バス通りから細い道を北へ入り

昨年見た 八重桜の木を 横目に見ながら 毎年八月の祭礼神輿が休みをとる場所へ出ると

目の前に それは見事な枝垂れ桜が一本 そびえ立っていたのです。

一瞬わたしはたじろぐような思いで 道の半ばに立ち

その大きな枝垂れ桜の木を見上げました。

風はゆったりと 木の周りをめぐり

枝垂れ桜の花枝は 優雅に 奔放に

その躯を 温かい春風に任せているようでした。


(平成十六夜日記 に つづく)