その時
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         《 ・・・


           この 外部にある 大人のはたらきかけが

           相互作用の過程を経て

           子どもの内部に 取り込まれていく様子を

           ヴィゴツキー自身が述べている

           指示身振りの発達を用いて説明してみよう


           ・・・ 》









          ●










         《 指示身振りは もともとは

           乳児が外にあるものをつかもうとした

           把握運動に その起源がある 》









         しかし

         《 母親が

           この運動を 指示として意味づけ

           その物を渡してあげると 状況は一変する 》









         その時


         《 把握という 運動は

           物を指し示すという 機能に

           変化するのである 》









         大事なのは



         《 この指さしが

           自分の中にはじめからあるのでもなく

           また 母親の動作の 単なる模倣なのでもない 》



         といふことである









         《 まわりの人に

           それが指示として 理解されることから始まり

           母親の 指示機能に反応した行動

           〈指示されたものを渡す〉を とるようになる

           そして 子どもは

           最後には 自分の指さしを 自覚するようになる 》









           ■ 佐藤公治 : 学習の動機づけ・社会的文脈 より













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