遠く 支えてくれるもの
ぴったりと 義兄の名前に寄り添って書かれた姉の字は

まるで わたしが出した賀状の

「家族も仕事も大事ですが。。」という文面に

反発しているかのようにも見えた。


(「わたしは 貴女ほど自由ではないのよ。」)


もっとも わたしもそのような書き方をすることで

もしかしたら 姉の家庭内に

小さな波を立てることになりはしないかと

書きながらふと 思ったりはした。

わたしは 昨年

自分の白い雑記長に 

何度 姉への手紙の 「下書き」をしただろう。

あるときは 懇願風の、

あるときは 怒りを露(あらわ)にした、

そしてあるときは

それらよりはるかに 受け取った姉が呆れるであろうほどに

厭味たっぷりの。

わたしは そのたび 深いため息をついて

ペンを置いた。

(「こんな手紙 出せやしない。。」)

自己嫌悪に陥り、自ら苦笑した。


『手紙は 美しくなければならない。』