はまべ
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         《 人は何千年もの間
           液体からなる広大なスペース「海」に対して
           ことに曖昧で油断のならない海岸に対して嫌悪を抱いてきた
           とは アラン・コルバンの力説するところで
           そこから彼は 浜辺の魅力の発見 いわゆる海辺の発見が
           まったく近代のものであることを主張している

           しかし 中世期から人文主義 ルネサンスにいたる時代
           また一般に 近代以前の科学・旅行・娯楽の文学において
           海や浜辺に対する「嫌悪に裏打ちされたイメージ」を思わせる
           痕跡がみつからないことを まずいっておかなければならない

           コルバンによると
           プレロマン主義の海の魅力の発見に伴って
           新しい感情がうまれ それとともに
           「人類の過去に埋もれていった
            幾多の惨禍のなごりをとどめる混沌であり
            たえず動揺に身をまかせながら陰鬱にどこまでも広がり
            思いもかけないときに猛り狂う
            そら恐ろしいばかりの海の姿」も また同様に
           浜辺に潜む罠や汚臭への不信や不快感も解けたのだという

           「謎めく浜辺の毒気 ありとあらゆる侵入にさらされ
            海淵の排泄物が流れついては留まる不分明な線」という
           海と浜辺の持つ嫌悪のイメージを
           水と砂の再発見は消したのだと

           ・・・ 》


           〜 ピエーロ・カンポレージ : 風景の誕生

             〈中山悦子 訳〉






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              「浜辺の誕生」 : アラン・コルバン



               パリ 1988

               ヴェネツィア 1990

               ・・・

               邦訳 1992






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         《 ・・・

           ヨーロッパで大自然の美しさが意識されるようになり

           心情を重ね合わせて自然の風景を眺めるようになるのは

           周知のように ロマン主義の時代になってからのことである

           ・・・ 》


           = 中山悦子







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         フィリップ・グラス / ロバート・ウィルソン :

         『 浜辺のアインシュタイン 』 EINSTEIN ON THE BEACH


         マイケル・リーズマン指揮
         フィリップ・グラス・アンサンブル&コーラス

         ポール・ズーコフスキー〈ヴァイオリン〉



         − を 味わう































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