20%の家賃値上げ請求
2007年09月12日
 Kさんは、とげぬき地蔵で有名な豊島区巣鴨の地蔵通商店街の一角で店舗を借りて営業している。借りたのは一昨年の5月、店は6坪と小さいが、故郷、紀州特産の梅干の専門店だ。
 とにかく、商売熱心なことと健康食品ブームも追い風となっているようで、売れ行きは悪くない。しかし、昨年は健康を害し、3ヶ月も店を閉じたのは痛手だった。
 kさんが組合に加入したのは、今年の4月。2年目の更新に際して、20%もの家賃値上げの請求を受けたからだ。最近、家賃は下降傾向にあると聞いていたので、家賃の大幅な値上げは寝耳に水の出来事だった。
 家主代理の不動産屋に掛け合ってみたが、更新に値上げは付きものだ、値上げが嫌なら明渡す以外にはないとの態度だった。
 Kさんにとって、家の賃借は今回が初めての経験。だから、不動産屋の態度には衝撃を受けたが、組合での相談で「家賃の値上げで当事者間に協議が調わないときは相当額で支払えばよい」との規定を教えられ、一先ず安心した。
 Kさんは、思い切って値上げを断り据置きで家賃を提供し、家賃の受領拒否で供託に踏み切った。
 6月、家主が「家賃の増額調停」を簡易裁判所へ申立てたことから、裁判所から調停の呼び出しを受けた。勿論、調停も初体験だったが、すぐに組合に相談し、比隣の家賃実態も等も調べ、自信をもって調停に臨んだ。結果、第2回期日で不調に終った。また、一つの自信が生まれた。

東京借地借家人新聞より
参考条文 (借地借家法)
(借賃増減請求権)
第32条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
2 建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
3 建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年1割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。


台東借地借家人組合 
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