2006年4月
2006年04月30日

--------------------------------------------------------------------------------

契約書の無い借地契約
契約書がないまま亡父が昭和25年に
    借地した土地の明渡しを要求された


 (問)
 地主から、今年は借地期間が満了するから明渡してくれと言われました。借地の契約書は作っていなかったようですが、亡父の話しでは昭和25(1950)年9月に土地を借り木造の家を建てて住み始めたと聞いています。地主の請求に対しどう対処したらいいでしょうか。

 (答)
 借地権を設定する際に、当事者の間で存続期間を定めなかった場合には、その借地権の存続期間を「借地法」で法定している。相談者の場合も「借地法」の適用となり、同法第2条1項の規定により非堅固の木造建物の場合、借地期間は30年となる。

 従って30年後の1980年に一旦契約期間は満了する。だが、その時点で建物が朽廃しておらず、また借地人が土地の使用を継続し、地主が遅滞なく異議を述べないと、借地権は前契約と同一の条件をもって設定されたものとみなされる。契約書が無くても借地契約は更新されたものと扱われる。それを法定更新といい、その場合の期間は木造の場合は20年と法定される(「借地法」第6条1項)。そうすると、借地契約は2000年に再び法定更新され、2020年まで期間が延長されている。

 但し借地契約が40年以上も前になされ、契約書も無く関係者も死亡して、借地契約の始期を明確に知り難い事情が有ったという事案において、裁判所の審理の結果判明した満了時より1年半を経過して述べられた異議も遅滞の無いものとして、「遅滞なく」を緩やかに解した最高裁の判例(1964年10月16日判決)もある。

 相談のケースでは、借地契約書も無く、地主の方でも先代の地主が死亡したりして、正確な更新時期がよく解らないとしても5年も経過している以上、遅滞なく異議を述べたとは言えない。契約は2020年まで法定更新されている以上、土地の明渡に応じる必要はない。

 なお、契約期間が満了し地主から遅滞なく更新拒絶の異議の申立てがあった場合でも、地主の述べる異議には正当事由が必要である。正当事由があるか否かは、裁判所によって借地関係の存続を希望する借地人と、終了を望む地主との双方の土地を使用する事情等を総合的に考慮して判断される。裁判所は地主の正当事由を簡単には認めていないので借地の明渡が認められる事は先ず有り得ない。


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
 
2006年04月29日

--------------------------------------------------------------------------------

家主から明渡請求
秋晴れの日、組合事務所を訪れた田口さんは、開口一番「家主の明渡し請求に応じなければいけないのですか」との質問だった。

 月額41000円の家賃を約定どおり支払い何らの違反もないにもかかわらず、家主の代理人不動産業者が紹介する物件を見て回ったが、納得できず相談にきて組合に加入した。

 緑が多く静寂な住宅街である大田区久が原2丁目に所在の木造瓦葺2階建て共同住宅の内階上、東南の角の部屋約13・2�u(築約40年)環境は最良のところだ。

 田口さんは相談の中で、業者の言いなりではいけないと自覚した。これまでの対応を白紙に戻し、今後は組合を通して交渉する旨を業者に通告した。驚いた業者から連絡があり、早速組合役員が交渉に入る。

居住者一人となり、家主の建替えの意向を踏まえての交渉で、当初を大幅に上回る補償額と、田口さんの納得する内容で合意に達した。

 「権利は自ら主張することの大切さが判りました」とは田口さんの言葉。

東京借地借家人新聞より


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
 
2006年04月27日

--------------------------------------------------------------------------------

シックハウス訴訟

シックハウスで売り主に賠償命令

 瑕疵担保責任認める

2005年12月05日   アサヒ・コムより

 購入した新築分譲マンションが「環境物質対策基準に適合している」と宣伝していたのに実際はシックハウスだったとして、東京都台東区の40代の夫妻が売り主を相手に損害賠償を求めた訴訟の判決が東京地裁で5日、あった。杉浦正樹裁判官は「品質が契約の前提になっていた水準に達していなかった」と売り主の瑕疵(かし)担保責任を認め、購入代金4350万円を含む4791万円の支払いを命じた。シックハウス症候群に詳しい弁護士によると、同様の訴訟での勝訴は初めてという。

 問題のマンションは「ベル・アンド・ウイング」(東京都港区)が東京・浅草地区に建てた。

 判決などによると、ベル社はチラシなどで「シックハウス症候群の主な原因とされるホルムアルデヒドの発生を抑えるために、基準以上を満たしたフローリング材などを採用」と宣伝。夫妻は02年7月に売買契約を結び、翌03年7月に家具の一部を運び込んだ。ところが、夫妻は目がかゆくなったり、せきが出たりする症状が出たため転入を断念。「健康を害し、居住に適さない状態にある」と訴えていた。

 判決は、鑑定の結果から、04年5月時点のホルムアルデヒドの濃度が旧厚生省の指針値(1立方メートルあたり0.1ミリグラム以下)の1.8〜0.9倍だったと認定。「引き渡し時には指針値を相当程度超える水準だったと推認するのが相当」と述べた。

 そのうえで「売買契約では、指針値に適合していることが前提だったが、マンションはその水準に到達していない。買い主が容易に発見できない『隠れた瑕疵(欠陥)』だ」として、売り主が無過失でも問える瑕疵担保責任を認め、売買解除と損害賠償を認めた。

 一方、「日本工業規格などの基準の仕様を満たす建材などを使っており、物質の発生メカニズムはわからない」として、売り主側の故意や過失は否定。慰謝料などの請求は退けた。

 NPO法人「シックハウスを考える会」(大阪)の関根幹雄弁護士は、この5年ほどで約100件のシックハウス関連の訴訟や相談を受けた。同様の訴訟は全国で相次いでいるが、関根弁護士は「損害を認めた例は聞いたことがなく、今回の判決は画期的だ」と評価する。

