このヒビ割れはガラスの端から始まり、次に90度の方向に曲線を描いて割れるという特徴がある。このような状態にヒビ割れていたら、それは金属とガラスの熱膨張率の差から自然にヒビ割れが生じたものである。

 また最近、結露や雨水が下方のパッキンの中に溜まり、鉄製の網の錆による体積の膨張も原因の一つと考えられるようになっている。近頃業者は、網入りガラス交換に際し底面と下方側面に防水テープを貼っている。これは切口の網部分からの水の滲入を防ぐためである。熱と錆二つの理由が競合していると考えるのが合理的であろう。

 質問者と同様の問題で争われた保土ヶ谷簡裁の判例(1995年1月17日)がある。
「網入りガラスは切断する際に網も切らなければならないために切り口に傷がつきやすく、そのため端部の強度が網のないガラスの半分程度に落ち、より小さな温度差で割れが起こり易いこと、熱割れの特徴は必ず端部から生じ、しかも端部に直角に生じること、本件建物の窓ガラスの破損は右熱割れの特徴に符号するものである」。

 網入りガラスは熱膨張により破損し易いと認定し、賃借人がガラスを破損したということを認めるに足りる証拠がないから、賃借人が窓ガラス破損の責任を負う謂れはないと判示している。ガラスの破損は貸主の負担すべきものとして、借家人の金銭的負担を免除している。

 ヒビ割れの根本原因は、網入りガラスの切口の錆止め対策不備に因るものである。錆の拡大がなければ、熱膨張だけではガラスの亀裂は起こり得ない。

 結論、判例などからも相談者は網入りガラスの破損代金を払う必要はない。


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2005年12月22日

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地代の増額請求に時効はあるのか 
13年前に地代の値上げを請求されたが
                 地代の増額請求に時効はないのか



(問) 平成2年4月地主から大幅な地代(5月分から)の値上げを要求され、以来、地代を供託している。ところが、平成13年10月、地代の再値上げを通告され、加えて、平成2年5月分からの差額地代についても請求された。地代の増額請求に時効はないのでしょうか。

(答) 増額請求権は形成権であるから貸主の増額する旨の一方的意思表示(増額の申入れ)が借主に到達した時に以後相当額に増額されたことになる(最高裁判昭36年2月24日)

地代家賃の増減請求権(借地借家法11条・32条)は、建物買取請求権、解除権等と同じく請求権者が相手方に対して地代等を増減する旨の意思表示をすれば、相手方が承諾しなくても、値上げ値下げの効果が発生する権利である。

形成権は権利者の一方的行為によって法律関係の変動(発生・変更・消滅)を生ぜしめうる権利であるという。学説の多数は、形成権の期間制限の規定は時効期間ではなく除斥期間を定めているものとしている。

地代・家賃の増減請求権は、条文上期間の制限がない。期間の定めのない形成権については、それぞれの権利の性質に応じた除斥期間に服するとされている。地代家賃等の賃借料は民法169条(定期給付債権の短期消滅時効)により5年で消滅時効になるので、増減請求権の除斥期間は5年となる。 即ち、貸主の値上げ請求のあった日から5年で請求権は消滅する。

 このように賃料増減請求権の行使に時間的な制限を加えて期間の限定を設ける。これによって、権利を有しながら長期間無為に行使しない「権利の上に眠る」貸主に、請求権行使に5年という枠を嵌め、裁判制度を使って短期に問題解決の決断を促すという点ではメリットがある。

 しかし最高裁判例は形成権にも消滅時効は成立するとしている。そして賃料増減請求権は5年で消滅時効が成立する(大阪平12年9月20日・東京昭60年10月15日・名古屋昭59年5月15日)と各々の地裁が判決している。

 結論、判例によれば、質問者の増額地代の差額分は平成2年5月から平成8年9月分に関しては既に消滅時効が完成しているので6年6ヶ月分の賃料債権は消滅したことになり、支払う必要はない。


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2005年12月21日

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短期賃貸借廃止
 2004年4月1日で短期賃貸借は廃止された。
                     居住と営業は大丈夫か



 民法395条の短期賃貸借保護制度は、抵当権付不動産が競売で落札され、所有者が代っても短期の賃貸借契約であれば、そのまま契約の期間内は使用し続けることが出来るという制度である。賃借人の不安定な居住権を最低限保障するものである。

 しかし、政府与党は不良債権処理を急ぐ金融機関支援のために短期賃貸借保護制度を廃止した。民法395条は次のような趣旨に改定された。(注)
 �@抵当権に後れる賃貸借はその期間の長短に拘らず抵当権者(買受人)に対抗することが出来ないものとする。これによって買受人は敷金の返還義務を負わないことになった。
 �A建物の明渡猶予期間は買受人の買受時より6か月間とする。
 �B1か月以上の家賃を滞納し催告がなされても支払が無い場合は�Aを適用しない。
 �@は不動産に関する権利の優劣を対抗要件の具備の先後で決する民法の原則に従うものである。

 だが、フランス・ベルギー・ドイツ等の法律では、抵当権の設定の有無に拘らず、賃借権は買受人に引継がれ保護される。賃借権は買受人に対抗出来るのが原則である。「抵当権は賃借権を破らない」というのがヨーロッパ法の原則である。

 日本の民法は原則と例外規定が逆転している。借家人の居住と営業を守るためにも正常な賃借権は抵当権の有無に拘らず保護されなければならない。

 (注)(抵当建物使用者の引渡しの猶予)
  第395条 抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から6箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。
 一 競売手続の開始前から使用又は収益をする者  
 二 強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者
2 前項の規定は、買受人の買受けの時より後に同項の建物の使用をしたことの対価について、買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその1箇月分以上の支払の催告をし、その相当の期間内に履行がない場合には、適用しない。


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2005年12月20日
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大震災で借家が全壊した
 大震災で借家が全焼・全壊した場合
                 借家人にはどんな救済措置があるか



(問) 福岡西方沖地震、新潟県中越地震と大災害が続いている。もしこのような大災害に遭遇した場合、借家人にはどのような救済措置があるのか。

(答) 2004年10月23日の震度6強の新潟県中越地震に対して2005年4月15日政令で長岡市、小千谷市等の7市3町村に「罹災都市借地借家臨時処理法」(以下処理法)が適用された。
 一般的には借家している建物が火災、地震、台風等によって「全焼・全壊」(滅失)してしまうと借家権は消滅する。しかし大災害に対して「処理法」が政令で適用されると震災で建物が滅失しても借家権は消滅しない。

   再築後の建物の優先賃借権
 罹災借家人は土地所有者或は借地人が罹災跡地又は換地に建物を再築した場合、その完成前に借家契約の申し出をすると他の者に優先して賃借することが出来る。建物所有者は自己使用その他正当事由があり、且つ申し出日から3週間以内に拒絶の意思表示をしないと承諾したものとみなされる(14条)。

   土地賃借権の優先的取得
 罹災建物に居住していた借家人は、建物を自力で復興させる場合、政令施行の日から2年以内でそのたてものの敷地・換地に借地権が無い場合に土地所有者に借地の申出をすれば他の者に優先して相当な借地条件で賃借することが出来る。
 土地所有者は、先記の申出を受けた日から3週間以内に拒絶の意思表示をしないと承諾したものとみなされる。土地所有者は自己使用などの正当事由が無いと申出を拒絶出来ない(2条)。

   借地権の優先的譲受け
 罹災建物の敷地またはその換地に借地権が存在する場合は罹災借家人はその借地人に対し政令施行日から2年以内に借地権の譲渡の申出をすると他の者に優先して相当な対価でその借地権を譲り受けることが出来る。
 借地人は自ら使用する場合その他正当事由があり、且つ譲渡申出の通知を受けた日から3週間以内に拒絶の意思表示をしないとその申出を承譲したものとみなされる(3条)。

この場合にはその譲渡について土地所有者の承譲があったものとみなされる(4条)。

 処理法適用下の借地期間は借地借家法の規定に拘らず10年に法定される。10年未満は期間を定めないものとみなす(5条)。当然更新(法定更新)が出来る。


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2005年12月19日
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火災の損害賠償を請求された
 消火活動による放水被害の損害賠償請求をされたが
支払う必要はあるのか



(問) アパート2階の一室を賃借していた。食事の準備中に鍋の油に火が入り、借室の一部が焼けてしまった。その時の消火の放水で1階が水浸しになり、家財道具に被害が発生した。家主・アパート居住者から損害賠償を請求されているが、支払う必要はあるのか。

(答) 一般的には故意・過失によって他人の権利を侵害した場合には、不法行為による損害賠償の責任を負う(民法709条)。しかし失火の場合は、重大な過失がない限り民法709条の規定は適用されず、民事上の損害賠償の責任を負わない(失火ノ責任ニ関スル法律)。重大な過失は具体的には油をガスコンロにかけ、その場所を離れていたために油に引火して火災になった場合である。

 借家人は賃借している建物をその建物の用方に従って、また善良なる管理者の注意をもって使用する義務を負っている(民法616条・400条)。これを借家人の「用方遵守義務」といい、建物を失火によって焼損させることも用方遵守義務違反で債務不履行になる。

失火責任法は民法709条の適用を排除しているだけで、契約関係に基づく債務不履行には適用がない。従って借家人は失火の場合、重過失がなくても過失があれば、家主に対して用方遵守義務違反として債務不履行による損害賠償責任を負う。

 問題は家主が蒙った火災の損害をどの程度賠償しなければならないか。
下級審の判例の多数に従うと、アパート等の「共同住宅の部屋の賃貸借において、当該賃借部屋、廊下等の部分、その他の階下の部分に対する損害についても賠償をなすべき義務がある」(東京高判1965年2月18日)として延焼部分の損害についても賠償責任を負うとされている。 また家主は損害賠償の請求に消火活動によって蒙った損害も含めることが出来る。

