卒業記念
偶然といえば 偶然だった。

先日 9月の終わりごろに わたしは小さいころからの写真の整理をしていた。

小学6年生の写真に手をつけたとき、

そのなかに、みんなで泥んこのなかで手作業をしている写真が
一枚あった。

けれど。。それが 「なにをしているときの写真」だったのか

思い出すことはできないでいたのだった。


「何年生?」 わたしの問いに 彼女たちは

”大先輩”に敬意を表してか 「はい 三年生ですっ」と

行儀良く 声を揃えて答えてくれた。

「そおなんだ。」 ひとりひとり顔を見ると どの子も

とても健康そうだ。

「これから 学校へ行くんですか?」と 彼女たち。

「うん。ひさしぶりに 行ってみようかな、と思って」

「友情の泉も ありますよ!」

まるで 学校の広報担当でもあるかのように ひとりが

わたしに教えてくれた。

そのとき。。わたしは 思い出したのだ。

閃光のようなものが わたしの体をつきぬけた。

ちいさな感動そのままに わたしは彼女たちに言った。

「ほんと? あれ。。わたしたちが作ったのよ」

「へえ。。」と 彼女たち。

リーダー格の しっかりした面立ちのひとりが しみじみと

わたしの感動に答えるかのように 口を開いた。

「あの 泉は ”あなたがた”が つく ったん ですか。。」