出自
.





















         《 ・・・

           子どもに向けられる愛情と教育的配慮のまなざしは
           特に母親とこどもの関係に重ねられ
           子育てと子どもの教育における母親の責任を
           重くとらえる傾向が増していくが

           バダンテール〈E. Badinter〉は
           そうした 母親の本能としての母性愛も
           やはり近代家族神話としてつくられたものだ
           と 指摘している

           しかし そのことが それ以前の社会においては
           子どもにまったく無関心であったとか
           残酷な扱いをしていたということを
           必ずしも意味するわけではない

           ルークス〈F. Lukes〉は
           歴史人類学の手法を用いて
           19世紀フランスにおける
           出産と子育てをめぐる習俗を採取し
           現代の医学的・教育的見地から見れば無意味だったり
           子どもへの配慮のなさを示すものにみえる
           そうした習俗が
           予防医学の観点にたった 子どもの健康への配慮や
           親族関係や社会関係の網の目のなかに
           子どもを位置づけていく営みであったことを
           身体を軸とした象徴システムとの関係のなかで
           読み解いていった

           子育てをめぐる習俗のなかに
           子どもへの愛情や配慮とは異なった
           社会的意味を有していたことを明らかにしたのである

           ・・・ 》


           〜 稲垣恭子 : 家族文化と社会化







         ●






         《 ・・・

           かつては 「地域・血縁」や「職業集団」によって
           すなわち緩やかに 多くの人々によって
           「子育て」が遂行されていたが
           近代はここに エージェント〈担当者〉と
           メカニズム〈方法〉を「制度」化した

           こうして 保護と教育の与えられるべき
           「<子ども>の誕生」〈Pilippe Aries〉を
           見るにいたったのである ・・・ 》


           〜 森 繁男 : 近代社会と幼児教育






           ●






















.