牡丹と藤の浴衣 
きのう 汗ばむほどの陽気の街で、

ガーゼのハンカチを一枚買ったのです。

そこは 和装小物を扱う店で、店先のワゴンに

手ごろな手ぬぐいやハンカチや 手提げ袋など

置いてあり、何度か通り過ぎたことのある場所でした。

ハンカチの絵柄は 「すこし早いかな」と思いつつ

朝顔を選びました。

たった一枚のハンカチに そのままでいいと思うのに

店の奥から出てきた若い女性の店員さんは

美しい紙に サイズを気にしながら きちんと

ハンカチをいれ、わたしに渡してくれました。

そんな心遣いに 慌しく過ごした一日の疲れも忘れ

わたしは ほっと一息ついて 店のなかを見回しました。

すると 眼にも鮮やかな色の 藤の花の柄の

浴衣が かかっているのに気がつきました。

濃淡の具合も素晴らしく まっすぐに しっとりと

その花房を風に揺らし垂れる藤の花に、

気がつけば 牡丹の花々が そっと寄り添っているのです。

けれど 主役は やはり藤の花なのです。(微笑)

紺地の浴衣は よく以前着たものですが、

こんなに あでやかな柄を 浴衣に選んだことはありません。

肩に羽織らせてもらい、鏡のなかの自分を見ていると

なんだか 不思議なきもちにさせられました。

わたしは 思わず 店員さんにいっていました。

「藤の花、 わたし、 大好きなんです。。」

涙ぐみそうになるのを こらえ、 わたしは もう一度

鏡のなかを みつめました。

買ってきましたよ。(笑

帯は すこし紫がかった 濃いピンク。これは おそらく

店主であるらしい 男性が奥から選んでくれました。

さすがだな。。と 思いましたね。

それと、浴衣を着るにはすこし 高さのある草履。

これは 絽の着物のときなどにも 履けそうです。