<物価高>じわり 震災に国際市況高が追い打ち
<物価高>じわり 震災に国際市況高が追い打ち

毎日新聞 4月29日(金)21時1分配信

 「内憂外患」が、食品や生活用品の価格をジワジワと押し上げている。

国内では、東日本大震災による品不足。海外でも、小麦や原油など商品価格が高騰。

被災地の生産拠点は少しずつ復旧し、品不足は解消に向かいつつあるが、

中東・北アフリカの政情不安の長期化などで、国際的な商品価格の上昇は収まる気配がない。

スーパーの特売も激減しており、消費者の懐具合は厳しさを増しそうだ。【井出晋平、谷多由】

 ◇卵、高止まり

 「特売できないよ」。東京都内のスーパーの鶏卵売り場担当者はこうぼやく。

1パック10個入りの主力商品は震災前より20円高い298円。

震災直後のような欠品こそなくなったものの、仕入れ価格は一向に下がらない。

「今は品切れさせないことが大事。少しでも安くするとすぐ売り切れてしまうので、大幅値引きは控えざるを得ない」という。

 「物価の優等生」の卵が値上がりしているのは、東北地方の養鶏場や飼料工場が被災し、

親鶏の減少とエサ不足で産卵数が落ち込んだためだ。

鶏卵販売会社「JA全農たまご」によると、卸売価格は3月末、1キロ260円(Mサイズ)と、

震災前に比べ約4割上昇。徐々に入荷は増えているが、28日も約240円と高止まりしている。

 ◇特売が激減

 震災後の品不足の影響は、さまざまな製品に及んでいる。

全国2万店以上のスーパーのチラシを調べている「チラシレポート」によると、

震災前に平均83円だった大手メーカーのミネラルウオーター(2リットル)の

4月18~24日の価格は、約10%高の92円。

450グラムのヨーグルトが134円から146円に、

12ロール入りトイレットペーパーも286円から312円にそれぞれ値上がりした。

 スーパーの特売も激減した。

チラシレポートの集計では、3月7~13日に約3300回特売されていたアサヒビールのスーパードライは

4月18~24日は1913回に、キリンビールの淡麗グリーンラベルは1982回から16回にそれぞれ減った。

1066回あったアサヒ飲料のミネラルウオーター「六甲のおいしい水」の特売はゼロに。

28日、都内のスーパーで買い物をしていた主婦(59)は

「チラシの特売で献立を考えていたのに、どこもしなくなってしまい、財布には厳しい」と話す。