 結論、家主の損害賠償請求を拒絶するには質問者の無過失の立証責任が必要である。これが出来ない場合は家主に対する損害賠償責任は免れられない。また質問者は重大な過失がない限り、アパートの居住者に対しては失火責任法の適用があるので損害賠償の責任を負わない。アパートの居住者は、家主及び質問者への損害賠償請求は出来ない。従って被害を蒙った家財は自己負担で修繕せざるを得ない。


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2005年12月18日
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自然損耗を含む借家の原状回復特約
 自然損耗回復費用は借主の負担という特約は
                     消費者契約法で無効になる



(問)
 契約書に「賃借人は故意・過失を問わず、本物件に毀損・汚損・その他の損害を与えた場合は、賃貸人に対して損害賠償をしなければならない」旨の特約条項がある場合、自然損耗の回復費用も借主が負担しなければならないのか。

 (答)
 判例によっては特約を結んだ場合、自然損耗分も借主負担とされるものがある。それは、次の要件を満たしている場合である。
 �@特約の必要性があり、且つ暴利的でないなどの客観的合理性が存在すること
 �A借主が修繕等の義務を負担することを認識していること
 �B借主が義務負担の意思表示をしていること、
 以上の条件が満たされない場合は貸主負担となる。

 例えば、賠償特約に対して借主の「帰責事由の有無を問わずに賠償責任を負うべき旨を定めたものであるならば、その限度で賠償特約の効力は否定されるべきである」(名古屋地方裁判所1990年10月19日判決)として特約自体が無効であるとしている。 

 判例の多くは、通常使用によって生ずる損耗や経年変化による損耗等の自然損耗を損害賠償の範囲から除外し、特約があっても自然損耗の回復費用は貸主が負担する義務があるとされている。

 2003年6月30日大阪地裁では、自然損耗の回復費用を借主に負担させる特約を公序良俗違反で無効であるという画期的な判決があった。

 更に2003年11月21日大阪高裁で兵庫県住宅供給公社に対して自然損耗費用を借主負担させる特約は無効として回復費用の全額返還を命ずる判決があった。

 相談者の契約が2001年4月1日以降のものであれば、消費者契約法10条で賠償特約は無効になり貸主の全額負担になる。消費者契約法10条では次のように書かれている。「民法第1条第2条に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。」
  民法606条1項は貸主の修繕義務を定め、通常の使用による自然損耗は貸主の負担とするのが民法上の基本原則である。特約で自然損耗を借主の費用負担にすることは民法の原則に反して消費者である借主の義務を加重する条項である。
 借主に一方的に不利益な特約で、明らかに消費者契約法10条に違反し無効である。従って貸主が自然損耗の回復費用の名目で敷金から差引くことは許されない。


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2005年12月17日    
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借地の無断転貸で土地明渡請求をされても
    契約解除権は10年で消滅時効になる



(問) 15年前に借地の一部を地主の承諾を得て隣の精肉会社に貸した。精肉会社はそこに軽量鉄骨造りの倉庫を建てて現在も使用している。
 ところが今回地主が死亡して相続人から地代の大幅値上げを請求された。その請求を断ると、無断転貸を理由に土地明渡し請求が内容証明郵便で送られて来た。どうしたらいいのか。

(答) 相談者の場合は、地主の承諾を得て転貸していたのだから先代の地主からは何のクレームもなかった訳である。相続人の無断転貸は言い掛かりに過ぎない。

  民法612条は賃借人は賃貸人の承諾が無ければ賃借権を他人に譲渡したり、賃借物を転貸することが出来ないと定めている。賃借人がこれに反し転貸した時は、賃貸人は契約を解除することが出来る。

 問題は長期間契約を解除しないで放置していた場合、解除権は消滅時効にかかるのかということである。

 消滅時効は、一定期間権利が行使されなかったことによってその権利が消滅するものである。
 最高裁(1987年10月8日判決)は「賃貸土地の無断転貸を理由とする賃貸借契約の解除権は賃借人の無断転貸という契約義務違反事由の発生を原因として、賃借人を相手方とする賃貸人の一方的な意思表示により賃貸借契約関係を終止させることができる形成権であるから、その消滅時効については債権に準ずるものとして、民法167条1項が適用され、その権利を行使することができる時から10年を経過したときは時効によって消滅する」としている。
 消滅時効の起算点については転貸借契約が結ばれて転借人が土地について使用収益を開始した時から消滅時効は進行するとしている。

「時効による権利消滅の効果は、時効期間の経過とともに確定的に生ずるものではなく、時効が援用されたときにはじめて確定的に生ずるもの」(最高裁1986年3月17日判決)として援用を停止条件としている。

 これは時効によって利益を受ける者が時効の成立したことを主張しなければならない。この主張を援用という。時効期間が経過することによって権利の得喪は生じるが、未だ確定的ではなく、援用によって初めて権利が確定する。換言すると、10年が経過しても借地人は消滅時効を、転借人は取得時効を援用しない限り、地主は無断転貸を理由とした明渡請求が出来ることを意味している。

 相談者の場合は既に10年の消滅時効期間を満たしている。内容証明郵便で地主に対して時効の援用をすれば、消滅時効は完成する。


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2005年12月16日

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建物の修繕・リフォーム
増改築禁止特約があっても改良工事(リフォーム)や修繕
に承諾料を支払う必要はない



(問)
 借地上の建物の修復工事とリフォームを考えている。地主に承諾料を支払わないと工事は出来ないのか。内訳は外壁の亀裂の修理、屋根の葺替え及びベランダ・風呂場・台所のリフォーム。尚契約書には増改築特約がある。

(答) 
 市販の借地契約書や不動産仲介業者が使用している契約書には「建物の増改築をする場合には事前に賃貸人の承諾を受けなければならない」という条項が挿入されている。これに違反した場合、地主は催告を要しないで借地契約を解除する旨の特約を無断増改築禁止特約と言う。しかし、常に借地人がこの契約条項に拘束されていては借地の利用が制約されてしまう。

 そこで増改築の承諾を巡る当事者の協議が調わない場合は裁判所が借地人の申立てにより、その増改築についての地主の承諾に代わる許可を与えることが出来る(借地借家法17条)。これにより地主が増改築禁止特約を盾に増築や改築を認めない場合でも裁判所の代諾許可を得れば適法に増改築が行える。

裁判所の許可の手続きをしないで無断増改築を行った場合、直ちに契約解除が認められるのか。

判例は「賃借人が賃貸人の承諾をえないで増改築をした場合において、増改築が借地人の土地の通常の利用上相当であり、土地賃貸借に著しい影響を及ぼさないため、賃貸人に対する信頼関係を破壊するおそれがあると認めるに足りないときは賃貸人は特約に基づき解除権を行使することは許されない」(最高裁1966年4月21日判決)としている。

つまり、無断増改築であっても、地主に対する信頼関係を破壊する恐れがあると認められない場合は契約の解除は出来ない。総ての増改築について地主の承諾が必要という訳ではない。

 それでは地主の承諾なしに増改築出来る範囲はどの程度なのか。

前記最高裁の事案では、家族が居住していた2階建建物の一部の根太と2本の柱を取替え、2階6坪を14坪に増築し、外階段にして2階全部をアパートにして賃貸にしたケース。この程度なら地主の解除権は認められない。 既存建物の維持・保存に必要な通常の修繕修復工事や建物のリフォームが増改築禁止特約に触れないと言うことは勿論のことである。


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2005年12月15日

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固定資産課税台帳公開
地代家賃の値下げに強い味方
  固定資産課税台帳を借地借家人へ公開



 2003年4月1日から借地人・借家人等は、都税事務所で固定資産課税台帳の�@閲覧及び�A評価証明書の交付が受けられるようになった。

 交付を受ける場合、借地・借家人等であることを確認出来るものを持参する必要がある。例えば、賃貸契約書や賃借料の領収書等である。念のため身分証明書(運転免許証・健康保険証等)も持参した方がよい。
代理人の場合は他に委任状が必要である。電話による委任確認に備えて委任者の電話番号も控えていった方がよい。東京都の場合申請手数料は、�@300円・�A400円である。

 閲覧・証明の申請書には、土地の場合登記簿の地番、家屋の場合は家屋番号を書くようになっているが、住居表示と納税義務者(地主・家主)の住所と氏名を書込めば検索してくれる。
�@も�A固定資産課税台帳の記載事項をプリントしただけのものであり、内容的には同一だが、�Aには公印が表示される。

 固定資産課税台帳に記載が法定されているのは、課税標準額である。相当税額を記載するか否かは市町村の判断に任せられているで、自治体によって対応に差異がある。

東京都内23区の場合は、税額は記載されていない。ただし、固定資産税と都市計画税の課税標準額は記載してあるので、記載されている「課税標準の特例額」に固定資産税は1.4%、都市計画税は0.3%を掛算すれば年間の相当税額になる。

  具体的な地代の算定方法は、ブログ版台東借地借家人組合内の「適正な地代算出方法は」(2005年6月4日)を参照して下さい。


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2005年12月14日

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更新手数料を請求されたが 
貸主が依頼した宅建業者の更新手続に対して
報酬支払義務があるのか




(問) 借家の賃貸借契約を更新する際、貸主に委託された不動産業者の仲介で契約の更新手続が行われた。その際の更新手数料(家賃の半月分)を不動産業者から請求された。支払わなければならないのか。


(答) 借家の賃貸借契約が期間満了した場合、合意で契約を更新する。その際に不動産業者(宅建業者)が賃貸人と賃借人の間に入って契約の更新手続を行うことが日常的になっている。この場合、宅建業者は更新手続の依頼者に報酬を請求出来るのは勿論であるが、直接依頼していない者に対しても報酬の請求が出来るのか。

 「宅地建物取引業者は商法543条にいう他人間の商行為の媒介を業とする者ではないから、商事仲立人ではなく、民事仲立人である」(最高裁1969年6月26日判決)と言われている。

