『平成十六夜日記』
一周忌 姉と分け合う 君子蘭 (十六夜)



 父の亡くなった11月5日が近づいてきました。

 母も大事に手入れをしていた君子蘭は 

 ことしの春 立派に花を咲かせてくれました。

 慣れない手つきで 植え替えをした鉢も いまはもう

 小さいくらいで、 よく見れば 株はふたつ、

 本格的な霜がおりないうちに 株分けをしようと

 思っていました。


 不思議なもので ふと 思いついた上の句を書いた紙を

 机の上にしばらく置いておきましたら。。

 きのう 偶然 姉に出会いました。

 日傘を掲げ、地味ながら総レースのカーディガンを

 羽織った姉は ことし2月に家裁で会ってから以来で

 互いに 「会って話をしなければ」と 思いつつ

 様々な思いが交差して 同じ市内に住まいながら

 会うことができなかった 姉妹です。

 日傘の下から わたしを見つめながら 姉は 驚きつつも

 すこし覚悟を決めた表情で、

 「・・会わせてくれるものね。 お茶でも 飲む?」と。