幣舞橋 北海道東部経済の象徴的空間で示す『くしろ写真帳』 by 佐藤宥紹
幣舞橋 北海道東部経済の象徴的空間で示す『くしろ写真帳』 by 佐藤宥紹


 『くしろ写真帳』は2021年6月、北海道新聞社から発行された。「Ⅶ.年表」50ページを伴う、B5判264ページの大著だ。その目次は以下のとおりである。
  はじめに
  Ⅰ.幣舞橋 釧路川
  Ⅱ.港とともに
  Ⅲ.中心街今昔
  Ⅳ.ヤマのまち
  Ⅴ.鳥取地区
  Ⅵ.木処 釧路
  Ⅶ.年表
  解説 編集後記

 「札幌市」が上、下二巻構成である点は別として、函館・旭川・室蘭・小樽の各都市編が160ページの規格であった点と比するに、大層の意思を表明しものであった。
 北海道に明治33年北海道区制が施行され、大正9年までに区制が敷かれた6都市の、最後の出版でもあった。

 「あなたが、さー」「白紙に太平洋にそそぐ釧路川を書き、下流部に阿寒川を合流させた図をもとに展開した話」。
 「その話を聴いて、即、『この本は幣舞橋から始める』と、考えがまとまった」。
 「札幌の本社で、釧路ゆかりのヒトに聞いてみても、皆、幣舞橋をあげる」「これで、行く!!」。

 担当の北海道新聞社出版局の大倉玄嗣さんは、そう申された。
 最初の校正刷りを手に、その構成に目をみはりつつ、釧路市の特性を明示した構成に注目した時の、ヤリトリ。

 いつのころからか説明には常に、掲載図面に依拠した白紙に図示して、と。そうなった。
 確か吉田常吉さんと記憶するが、松浦武四郎研究者の来訪を受けたことがある。
 その折も変わらずに説明したのだが・・・・。

 同僚というより先輩から「初めて図示しながらの説明を聞いたが、非常によく理解できた」。そう、申されたのであるも。