民事仲立人とは、他人間の商行為以外の法律行為の成立に向けて尽力する事実行為であり、他人間の商行為の成立を目的とする商事仲立と区別される。民事仲立については明文の規定がなく学説・判例は一般に民事仲立を準委任と解している。従って宅建業者の行う媒介行為は民法上の準委任関係になる。宅建業者が当事者に報酬を請求出来るのは媒介に際して委任を受けた当事者に限られる。

 しかし宅建業者は営業として媒介を行うので商法上の商人に該当する。商人がその営業の範囲内において他人のために一定の行為をしたときは相当の報酬を請求することが出来る(商法512条商人の報酬請求権)。

だが宅建業者が委任を受けない相手に対して商法512条に基づく報酬請求権を取得するためには「客観的にみて、該当業者が相手方当事者のためにする意思をもって媒介行為をしたものと認められることが必要である。単に委託者のためにする意思を持ってした媒介行為によって契約が成立し、その媒介行為の反射的利益が相手方当事者にも及ぶというだけでは足りない」(最高裁1975年12月26日判決)としている。

従って宅建業者が契約更新に際して媒介報酬の請求が出来るのは原則として委託を受けた当事者に限られ、依頼していない当事者には報酬を請求出来ない。宅建業者が依頼していない相談者に更新手数料を請求するのは不当である。宅建業者が依頼者である貸主に対して報酬請求出来る上限は賃料の1ヶ月相当額+消費税である。


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2005年12月13日
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競売による店舗(借家)の明渡請求
不動産業者の杜撰なテナント契約で
店舗閉鎖に追込まれ損害賠償を請求



(問) 不動産業者の媒介でビル1階部分の店舗を契約期間5年、保証金500万円、家賃20万円で賃貸借契約を締結した。店舗改装費に800万円をかけてラーメン屋を開業した。
ところがこのビルは既に裁判所の競売開始決定に基づき差押の登記がなされていた。不動産業者からはこの事に関して何の説明も受けなかった。
その後、買受人から明渡請求をされ、店舗は閉鎖し、杜撰な媒介で大損を蒙った。不動産業者の損害賠償責任を追及したい。

(答) 問題は不動産業者が賃貸借に係る土地建物の媒介に際して登記簿を閲覧する義務があるのか。

宅建業法35条は不動産業者の重要事項説明義務の内容として当該土地・建物の上に存する登記された権利の種類、内容、登記名義人又は登記簿の表題部に記載された所有者の氏名、これらを記載した書面を交付して契約前に宅建主任者が説明しなければならないとしている。

これらは不動産を巡る権利関係の基本であり、取引に係わる媒介業者が登記簿を閲覧するなどして権利関係を調査する義務を負うことは明らかである。

 不動産業者は媒介に当っては、善良な管理者の注意をもって媒介する義務を負う。契約前に既に差押の登記がある場合は、当然相談者の賃借権は競売による買受人に対抗出来ないのは自明である。

従って相談者が明渡請求を受ける可能性は極めて高いと言える。このようなリスクの多い賃貸借契約を防ぐ手段は登記簿を調査することである。差押の登記の有無は登記簿によって簡単に知ることが出来る。差押登記簿の有無の調査は不動産業者の基本的義務である。この初歩的義務を尽くしていない。

 業者は、重要事項を記載した書面を交付して宅建主任者が口頭で説明する義務を果たしていないことは明白である。

 登記簿の調査義務に関して、裁判所は「宅建業者は賃貸人に確認するのはもとより、疑問のある場合は登記簿を閲覧するなどして差押登記等の有無を確認し、賃借人に不測の損害を被らせないように配慮すべき義務がある」(東京地判1992年4月16日)として損害賠償請求を認めている。


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2005年12月12日

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実質的な敷金の回収 
 敷金返還の可能性が殆ど無い場合は
                 家賃の不払で実質的な敷金回収を



(問) 引越を考えているが、噂によると家主は全く敷金を返さないことで有名らしい。敷金は家賃の3箇月分差入れている。自衛策として引越前の3箇月家賃未払いで退去して、敷金で精算してもらうという方法で何か問題があるのか。
(答) 敷金の回収見込みが無い場合に、家賃の不払を実行して実質上敷金を回収する方策を是認する賃借人にとっては画期的な最高裁判決(2002年3月28日)がある。
 尚、最高裁判決の全文は下記に掲載。

  〈事実の概要〉
A所有の建物をBが賃借し、それをYに転貸していた。Yは家賃100万円、敷金1000万円でBと転貸借契約を結んでいた。
入居前からA所有の建物は信託銀行によって抵当権が設定されていた。
Aの経済的破綻が心配でYはBに対して平成10年3月30日に6箇月後に退去するという契約解除を通告し、敷金の回収目的から一方的に6箇月分の家賃の支払を停止した。
Aの借入金の返済がストップしたので信託銀行は、抵当権者の物上代位権を行使して平成10年6月YからBへの賃料債権を差押えた。
Yは家賃(600万円)を未払いのまま9月30日に建物を退去した。

 信託銀行は差押え家賃を支払えとYを提訴した。
Yは裁判で未払い賃料は、建物明渡時に敷金によって当然に充当され消滅するものであると主張した。

最高裁は「目的物の返還時に残存する賃料債権等は敷金が存在する限度において敷金の充当により当然に消滅することになる。このような敷金の充当による未払い賃料等の消滅は、敷金契約から発生する効果であって相殺のように当事者の意思表示を必要とするものでないから、民法511条によって上記当然消滅の効果が妨げられないことは明らかである」として、Yの主張を容れて信託銀行を敗訴させた。

この最高裁の判決は、一方的な家賃の不払によって実質的に敷金を回収する方策を認めている。この判決は、敷金返還請求権の保護を図ったもので評価出来る。
 明渡しが完了すれば賃料債権は敷金で充当される当然消滅の効果であり、当事者の意思表示を必要としないというのが最高裁の結論である。 従って、相談者は一方的に家賃の不払を実行しても何ら問題は無い。



   〔2002年3月28日最高裁判決全文〕
平成14年03月28日 第一小法廷判決 平成12年(受)第836号

取立債権請求事件要旨:
 敷金が授受された賃貸借契約に係る賃料債権につき抵当権者が物上代位権を行使してこれを差し押さえた場合において,当該賃貸借契約が終了し,目的物が明け渡されたときは,賃料債権は,敷金の充当によりその限度で消滅する内容:

件名 取立債権請求事件
(最高裁判所 平成12年(受)第836号 平成14年03月28日 第一小法廷判決 棄却)
原審 東京高等裁判所 (平成11年(ネ)第3350号)

主    文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。

理    由 上告代理人池田靖,同桑島英美,同相羽利昭,同蓑毛良和,同田川淳一,同堂野達之の上告受理申立て理由について

本件は,抵当不動産について敷金契約の付随する賃貸借契約が締結されたところ,抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえ,取立権に基づきその支払等を求めた事案であり,賃貸借契約が終了し,目的物が明け渡された場合における敷金の賃料への充当は,上記物上代位権の行使によって妨げられるか否かが争点となっている。

 賃貸借契約における敷金契約は,授受された敷金をもって,賃料債権,賃貸借終了後の目的物の明渡しまでに生ずる賃料相当の損害金債権,その他賃貸借契約により賃貸人が賃借人に対して取得することとなるべき一切の債権を担保することを目的とする賃貸借契約に付随する契約であり,敷金を交付した者の有する敷金返還請求権は,目的物の返還時において,上記の被担保債権を控除し,なお残額があることを条件として,残額につき発生することになる(最高裁昭和46年(オ)第357号同48年2月2日第二小法廷判決・民集27巻1号80頁参照)。

これを賃料債権等の面からみれば,目的物の返還時に残存する賃料債権等は敷金が存在する限度において敷金の充当により当然に消滅することになる。このような敷金の充当による未払賃料等の消滅は,敷金契約から発生する効果であって,相殺のように当事者の意思表示を必要とするものではないから,民法511条によって上記当然消滅の効果が妨げられないことは明らかである。

 また,抵当権者は,物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえる前は,原則として抵当不動産の用益関係に介入できないのであるから,抵当不動産の所有者等は,賃貸借契約に付随する契約として敷金契約を締結するか否かを自由に決定することができる。したがって,敷金契約が締結された場合は,賃料債権は敷金の充当を予定した債権になり,このことを抵当権者に主張することができるというべきである。

 以上によれば,敷金が授受された賃貸借契約に係る賃料債権につき抵当権者が物上代位権を行使してこれを差し押えた場合においても,当該賃貸借契約が終了し,目的物が明け渡されたときは,賃料債権は,敷金の充当によりその限度で消滅するというべきであり,これと同旨の見解に基づき,上告人の請求を棄却した原審の判断は,正当として是認することができ,原判決に所論の違法はない。論旨は,採用することができない。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 井嶋一友 裁判官 藤井正雄 裁判官 町田 顯 裁判官 深澤武久)


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2005年12月12日
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更新型「事業用借家」制度
借地借家法の改悪案を議員立法で成立へ
      更に正当事由を排除した「更新型事業用借家」制度も導入へ



 自民党は本年4月13日、党本部で「定期借家権特別委員会」と「法改正検討プロジェクトチーム」による合同会議を開いた。借地借家法38条(定期借家制度)と同法28条(正当事由制度)の改悪を検討し、

 《定期借家制度》に関しては
 �@合意があれば居住用普通借家から定期借家への切替えを認める
 �A仲介業者が重要事項説明を行っている場合、定期借家契約締結の際の貸主の書面による事前説明義務を廃止
 �B床面積200�u未満の居住用定期借家の強行規定の中途解約を任意規定にし、特約で中途解約を排除可能にする。

