「ことしもよろしくお願いします。」
姉からの年賀状は わたしが出した賀状へのいわば

ご返事だった。

お決まりの年賀のあいさつ文字。

大きくイラストの牛が寝そべるその下に、

印刷された義兄の名前。

その下に 手書きで姉の名前が書かれていた。

たったそれだけである。

わたしは 離れで それをひとりしみじみ読んだ。


同時に 長女である 姉の ときに冷淡にも思えるほどの

きっぱりした性格や、妹のわたしを ていねいに

「あなた」と呼ぶ その物の言い方やしぐさなどを

思い出していた。