かしょ
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  《 ・・・


     歌書よりも軍書に悲し吉野山

    古来、幾百位苦戦とも知れぬ歌人や文学者によって
   詠われてきた吉野山だが、そういう詩歌をいくつ集めてみても、
   この美しい土地を背景に繰り広げられた戦いの歴史が描き出した
   「滅びの美学」を凌駕することはできないという。


   ・・・ 》


   ~ 「天河伝説殺人事件(上)」 内田康夫/角川文庫






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  【歌書】 かしょ


   歌道に関する書物。

   歌論書。

   歌集。





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  【歌書羽織】 かしょばおり


   歌書の古筆切で作った紙子羽織。



  【紙子・紙衣】 かみこ


   紙で作った衣服。

   上質の厚くすいた和紙に柿渋をぬり、
   何度も日にかわかし、
   夜露にさらしてもみやわらげ、
   衣服に仕立てたもの。

   女の手によらないで作ることができるので、
   もと律宗の僧侶が用いたという。

   はじめ、
   布の代用品として広く貴賤の間で用いたが、
   安価であるところからのちには貧乏人が愛用。

   かみぎぬ。《季・冬》


   *


   粗末な衣服というところから、
   あわれな姿、
   おちぶれた状態 - の たとえ。





  【古筆切】 こひつぎれ


   古筆 -

      古人の筆跡。
      古人の書いた書画。
      とくに、
      平安時代から鎌倉時代にかけて書かれた
      和様の書道のすぐれたもの。
      主にかな書きのものをいう。

   - の 断片。


   平安時代から鎌倉時代にかけての歌集、
   物語、経巻などを、
   数行または一葉に切断したもの。


   茶道の流行に伴い、
   これを掛軸などにしたてて茶席などの装飾用、
   鑑賞用としたり、
   各種の古筆切を張りこんだ
   古筆手鑑を作ったりすることが盛んに行なわれた。




   ~ Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban
     (Revised edition) Shogakukan 1988














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