 《正当事由の緩和》に関しては
�C自己使用及び建替理由であれば単独で正当事由を認める。家賃の数倍を支払えば正当事由として認める等の立退料の低減化を検討している。
�D正当事由を排除した「更新型事業用借家」制度を創設
�E正当事由を排除した「更新型居住用借家」制度の導入も検討された。
 5月中にそれらの試案を纏めて公明党との調整に入り、今秋に予定される臨時国会に「借地借家法改正」案を提出し成立を目指すとしている。

 事業用借家に関しては昭和50年11月29日に公表された法務省の「借地・借家法改正に関する問題点」(問題点)で色々検討されていた。

 法務省民事局参事官室の説明では、営業用建物については賃借人が高価な造作・設備等を設置し、または、のれん、得意先、場所的利益等の無形造作が形成されていることが多く、借家権の譲渡性確保の要請が存在するとして、その検討の必要性が指摘されていた。

 賃借人の資本投下や努力によって形成された無形資産を営業の終了に際して回収する手段を賃借人に与えることは財産権の保護からも適切な措置である。その手段は、賃借権の譲渡・転貸の自由の保障である。そのために、「問題点」では「賃借権の譲渡又は転貸の承諾に代わる許可の裁判制度(借地法9条ノ2参照)を設ける考え方がある」として借地の非訟手続と同様の制度を検討していた。

 平成元年の「借地・借家法改正要綱試案」で検討された事業用借家は正当事由を除外する代わりに賃貸人が補償金を支払うという形で借家関係を終了させることを認める案と、正当事由がある場合は正当事由のみによって終了させる。但し、正当事由がない場合は補償金を支払って借家関係を終了させる案である。以上2点が検討されていた。

 今回、再浮上した正当事由を排除した「更新型事業用借家」制度は、解約時に補償金を支払うことは一切考慮されておらず、賃借人の自由な譲渡・転貸を保証する手立てを何も講じていない。 因みにフランスには事業用借家に関する特別法があり、賃借権譲渡の自由が認められている。


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2005年12月11日
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原状回復費用は借主の負担という特約があるが…
退去時の原状回復費用は借主負担の
特約があるが支払い義務はあるのか



(問) 原状回復費用については借主の負担とするという特約が契約書に記載されている。工事費用を負担して入居時の状態に戻さなければならないのか。

(答) 本来の「原状回復」の意味は民法598条・616条「借主は借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる」ということで借主が建物に持込んだ家具や家電品等は退去時に運び出し、建物に取付けた照明器具、エアコン等は退去時に取外して除去するという借主収去義務のことをいう。ところが家主や管理会社の多くは原状回復とは入居時のまっさらの状態に戻すことであるというように拡大解釈を行っている。

 しかし、
�@「建物賃貸借契約に原状回復条項があるからといって賃借人は建物賃借当時の状態に回復すべき義務はない」(東京簡易裁判所1995年8月8日判決)。
�A「改修の費用を負担して賃貸当初の原状に復する義務を負っていたとは認められない」(京都地方裁判所1995年10月5日判決)。

借主が費用負担して入居時の状態に戻す義務はないことは多くの判例が指摘しているところである。
 民法上、修繕義務は家主が負うものとされている(民法606条1項)。しかし契約自由の原則により民法の規定に反する場合でもその特約が合意されている場合は有効となる。だが、このような修繕費用の借主の全面負担特約が有効かどうかという点が問題となる。

 「入居後の大小修繕を賃借人がする旨の契約条項は、単に賃貸人が民法606条1項所定の修繕義務を負わないとの趣旨にすぎず、賃借人が家屋の使用中に生ずるいっさいの汚損、破損個所を自己の費用で修繕し、家屋を賃借当初と同一の状態で維持すべき義務があるとの趣旨ではない」(最高裁判所1968年1月25日判決)として、このような特約は家主の修繕義務を免除するという意味に止まり、積極的な修繕義務を借主に全面的に負担させるというものではない。

通常使用による自然損耗を借主に費用負担させるには「賃借人がこの義務について認識し、義務負担の意思表示をしたことが必要である」(仙台簡易裁判所1996年11月28日判決)以上の要件を充たしていなければならない。そうでない場合は、契約書に原状回復費用負担特約があっても借主の故意・過失・善管注意義務違反がなければ特約に従う必要はない。


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2005年12月10日   
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大災害時に借地上の建物が滅失 
  大規模災害で建物が滅失してしまった場合
                    借地権と再築はどうなるのか



(問) 借地上の建物が大災害により倒壊・焼失・流失等で滅失した場合は借地人の権利はどうなるのか。

(答) 借地契約が借地借家法施行(1992年8月1日)前に設定された借地権(建物滅失後の建物築造)に関しては借地法7条が適用される。
借地権の存続期間が終了する前に地震・火事・台風等による災害によって借地上の建物が滅失した場合は借地権自体は消滅しない。借地法7条は建物が滅失しても建物を再築することが出来ることを規定している。

判例も「建物を新築する時は、地主の承諾を得る旨の特約があるとしても、この特約は消失した建物を再築する際にも地主の承諾が必要である趣旨ではない」(東京高裁1958年2月12日判決)としている。従って災害による滅失の場合は増改築を制限する特約があっても地主の承諾は不要と言うことになる。

 問題は、借地人の建物が滅失している間―例えば建物の再築が資金繰等で長引いている間に、地主が第三者に土地を売却してしまった場合である。

本来、借地人は借地上の建物を登記しておけば土地所有者が代っても新所有者に対して自分の借地権を対抗(主張)することが出来、借地の明渡しを求められることはない。

 しかし建物が滅失している間に土地を取得した新所有者に対しては原則的には借地権を主張することは出来ない。だが「借地借家法」は建物の滅失の原因を問わずに借地人が建物を特定する事項・建物の滅失の日・建物建築予定等を掲示することによって建物が無くても旧建物の滅失の日から2年に限って新所有者に対抗することが出来る(借地借家法10条2項)という救済規定を定めている。

 大規模災害があった場合は政令で適用地域を定めて罹災都市借地借家臨時処理法(以下処理法)が適用される。10年前の阪神大震災の場合は20日後に処理法が指定された。「処理法」は借地権の存続期間に関しては建物の再築を容易にするために残存期間が10年以下の場合は一律に政令施行日から10年間に延長される(処理法11条)。
また政令施行日から5年間に限り建物が滅失のままでも前記掲示をしなくても新所有者に借地権を対抗することが出来る(処理法10条)として借地借家法10条よりも救済措置が強化されている。


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2005年12月09日
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修繕費は家主の負担 
備え付けのエアコンの修理代金は
修繕特約がある場合でも家主の費用負担



(問)
 賃貸マンションの備付けのエアコンが故障し、不動産管理会社に修理を依頼したところ、特約で修理は賃借人負担となっているので、電気店に自分で修理を依頼するようにと断られた。取敢えず自分で電気店へ修理を頼み、室外機のコンプレッサー不良交換で、5万円の修理代を支払った。本来備付けの設備は、貸主が修理代金を負担するのが道理だと思うのですが。

(答)
  民法606条1項で賃貸人は修繕義務を負っている。賃借人の故意・過失がない限り、賃借人が修繕をした場合、賃貸人に対してその費用を請求することが出来る。但し、同条は、任意規定であり、特約で修繕義務を賃借人に負担させることは、原則として可能である。

 だが�@「借家人の負担において修繕を行う旨の特約をもって賃借人に積極的に修繕義務まで課したものと解することはできない。仮に修理特約により何らかの修繕義務を負うものとしても、その範囲は小修理・小修繕の範囲に限られるべきである」(名古屋地裁1990年10月19日)。

 �A「修繕特約は、一定範囲の小修繕については賃借人の全額負担とする旨を定めたものであるといえるが、居住用建物の賃貸借における特約の趣旨は、通常賃貸人の修繕義務を免除したにとどまり、更に特別の事情が存在する場合を除き、賃借人に修繕義務を負わせるものではない」(仙台簡易裁判所1996年11月28日)。

 即ち家主の修繕義務を免除したにとどまり、積極的に借家人に修繕義務を課したものではない。仮に修繕特約によって賃借人が修繕義務を負うとされる場合でも、少額の費用で済む「小修繕」についてのみ修繕義務を負い、「大修繕」については修繕義務を負わない。

 従って大修繕に関しては修繕特約を結んでも無効というのが裁判例である。尚、前記名古屋地判では前記仙台簡裁の「特別の事情の存在」も否定し修理特約を賃借人に有利に解釈している。

 結論、修理代金が概ね1万円以下の場合が小修繕と言われる。相談者のエアコン修理は、小修繕とは言えない。従って、修繕義務を負わない。賃借人が自ら修理費用を負担した場合は、賃貸人に対して、民法608条により、直ちに支出した費用の全額を費用償還請求できる。賃貸人が修理費用を支払わない場合は、家賃と相殺することが出来る。


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2005年12月08日
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借地の更新で
更新を重ねた借地契約を合意解約し
新法適用の契約へ切替えられるのか



 (問) 借地借家法施行(平成4年8月
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2005年11月
2005年11月30日

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賃借の不動産仲介手数料
不動産業者の仲介手数料は
    家賃の半月分プラス消費税(5%)が原則だ

(問) マンション・アパート等の仲介手数料は町の不動産屋では家賃の1.05倍というのが殆どである。しかし、最近テレビCM等で大手不動産会社の仲介手数料は1か月の0.525倍と宣伝している。仲介手数料に関して法改正でもあったのだろうか。

(答) 不動産業者が貸借の媒介(仲介)・代理に関して受取ることの出来る報酬額(仲介手数料)は、宅地建物取引業法(宅建業法)第46条1項の規定に基づき、昭和45年10月23日の建設省告示第1552号で定められている。

《貸借の媒介に関する報酬の額》
「宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者双方から受取ることのできる報酬額の合計額は、当該宅地又は建物の借賃の1月分に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の1月分の2分の1に相当する金額以内とする。」

