「弱り行く身ぞ悲しき」
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       「 ・・・


         年老いて 昔を恋しいと思った時もあったけれど
         さらに老いを重ねた 今では
         最初に昔を恋しいと思った時点が懐かしい

         美麗を尽くした往時にひきかえ
         今は 草の庵に起き伏しする身である

         無常を告げる 関寺の鐘の音も
         無常を悟った後までも 生き長らえている
         自分にとっては 今さらめいていて
         何の感慨もない

         ・・・

         好きな和歌に興ずる毎日ではあるが
         その歌も
         我が身同様 日々衰えていく ....


         ・・・ 」













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