ゆの音
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「手づかひ、いといたう唐めき、

 ゆの音ふかう澄ましたり」



 * 源氏物語 ‐ 明石











【揺】 ゆ 


 琴(きん)や 箏(そう)などで、
 余韻を波うたせるために
 左の手の指先で絃を左右(琴)、
 または上下(箏)に
 幾回か ゆすること。

 また、その音。


 ~ Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban
   (Revised edition) Shogakukan 1988











《 ...


 「こと」という楽器をあらわす文字としては
 「琴」が広く使われている

 しかし 琴は「きん」という別の楽器である

 ふつう目にする十三弦の「こと」は
「筝」の文字を使うのが正しい

 筝は「そう」と発音し 自由に動かすことのできる
 柱(じ)を持つという点で 琴と区別される

 昔の日本では
「そうのこと」 「きんのこと」 「びわのこと」
 のように 弦楽器であればなんでも
 「こと」と呼んだ

 ここから混乱が生じた ・・・

 なお 現在では
 雅楽で使われるのを「楽筝」といい
 ・・・ 区別している


 ... 》  = 竹内道敬










流寓 ...


他郷に さすらい

住む




源氏

二七歳の三月から二八歳の八月

- の こと







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