このように不動産業者が受取れる仲介手数料は、賃料の1か月分が最高限度であり、宅建業法46条2項では、これ以上の金額を報酬として受取ることを禁じている。
 殊に、居住用建物に関しては、貸主・借主双方から受取れる仲介手数料は家賃の0.5か月分以内とすることを原則としている。

 そのことを説明しないで当然の如く仲介手数料として家賃の1か月分を要求し、受領するのが不動産業界の習慣と化している。悪質な業者は貸主と借主の両者からそれぞれ家賃の1か月分相当の仲介手数料を受領する。貸主に対しては広告費という名目で仲介手数料を受領する。

これなどは明白に宅建業法46条2項に違反する。同法82条で30万円以下の罰金に処せられる行為である。又同法65条2項で1年以内の期間で業務の全部又は一部の停止の行政処分を受けることに繋がる重大な違法行為である。

 賃貸住宅の仲介業界で1位のエイブルと2位のミニミニが家賃の1か月以上の仲介手数料を受領していたとして、この46条2項違反として業界で初めて東京都から2000年3月29日付で「業務の全部停止10日間」の行政処分を受けた。

 尚、消費税の総額表示の実施に伴い、国土交通省告示第100号で前記「1月分」が「1月分の1.05倍」に、「1月分の2分の1」が「1月分の0・525倍」に改正され、2004年4月1日より施行されている。下記参照

   貸借の媒介に関する報酬の額

 宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)の合計額は、当該宅地又は建物の借賃(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該媒介が使用貸借に係るものである場合においては、当該宅地又は建物の通常の借賃をいう。以下同じ。)の1月分の1.05倍に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の1月分の0.525倍に相当する金額以内とする。(最終改正 平成16年2月18日国土交通省告示第100号)

(報酬) 
第46条 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。

2 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。

3 国土交通大臣は、第1項の報酬の額を定めたときは、これを告示しなければならない。

4 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、第1項の規定により国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。(宅地建物取引業法)

東京借地借家人新聞より


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2005年11月29日

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原状回復特約を消費者契約法10条で無効に 
 2004年6月11日京都地裁判決

 通常損耗・自然損耗を含めた原状回復費を総て賃借人の負担とする不当特約が京都地裁で争われた。
 賃貸人はマンション管理と賃貸の株式会社長栄である。長栄は京都・滋賀エリアでは最大手の不動産会社である。賃借人は京都の借地借家人組合の組合員である。

 1999年11月に期間2年、家賃6万5千円、敷金20万円の契約で伏見区のマンションに入居した。2年後に合意更新し、2003年3月31日に退去した。長栄に敷金20万円の返還を求めたが拒否され、京都地裁で争われることになった。

 裁判の争点は
�@原状回復義務に関する特約の成否と�A特約の効力とが中心として争われた。

 裁判所は�@に関しては「自然損耗も含めて賃貸借契約開始時の原状に回復しなければならない(家賃には原状回復費用は含まれない)。」という原状回復特約の横の余白部分に不動文字で「第9条1項を一読し、理解致しました」と書かれ、確認欄に賃借人の署名・捺印があることから「特約についての合意は有効に成立したものと推認される」として特約の成立を認定した。

 しかし、裁判所は「原状回復義務の範囲は、賃借人が付加した造作等の除去義務のほか、通常の使用の限度を超える方法により賃貸目的の価値を減耗させた場合の復旧義務及び賃借人の故意過失により賃借物を毀損・汚損した場合の債務不履行による損害賠償義務」以上の3点であり、それ以外の経年劣化による減価分及び通常利用による賃借目的物の価値低下は賃料に含まれ「その減価を賃料以外の方法で賃借人に負担させることはできない」として経年劣化(自然損耗)と通常損耗は、原状回復の対象とはならず、特約内容に問題があると認定した。

 �Aに関しては「特約は民法の任意規定による賃借人の目的物返還義務を加重するものといえる」として、この義務の加重の程度が信義則に反するほど消費者の利益を一方的に害するものであるかを検討した上で「本件特約は、消費者契約法10条により無効と解すべきである」と判示した。敷金20万円から水道料の精算金3886円を控除した残金を返還するよう命ずる賃借人勝訴の判決が2004年6月11日京都地裁であった。

 この判決で注目されるのは、消費者契約法施行(2001年4月1日)前に締結された契約でも更新前と更新後の契約は別個の契約であるとして施行後に契約が更新された場合は消費者契約法が適用されると認定したことである。


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2005年11月28日

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東京都の賃貸住宅紛争防止条例
 
 東京版ガイドラインは1章で「賃貸住宅紛争防止条例」を解説している。東京に居住する世帯の約4割、205万世帯が民間賃貸住宅に居住している。賃貸住宅に関するトラブルで1番多いのが退去時の原状回復(敷金の精算)トラブル、次が入居時の修繕等の管理に関するトラブルである。東京都はこれらのトラブルを防止するために「紛争防止条例」を制定し、2004年10月1日から既に施行している。

 条例では宅建業者が代理・媒介をする場合、契約前にトラブルの未然防止を図るために、
 �@入居中の修繕及び退去時の原状回復は貸主の費用負担で行うのが原則であること
 �A借主の故意・過失や通常の使用方法に反する使用の場合は借主の費用負担となること
 �B特約がある場合は借主の負担する具体的な内容を明記すること
 �C入居期間中の設備の修繕及び維持管理に関する連絡先
 以上の事項を記載した書面を交付して借主に十分理解できるように説明することが義務付けられている。

宅建業者が説明義務に違反した場合、知事は指導、勧告、社名を公表することが出来る。問題は、この条例に違反しても宅建業に対する罰則規定はなく、業務停止、免許取消などの行政処分は行われず、条例の実効性が危ぶまれる点である。

 次の問題点は、条例が適用されるのは宅建業者が代理・媒介を行う東京都内にある居住専用の賃貸住宅に限定されていることだ。従って店舗、事務所、倉庫等の事業用は対象外となっている。貸主と直接契約を結ぶ賃貸住宅も対象から外れる。

 東京版ガイドライン2頁には、条例の適用があるのは平成16年10月1日以降の新規賃貸借契約で更新契約を除くと書かれている。だが、東京都の見解は根拠のないものだ。「賃貸住宅紛争防止条例」には新規契約に限られる或は、更新契約に適用しないという規定はどこにも存在しない。 トラブル防止を主眼とする条例を広く普及させるのであれば当然更新契約にも適用されるべきであろう。


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2005年11月27日

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賃貸住宅トラブル防止ガイドライン

原状回復トラブル防止の為に、東京都がガイドラインを作成  

 トラブル防止を目的として東京都は「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」(東京版ガイドライン)を発表した。インターネットを使えば東京都のホームページから全文ダウンロード出来る。尚、2004年11月からは全国の書店で「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」(住宅新報社)が1冊290円で販売されている。

 東京版ガイドラインは国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン改訂版」に基づいて作られているので原則や基本的な考え方は踏襲されている。

 東京版は原状回復を次のように説明している。
 「借主に義務として課されている『原状回復』とは退去時に、借主の故意・過失や通常の使用方法に反する使用など、借主の責任によって生じた損耗やキズなどを復旧することです」(7頁)。

 従って通常損耗や経年変化は原状回復の対象にはならない。国交省ガイドラインの基本見解に立っている。

 東京版は、原状回復をレンタカーを数か月間借りた例で説明している。

 「数か月も乗っていれば、タイヤもすり減ったりするでしょう。だからといって、車を返す時にレンタカー料金以外にその復旧費用を別途請求されることはありません。一方、不注意で車をぶつけてしまった場合などは、レンタカー料金以外に復旧費用を請求されることになります。賃貸住宅における『原状回復』も同じように考えていただければよいと思います」(7頁) 

 特約についても特約の「�@必要性があり、かつ暴利的でないなど客観的合理的理由の存在が必要で、�A特に賃借人がこの義務について認識し、�B義務負担の意思表示をしたことが必要である」(伏見簡判1995年7月18日及び1997年2月25日)の判例を基にして以上の3要件が必要であると解説している(10頁)。

 「東京版ガイドライン」(9頁の表)と「国交省ガイドライン別表2」(22〜23頁)を比較すると内容は同一である。だが、東京版の「経過年数等の考慮」欄を見ると、国交省版にある「6年で残存価値10%となるような直線(または曲線)を想定し、負担割合を算定する」が削られ、そこに「経過年数を考慮し、負担割合を算定する」という曖昧な文章に替えられている。

 東京版ガイドラインでは経過年数を考慮することになっているが、基準となる1年間の減価割合が書かれていない。算定の明確な「基準」がないので具体的な負担割合が把握出来ない。このように東京版ガイドラインは費用負担割合を確定するための明確な規準が欠落しているのでトラブルを防止するための具体的・合理的な負担割合を算定出来ないという致命的な問題点がある。
 これは、「国交省のガイドライン改訂版」の白眉である経過年数による減価割合の考え方が東京版ガイドラインでは意識的に抹殺されていることに基因する。

東京借地借家人新聞より


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2005年11月26日

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借地借家法の改悪の検討 
正当事由の緩和へ政府自民党の「規制改革」  

 政府自民党は規制改革の一環として借地借家法を改悪しようとしている。借地借家法38条(定期借家制度)と同法28条の「正当事由」の規制緩和を目論んでいる。

 具体的には
 �@居住用建物については当事者が合意した場合は普通借家から定期借家への切替を認める
 �A貸主の事前説明義務の廃止
 �B200�u以下の居住用借家の借主の解約権の廃止
 �C借地借家法の正当事由の緩和と立退料の低減化を検討
     (「規制改革推進3か年計画」2003年3月28日閣議決定)

 《�@について》
 現在、居住用建物に関しては既存の普通借家契約から定期借家契約への切替は、仮に当事者の合意の上でも禁止されている(特別措置法附則3条)。

 定期借家推進論者は、現行の定期借家制度が居住用住宅に関しては新規契約のみに摘要され、制度として不徹底であったことが効果を上げられない原因であるとしてその禁止措置の廃止を主張する。