 ベル社は「コメントできない」としている。



毎日新聞

シックハウス:マンションの売買代金返還命令 東京地裁
 購入した分譲マンションでシックハウス症候群となり居住できないとして、東京都内の40代の夫婦がマンションの販売業者に代金返還などを求めた訴訟で、東京地裁は5日、業者側に4791万円余の支払いを命じる判決を言い渡した。原因とされる化学物質ホルムアルデヒドの発生源について、杉浦正樹裁判官は「建物の建材に求めるほかない」と指摘。原告側代理人の弁護士によると、シックハウスを理由に売買契約の解除を認めた判決は初めて。

 判決によると、夫婦は03年5月、台東区内の新築マンションを不動産販売会社「ベル・アンド・ウイング」(港区)から4350万円で購入。同7月に家財道具を搬入したが、頭痛などがして住むことができなかった。

 同社はパンフレットで「ホルムアルデヒドの放散量が少ない建材を使っている」と記載していたが、判決は「保健所の測定によって、国が定めた基準(室内の空気1立方メートル当たり0.1ミリグラム以下)を相当程度超えていたと推認される」と指摘。同社に手数料や引っ越し費用などを含めた代金の返還を命じた。【武本光政】

毎日新聞 2005年12月5日


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。   

2006年04月26日

--------------------------------------------------------------------------------

底地を公売で落札
江東区大島5丁目の坂田さんは約42坪の借地をしていた。15年程前に地主が地上げを業とする不動産業者に変わってから係争が始まった。高価格で底地を買取れといわれたり、次々と地主が変わった。このため、15年間供託をして頑張り抜いた。

 ところが、最近静かになったのでどうなったかと思っていたら東京都が私の住んでいる借地の差押に来た。

 早速、都主税局整理部や公売課と交渉を開始。10数回の話合いで地主は全く資料がないので坂田さん方で全部揃えることになった。

 いよいよ公売になったため、坂田さんも参加した。公売はその土地に関係のある人が入札権を持っている。

入札の結果、坂田さんは公売底値の400万円で落札できた。直ちに、入金を済ませて昨年12月には登記も完了した。「思いだせば、借地人組合に元気と力を出してもらって今日という日があると思います」と坂田さんは語る。

東京借地借家人新聞より


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
 
2006年04月25日

--------------------------------------------------------------------------------

放火が原因で建物と車が焼失         豊島区池袋で青果業を営んでいる畑中さんは、自宅兼店舗の前に借地し貸家とトラックを置く駐車場として使用していた。借地期限が過ぎたから契約を解除し、自己使用するから明渡せという地主との争いで10数年にわたって供託している。

 今年の秋に放火が原因で建物と車が焼失してしまった。直ちに「この土地上に存在した建物が滅失したが、借地権者は新たに建物を建築する計画であるという」建物公示書を道路側の見えるところに掲示する事にした。(*)

 全焼にともなって保険金は出たが、建替えをするには全額自己資金ではいかない事情があり、前述の建物公示書をはずしてしまった。

 そこにつけこんで、地主の代理人の弁護士は、建物が焼失したのだから借地権もなくなったので明渡せと内容証明書を送付してきた。

 明渡しの要求は拒否する事にし、自己資金で建替え出来る建物を建てて残りを従来どおり駐車場として使用するか、借地権を買い取ってもらうように交渉するか方針を家族で相談することにした。

(*)借地借家法第10条2項
第10条 借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。

2 前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から2年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。

3 民法(明治29年法律第89号)第566条第1項及び第3項の規定は、前2項の規定により第三者に対抗することができる借地権の目的である土地が売買の目的物である場合に準用する。

4 民法第533条の規定は、前項の場合に準用する。

東京借地借家人新聞より


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
  
2006年04月24日

--------------------------------------------------------------------------------

消費者契約法は借主の救済に有効
消費者契約法は借主の救済に有効
   借主に不利益な原状回復特約を無効にする

 賃貸借の契約トラブルの中で圧倒的に多いのが契約終了時の敷金の清算と原状回復の問題だ。国土交通省の調査でも相談の約4分の1を占めている。賃貸借契約トラブルの原因は、消費者と事業者の情報量や交渉力の格差を利用した事業者の契約支配によるものが多くなっている。
 トラブルに巻き込まれた場合に消費者である借主に強い見方になる法律がある。それが2001年4月1日に施行された「消費者契約法」である。

 <借主に不利益な 原状回復特約>
 賃貸マンションやアパートを借りる場合、多くは不動産業者が物件の仲介をするが、その際に作成する契約書は事業者に有利な内容のものが殆どである。
 例えば「乙(借主)は賃貸借物件の使用に際して原状回復義務を負う。従って解約時には賃貸借物件を借りたときの状態に戻さなければならない」或は「解約時の畳の表替え、襖、障子の張替等は乙(借主)の負担とする」等である。
 従来はこのような特約が書き込まれた契約書の場合、敷金は殆ど戻らない例が多かった。だが、消費者契約法第10条は、消費者である借主の義務を加重させ、借主の利益を一方的に害する特約は借主が承知の上で契約したものであっても無効に出来る。

 <不当な原状回復費用を請求され、少額訴訟へ >
 渋谷区本町1丁目の賃貸マンションに8年居住した田中幸子さんは昨年3月末に部屋を退去した。だが退室時の立会の際に、家主が一方的に作成した「リフォーム代金覚書」に強引に署名捺印させられた。納得がいかないままに応じてしまった覚書には、クロスの張替え(85248円)、カーペット張替え(51000円)、クリーニング代(33000円)、現場諸経費(10000円)等消費税を含め、原状回復費用の合計が215090円であった。

 後日、この金額が家主から請求された。釈然としない請求に納得出来ず、借地借家人組合に相談した。組合は直ちに「覚書は消費者契約法第10条により無効である」と家主に通知した。加えて、6月に東京簡易裁判所に敷金16万円の返還少額訴訟を行なった。少額訴訟で被告の家主は契約時に原状回復費用を原告(借主)が負担する約束があったとして争った。

