昨日出会った「鴨たち」のこと。
淡々と書いたけれど、それはもう わたしの喜びようは

大変なものだった。

家の前の道から すこし右にカーヴした坂道を下り、

(実はもうそのころに なんとなく予感はしていた。。 と 思う。。)

春に一度 彼らに会ったその場所を 当然 まず覗いて見た。

が そこには居なかった。

それでも なんとなく 胸のざわざわはおさまらなくて

予感は高まるばかりだった。。

昔 ちいさいころ そこをなんと呼んでいたか 忘れてしまった。

今はみな 「下の川」と 呼んでいるらしい。

それは もっと南へいくと ほんものの川=多摩川があるからで、

その手前にある この川を すぐ下にある川、というような意味で 「下の川」と 呼んでいるのだろう。


『会えるかもしれない』

その割には わたしの撮影準備はお粗末なもので、

あえて 言い訳をするなら、いつもは毎夜すましておく

バッテリーの充電を その朝になって慌しく行い、

装着せぬまま、チャージャーはバッグの本体にいれ、

バッテリーは ポケットに押し込んだまま、

「行ってきます!」と 家族に宣言して家をあとにしたからである。

川の様子は 以前見たときより とても穏やかだった。

夏のころには 川を覆いつくすように 深緑色に茂っていた

草木も すこしばかり「漉けて」 川面がよく見渡せた。

それから ゆっくり 川に沿ってしばらく歩いてゆくと

彼らは いたのだ。

『やっぱり。。』

嬉しさがこみあげて、それと同時に わたしは慌ててしゃがみこんで

バッテリーをカメラに押し込んだ。すこし手が震えた。

フジの15倍の望遠レンズのことが ふと心を過ぎった。

あの日は それで撮ったのだった。そして あのときもやはり

わたしは 慌てていて、カラーで撮ることができなかったのだ。

ただ 思い切りアップにして 二羽の鴨を つぎつぎカメラに収めた。