 国土交通省の「定期借家契約の実態調査」(2004年1月16日発表)で切替えを認めるべきではないという事業者の約67%がこの禁止措置の歯止めが無くなると契約の理解が不充分なまま定期借家契約へ切替えられる危険があるとしている。

 但し、店舗・事務所等の非居住用建物の場合は現在でも当事者の合意があれば定期借家契約への切替は可能である。

 《�Aについて》
 貸主は定期借家契約締結まえに定期借家契約の内容を説明する義務と説明文書(契約書とは別)の交付義務がある。貸主義務を果していない場合は定期借家契約は無効になり、普通借家契約として扱われる。 
 貸主の事前説明義務の廃止は、貸主の便宜のみに配慮し、トラブルを未然に防止することを放棄したものである。前記調査で廃止に反対する事業者の63%が書面説明は紛争回避に繋がると回答。

 貸主の説明義務と宅建業者の重要事項説明と重複するとの理由で廃止すべきとしている。だが、不動産業者が当事者双方の仲介を行いながら貸主の代理として説明を行うということは双方代理禁止の観点からも問題である。宅建業法31条に規定する業務処理の原則にも背くものである。

 《�Bについて》
 改悪のポイントは、200�u未満の居住用住宅に認められて中途解約権を強行規定から任意規定に変更するか、200�u未満の制限を撤廃して中途解約権を全廃する。
 任意規定であれば特約で中途解約を制限する条項を加えて実質的に中途解約を排除することが出来る。

 現行の200�u以下の居住用住宅及び店舗等の非居住用は、一切中途解約権は無いので注意したい。前記調査は事業者の約60%・居住者の78%が中途解約権を存続すべきと回答。

 《�Cについて》
定期借家推進協議会の虫のいい提言は次のようになっている。
 �@自己使用
 �A建替
 �B土地の高度利用等の理由があれば単独でも正当事由を認め、立退料は不要とする。
 以上の事項に該当しない場合でも家賃の数か月分払えば更新を拒絶出来る制度を創設する。

 最後に、定期借家制度は期間が満了すると貸主は契約を一方的に終了させ、立退料を支払うことなく確定的に明渡を完了させられる。借主にとっては非常に危険な契約である。

 前記調査の中に平成14年の定期借家契約7111件の内で再契約が出来なかったのは3911件で55%という結果がある。

 言い換えると55%の借主が再契約を一方的に拒否されて無条件で居室から立退かざるを得なかったという事実は注視しなければならない。

東京借地借家人新聞より


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2005年11月25日

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原状回復特約に警鐘
  敷金訴訟で全面勝訴
     県住宅公社に不当な費用の返還請求

 尼崎借地借家人組合顧問の吉村勇さんは、1995年1月17日の阪神大震災で被災した。自宅を建替える期間、兵庫県と他の6市の出資による特殊法人である兵庫県住宅供給公社が一括借上げして管理する尼崎市の賃貸マンション「エスポワール園田」に1年6か月入居していた。
 入居していたマンションは住宅金融公庫から融資を受け、且つ尼崎特定有料賃貸住宅制度に基づいて建設費用の補助と入居者の家賃補助が行われている特定優良賃貸住宅である。賃貸借契約には特優賃法と公庫法の適用がある。

 敷金は家賃の3か月分約37万円が差入れられていたが、退去時に原状回復費用としてふすま貼替、畳表替、クロス貼替、玄関鍵取替等工事費用として約21万円が差引かれた。

 退去跡補修工事は通常損耗分の修繕費であり、賃貸人である公社が負担すべきで、賃借人に通常損耗分の費用を負担させることは、法律上・社会通念上の義務とは別個の新たな義務を負担させるものである。
 従って、そのような合意の成立は、その義務の具体的な内容を理解認識した上で、その義務負担の意思表示がされることが必要である。

 しかし、住宅供給公社は費用負担の説明義務を履行していない。また、通常損耗費用及び鍵取替費用の負担をするという同意をしていないので原状回復特約は成立しないと吉村さんは主張し、公社に対して不当な費用負担分の約21万円の返還を求めて提訴した。

 裁判の争点は、
 �@公社との賃貸借契約について、通常損耗分及び玄関の鍵の取替を賃借人の負担とする合意が成立したか、
 �A仮に成立したとして、原状回復特約が特優法・公庫法に違反し、公序良俗違反として私法上の効力が否定されるかであった。

 契約書本文では通常損耗分は賃貸人である公社の費用負担と記載されている。しかし、別冊である「修繕費用負担区分表」・「住まいのしおり」では賃借人の費用負担と記載されており、両者に齟齬がある。これに関して公社は「区分表」と「しおり」に基づいて通常損耗について賃借人負担とする原状回復特約は成立すると主張した。

 一審の神戸地裁尼崎支部は特約の成立を認め、特優賃法・住宅金融公庫法に定める限度内の家賃の範囲であれば、退去時に通常損耗費用を控除する方式も問題はないとして吉村さんの請求を棄却した。吉村さんは判決を不服として大阪高裁に控訴した。

 2003年11月21日大阪高裁は、「区分表は、本件賃貸借契約の別冊であり、その一部であって特則ではないから、これをもって本件特約の成立を認めることは出来ない」として通常損耗の修繕費用を借主に負担させる特約は成立しないという判断を下した。
 そして「特優法及び公庫法の規定の趣旨にかんがみると、本件特約の成立は、賃借人がその趣旨を十分に理解し、自由な意思に基づいてこれを同意したことが積極的に認定されない限り、安易にこれをみとめるべきではない」と結論づけている。
 その結果、住宅供給公社の主張する原状回復費用借主負担の特約の成立を否認し、一審判決を取消し、借主の請求をほぼ全額認める判決を言い渡した。

 兵庫県住宅供給公社は、この判決を不服として最高裁へ上告した。
 2004年6月10日、最高裁判所は「当裁判所は裁判官全員の一致の意見で次のとおり決定する。主文 本件を上告審として受理しない。申立費用は申立人の負担とする。」として申立人である兵庫県住宅供給公社の上告を退ける決定を出した。この最高裁の上告棄却によって、大阪高裁判決が確定し、吉村勇さんの全面勝訴が決定した。

 この判決は全国の公社が管理する約3万戸に大きな影響を与えることは必定である。自然損耗分は貸主の費用負担は判例の主流であり、国土交通省も「標準契約書」「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」等によって自然損耗(通常損耗・経年変化)を借主に負担させないように指導している。また、東京都は2004年10月1日より、退去時の原状回復費用負担のトラブルを防止する「賃貸住宅紛争防止条例」を施行する。

東京借地借家人新聞より


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2005年11月24日

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賃貸住宅の更新料特約
  京都で借主勝訴判決 
     法定更新の場合は更新料の支払不要
 
 2004年5月18日京都地裁で更新料支払特約が有っても契約が法定更新された場合は、特約は適用されず、更新料の支払義務が無いという借主勝訴の判決があった。

 勝訴したのは京都借地借家人組合の組合員である。更新料支払が慣習化している京都では約定更新料支払義務無しの判決は初めてであり、京都の家主側に衝撃を与えた。

 元来関西圏は礼金・更新料の支払慣習が無い地域であるが、京都と滋賀は例外である。
 例えば、京都の中心部の1Kタイプ(約20�u)の賃貸マンションの場合は
 �@家賃(5〜6万円)、
 �A礼金(15〜20万円)、
 �B敷金(15〜20万円)、
 �C更新料(家賃の2ヶ月分)、
 �D管理費(5000〜1万円)、
 契約期間1年というものが多い。
 京都と滋賀の敷金の精算は通常損耗も敷金でカバーする関西式の「敷引き」であるが、余りがある場合は原則返金するのが特徴である。

 京都地裁で争った借主の場合は1Kタイプのマンションで契約期間1年、家賃(6万2000円)、管理費(8510円)特約として更新料(家賃の2ヵ月分)、更新手数料(1万5000円)を支払うという契約で入居した。借主は先の例と同程度の礼金・敷金も支払っている筈である。家主の代理人の管理会社は、契約満了の1ヵ月前に前回と同一の契約内容の書類に署名・押印を求め、更に特約の更新料と更新手数料を請求してきた。

 契約内容に不満があるので借主は、�@契約期間2年、�A特約の更新料と�B原状回復の承諾条項の削除を求めたが、管理会社に一蹴された。更新料支払か解約かを強要されたが、借地借家法に基づいて契約は法定更新された。だが、家主はあくまで特約に基づく更新料と手数料の合計13万4500円の支払いを求めて提訴した。

 裁判では法定更新された場合、更新料支払特約は有効なのか否かが争点となった。即ち借主の更新料支払義務の有無が争われた。

 (ア)家主は、更新料約定は有効であり、合意更新に限らず、法定更新にも適用される。従って借主は更新料等の支払義務があると主張した。

 (イ)借主は、更新料約定は合意更新を前提としたもので無効であり、法定更新には適用されない。従って更新料等の支払義務は無い。そもそも更新料約定は、消費者契約法10条によって無効であると主張した。

 (ウ)裁判所は「更新約定は全体としても、合意更新を前提としたものであって、法定更新には適用されない」として家主が特約に基づき「更新料及び更新手数料の支払いを求めることはできない」という判断を下した。

 この裁判で注目されたのは借主側が更新料支払義務無しの根拠として、今までにない消費者契約法10条を適用した点である。

 更新料約定は借主(消費者)に民法・借地借家法の適用上は存在しない更新料支払義務を課し、更に1年契約で2ヵ月分の賃料相当額という高額の更新料を課す暴利的なものである。これは借主の権利を制限し、又は借主の義務を加重する条項であって借主の利益を一方的に害するものは無効であるとする消費者契約法10条に違反する特約条項であると主張した。

