紫苑の花束
美しい藤棚で知られる 公園で わたしは

紫苑の花を束ねていた。

ちかくでは 男の子ふたりが ポテトチップの袋を抱えながら

カードゲームに興じている。

声色を「おかあさん役」にして ひとりの子がはしゃぎだした。

ほどよい距離にいるわたしを意識してか ふたりの声が

大きくなった。 

わたしも 気づかぬように ときおりくすくすと笑い声をたてる。

はしゃぎすぎた男の子をたしなめるように もうひとりの子が

こういうのが聴こえた。

「しツ だめだよ。そんなこと言ったら。

”そばにおとなもいるんだし”」