君へ
今日は 病人の診察の日だったので おなじ位の時間に家を出て、下の川まで行ってきました。 鴨がいるかと思ったのですけど 姿はありませんでした。
川の水は清らかで 鯉の泳ぐ姿も はっきりと見えるほどでした。 切り立った崖のところどころからは 滝が音を立てて流れ、すっかり夏を思わすような陽射しに目を細めると 川面に映る青楓の影が 揺れているのが見えました。
去年の春に見た 山櫻の木は すっかり葉を繁らせ ほんのところどころに 花を遺すのみで、とうとう今年は その雪のように白い桜花を愛でてやることができなかったことが哀しくて、すこし泣きました。

けれど よく見ると 葉陰に 赤い実をつけていて さくらんぼとはいいにくい姿でも とてもいとおしく 感じられました。
何枚か 懐かしい場所で
写真を撮り、病人が帰ってくるまでの間 会館の学習室で勉強をしました。開け放れた二階の窓からは 気持ちのよい風が吹き込み ときおりノートや本を乱すのですが そのほかには 今日はひとの姿もなく ひさしぶりに ひとりの時間を集中して過ごすことが できました。今日持ち込んだ本は 茂木健一郎の「欲望する脳」です。PC mobile可の場所なので 作業もはかどります。なにより 静かに 集中することのできたことが わたしの こころをも 解きほぐしてくれ いつになく「自分らしい自分」を 取り戻せたことが うれしいです。