 これに対して、京都地裁は「それが消費者契約法10条に違反するものとして無効であるかどうかはさておく」と判断を回避してしまったのは残念である。


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2005年11月23日

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 大阪高裁の敷金返還裁判消契法で原状回復特約に“否”の判断

 経年変化による自然損耗や通常損耗は家賃によってカバーされるもので、特約で家賃以外の方法で負担させることは家賃の二重払いになる。従って自然損耗や通常損耗は原状回復の対象にならないというのが従来の判例の考え方である。

 昨年の12月17日及び本年1月28日に大阪高裁で退去時に通常・自然損耗を含めた復旧費用を一方的に賃借人に負担させる原状回復特約は消費者契約法10条に反し無効とする判決があった。両裁判は敷金の全額が返還されるという賃借人全面勝訴の判決であり、賃貸業者・不動産業者に強い衝撃を与えるものであった。

 大阪高裁の二つの判決が画期的である点は、特約の成立を認定した上で、原状回復特約を消費者契約法10条によって不当条項として特約自体の違法性を認定したことである。

 従来の判例は原状回復特約に対して特約の成立条件に制限を設け、その要件を充たさない場合は特約の有効性を否定した。

 即ち特約が認められるのは
�@特約の必要性、合理的理由が存在すること
�A特約によって通常の義務を超えた修繕等の義務を負うことを認識していること
�B賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること、
以上の要件を具備していることが必要である。

 これらの三要件を充たしていない場合は特約は無効とされる。判例は特約成立の要件の不備を理由にして特約の効力を否定して多くの賃借人の救済を図って来た。これらの判例理論は国交省や東京都の「ガイドライン」に取入れられ、特約トラブルの歯止めとして活用されている。

 しかし最近では賃貸業者も判例や「ガイドライン」等を研究し、その裏を行く契約書を用い、特約の無効を回避する対策を実行している。

 例えば契約時に原状回復の説明書を契約書に添付して説明の随処に理解確認の署名・捺印欄を設ける。加えて別紙で復元基準表を添付して原状回復費の単価表を明示して具体的な費用が算定出来るようになっている。

 「入居の期間の長短を問わず通常の使用方法による汚れ(いわゆる自然損耗)のみの場合であっても、別紙復元基準表に沿って賃借人が原状回復の義務を負担することについて承諾した」等が初めから印刷されておりそこに署名・捺印欄があり、確認を求められる。

 それらによって契約時に
 �@特約の内容の説明を受けなかった
 �A費用負担の具体的な内容説明を受けていない
 �B原状回復義務の承諾の意思表示をしていない
 という賃借人からの反論を封じている。賃貸業者はこのような対抗策を採用して原状回復特約の不成立を防ぐ努力をしている。

 二つの裁判で敗訴した不動産管理会社は特約を盾にして敷金(20万円)返還を拒んでいた。一審の京都地裁で敗訴し、大阪高裁へ控訴して争われていたのが前記の裁判である。従来の判例理論では救済が難しいと思われた事例である。

 両裁判での争点は主に
�@原状回復義務に関する特約の成否と
�A原状回復特約の効力が中心に争われた。

 大阪高裁2004年12月17日判決では
�@に関しては特約の成立を消極的に認める判断をしている。その上で
�Aに関して「本件原状回復特約、即ち、自然損耗等についての原状回復義務を賃借人が負担するとの合意部分は、民法の任意規定の適用による場合に比し、賃借人の義務を加重し、信義則に反して賃借人の利益を一方的に害しており、消費者契約法10条に該当し、無効である」としている。

 一方、大阪高裁2005年1月28日判決では
�@に関しては確認の署名・捺印などが有ることから、「本件特約が成立したことが認められると判断する」。その上で
�Aに関して「当裁判所も、本件特約は消費者契約法10条の適用により無効であると判断する」。

 両判決は原状回復特約が違法な特約であると認定している。

 これら大阪高裁の判決は、これからの敷金返還裁判や敷金返還の少額訴訟等に重大な影響を与えることは間違いない。特に重要なのは、消費者契約法施行(2001年4月1日)前に締結された契約でも、施行後に契約が更新された場合は消費者契約法が適用されると認定されたことである。

 東京都は原状回復トラブルを防止するために昨年10月1日より「賃貸住宅紛争防止条例」を施行している。だが条例の適用は施行後の新規契約に限られるとしている。施行後に結ばれた更新契約を何の根拠も無く一方的に条例の適用から除外しているが、東京都の姿勢は疑問である。


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2005年11月22日

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借地の更新料
約定更新料で新判断―最高裁が地主の上告を棄却

 〈合意無ければ支払義務無し〉 
法務省の司法統計によると「借地紛争」が多発したのは、1965年(昭和40年)前後と1985年(昭和60年)前後である。統計的に予測される次の「借地紛争」多発の時期は戦後60年に当る2005年(平成17年)である。「借地紛争」の実体は、借地人側から見ると更新料問題である。

 更新料の授受は慣習に多く頼っており、地域差が非常に大きいという理由から「借地借家法」(1992年8月1日施行)においても更新料の規定は置かれなかった。更新料については法律には何の規定もない。従って法律上は、賃借人が更新料支払の義務を負っている訳ではないし、また賃貸人が更新料を請求する権利を持っている訳でもない。

 最高裁は更新料に関して「賃借期間満了に際し賃貸人の一方的な請求に基づき当然に賃借人に賃貸人に対する更新料支払義務を生じさせる事実たる慣習が存在するものとは認められない」(最高裁1978年1月24日判決・同趣旨の最高裁1976年10月1日判決)(注)としている。
 即ち、予め更新料の支払約束が無い場合は賃貸人が賃借人に対して更新料を請求することが出来ないというのが判例の主流である。実際、前記最高裁判決後、借地・借家に関して更新料支払合意が無い場合に更新料支払義務を認めた判例は存在しない。

  〈約定更新料は支払義務無し〉
 それでは、契約書に更新料支払の特約がある場合、賃借人は更新料の支払義務を負うのか。
 借家に関しては、既に更新料支払約定があっても法定更新された場合には借家人に更新料支払義務がないという最高裁判決(1982年4月15日)がある。

 借地に関してはどうだろうか。
 地主が借地人に対して契約で合意した(約定)更新料の支払を求めて東京地裁に訴えた事例を検討してみたい。これは江東借地借家人組合の会員の場合である。
裁判では法定更新の場合、借地人の約定更新料の支払義務の有無が争点になった。

東京地裁は「更新料支払合意が契約の法定更新の場合を除外する趣旨のもの」とは認められないとして借地人は法定更新しても約定更新料の支払義務を負うと判示し、借地人に更新料約76万円(坪当り約25600円)の支払いを命じた(2000年3月13日判決)。

しかし、地主は更新料が低額であるとして東京高裁へ控訴した。東京高裁は「法定更新された本件においては、本件更新料支払合意は効力を有するとは認められず、したがって、右合意を根拠とした控訴人(地主)らの本件請求は本来理由のないもの」(2000年9月27日判決)として地主の請求を根拠が無いと否認した。

 地主はこの判決を不服として最高裁へ上告した。
最高裁は地主の上告を棄却し、予め合意された更新料支払の約定は法定更新の場合には適用されず、借地人の更新料支払義務を負わないとする東京高裁の判決趣旨を是認した(最高裁2002年2月22日判決)。

借地人の「2005年問題」の闘いに・更新料不払実行に有利な判決がまた一つ追加された。

  
(注)
「宅地賃貸借の期間満了にあたり、賃貸人の請求があれば当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生ずる旨の商習慣ないし事実たる慣習が存在するものとは認めるに足りない」(最高裁1976年10月1日判決)

「建物所有を目的とする土地賃貸借契約における賃借期間満了に際し賃貸人の一方的な請求に基づき当然に賃貸人に対する賃借人の更新料支払義務が生じさせる事実たる慣習が存在するものとは認められない」(最高裁1978年1月24日)


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2005年11月19日

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 敷金返還(上)
 原状回復費用
 普通に使えば負担なし
朝日新聞 2005年11月12日 be on Satturdayより

 賃貸住宅から引っ越しする時に気になるのは、敷金がいくら戻ってくるかです。注意して使っていたのに、想定以上の修理費を差し引かれて不愉快な思いをした人も多くいます。そのルールを調べてみました。

 Q 引っ越しで敷金トラブルを抱える人は多いね。

 A 左の円グラフの内側を見てほしい。beモニターを対象に10月に行ったアンケートで、引っ越しをしたことがある人に、返ってきた敷金が何割ぐらいだったかを聞いたものだ。

 全額が返ってきた人も19%いるけど、全く返ってこなかった人が20%。返ってこないどころか追加の請求をされた人も5%いる。それに対して、「どのくらい戻るべきだと考えるか」を聞いた質問の答え(外側の円グラフ)を見ると、8割以上戻るべきだと考える人が68%になる。

 Q 借り手が考える以上に負担は大きいね。

 A 敷金は何十万円にもなることがあるからね。賃貸住宅を退居する時には、貸す方も借りる方も少しでも自分に有利な解釈をしようとするから、感情的なもつれが生まれることがある。賃貸住宅の契約は、昔からの慣習を引きずっていて、一般的な契約から見ると貸す側に有利なものも多い。消費者意識が高まっているので、トラブルも増えているんだ。

 Q 敷金返還の基本ルールはどうなっているの。

 A 借り手が退居する時には「原状回復」をする義務があるんだ。

 Q 「ゲンジョウ」って言うのは、元々の姿のことをさすのかな。借りた時の姿に戻すとしたら、リフォーム代は多額になるね。

 A 建物は普通に暮らしていても、時間がたてば傷みが出るよね。だから、借りている人が補修しないといけないのは、通常の使用ではない、故意や過失などで壊れたり汚れたりしたものに限られるんだ。例えば、時間がたてば畳が色あせたりするのは当然だよね。そういうものは直さなくてもいい。

 Q なるほど。でも、通常の使用の範囲を判断するのは難しそうだね。

 A そこで、国土交通省は裁判例などをもとに、98年に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」をまとめて公表した。上の一覧表を見てほしい。例えば、引っ越しの時にテレビや冷蔵庫を動かすと、背面にあたる部分の壁が黒くなっていることがあるよね。そういう壁の補修はどちらの負担だと思う?