 <少額訴訟異議審でも借主勝訴>
 9月に少額訴訟の判決があり、「被告(貸主)は原告に対し、金110468円及びこれに対する年5%の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告の負担とする」との判決が言渡された。だが、被告の家主は、この判決に不服で異議の申立をしたが、今年の2月に「少額異議判決」が下され、「同裁判所は昨年9月11日に言渡した少額訴訟判決を認可する」として家主の異議の申立が退けられ、田中さんが勝訴した。

 このように賃貸借契約で原状回復費を借主に負担させる原状回復特約を押付けられ、押印しても「故意・過失及び善管注意義務違反」以外の「通常損耗や自然損耗」に関しては借主にその費用の支払義務はない。「故意・過失及び善管注意義務違反」以外は原状回復の対象にならない。従って家主が敷金を返さないといて借主は泣き寝入りする必要はなくなった。
 「消費者契約法」は「借地借家法」と共に借主にとっては大きな「武器」となる。借地借家人組合は借主救済のために消費者契約法を積極的に活用しなければならない。


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。

2006年04月23日

--------------------------------------------------------------------------------

建替えで和解
地主が無理難題をいうので
         非訟手続を進めると和解を提案  

大田区池上3丁目に所在する土地約91・68�uを賃借する松島さんは、9年前の契約更新満了の際に地主より代理人弁護士を通して自己使用を理由とする更新拒絶を求められたが、これを拒否し法定更新にて今日に至った。

 一昨年秋に建替えの必要が生じたので、地主に承諾を求めるために組合役員同席で地主の弁護士と交渉を行った。その場での合意内容は地価については路線価を基準にすることだったが、その後地主は、松島さんの借地の場所からはかけ離れた商店街通りの路線価を基準にした計算方式で、松島さんの提示額の2倍強(400数10万余)の更新料と建替え承諾料を求めてきた。

 さらに、更新拒絶後も受領していた地代は5.2倍の増額請求だった。地価下落の現実を無視した信託銀行不動産部の調査に基づくものとして松島さんに提示してきたものだった。

 松島さんは限られた予算と今後支払う地代を考えると、こんな無理難題をいう地主代理人弁護士とは交渉は出来ないと、組合役員と相談のうえ借地非訟手続を申立てることにして、昨年の2月にその手続が行われた。

 同年10月に地価の3%との鑑定が裁判で示された。すると相手弁護士から承諾料に10数万円加算し100万円で和解したいとの申し入れがあったと組合顧問弁護士より連絡あり、松島さんは地主の意向を受入れてこの程和解が成立した。

 新年を迎えて、新築の工事に着工することになった。

東京借地借家人新聞より


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。

2006年04月22日

--------------------------------------------------------------------------------

敷金を少額訴訟で取り返す
豊島区西池袋に住む加藤さんは、子供が生れるのを機会に引越しする事を決めた。結婚して2年間住んだアパートをこの4月に引越した。僅か2年間の生活なのでほとんど損傷も汚れもなかった。引越をしてもなかなか敷金は返されなかった。
 管理会社に原状回復費用についても再三の請求にもかかわらず返答がなかった。そこで家主に直接内容証明で敷金返還の請求をしたところ管理会社と話し合うよう回答があった。

 あらためて回答を求めると43万円の原状回復費用の請求があった。組合とも相談し、敷金返還の少額訴訟をおこす事を決め、ただちに裁判所に手続きをした。 

 裁判所では、管理会社の人間が賃貸契約書には原状回復費用として、クロスの張替、畳の取り替えなどが約定にあると主張したが、裁判官はその訴えを途中で遮って、そのような主張は認められないからとして和解を勧告した。和解の内容には不十分さがあったが、一日で敷金問題は決着した。

東京借地借家人新聞より


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
 
2006年04月21日

--------------------------------------------------------------------------------

  更新料と地代値上げを拒否
 更新料と地代値上げを拒否、
         な特約条項を削除させる

 板橋に住む、西郷さんの家は板橋区と豊島区の区界で、昔は、目の前を川が流れており、今は暗渠になって遊歩道と公園になっている。

 昨年の夏に、西郷さんの自宅に地主の代理人の不動産会社が訪問してきた。内容は、法定更新中の契約を更新したいので、更新料の支払と地代の値上げ、そして契約書を取り交わしたいと言ってきた。

 昔、借地借家人組合に相談した事がある西郷さんは、知り合いの人を通じて組合事務所に相談に来た。組合では、直ちに地主宛てに「更新料については法的根拠がないこと。地代の値上げについても、経済事情の動向、公租公課の増減、近隣の相場のいずれもとっても値上げの要因がないこと」との断りの通知書を出した。 

 この通知書に対して代理人は更新料と値上げをあきらめ財務省に物納したいので契約書の作成に応じて欲しいと言ってきた。財務省に提出予定の契約書案は増改築特約や更新料支払などの内容で認められないと返答。最終的には借地人に不利な条項を全て削除した契約で文書が出来上がった。

東京借地借家人新聞より


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
 
2006年04月20日

--------------------------------------------------------------------------------

借地明渡で勝訴
 地主の正当事由を否定 

 墨田区東向島で30坪の土地を借り、木造2階建ての建物を建て居住している村上さんは昨年3月に地主から建物収去土地明渡請求で東京地方裁判所に提訴された。昨年11月に判決が下り「原告の請求を棄却する」との内容で村上さんが全面勝訴。地主が控訴せず判決が確定した。

 事の起こりは、前地主が借金を返済できず土地に設定した抵当権に基づき、昭和59年競売が開始された。平成元年に現在の地主が566万円で買取り、地主の地位を承継した。

 その後、地主は地上げ屋を使って土地の明渡を迫り通路妨害などいやがらせを行った。平成2年に村上さんは、通路の占有使用妨害禁止の仮処分を申請し、平成3年に賃借権存在確認請求で提訴し、平成4年に和解が成立した。その時に契約の期限を平成11年12月31日と定めた。

