岩手県、浸水域での住宅建築制限へ
岩手県、浸水域での住宅建築制限へ

TBS系(JNN) 4月18日(月)20時33分配信

 がれきの中にできた1件のプレハブ小屋。津波で住宅が全壊し、避難所で暮らしていた男性が、ゆっくり広い場所で寝たいと自分で建てました。

 「代々ここに住んでいるからここが一番いい。先も短いし・・・」(ここに住む男性)

 ただ、この場所は津波の被害をまともに受けた地域。地震があれば再び津波に襲われる恐れもあるため、陸前高田市は16日、男性にここで住むのはやめるよう協力を求めました。

 市も臨時の広報誌で、浸水域での建築行為は見合わせるよう住民に呼びかけていますが、これに法的拘束はありません。

 このため岩手県は18日、こうした浸水の被害にあった地域について建築基準法の「災害危険区域」に指定し、土地利用を規制するよう、市町村に要請する方針を打ち出しました。

 「さまざまな安全を確保しながら未来志向の街づくりなどを考えていく上でも(規制は)有効だと考える」(岩手県 達増拓也知事)

 復興に向け県民の安全を確保し、無秩序な建築を防ぐのが目的で、災害危険区域に指定されると、新たに住宅などの建築が出来なくなります。

 すでに浸水域での新たな住宅の建築を見合わせるよう、市民にお願いの文書を出した大船渡市。市には、もう一度同じ場所に住みたいとの要望も多く、複雑な表情をみせます。

 「個人の思い、財産といったものを今後の街づくりをどう考えていけばいいのか、その接点をまさにどう考えていけばいいのか」(大船渡市都市整備部 佐藤守部長)

 一方、陸前高田市のプレハブ小屋に住む男性の家族は18日のJNNの取材に対し、市の方針には従う考えを示し、規制の対象になれば、家を離れると話しています。

 県の方針を受け、今後は各市町村がそれぞれの事情に応じて、「危険区域」の範囲や期間を決め、条例を制定することになりますが、
土地所有者の権利が厳しく制限されることから住民の反発も予想されます。(18日17:30)