残暑お見舞い申し上げます。。
朝顔の 色も涼やかな絵柄のはがき
もうずいぶん前に買ってあった
みつめても みつめても
ことばが こころを裏切るようで
ペンをとる気にならなかった。。
きのうようやく 姉へ書いた。
「残暑お見舞い申し上げます。
まだまだ暑いですね。
身体には 充分気をつけてください。

 
  病院のことは わたしが窓口になって
  すすめますので
  心配しないでくださいね。」



文字というものは そのまま そのときの
心模様を表す。 ごまかすことはできない。
あて先は 心を鎮めて書いたものの
肝心の姉の名前は こころもち歪んだ。
仕方ない、 と 自分に言い聞かす。

小雨のなか、お気に入りの傘をさし、
いつもの郵便局へ向かい、
用事をすます前に、道路に赤く建つ
四角いポストへと、そっと 投函した。

手紙ではなく 葉書をしたためたのは
おそらく 週末に眼にするだろう義兄へも
それとなく 伝わるようにとの 思い。

社会福祉士は わたしへこうこの間伝えた。
「お義兄さまのなまえも教えていただけますか?
脅すようではないですが、おねえさまへは言っておきました。
必要とあれば ご主人の職場へ お電話することも
あるかもしれませんよと。」

すでに 退職して家で過ごす姉の具合は
いったい どんななのだろう。

社会福祉士の言によれば、姉の声は弱弱しく
心底 困った風だという。
そして 病人のことは、
「対応しかねる」と。

「え~ お金のことも含めて、ですね。」
社会福祉士は そう言い添えた。

編集 十六夜 : こんなこともあったかなあ、と。今は。