 平成11年7月に地主は更新を拒絶する通知を寄越したが、村上さんは直ちに明渡しを拒否する回答を出した。その後地主が起こした調停は平成12年2月に不調となった。

 今回の判決では、地主の更新拒絶の理由に正当事由があるかどうかが争点となった。判決理由では「本件土地は公道に接してはいるものの、間口は1mにも満たないもので、…本件土地が建物用地として適格性があるものとは認められない。そうすると、更新を拒絶して本件土地の明渡を求めることによって原告の目的(建替えて家族と一緒に暮す)を達することは困難である」と判示した。

東京借地借家人新聞より


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
 
2006年04月19日

--------------------------------------------------------------------------------

借地の更新料を拒否
  更新料特約も無いのに
             200万円の更新料 を請求

 豊島区要町に住む田沼さんは、約58坪の借地で今年の6月で20年の契約期間が満了した。地代は毎月きちんと支払い、建物を改築した時は承諾料も支払ってきた。

 今年の3月に、地主の代理人と称する不動産業者が訪れ「契約を更新したいのならば、更新料を200百万円(坪34500円)支払え」と請求された。年金暮しで息子夫婦と一緒に暮らしていた田沼さんにとっては、いきなりの大金の請求で困っていた時に、組合のチラシが入り、急いで組合に相談に行った。

 組合では、更新料については、法律上の定めもなく契約上の定めのないものは、支払う必要が無いことを説明され、早速組合に入会した。組合では不動産業者に「田沼さんは借地借家人組合の組合員であること、今後の協議は組合を窓口にして行うこと」を通告した。

 その後、不動産業者から「更新料について話合いしたい」と組合に電話があったが、「法的にも契約上でも義務のない更新料は一切支払わない」と通告すると「法律上なくても、私の知るかぎりでは、全員が更新料を支払っている」と言い張ったが、最高裁判例などを説明すると「判りました」と言って電話をきった。

 その後、不動産業者は代理人を下りてしまい、地主も更新料請求については断念した。
 田沼さんは「更新料を支払わずに済んだのは組合を知ったからです。いつ、追出されるのか不安の毎日でしたけれど、これからは安心して、眠れます」と語った。

東京借地借家人新聞より


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。  

2006年04月18日

--------------------------------------------------------------------------------

借地更新料不払い
借地人には更新料支払義務はない

 20年、30年の借地契約期間の満了時に必ずといっていいほどに請求される「更新料」は、借地人にとっては頭の痛い問題だ。各地で開催されている借地借家講座・相談会でも「地主さんから請求された場合、一体どの位払ったらいいのでしょうか」、「更新料の相場を教えて下さい」と言った質問がよく出される。

確かに旧借地法にも借地借家法にも、更新料に関する法律上の規定は何もない。地主が更新料を請求する法律的根拠は何も無いということである。従って、その請求に対して借地人は更新料を支払う必要もないし、支払義務がないことは当然のことである。

借地法・借地借家法では、借地の契約期間が満了しても契約は当然に終了するのではなく、地主に正当事由がなければ、従前の契約と同一の条件で更新したものとみなされる(借地法法4条・6条、借地借家法5条・6条)。

従って、契約の更新に際して借地人が更新料の支払いを拒否した場合、地主はそれを理由にして更新を拒否しても法律の規定に従って自動的に借地契約は法定更新される。

各地で更新料不払い。地主が請求する更新料の金額も千差万別である。
 �@千代田区富士見町1丁目で借地している奥田さんは、契約が昨年末で期間満了した際に地主から更新料を763万円(坪当たり173000円)を請求され、組合を通じて更新料全額を拒否する通知を出した。その後、地主の代理人の弁護士から更新料500万円支払えという調停をかけてきたが、奥田さんは調停には出席しない旨の上申書を裁判所に提出し、あくまでも更新料の支払いを拒否する意向だ。

 �A豊島区西池袋に住む萩原さんは102坪の借地で期間満了に当たり「更新するなら5000万円(坪49万円)支払え」と言われた。組合に相談し、「契約を更新するが、更新料は支払う意思も資力もない」とはっきり文書で断った。その後、地主は金額を半分にしてもいいと言って来たが、萩原さんは地代の供託を続けている。

 �B府中市府中町で約138坪を借地している正宗さんは、地主の代理人から3000万円(坪217400円)の更新料を請求されたが、組合より「更新料は法律上支払う義務はなく、借地契約は法定更新にしたい」と回答したところ、地主はあっさり断念した。

 このように坪何十万という高額な請求がある一方で、高額な請求をして借地人に支払いを拒否されるよりは少しでも支払って貰う方が徳と考え、借地人が支払えそうな金額を請求する事例が多く見掛けるようになった。

 �C台東区谷中で35坪を借地している石井さんは寺の土地を管理する管理会社から105万円(坪3万円)の更新料を請求された。公示価格坪150万円の2%で算定しているという説明を受けた。台東区内でも3〜5万円ぐらいの請求がかなり多い。

 �D足立区の西新井地域で更新料が坪8〜12万円という高めの請求がある一方で、坪2〜3万円といた請求もあり、地主の更新料請求もかなりばらつきがある。

 地主も現実的になり、借地人の支払い可能な限度で請求するようになった(�C、�Dの後者の事例)。

 それでも支払いが困難な借地人は、組合を頼り法定更新と更新料不払の途を選択する(�@、�A、�Bの事例)。この傾向は1976(昭和51)年10月1日の最高裁判所が法定更新時における更新料支払いの慣習を否定したことから、平成初年代からバブル経済の崩壊に伴う地価の下落と経済不況は、更新料不払の増大を加速し、更新料支払い慣行は衰退化の途を辿っている。その後の下級審の裁判例は、法定更新の場合について、更新料支払いの事実たる慣習或は慣習法の存在を認めた判例はない事から法定更新を選択し、更新料不払の途を選ぶ借地人が多くなっている。

