「どうか 無理はなさらないでください」
5月25日に 病棟を移ったとのこと。

完全看護だが、本人が 寒いので

着替えをもってきてほしいと 何度も わたしに電話するようにとの 

若い看護婦からの伝言がはいっていた。

さいしょ 「持ってきて欲しい」が 「持ってくるように」と

命令調にかわっていた。

こころに 波をたてないよう わたしは 次のメッセージをきく。

そして しばらく考えたあと 「でんえもん」から 病院へ

電話をいれた。

新しい病棟の看護婦は 明るい声で 病棟を替わった理由を

わたしの尋ねに応じて 答えてくれた。

自分の体調不良と 必要とあれば 着替えを送るが

それまで 病院のもので間に合わせてもらう様頼んだ。

「だいじょうぶですよ。やんわり伝えますから。」

「それより、お体 無理なさらないでください。」

年若い 看護婦のやさしい声が 正座して電話するわたしの

硬いこころに 暖かく染み渡った。

見えない涙が つと 流れた。

                    izayoi