「落ち葉散る秋」
おとといのこと。というのは 10月10日のこと。

枝垂れ桜のある場所を 以前と「別方向」に 通り過ぎた。

桜の葉は 2分ほど紅葉していた。

道の端を すこし腰をかがめて 箒で掃いている男がいた。

頭のうしろ部分は 髪が少なくなっている。

男の姿と重なるように 小学生の男の子たちが 3~4人 

ランドセルをしょって その道を通り過ぎた。

「おかえり」とでもいっているのだろうか。ことばを交わす

子等と男のようすが、とおくから窺い知れる。

子供たちが通り過ぎると同時に わたしの足は 

いちばん その場所へと近づいていた。

男は 箒をもったまま こちらに振り向いた。

わたしは ゆっくりと 深く 頭を下げた。

男も おそらく わたしと気づいたのだろう。

すこしだけ笑みを浮かべながら 無言で会釈を返してきた。

「落ち葉散る秋」

この道を また 通っている自分が

すこしだけ 厭わしく思われた。



10月12日 記