 東京借地借家人組合連合会と各借地借家人組合では金額の額に拘らず更新料は不当で根拠のない請求であることを多くの借地人に呼びかけ更新料不払の運動を展開している。


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


2007年04月17日 
--------------------------------------------------------------------------------

地代の大幅値下げ
組合からの通知に地主が40%の値下げを応諾する
 豊島区の池袋駅東口西武百貨店から歩いて2分位の駅前でお食事処を営業している大東さんは、親の代から借地していた。

 バブルの前から地主の再三にわたる値上げ請求で,現在は坪当たり約8000円になってしまった。景気のよい時には何とか支払っていた地代も、この不況の中で大変きついものとなってしまった。何とかならないものかと思い民主商工会の事務所に相談した所、この問題は借地借家組合が一番適任ということで相談にきた。

 組合では、いろいろ調べたところ、半分位の賃料でも高いと判断し、「地主に賃料値下げの請求と話合いに応じるよう」手紙を出した。話合いに応じた地主に裁判も辞さない決意である事を伝えた。地主は、税金の下げ幅に応じた賃料値下げ、即ち現行賃料の4割近い値下げを提案してきた。

 大東さんと組合では、不十分さはあるものの裁判をせずに此処まで値下げできたので了解し、合意する事になった。大東さんは「月5万円以上、年間約70万円の値下げで、何とか商売を続けられます。組合のお陰です」と感謝の言葉を述べた。

東京借地借家人新聞より


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。
 
2006年04月16日

--------------------------------------------------------------------------------

地主が更新料を請求
年金暮しなので更新料は断るつもりですが、
借地契約はどうなるのか
(問)
 今年の11月12日で20年間の借地契約期間が満了する。地主は近所の不動産屋を通じて更新料を坪10万円、34坪で総額340万円請求してきた。
 20年前は坪1万円だったし、私はまだ若く収入もそれなりにあったので更新料の支払いをした。ところが現在、収入は年金だけで、とても地主の請求に応じられない。
 借地借家人組合では、更新料は支払義務がないと言っていますが、更新料を支払わないと新しい契約書がもらえないと思います。その場合、借地契約はどうなるのでしょうか。
 
(答)
借地契約の更新には、地主と借地人が更新契約条件に合意して、新しい契約書に署名捺印する「合意更新」と、新しい契約書を作らずに、そのまま従前の契約期間が過ぎると法律の定めで自動的に更新してしまう「法定更新」の二通りある。

 法定更新した場合の契約条件は、借地上の建物が木造などの非堅固建物ならば契約期間は20年で、その他は従前と同一条件で継続される。

 借地借家法が1992年8月に改正されたが、借地契約を今更新しても新法の適用はされず、旧借地法が引き続き適用される。

 更新料は地主に契約を更新してもらう対価として支払うものと言われている。だが、更新は地主にしてもらわなくても法律の定めで自動的に出来るので、更新料を支払う理由が見出せない。

 また地主は更新料を請求する根拠として「更新料の授受は世間の慣習だ」と主張したが、最高裁判所で慣習説は否定され、借地更新料は支払義務なしとされました(最高裁判所1976年10月1日及び1978年1月24日判決・東京借地借家人組合連合会発行のパンフレット「借地借家更新料について」参照)。

 借地更新料は支払う必要のないものであり、更新料を支払わなくても借地人が後に不利益を蒙ることは全くない。既に更新料を支払わずに法定更新した借地人は大勢いますが、今も従前どおり借地を続けています。

 具体的にすることは、借地法4条に基づいて、
 �@契約期間満了後も従前通り引き続き借りたいという「借地の更新請求」をする、
 �A更新料の請求を断わる、
 以上のことを組合を通じて行えば一層効果的に借地の更新と更新料支払い拒否が達成出来る。

東京借地借家人新聞より


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。

2006年04月15日

-------------------------------------------------------------------------------
敷金を上回るリフォーム代請求を
     少額訴訟で取り返す

 板橋区小豆沢に住む鈴木さんは、3年前に家主から、息子が結婚して同居するから明け渡せと言われて困った時に、友人の紹介で借地借家人組合に入会した。その時は、組合からの手紙で家主も追い出しを断念した。

 昨年、仕事を新たに始めることになり、引越すことになった。組合からのアドバイスを受け、破損部分は自費で修理して明渡すことになった。当日は家主の代理人として不動産業者が立会い、チェックをしていった。それから数日後に見積書が郵送され「金額は32万4千円で敷金が24万円ですから、その差額をお支払いください」という内容。

 家主と何回か話合ったが、鈴木さんは納得できず、組合と相談して裁判にすることにした。当初、支払督促の申立てをする予定だったが、一日で決着がつく少額訴訟に切替えた。事前に組合と相談して写真、被告答弁書に対する反論書も準備した。

 鈴木さんは当日の気持ちをを次のように語った。
 「緊張感で一杯でした。相手の家主と不動産会社の社長が裁判官に対して、契約書に書いてある原状回復の特約は有効かと尋ねると裁判官がこの特約は不法なもので有効ではないと答えると信じられないという感じでもう一度聞き直していましたが、答えは同じでした。それから話し合いに入り、私の主張がほぼ認められ、22万円を返還することで和解しました。意思を曲げなかった事が良い結果を出せたのだと思います」。

東京借地借家人新聞より


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。

2006年04月14日

--------------------------------------------------------------------------------

地上げ屋が競落
 業者が強要 
    底地の買取りか借地権の売渡し
 豊島区千早町は閑静な住宅街だったが、地下鉄の開通などでバブルの頃には、地価が急騰しさまざまな地上げ屋が横行した。その名残りではないが、木下さんの借地も競売になり、競落したのが昔風の地上げ屋だった。

