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            今日のような <子供期>〈フランス語で enfance 〉の概念は
            中世のヨーロッパには存在しなかったことがわかっている

            そのことは勿論
            中世のヨーロッパに <子供>がいなかった
            ということを 意味しているのではない

            ・・・

            中世の人々は
            われわれの社会が<子供>を扱うような仕方で
            つまり
            <大人>の社会から隔離し保護すべき特別な存在として
            現代の<子供>に当たる年齢段階の者たちを
            扱うことはしなかった

            それゆえ <子供期>というものが
            語義的にも法的にも 正確な定義の対象ではなかったように
            社会における<子供期>のもつ重要性は低く
            また<子供期>の期間というのも
            見習い奉公に出るまでの短い幼児期に当たるとみられていたに
            すぎなかった

            子供期が存在しなかった というのは
            このような意味においてなのである〈Aries 1960〉

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            = 小林亜子 : 若者組と青年期
























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