神社の参道にて
寒さのなかにも 小春日和のあたたかい陽射しが

木々のあいだから差し込んでいた。

ひとつ深呼吸して いつもの鳥居をくぐると

めずらしく 子供たちの声が聞こえた。

見ると 参道の真ん中に 自転車を倒し置いたままである。

わたしは ロングコートのポケットに手をいれたまま

ゆっくり まっすぐ 参道のまんなかを歩いていった。

それから もう一度深呼吸して 子供たちを見回した。

「ここは 参道といって、神様の通り道なの。」

わたしは 振り返って自分がはいってきた 鳥居のほうを

指差した。

「ね? あそこから ずっと この場所。。

さ 自転車は ここをよけて置きましょうね。」

子供たちは 言われるがままに 素直に自転車を別の場所へと

移した。

わたしは にっこりして言った。

「ありがとう。 みんな今日はきっといいことがあるわよ(微笑)」

いつものように 賽銭箱へお金を投げ入れ、

手を合わせる。

萩や彼岸花が咲いていた岩陰を 左に見て、さらにいくと

お気に入りの手作りパンの並ぶ「ピッコロ」は もう すぐそこである。