 競落と同時に「底地を買うか借地を売って出ていけ」と連日のように電話、訪問。
 電話を切ろうとすると「勝手に電話を切れると思っているのか」等と脅迫され、生きた心地がしなかった。
 近所にいる借地の組合員に紹介され組合に加入。

 早速、組合から電話を入れ、今後は組合が窓口になると通知した。「てめーらは黙っていろ、じゃまするな」とヤクザ言葉。  このままでは、身の危険も感じるということで、家の前に組合が作った「無理やり電話、面会を強要した場合は、ただちに警察に通報する」という告知板をはり出した。

 その結果、効果てき面で、その後は一切電話も面会もなくなった。

東京借地借家人新聞より


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。

2006年04月13日

--------------------------------------------------------------------------------

借地契約で不利益な特約
 借地人に不利な特約付の契約書の作成を
       要求されたがどうしたらよいか
(問)
 父の代から土地を借りています。10年前に父が亡くなり、長男である私が借地権を相続し、地代を支払っています。父が土地を借りてから70年以上が経過し、建物も相当古くなっていますが、修理しながら建物を維持し生活しています。契約書は全く作成せず口約束で借りていて、地代の領収印が押された通い帳が契約書時から全部残っています。

 地主も代替りし、最近になって契約書を作成したいと言って、契約書の案文を郵送してきました。それを見ると契約期間は10年となっていて「更新時には借地権価格の10%の更新料を支払うことによって契約を更新することができる」「建物の増改築は一切行わないこと」と書かれています。どうしたらいいでしょうか。

(答)
 土地や家の賃貸借契約は口約束でも契約は成立する。借地借家法が一部改正され、更新のない定期借地や定期借家契約が法律で認められたが、定期借地や定期借家契約の場合は書面で契約して置かないと契約として認められない。それ以外の普通の借地や借家の契約は、地代なり家賃の領収書があれば立派に契約は成立する。

 契約書を作成して置かないといつ追出されるか不安だと思っている人もいて、契約書の内容が借地人にとって不利なものであっても判を押してしまう人がいる。契約書は契約内容を証明する一つの手段に過ぎない。貸主側が作成する契約書の多くは、借地人の権利を拘束し、義務ばかり押付けた不利なものが多く、作成したために後で取り返しの付かないことになり兼ねない。

 契約書の特約の中で借地借家法の強行規定に反する条文は無効である。10年の契約期間も旧借地法が適用される借地契約では最低が非堅固な建物では20年、堅固な建物では30年以上でなければ無効となる。更新料の支払特約は判例上、一概に無効とは言えない。

 いずれにしても借地人にとって不利な特約は削除させるか、削除に応じない場合は契約書の作成は拒否した方が得策だ。借地人の中には契約の更新時に莫大な更新料を支払った上に、著しく不利益な契約書を作成し、後で後悔している人が見かけられる。是非とも契約書を作成する前に組合に相談し、充分に点検して貰ってから押印しましょう。

東京借地借家人新聞より


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。   


2006年04月12日

--------------------------------------------------------------------------------

底地が競落される
競落した業者の強引な底地
     買取要求に5名で一致団結  
 板橋区南町の西村さんは、借地して30年以上になる。ここ10年は、地主が何回か代わるなどし、その都度様々な嫌がらせを受けた。 

 2年前に地主が借金の返済ができず貸地を競売にかけられた。競落したのは競売物件を専門にしている業者だった。借地人には「底地を買ってくれ、嫌ならば2〜3年後にくる更新時に更新料をしっかり貰う」と、脅かしつつ強引に底地の買取を迫ってきた。

 最初、1人だった組合員は「底地を買うにしても、引続き借地のままにしても組合としてまとまって業者と交渉しよう」ということで5人に増えた。組合に入っていない人たちは、借地権割合7対3の坪45万円より僅かに安い40万円で購入した人が何人もいた。

 組合員には「引続き借地のままでも、今までと何ら変らない、更新料は払わなくて済む」ことを理解してもらい、組合を窓口にして交渉する方針だ。

 組合は、競落価格を知っているし、もし買取価格で折合いが付かなければ、借地のままにする姿勢でいる。地主の不動産会社は「なんとか買ってもらうことで話しをまとめたい」と組合に申し入れてきた。

 こうした経過の末、業者が最初に提示した価格のほぼ60%で全員が取得できた。
 西村さんは「組合に入っていたお陰で交渉から解決まで全く安心していた」と言っている。

東京借地借家人新聞より


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。  

2006年04月11日

--------------------------------------------------------------------------------

底地買い
 
業者、底地買取を強要 
 北区滝野川で中華料理店を営んでいる杉本さんの家に、関西に本社がある不動産業者が訪れたのは9月の中頃だった。業者は「地主からこの土地を買った。底地を買うか買わないかハッキリさせろ、買わないなら追出してやる」と脅し、今問題になっている商工ローンの取立てみたいな連中だった。

 その後も、営業中にもかかわらず、訪ねてきては「早く土地を買い取れ」と脅迫してくる不動産業者に、杉本さんは、精神的にもまいってしまい、以前から知っていた組合を訪問した。そして、今後の交渉は組合を通じて行うことにした。

 その後、組合事務所を訪れた不動産業者は担当者を入替えて「お宅の組合は大阪でもお世話になっています」と一応低姿勢の挨拶だった。「買うか買わないかは借地人が選択する事、しかも、正当事由がなければ立退きも認められない事、更新料については一切支払わない事」を組合から通告した。最近、この業者が他の土地でも同じような事をしている事がわかった。

東京借地借家人新聞より


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。

2006年04月10日

--------------------------------------------------------------------------------

家賃値上げ特約 
法定更新の選択を通知すると
       家主は特約の削除に合意 
 池袋駅から歩いて5分の繁華街の一角で6年前から美容室を営業している小池さんは、この1月で契約期間が満了する。