 Q それは借り手が直さないといけないような気がするなあ。

 A いや、その必要はないんだ。テレビや冷蔵庫は生活の必需品といえるよね。そういうものを使ってできた汚れは「通常の使用」の範囲に入る。エアコンも生活必需品と考えていいのではないかという判断が示されている。

 Q 「善管注意義務」なんて、聞き慣れない言葉が書いてあるけど。

 A 「善良な管理者の注意義務」という法律用語の略なんだ。簡単に言うと、普通なら気づくはずの注意を払って生活したかどうかということだね。だから、日照でフローリングの床が色落ちすることは借り手の責任ではないけど、もし、雨漏りしているのを知っていながら大家さんに連絡せずに放置していてフローリングが色落ちするなどしたら、「善管注意義務違反」を問われる可能性がある。

 Q 退居したあとに業者が行う清掃の代金(クリーニング代)を取られることがあるね。

 A 「通常の清掃」をして明け渡せば、払う必要がない。ガイドラインには、ゴミの撤去、掃き掃除、ふき掃除、水回り、換気扇、レンジ回りの油汚れの除去などとなっている。ただし、通常の業者クリーニングで消えない汚れなどは払う必要がある。たとえば、たばこのにおいは消えにくいので、借り手が負担することが多いようだ。

 Q でも、クリーニングを行うことが契約書に書いてある場合があるね。

 A それは、原状回復の義務を超えた負担になるので、「特約」といえる。ただし、特約は「暴利的でないなどの客観的、合理的理由」がないと無効の可能性がある。相場より安い家賃設定をした場合などで、借り手が「特約」であることを承知して契約していれば有効とみなされる可能性がある。

 Q ところで、住んだ期間は影響しないの? 住んだ側に責任があったとしても、長い間使ったものを新品にする負担は必要ないよね?

 A そうだね。ガイドラインでは、減価償却の考え方を使っている。たとえば壁紙やカーペットなどの「内装材」は6年で価値が10%になると考える。1年で15%価値が下がるから、入居した時に新品の壁紙で、4年たって退居する時に張り替えが必要な傷をつけてしまったら、費用の4割を負担する。

 Q なんでも6年なの?

 A 日本住宅性能検査協会によると、残存価値が10%に下がる期間は内装材を6年、浴槽などの設備を8年で考えるということだよ。ふすまや畳表などは「消耗品」の扱いで、破ってしまった場合などは経過年数を考えずに修理費を負担しないといけない。

 Q 壁紙なんかは一部だけを替えると、ほかと釣り合わなくなってしまうよね。

 A 確かに、破れたのは壁紙の一部でも、大家さんは部屋全部を張り替えないといけなくなるだろうね。ただし、ガイドラインは、その費用のすべてを借り手が負担するのは、大家さんが利益を得すぎる結果になるとしている。その部屋の一面分程度を替える費用のうち、残存価値分を負担すればいいという判断が示されている。 (松浦新)

 ここまでが2005年11月12日の朝日新聞に掲載されたものです。



朝日新聞の上記の円グラフの内側の合計は100%ではなく、101%になっている。記入ミスかもしれない。

今回の朝日新聞の調査で気になったのは、敷金が「どのくらい戻るべきと考えるか」の質問に対して敷金は「戻らないもの」と考えている人が5%もおり、「追加料金まで取られたくない」の5%を加えると敷金が「戻らないもの」と考えている借主が10%もいるということである。

国土交通省は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公表しているが、それを知っていると答えた人は11%であた。敷金は「戻らないもの」と考える人が多いのは、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が普及していないことが原因しているのかも知れない。

原状回復費用は借主の故意・過失及び善管注意義務違反による損耗以外は支払義務の対象にならない。借主の故意・過失及び善管注意義務違反が無ければ、敷金は全額戻るのが当たり前という世の中に早くしたいものである。


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2005年11月19日
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敷金返還(下)
 実際の交渉は
部屋の記録が決め手に

朝日新聞 2005年11月19日 be on Saturdayより

 賃貸住宅を退居する時の敷金の返金をめぐり、「原状回復」がカギになることを前回説明しました。今回は交渉の具体的な注意点です。少し手間はかかりますが、こうした心構えや準備で思わぬ損失を防ぎましょう。

 Q 敷金の考え方はわかったけど、正当な主張でも実際の交渉で認めさせるのは難しい。具体的にはどうしたらいいの。

 A まず、入居の時から意識しないといけない。国交省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」や日本住宅性能検査協会のマニュアルをもとに上にまとめた表を見てほしい。借りる家が決まったら、キズや汚れをチェックする。問題個所は写真を撮ったり平面図に印をつけたりして記録を作る。大家さんや管理会社に立ち会ってもらい、記録の控えを渡しておく。協力が得られなければ、記録を郵送する。国交省のガイドラインに確認リストがあるので、活用してもいいだろう。

 Q ちょっと大げさすぎない?

 A 新築の貸家は別にして、最初の状態を確認しておくと、トラブルになった時に証拠になる。前回説明したように、借り手が通常の生活をしていてついたキズや汚れは修復する義務がない。もし修復するにしても、壁紙のような内装材は6年で残存価値が1割になる計算で費用を負担すればいい。たとえば、壁紙を張ってからどのくらいたっているかといったことも確認したいね。

 Q 知らない人と同じ鍵は使いたくないから、鍵は新しくしたい。大家さんに交換を求めることはできるの。

 A 大家さんは、借り手が安全に暮らせるような設備を設ける義務がある。退居する時に鍵の交換費用を求められることがあるけど、それは大家さんの責任だから、負担する必要はない。ただし、オリジナルである元々のキーをなくすと抗弁できないから、コピーを作って、元々のキーはきちんと保管しておくようにしたい。鍵をシリンダーごと交換すると、1万2000円前後かかるということだよ。

 Q 借家人賠償責任保険証って何?

 A 火災や爆発事故で、借りた家に被害を与えた場合に保険金が出る保険の保険証だ。最近は入居時の契約で義務づけられることが多い。契約期間は2年が多いので、退居時に期間がきていなかったら、保険会社に中途解約払戻金を請求するのもいいし、次に借りる家の保険に回すこともできる。

 Q 退居する時にも写真を撮っておくの?

 A 精算は退居後だからね。立ち会いの時に、特に指摘がなかったのに、思ったように敷金が返って来ない、なんてこともある。その時には改装が終わっていることが多いから、念のために証拠を残したいよね。

 Q 自分に落ち度がある場合、大家さんの言い値で修理をしなければいけないの?

 A そんなことはない。不当な請求だと思ったら、交渉もできるよ。下の表に修繕費の目安を示したから参考にしてほしい。地域によって相場が違うので、修繕費が高いと思ったら、近所のリフォーム業者に相談してみたらいい。表は新品にする時の費用なので、借り手の責任の度合いに応じて負担は減るはずだ。

 Q 相談に乗ってもらえるところはないの?

 A 不動産適正取引推進機構では国交省のガイドラインが入手できるし、相談にも乗ってくれる。日本住宅性能検査協会は、2万円と交通費で退居する時に立ち会いをしてくれる。また、リカバリジャッジ(本社・名古屋)という会社は今年7月から敷金トラブルの解決サービスを全国展開している。10月からは新サービスを始めた。退居前に2万円でサービスを申し込んでおき、国交省のガイドラインに沿った敷金が戻れば、その2万円が返ってくるんだよ。

 Q どういう仕組みなの?

 A 申し込むと、自分で家の状態を記録するマニュアルやチェックリストが送られてくる。大家さん側から精算書類が届いたら、退居前に作った記録と一緒にリカバリジャッジに郵送する。同社が記録をもとに査定をして、大家さん側の査定より3万5000円超の敷金が戻ると判断した場合で、客である借り手に交渉の意志があればそれを支援する。この場合、大家さんから追加で戻る敷金が2万円以上あれば借り手にメリットがある。借り手が交渉するメリットが少ないと判断した場合は同社に払った2万円が戻るんだ。

 Q もめて裁判になることもあるみたいだね。

 A 簡易裁判所の少額訴訟の制度を利用する人が多いよ。当事者による訴訟が多く、費用は請求額が上限の60万円の場合で1万1600円だ。1日で判決まで出る。日本住宅性能検査協会もリカバリジャッジも簡易裁判まで支援をしてくれる。

(松浦新)


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借地の交渉で納得できる条件で合意して無事解決
200年11月02日

 文京区で親の代から商売をしていた樫山さんは、昨年の夏頃に地主の代理人でマンション建設業者から更新を拒絶され、借地の明渡しを求められていた。
 借地借家人組合に更新料の問題で長年組合員だった樫山さんは直ちに組合に相談した。親の代から住んでいるものにとって明け渡しには到底応じられないとの返事をすることにした。
 その後、組合と相談しながら、何回かの話合いをマンション業者と行なってきた。その中で、マンション業者の代理人は、以下の条件を示してきた。
 (1)引き続き借地のままで住み続ける。
 (2)借地権と新しいマンションとの等価交換。
 (3)明渡しに応じるならば借地権分の金銭補償に応じる。
 樫山さんは親の代からの商売もあるが、自らの年齢も考慮し、明渡しに応じることにした。最初の金銭補償の話合いは双方隔たりがあったが、条件その他を組合の助言に基づいて行なう中で、樫山さんの希望する金額に近い補償を得ることが出来た。
 長年の組合員である樫山さんは「組合に入会していたおかげで最期まで自分の納得できる解決が出来ました。」と語った。

東京借地借家人新聞より


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