 昨年12月に家主から契約更新にともない「原契約にあるとおり、賃料の15%の増額、更新料の2ヵ月分の支払をお願いいたします」と通知してきた。

 小池さんはこの不景気の中で家賃は下がっているのに「契約書には更新時に15%の値上げの特約」があるために毎回値上げを認めていたのでは、五回更新すれば最初の家賃の2倍になってしまう。 そこでなんとかしなければと思って組合事務所にやって来た。

 組合は「更新には、両者が合意して更新する合意更新と合意が出来ない場合、法律が自動的に更新してしまう法定更新があることを説明し、この法定更新では期限の定めのない契約になり更新というものがなくなってしまう事」を説明した。

 小池さんは直ちに家主に現契約書に書いている更新時に、賃料の15%値上げの特約を削除しなければ、法定更新にすることを家主に通知した。

 すると家主側はこの特約を削除する事で合意したいと言ってきた。  小池さんは「最初は不安だったが、組合の言うとおりに交渉したら、一発で解決した。さすが組合だ。困った時は組合に行きなさいと今度は私が宣伝して回ります」と喜んで語った。

東京借地借家人新聞より


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。

2006年04月08日

--------------------------------------------------------------------------------

店鋪賃料値下げで和解
調停で現行賃料を月額1万円減額

 豊島区巣鴨で商売をしている若林さんは、2年前には、家主から家賃値上げの調停を申立てられた。その際は、不調になり値上げをさせることは出来なかった。

 その後の2年間は、景気はますます悪くなる中で近隣の店鋪、事務所の賃料は安くなる一方だった。家主からの嫌がらせも後を経たず、この際、家賃値下げを裁判も辞さずの覚悟で調停を簡易裁判所におこすことを決意した。

 組合の全面的な援助をもらい、調停手続きを行った。近隣の店鋪を賃貸している人や不動産屋からも資料をもらい調停の場に提出した。家主側も近隣の相場を資料として提出したが、家賃が高くて入居者がいないところの資料を出してきた。

 若林さんは、もし値下げに応じないならば本裁判も辞さない決意を表明した。その後、1万円値下げするならば和解に応じてよいと言う提案をしたところ、家主はしぶしぶ和解に応じた。

 若林さんは「組合のお陰で値下げすることが出来ました。この景気の悪いときに大変有り難い結果をえる事ができました」と語った。

東京借地借家人新聞より


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。

2006年04月07日

--------------------------------------------------------------------------------

減額に成功
 
交渉で減額に成功する

  店舗補償金補充の減額交渉も三回

 江東区深川1丁目の田中さんは、地下鉄東西線の門前仲町駅近くで店舗を借り、コーヒー店を営んでいる。

 当初借りたのが25年前。2年契約で家賃は11万円だった。

 その後、契約更新毎に更新料、保証金の償却・補填をはじめ、家賃の値上げは、田中さんが温厚なのにつけ込んで13万円、次は15万円、17万円、20万円、24万円と値上げが続き、保証金の補充は72万円に達した。

 平成2年になって、家賃を28万円に値上げ請求を受けて、田中さんは遂に組合に加入した。組合を通じて家賃額の交渉をした結果、264000円に抑えることができた。

 次の更新からは、弁護士を頼んで保証金補充の減額交渉を三回やってもらい、それなりの成果を上げた。

 田中さんは、現状では、まだまだ負担が重すぎるため、組合のアドバイスで家賃の減額交渉を始めた。1回目の交渉で24000円の値下げを勝取ったが、その後も粘って、さらに1万円値下げに成功した。田中さんは「組合に入っていて本当に良かった」と話している。

東京借地借家人新聞より


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。

2006年04月06日

--------------------------------------------------------------------------------

敷金トラブル
朝日新聞 2005年10月29日 be betweenより

    テーマ:敷金トラブル
 ルールの徹底はこれから

手間もお金もかかる引っ越しについて、beモニターに尋ねたところ、半数近い人は不愉快な思いをしていました。

 なかでも不満が多いのは、「返還された敷金の額」です。引っ越し業者のサービスや価格と並んで、500人以上が原因としてあげました。

 「わずか7カ月の入居で大人2人だけ。汚しも壊しもしないのに敷金では足りないと、改装費を別に請求された」(福島、62歳女性)、「壁の色あせを理由に敷金のほとんどが戻らなかった」(奈良、61歳男性)と、不当な扱いをされたという思いを持つ人は多いようです。

 どう対応していいかわからず、泣き寝入りする人も。「引っ越し当日の忙しい最中、交渉している余裕が無かった。また、自分自身に知識も無く、どのくらいが相場かもよく分からなかった」(神奈川、28歳女性)。ただ、交渉すると強いのは女性かもしれません。「交渉したが聞いてもらえなかった」という答えは女性より男性の回答者が多く、全部または一部を認めさせた、という答えは、いずれも女性が上回りました。

 「消費者法が専門。こちらに従う義務がないことを、配達記録郵便で示すと、あっさり応じた。必要なものは揺るがない法的根拠」(愛知、24歳女性)と、専門知識がある人は損をしていません。

 残念ながら、裁判になることもあります。「簡易裁判所に調停を申し立て、やっと半額を取り返した。立ち退きの際のトラブルを未然に防止する法律を整備する必要がある」(千葉、56歳男性)という意見は、ごもっともです。

 「入居している人は、家賃を払えば何をしてもいいという考えでなく、自分の家と同じ考えで大切に使ってもらいたい」(新潟、58歳男性)という大家さんからの注文もありました。

 国土交通省は敷金トラブル解決のため、判例などをもとに「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」をまとめて公表していますが、知っていると答えた人は11%でした。早く常識として広がることを期待したいものです。

(担当 松浦新)




 beモニター 現在、全国で約8400人が登録しているbeの読者。02年4月の土曜be創刊以来、折をみて募集し、インターネットで毎週調査している。



●シックハウスの症状が出て3カ月で転居したにもかかわらず、敷金からがっぽり引かれた(兵庫、31歳女性)

●敷金が戻らず、1年以上過ぎてから30万円以上の請求があった。地道に粘ってあきらめさせた(福岡、47歳女性)

●借り主に責任がある修復も、礼金の中でおさめるべきだ。だいたい礼金だっておかしな名目(山梨、47歳女性)

●九州から関西に引っ越した後だったので、一度電話で交渉しただけであきらめた(熊本、32歳男性)

●仲介業者が暴力団風の電話をかけてきた(静岡、50歳男性)

●文句を言ったが、専門用語を並べられたり、また別の平日に立ち会えなど無理な要求をされてあきらめた。いまだに気分が悪い(神奈川、33歳女性)

●大家の側から言えば非常識な入居者もいる。次の転居先などまで大家側が面倒を見て、未回収の家賃も泣き寝入りすることも(東京、52歳男性)


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。


2006年04月05日

--------------------------------------------------------------------------------

鉄骨住宅に建替え
建替承諾料・借地更新料支払い無し

 地主との4年半に亘る裁判の末に、借地上に鉄骨3階建の自宅がやっと完成した。
 事件の発端は、地主側弁護士からの通告書であった。借地期限が後1年になったことから、建築計画を立て、建築会社の設計図も完成し、新築の準備をしていた矢先のことであった。
 地主側の通告書には、「通告人は、本書面を以って貴殿が本件土地上に於いて建物の新築・改築又は増築を行わないよう請求致します」と記されていた。

 ところが、裁判の始まる5年前に「貸地上に建築計画上の住宅・店舗の建築に際して更新料・承諾料の要求は一切致しません」と言う直筆の実印が押された念書を地主から貰っており、地主からは既に建物建築の承諾を得ていたにも拘らず、このような建築中止の通告である。地主の悪どい遣り方に納得が出来ず裁判に訴えた。

 地主の敷地は借地部分を含めると約250坪で奥に長い四角形である。言問通りに面し、その南側にある。言問通りに面した部分〈約70坪〉に借地人の4軒の建物が建っている。従って地主の土地はその一部が言問通りに面し、L字形をしている。土地の殆どは借地人達の建物の裏(北)側にある。
 地主は裁判が始まる5年前に住宅金融公庫から建築資金を得て、5階建の賃貸マンションの建築を11月から始めた。ところが、地主の敷地内で工事が行われていれば何ら文句は無い。しかし、4軒の借地人の同意も得ずに、その借地内に勝手に入り込んで無断で足場を組み、あまつさえ借地部分に60�p以上も喰い込んで鉄板で囲い始めた。公庫と建築会社に敷地の無断使用を抗議した結果、工事は全面的にストップした。

 公庫・建築会社と借地人との話合いの過程で、山留めのH鋼が借地人の敷地内に16本打ち込まれる計画であることが判明した。敷地外にH鋼を移動することは、現在の建築面積が採算ラインぎりぎりであって、これ以上建築面積の縮小は採算ライン以下になり工事の全面見直しとなる。H鋼の移動は不可能である事も解った。公庫は地主の杜撰な建築計画に常識外れと呆れていた。

 公庫は地主に対して、借地人の同意が得られず、12月中に着工出来ない場合、融資打ち切り・建築中止を勧告した。
 地主は建築中止を怖れ、借地人が要求する内容の念書を仕方なく書いたのであるが、借地人としては16本のH鋼 の打ち込みを容認する代償として念書を得たのである。

 裁判が始まると地主側は木造建物の建築承諾はしたが、堅固建物の建築承諾はしていないと反論してきた。だが、裁判の結果は非堅固建物から堅固建物への変更を認め、30年の借地契約で鉄骨3階建の建物へ建替えることを認めた。地主が書いた念書通り建替承諾料・借地更新料共に支払わずに済んだ。

 建築資金は店舗併用住宅なので国民生活公庫から融資を受けて、裁判から2年後に建物は完成した。


台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。

2006年04月04日

--------------------------------------------------------------------------------

民法の現代語化
2005年4月1日から施行されている民法は、2004年11月25日に第161回国会で可決成立した「民法の一部を改正する法律案」により12月1日法律147号として公布されたものである。

 既に民法の第4編親族、第5編相続は昭和22(1947)年に大改正され平仮名・口語化されていた。だが第1編総則、第2編物権、第3編債権は明治29(1896)年の制定以来、部分的な手直しは有ったが全面的な改正を受けないまま、片仮名・文語体の表記形式が維持されていた。現代では殆ど使われない用語・用字が条文中に多数残されていた。

 そこで法務省は民法の現代語化の基本方針として
�@第1編から第3編までの片仮名・文語体の表記を平仮名・口語体に改める、
�A現代では一般的に用いられていない用語を他の適当なものに置き換える、
�B確立された判例・通説の解釈で条文の文言に明示的に示されていないもの等を規定に盛り込む等である。

 例えば「或土地カ他ノ土地ニ囲繞セラレテ公路ニ通セサルトキハ其土地ノ所有者ハ公路ニ至ル為メ囲繞地ヲ通行スルコトヲ得」(210条)。

 句読点も濁点も無い片仮名交じりで、加えて難しい漢字も見受けられる条文が今回の現代語化で次のように改められた。

「他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる」。
 用語の平易化は「公路」を「公道」に、「囲繞地」を「その土地を囲んでいる他の土地」。

 他に「疆界」を「境界」、「溝渠」を「溝、堀」、「穿ツ」を「掘る」、「僕婢」を「家事使用人」、「薪炭油」を「燃料及び電気」、「欠缺」を「不存在」、「事跡」を「事由」、「出捐ヲ為シテ」を「費用を支出して」に置き換えている。



台東借地借家人組合 
無料電話相談は03−3821−6043
受付は月曜日〜金曜日(午前10時〜午後4時)
尚、無料電話相談は原則1回のみとさせて頂きます。

2006年04月03日

-----------------------------------------